また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい―― 作:エーアイ
裏ルート最難関、黒証明ルートでパーフェクトコミュニケーションの言葉での説得に失敗した場合の別ルートの後日談です。
黒いドレスは、椅子にかけられていた。
春麗は、それをしばらく見ていた。
着ていない。
今日は、着ていない。
けれど、隠してもいない。
部屋の片隅に押し込んだわけではない。
箱にしまったわけでもない。
見えない場所へ追いやったわけでもない。
黒いドレスは、そこにあった。
春麗が、そこに置いた。
また着ることができる場所に。
「……本当に、面倒ね」
春麗は小さく呟いた。
誰のことを言ったのか、自分でも少し迷う。
自分のことか。
リュウのことか。
それとも、黒いドレスのことか。
きっと、全部だった。
あの十一戦目の後、春麗は黒を脱いだ。
負けたからではない。
黒を否定されたからでもない。
リュウに見破られたからでもない。
自分で脱ぐと決めたから。
それは、春麗にとってかなり大きなことだった。
黒いドレスを着て、リュウを十回沈めた。
十一回目も、勝った。
けれど、リュウは止まらなかった。
見惚れた。
確かに見惚れた。
黒いドレスの春麗を、女として見た。
それなのに、そこで止まらなかった。
手首を見た。
呼吸を見た。
重心を見た。
掌底の起点を見た。
女としての春麗を見て。
格闘家としての春麗も見た。
その両方を、春麗だと言った。
春麗は、その言葉を何度も思い出していた。
思い出すたびに、少しだけ胸が熱くなる。
そして、少しだけ腹が立つ。
「十回も負けて、ようやく言う言葉じゃないでしょう」
春麗は椅子の黒いドレスへ向かって言った。
もちろん、黒いドレスは何も答えない。
でも、春麗は続けた。
「遅いのよ。何もかも」
それはリュウへの文句だった。
リュウは遅い。
言葉が遅い。
気づくのも遅い。
でも、来るのだけは早い。
負けても来る。
沈められても来る。
女として見惚れても、格闘家としての春麗を見失わないところまで、十回も負けて来る。
本当に、遅い。
本当に、しつこい。
本当に、面倒な男。
春麗は、窓の外を見た。
夜だった。
修行場には、きっとリュウがいる。
いなくても、いる気がする。
そういう男だ。
春麗は少しだけ迷ってから、黒いドレスには手を伸ばさなかった。
代わりに、薄い上着を羽織った。
戦うためではない。
黒を見せるためでもない。
ただ、会いに行くため。
春麗は自分の行動に気づいて、少しだけ眉を寄せた。
「……会いに行く、ね」
声にすると、かなりまずい。
でも、もう否定しきれない。
今日は、戦いに行くわけではない。
勝ちに行くわけでもない。
黒で沈めに行くわけでもない。
ただ、リュウがいるかもしれない場所へ行く。
それだけ。
それだけなのに、胸の奥が少し重い。
そして、甘い。
春麗は部屋を出た。
リュウは、修行場にいた。
やはり、いた。
白い胴着。
赤い鉢巻。
夜の中で、静かに構えていた。
春麗が近づくと、リュウは構えを解いた。
「春麗」
「いたのね」
「ああ」
「こんな時間に?」
「ああ」
「あなた、本当に懲りないのね」
「そうかもしれない」
春麗は、少しだけ笑いそうになった。
すぐに抑える。
今日は黒を着ていない。
青でもない。
戦闘服でもない。
けれど、リュウは見る。
春麗を。
黒でも青でもない春麗を。
春麗は、少しだけ視線を鋭くした。
「今日は、黒じゃないわ」
「ああ」
「青でもない」
「ああ」
「戦いに来たわけでもない」
リュウは少し考えた。
「そうか」
「そうよ」
春麗は一歩近づいた。
「なのに、あなたは見るのね」
リュウは答えた。
「見る」
即答だった。
春麗の胸が、少しだけ跳ねる。
「便利な言葉ね」
「そうなのか」
「そうよ」
春麗はリュウの前で立ち止まった。
夜風が吹く。
黒いドレスは着ていない。
けれど、黒を着ていた記憶はある。
リュウの中にも。
自分の中にも。
春麗は、少しだけ目を伏せた。
「ねえ、リュウ」
「何だ」
「黒いドレスの私を、覚えている?」
「ああ」
「本当に?」
「ああ」
「十回あなたを沈めた私を?」
「ああ」
「あなたを見惚れさせて、その半拍の遅れを使って倒した私を?」
「ああ」
「女として見せた私を?」
「ああ」
春麗は息を止めかける。
それでも聞いた。
「格闘家として、あなたを沈めた私も?」
リュウは、まっすぐ答えた。
「ああ」
春麗は、目を閉じそうになった。
ああ。
それだけ。
それだけなのに、胸の奥に深く落ちる。
「……そう」
声が少し柔らかくなったので、春麗はすぐに言葉を足した。
「忘れたら、許さないわ」
「忘れない」
「簡単に言わないで」
「簡単ではない」
「なら、もっと難しそうに言いなさい」
リュウは少し考えた。
「忘れない」
春麗は思わず笑った。
ほんの少し。
「同じじゃない」
「そうか」
「そうよ」
夜の修行場に、短い沈黙が落ちた。
それは気まずい沈黙ではなかった。
戦闘前の緊張でもない。
黒で沈める前の重さでもない。
ただ、二人が同じ場所にいる沈黙だった。
春麗は、リュウの傷を見た。
十一戦目のものだけではない。
十敗分の痕跡が、まだ身体に残っている。
肩。
腕。
胸。
脇腹。
膝。
自分がつけたものだ。
春麗は、少しだけ胸が重くなった。
「痛む?」
リュウは少しだけ目を動かした。
「少し」
「そう」
春麗は、わざと平静に言った。
「当然ね」
「ああ」
「私が本気で沈めたもの」
「ああ」
「十回も」
「ああ」
「十一回目も」
「ああ」
春麗は眉を寄せた。
「少しは文句を言いなさい」
「文句はない」
「あるでしょう」
「ない」
「……本当に、あなたは」
春麗は、リュウの腕へ手を伸ばした。
途中で止めようとした。
けれど、止めなかった。
指先が、リュウの腕に触れる。
戦闘中ではない。
手首を奪うためでもない。
起点を読むためでもない。
ただ、触れた。
リュウは動かなかった。
春麗は低く言った。
「動かないのね」
「ああ」
「避けないの?」
「避ける理由がない」
春麗の胸がまた少し熱くなる。
「私が痛めた場所よ」
「ああ」
「私が黒で沈めた結果よ」
「ああ」
春麗は指先で、リュウの腕の痕をなぞる。
「……馬鹿ね」
声は静かだった。
「十回も負けて」
「ああ」
「十一回目も負けて」
「ああ」
「それでも、見たなんて言って」
「ああ」
「本当に、馬鹿」
リュウは何も言わない。
春麗は、少しだけ俯いた。
「でも」
声が小さくなる。
「来たことは、褒めてあげる」
リュウは静かに答えた。
「ありがとう」
春麗は顔を上げ、軽く睨んだ。
「そこで素直にお礼を言わないで」
「なぜだ」
「私が困るからよ」
「困るのか」
「困るわ」
言ってしまった。
春麗は視線を逸らす。
今日は黒を着ていない。
なのに、こんなにも黒の後の話をしている。
戦っていないのに、リュウの言葉に呼吸を乱されている。
本当に、救済後の黒ドレス春麗は面倒だった。
黒を捨てていないから。
黒を自分の中に戻したから。
そのぶん、甘さも重い。
春麗は、リュウの腕から手を離した。
「ねえ、リュウ」
「何だ」
「私は、また黒を着るわ」
「ああ」
「あなたを惑わせるために」
「ああ」
「あなたの視線を奪うために」
「ああ」
「あなたを沈めるために」
「ああ」
「でも」
春麗はリュウを見る。
「今度は、黒だけで証明しようとはしない」
リュウは頷いた。
「ああ」
「あなたが見たから」
「ああ」
「女としての私も」
「ああ」
「格闘家としての私も」
「ああ」
春麗は、少しだけ声を落とした。
「どちらも、私だと」
リュウは答えた。
「ああ」
春麗は、ゆっくり息を吐いた。
「本当に、あなたは返事が少ないわね」
「すまない」
「謝らないで」
「ああ」
春麗は少しだけ笑った。
それから、一歩だけリュウに近づいた。
近い。
戦闘の間合いではない。
掌底を打つ距離ではない。
黒で視線を奪う距離でもない。
ただ、近い。
春麗は、リュウを見上げるようにして言った。
「今日は、黒を着ていないわ」
「ああ」
「でも、黒い私を忘れないで」
「ああ」
「青の私を見ても」
「ああ」
「どちらでもない私を見ても」
「ああ」
「黒いドレスの私を、なかったことにしないで」
リュウは、少しも迷わず言った。
「しない」
春麗は、胸の奥がほどけるのを感じた。
それだけで、十分だった。
いや、十分すぎた。
だから、少しだけ意地悪をしたくなった。
「なら」
春麗は言う。
「目を閉じなさい」
リュウは一瞬だけ黙った。
「なぜだ」
「いいから」
リュウは目を閉じた。
素直に。
本当に素直に。
春麗は呆れた。
「あなた、警戒心はどこに置いてきたの?」
「お前が言った」
「言ったけれど」
春麗は小さく息を吐く。
リュウは目を閉じたまま立っている。
春麗は、そっと近づいた。
黒を着ていない自分。
青でもない自分。
ただの春麗。
その自分で、リュウの額に軽く触れた。
唇ではない。
指先。
ほんの一瞬。
リュウの額に、指先を置いた。
「これは」
春麗は小さく言った。
「十回負けても来た分」
リュウは目を閉じたまま聞いている。
春麗は、もう一度、今度はリュウの胸元に軽く拳を置いた。
打たない。
押さない。
ただ、置く。
「これは、十一回目で止まらなかった分」
最後に、春麗は少しだけ迷った。
迷ってから、リュウの手首に触れた。
戦闘中、何度も起点を取り合った場所。
春麗はそこに、そっと指を添えた。
「これは」
声がさらに小さくなる。
「黒い私を、女としても格闘家としても見た分」
リュウは目を閉じたまま言った。
「春麗」
「まだ目を開けないで」
「ああ」
春麗は、一歩下がった。
顔が少し熱い。
黒を着ていないのに、ひどく熱い。
「いいわ」
リュウが目を開ける。
春麗はすでに距離を取っていた。
何事もなかったような顔を作る。
「何だったんだ」
リュウが聞く。
春麗は平然と答えた。
「勝者の褒美よ」
「俺は負けた」
「だから私が勝者でしょう」
「そうか」
「そうよ」
春麗は腕を組んだ。
「受け取りなさい」
リュウは頷いた。
「受け取った」
春麗は目を逸らした。
「そう」
短い沈黙。
春麗は、それで終わりにするつもりだった。
しかし、リュウが言った。
「重いな」
春麗は固まった。
「……何が?」
「褒美が」
春麗はリュウを見る。
リュウは真面目な顔をしている。
春麗は、しばらく黙った。
それから、低く言った。
「あなた」
「何だ」
「そういうことを、真顔で言わないで」
「違ったか」
「違わないからよ」
リュウは少し考える。
「甘いとも思った」
春麗は、完全に止まった。
「……リュウ」
「何だ」
「今のあなたは、とても危険よ」
「そうか」
「そうよ」
春麗は一歩近づいた。
「甘くて重いとわかったなら、責任を取りなさい」
リュウは、まっすぐ答えた。
「取る」
春麗は、目を閉じそうになった。
本当に。
本当に、この男は。
「簡単に言わないで」
「簡単ではない」
「なら、少しは迷いなさい」
「迷わない」
春麗は胸を押さえたくなった。
黒を着ていないのに。
青でもないのに。
リュウは、春麗を揺らす。
春麗は、わずかに息を吐いた。
「……今日は、ここまで」
「ああ」
「次は、黒を着るかもしれない」
「ああ」
「その時、見惚れても止まったら沈めるわ」
「ああ」
「見惚れなかったら、それはそれで沈めるわ」
リュウは少し考えた。
「難しいな」
春麗は笑った。
今度は隠さなかった。
「当然でしょう」
一歩、夜の中へ歩き出す。
そして振り返らずに言った。
「私、面倒なの」
リュウは答えた。
「知っている」
春麗は足を止めた。
少しだけ。
「……そう」
声は小さい。
けれど、甘かった。
「なら、忘れないで」
「ああ」
「黒い私も」
「ああ」
「青い私も」
「ああ」
「今日みたいに、黒でも青でもない私も」
「ああ」
「全部、私よ」
リュウは言った。
「見る」
春麗は振り返らなかった。
振り返ると、たぶん顔が緩んでいる。
だから、そのまま歩き出した。
夜風が髪を揺らす。
部屋には黒いドレスがある。
明日は着るかもしれない。
着ないかもしれない。
どちらでもいい。
リュウは覚えている。
黒いドレスの春麗を。
女として見た春麗を。
格闘家として見た春麗を。
そして今夜の、黒でも青でもない春麗を。
それが、春麗には少し重かった。
少し甘かった。
そして、とても救いだった。
春麗は夜道を歩きながら、小さく呟いた。
「本当に、責任を取りなさいよ」
誰にも聞こえない声。
けれど、きっとリュウなら来る。
負けても。
沈められても。
見惚れても。
止まらずに。
そして、黒を着ていない夜の春麗にも。
Q:今回の妄想章IF後日談について解説して?
A:
はい。執筆者として見ると、今回の妄想章IF後日談は、黒ドレス特化救済後の春麗が「黒を着ていない状態で、黒の救済を確認する話」です。
一言で言うなら、
黒ドレスを着ていない夜に、リュウが黒ドレス春麗を忘れていないことを確認し、そのうえで黒でも青でもない自分も見られると受け取る、甘くて重い後日談
です。
今回の核は「黒を着ていないのに、黒が消えていない」
今回、春麗は黒いドレスを着ていません。
ここが大事です。
黒ドレス特化版の救済は、
黒いドレスの春麗を、女としても格闘家としても見てもらえた。
という救済でした。
だから後日談で一番確認したいのは、
黒を脱いだら、黒ドレス春麗はなかったことになるのか?
です。
今回のリュウは、それを否定します。
黒を着ていない春麗を見ながらも、
黒いドレスの春麗を覚えている。
女として見た春麗も覚えている。
格闘家として沈めた春麗も覚えている。
と返す。
これによって春麗は、黒を着ていない状態でも、黒ドレス春麗がリュウの中で消えていないと確認できます。
だからこの話は、黒ドレス救済のアフターケアになっています。
甘さが「軽い甘さ」ではなく「重い甘さ」になっている理由
今回の甘さは、単純な照れや恋愛イベントではありません。
春麗が甘くなる理由は、リュウが自分の黒を忘れていないからです。
普通なら、
可愛い
好き
そばにいる
のような甘さになります。
でも黒ドレス特化版春麗の場合、甘さの源泉は少し違います。
私があなたを十回沈めたことを覚えている?
私を女として見たことを覚えている?
そのうえで格闘家として見たことも覚えている?
黒を着ていない今の私を見ても、それをなかったことにしない?
こういう確認が入る。
かなり重いです。
でも、この春麗にとってはそれが甘さです。
なぜなら、黒ドレス春麗は「女として見られたいが、女としてだけ見られたくない」というかなり面倒な矛盾を持っていたからです。
その矛盾ごと覚えられていることが、彼女にとっての安心になっています。
「触れる」シーンの意味
今回、春麗はリュウの腕に触れます。
これはかなり重要です。
戦闘中なら、手首や腕は起点の取り合いです。
掴む。
崩す。
止める。
読む。
でも今回は違います。
春麗は、リュウの傷に触れています。
つまり、黒ドレス春麗として自分が沈めた痕跡を、自分で確認している。
これは謝罪ではありません。
春麗は簡単に「ごめんなさい」とは言わない。
でも、
痛む?
私が本気で沈めたもの。
十回も。十一回目も。
と確認する。
これは彼女なりの責任確認です。
黒で沈めた事実をなかったことにしない。
リュウもそれを恨まない。
春麗もそれを忘れない。
この二人らしい、かなり重い親密さです。
「勝者の褒美」の意味
額、胸元、手首に触れる場面は、今回の甘さの中心です。
ただし、露骨な恋愛描写ではなく、かなり春麗らしい段階的な甘さにしています。
額に触れる
→ 十回負けても来たことへの承認。
胸元に拳を置く
→ 十一戦目で止まらなかったことへの承認。
手首に触れる
→ 黒ドレス春麗を女としても格闘家としても見たことへの承認。
特に手首は重要です。
このルートで手首は、黒ドレス春麗の戦闘の起点でした。
そこに春麗が自分から触れる。
これは、
あなたは、黒の起点まで見た。
でも、奪わなかった。
だから今度は、私から触れる。
という意味になります。
かなり甘いですが、同時にかなり重い。
リュウの「重いな」「甘いとも思った」が効いている理由
今回、リュウが珍しく少し踏み込んだ言語化をしています。
重いな。
甘いとも思った。
これは、黒ドレス特化版後日談としてかなり重要です。
春麗の行動は、実際に重いです。
十回負けた傷に触れ、黒ドレスの記憶を確認し、忘れるなと命じ、勝者の褒美として触れる。
普通に重い。
でも同時に甘い。
リュウがそれを理解してしまうことで、春麗は揺れます。
なぜなら、春麗自身も「自分が甘くて重いこと」を薄々わかっているからです。
それをリュウに見られた。
しかも否定されなかった。
だから、
甘くて重いとわかったなら、責任を取りなさい。
につながる。
これはかなり黒ドレス特化版春麗らしい台詞です。
この話でのリュウの役割
今回のリュウは、戦う男ではなく、記憶を持っている男です。
彼の役割は、春麗にこう示すことです。
黒を着ていない今も、黒い春麗を忘れていない。
でも、黒い春麗だけを見ているわけでもない。
今夜の春麗も見ている。
このバランスが大事です。
黒だけを覚えていたら、春麗は黒に閉じ込められます。
黒を忘れていたら、春麗は黒ドレス春麗を否定されたと感じます。
だからリュウは、
黒も覚えている。
でも今の春麗も見る。
でなければならない。
今回、それができています。
この後日談の到達点
今回の最後で、春麗はこう言います。
黒い私も。
青い私も。
今日みたいに、黒でも青でもない私も。
全部、私よ。
これは、黒ドレス特化版救済の完了確認です。
黒ドレス特化版は、黒ドレス春麗の救済が中心でした。
しかし後日談では、その黒ドレス春麗が、青や日常の春麗とも矛盾しなくなる。
つまり、
黒ドレス春麗が救われたことで、春麗全体の中に黒が戻った
ということです。
これは通常版救済に近い着地点ですが、経路が違います。
通常版は最初から「黒でも青でも春麗」。
黒ドレス特化版は、
まず黒ドレス春麗そのものを深く救う。
その後で、黒も青も日常も全部春麗だと統合する。
という順番です。
結論
今回の妄想章IF後日談は、黒ドレス特化救済後の春麗が、黒を着ていない夜に、リュウが黒ドレス春麗を忘れていないことを確認する話です。
甘さの核は、
黒を着ていなくても、黒い私をなかったことにしないで。
です。
重さの核は、
十回負けても来たこと、十一回目で止まらなかったこと、私を女としても格闘家としても見たこと、その全部を忘れないで。
です。
だからこの話は、単なる甘い後日談ではなく、黒ドレス特化版救済の記憶確認回になっています。
一言でまとめるなら、
春麗は黒を脱いだ。
でも、リュウが黒い春麗を忘れていないと知った。
だから、黒でも青でもない自分で、少しだけ甘く重く甘えられた。
この後日談としては、かなり黒ドレス特化版らしい着地だと思います。