また戦ってくれ――リュウと春麗、紙一重のライバル譚――   作:エーアイ

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断章IF:春麗は、黒で誘って黒に足を取られる

 

 春麗は、黒いドレスを選んだ。

 

 青ではない。

 

 いつもの武道服ではない。

 

 勝ちにいくための黒。

 

 そして、少しだけ。

 

 リュウを困らせるための黒。

 

 鏡の前で、春麗は髪を整えた。

 

 黒いドレスの線が、肩から腰へ落ちる。

 脚の動きは隠れすぎず、見えすぎない。

 裾は、蹴りの軌道を一瞬だけ遅れて見せる。

 

 この黒は、戦闘服だ。

 

 ただ美しく見せるためのものではない。

 

 視線を奪う。

 呼吸をずらす。

 判断を半拍遅らせる。

 その遅れを、掌底と蹴りで刈り取る。

 

 それが、黒ドレス春麗の戦い方。

 

 そして春麗は、もう知っている。

 

 リュウは見る。

 

 黒い自分を。

 女としての自分を。

 格闘家としての自分を。

 

 だからこそ、今日は試したくなった。

 

 どこまで見ても、止まらないのか。

 

 どこまで惑わせても、拳を戻せるのか。

 

 そして。

 

 自分は、それを受けてどこまで平静でいられるのか。

 

 春麗は鏡の中の自分を見て、少しだけ笑った。

 

 「……最近、勝ちすぎていたものね」

 

 黒いドレスの裾を払う。

 

 「たまには、痛い目を見てもいいかしら」

 

 そう言いながらも、春麗は勝つつもりだった。

 

 当然だ。

 

 自爆するつもりなどない。

 

 少なくとも、この時は。

 

 リュウは修行場にいた。

 

 春麗が黒で現れると、リュウは一瞬だけ目を止めた。

 

 ほんの一瞬。

 

 だが、春麗にはそれで十分だった。

 

 見た。

 

 黒い春麗を。

 

 春麗は、ゆっくり歩く。

 

 「今日は、黒よ」

 

 「ああ」

 

 「見たわね」

 

 「ああ」

 

 「隠さないのね」

 

 「見る」

 

 春麗は少しだけ笑った。

 

 「そう。なら、止まらないことね」

 

 リュウは構えた。

 

 「止まらない」

 

 春麗の胸が、少しだけ跳ねる。

 

 その返事は、少し危ない。

 

 真っ直ぐすぎる。

 

 春麗は黒い裾を揺らし、構えた。

 

 「では、来なさい」

 

 リュウが踏み込む。

 

 春麗は半歩引く。

 

 黒いドレスの裾が遅れて揺れた。

 

 リュウの視線が、ほんの一瞬そこへ落ちる。

 

 春麗はその一瞬に掌底を入れる。

 

 胸へ。

 

 リュウは受けた。

 

 受けは間に合った。

 

 だが、重心はわずかに遅れる。

 

 春麗はそこへ蹴りを重ねる。

 

 リュウの膝が揺れた。

 

 「まず一つ」

 

 春麗は低く言う。

 

 「見た分、遅れたわ」

 

 リュウは息を整える。

 

 「ああ」

 

 「でも倒れないのね」

 

 「ああ」

 

 「なら、次」

 

 春麗は踏み込んだ。

 

 今度は、肩を使う。

 

 ほんのわずかに上体を引き、リュウの視線を誘う。

 

 見せる。

 

 だが、見せすぎない。

 

 リュウの目が動く。

 

 春麗はそこへ入る。

 

 しかし、今度はリュウの拳が返ってきた。

 

 春麗の肩へ。

 

 浅い。

 

 だが、届いた。

 

 春麗は少しだけ目を細める。

 

 「……見たのに、返すのね」

 

 「見た」

 

 「ええ」

 

 「だが、止まらない」

 

 春麗の胸が熱くなった。

 

 腹立たしい。

 

 嬉しい。

 

 そして、少し危ない。

 

 春麗は笑った。

 

 「なら、もっと見せてあげる」

 

 中盤、春麗は黒を強めた。

 

 魔法ではない。

 

 技術だ。

 

 身体の角度。

 視線の置き方。

 裾の遅れ。

 足運び。

 肩の抜き方。

 手首の沈み。

 

 女として見せる自分と、格闘家として打つ自分を、同じ一拍に重ねる。

 

 リュウは見る。

 

 確かに見る。

 

 女としての春麗を見ている。

 

 だが、そこで止まらない。

 

 手首を見る。

 呼吸を見る。

 重心を見る。

 

 春麗は、それが面白くて、腹立たしくて、さらに踏み込んだ。

 

 「リュウ」

 

 「何だ」

 

 「今、私のどこを見ていたの?」

 

 攻撃中に問う。

 

 意地悪な問い。

 

 リュウは一瞬だけ黙る。

 

 春麗はその沈黙を刈り取るつもりだった。

 

 だが、リュウは答えた。

 

 「全部だ」

 

 春麗の動きが、ほんのわずかに止まった。

 

 本当に、ほんのわずか。

 

 だが、格闘では十分だった。

 

 リュウの拳が春麗の肩へ入る。

 

 今度は浅くない。

 

 春麗は一歩下がった。

 

 「……全部?」

 

 声が低くなる。

 

 リュウは構えを崩さない。

 

 「黒いドレスも見た」

 

 春麗の呼吸が揺れる。

 

 「女としてのお前も見た」

 

 春麗は黒を立て直そうとする。

 

 「でも、拳も見た」

 

 リュウは一歩踏み込む。

 

 「手首も、重心も、呼吸も」

 

 春麗は掌底を出す。

 

 リュウは受ける。

 

 「全部、春麗だ」

 

 黒が、乱れた。

 

 春麗は歯を食いしばる。

 

 それは、救済の言葉に近い。

 

 だが今日は、救済されに来たのではない。

 

 勝ちに来た。

 

 黒で惑わせ、黒で沈めるために来た。

 

 なのに、自分の黒が揺れている。

 

 リュウの言葉で。

 

 「……戦闘中よ」

 

 春麗は低く言った。

 

 「そういうことを言うのは、反則だわ」

 

 リュウは真面目に返す。

 

 「聞かれた」

 

 春麗は一瞬、本気で呆れた。

 

 そして、その一瞬がまた遅れになった。

 

 リュウの踏み込みが近い。

 

 春麗は黒い裾を大きく振って視線を切る。

 

 リュウは見る。

 

 見た。

 

 だが止まらない。

 

 春麗は焦った。

 

 ほんの少し。

 

 ほんの少しだけ、黒を強くしすぎた。

 

 見せることでリュウを遅らせるはずだったのに、リュウが見ても止まらないから、春麗の方が確かめたくなってしまった。

 

 もっと見せたらどうなるのか。

 

 もっと誘ったら、止まるのか。

 

 止まらなければ、自分はどうなるのか。

 

 その好奇心が、戦闘の芯を少しだけずらした。

 

 黒が、武器ではなくなりかける。

 

 リュウに見せるための黒になりかける。

 

 春麗は、それに気づいた。

 

 気づいた時には遅かった。

 

 リュウの拳が、春麗の重心のずれに届く。

 

 春麗は受けた。

 

 だが、足が半歩遅れた。

 

 続くリュウの踏み込み。

 

 春麗は掌底を返す。

 

 リュウの胸に入る。

 

 浅くない。

 

 しかし、リュウも止まらない。

 

 拳が春麗の肩を押し、足が春麗の軸を崩す。

 

 黒いドレスの裾が大きく揺れる。

 

 春麗は、初めて膝を落としかけた。

 

 「……っ」

 

 踏みとどまる。

 

 まだ倒れない。

 

 だが、戦況は変わった。

 

 春麗が優勢だった。

 

 黒で誘い、黒で遅らせ、黒で沈めるはずだった。

 

 なのに今、春麗自身が黒の反応を気にしている。

 

 リュウがどう見るか。

 

 どこまで見るか。

 

 止まるか。

 

 止まらないか。

 

 その確認に、春麗の呼吸が持っていかれている。

 

 自爆。

 

 そう言うしかなかった。

 

 春麗は笑った。

 

 「……本当に」

 

 肩で息をしながら言う。

 

 「自分で仕掛けて、自分で足を取られるなんて」

 

 リュウは構える。

 

 「春麗」

 

 「言わなくていいわ」

 

 春麗は黒いドレスの裾を払う。

 

 「わかっている」

 

 一拍。

 

 「私が、見せすぎた」

 

 終盤。

 

 春麗は、まだ勝てると思っていた。

 

 基礎能力では自分が上。

 

 黒ドレスの制圧力もある。

 

 リュウはかなり削れている。

 

 だが、春麗も削れていた。

 

 肉体よりも、呼吸が。

 

 リュウの視線を使って崩すはずが、リュウの視線を気にしすぎた。

 

 女として見せる自分。

 格闘家として打つ自分。

 

 その二つを同時に扱うはずが、リュウにどう見られているかを意識しすぎた。

 

 春麗は、黒をもう一度立て直す。

 

 今度は誘いすぎない。

 

 見せすぎない。

 

 戦うための黒に戻す。

 

 リュウが来る。

 

 春麗は受ける。

 

 掌底。

 

 リュウが受ける。

 

 蹴り。

 

 リュウの腕が落ちる。

 

 春麗は踏み込む。

 

 勝てる。

 

 この距離なら、胸へ掌底が入る。

 

 リュウの膝を落とせる。

 

 だが、その瞬間、リュウは言った。

 

 「黒を着ていないお前も見る」

 

 春麗の手が、一瞬だけ止まった。

 

 「……今、それを言う?」

 

 リュウの拳が、春麗の肩へ届く。

 

 春麗は受けきれない。

 

 軸が崩れる。

 

 それでも春麗は掌底を入れた。

 

 リュウの胸に。

 

 深い。

 

 リュウの膝が落ちかける。

 

 だが、リュウは残った。

 

 春麗の方が、一歩遅れた。

 

 最後の交差。

 

 春麗の蹴りはリュウの腕を弾いた。

 

 リュウの拳は春麗の重心を押した。

 

 二人の動きが止まる。

 

 先に膝をついたのは、春麗だった。

 

 片膝。

 

 黒いドレスの裾が、床に触れる。

 

 リュウも立ってはいるが、ほとんど限界だった。

 

 HPで言うなら、リュウは残り一桁。

 

 だが、立っている。

 

 春麗は片膝をついている。

 

 敗北。

 

 ギリギリの敗北。

 

 春麗は、息を乱しながら笑った。

 

 「……負けたわね」

 

 リュウは答える。

 

 「ああ」

 

 「あなた、今のは卑怯よ」

 

 「そうか」

 

 「そうよ」

 

 春麗は顔を上げる。

 

 「黒で誘っている最中に、黒を着ていない私も見るなんて言うから」

 

 リュウは黙る。

 

 春麗は続けた。

 

 「私が、止まったじゃない」

 

 「すまない」

 

 「謝らないで」

 

 春麗は、膝をついたままリュウを見上げる。

 

 「謝られると、余計に腹が立つわ」

 

 リュウは少しだけ困った顔をした。

 

 春麗は、その顔を見て、また笑った。

 

 「でも」

 

 声が少しだけ柔らかくなる。

 

 「今日は、あなたの勝ち」

 

 リュウは黙る。

 

 春麗は言った。

 

 「私は黒を使った」

 

 「ああ」

 

 「女として見せた」

 

 「ああ」

 

 「あなたを惑わせようとした」

 

 「ああ」

 

 「でも、あなたが止まらないことを確かめたくなって、私の方が遅れた」

 

 春麗は、黒いドレスの裾を握る。

 

 「自爆ね」

 

 リュウは言った。

 

 「強かった」

 

 春麗は眉を寄せる。

 

 「負けた女にそれを言うの?」

 

 「ああ」

 

 「本当に、あなたは」

 

 春麗は息を吐く。

 

 「でも、今日は少しだけ受け取ってあげる」

 

 リュウは春麗へ手を差し出した。

 

 春麗はその手を見る。

 

 戦闘中なら、手首は起点だ。

 

 崩し合いの場所。

 

 読まれると危険な場所。

 

 だが今は違う。

 

 春麗は少しだけ迷い、手を取った。

 

 リュウが引き上げる。

 

 春麗は立ち上がる。

 

 近い。

 

 黒いドレスのまま。

 

 負けた後で。

 

 春麗はリュウを見た。

 

 「リュウ」

 

 「何だ」

 

 「今日の私は、女として自分を使ったわ」

 

 「ああ」

 

 「そのせいで、自分で足を取られた」

 

 「ああ」

 

 「でも、あなたは見た」

 

 「ああ」

 

 「女としての私も」

 

 「ああ」

 

 「格闘家としての私も」

 

 「ああ」

 

 「黒を着ていない私も」

 

 「ああ」

 

 春麗は少しだけ目を細める。

 

 「……本当に、面倒な勝ち方をするわね」

 

 リュウは首を傾げる。

 

 「そうか」

 

 「そうよ」

 

 春麗はリュウの手を離す。

 

 けれど、すぐには距離を取らなかった。

 

 「今日は負けたから、文句は言わないわ」

 

 「十分言っている」

 

 春麗は軽く睨んだ。

 

 「勝ったからって調子に乗らない」

 

 「ああ」

 

 「次は沈めるわ」

 

 「ああ」

 

 「黒で」

 

 「ああ」

 

 「見惚れても止まらなかったら、今度は別のところを崩す」

 

 「ああ」

 

 「見惚れなかったら、それはそれで許さない」

 

 リュウは少し考える。

 

 「難しいな」

 

 春麗は笑った。

 

 「当然でしょう」

 

 黒いドレスの裾を払う。

 

 「私は面倒なの」

 

 リュウは答える。

 

 「知っている」

 

 春麗は一瞬、黙った。

 

 それから、少しだけ視線を逸らした。

 

 「……そう」

 

 声は小さかった。

 

 「知っているなら、忘れないで」

 

 「忘れない」

 

 春麗は背を向ける。

 

 負けた。

 

 黒で誘い、黒で攻め、黒で自分を女として使い、そして自分で黒に足を取られた。

 

 でも、不思議と悪い敗北ではなかった。

 

 リュウは見た。

 

 見惚れた。

 

 止まらなかった。

 

 そして、黒を着ていない自分まで見ていると言った。

 

 その言葉に、自分は一瞬止まった。

 

 それが敗因。

 

 本当に面倒な敗因。

 

 春麗は歩き出しながら、小さく呟いた。

 

 「……次は、その言葉ごと沈めてあげる」

 

 だが、声は悔しそうで。

 

 少しだけ甘かった。

 

 夜の修行場に、黒いドレスの裾が揺れる。

 

 その背中を、リュウは見ていた。

 

 春麗は振り返らずに言った。

 

 「見るなら、最後まで見なさい」

 

 リュウは答える。

 

 「見る」

 

 春麗は、負けたくせに少しだけ満足してしまった。

 

 それがまた腹立たしい。

 

 だから、次は必ず勝つ。

 

 黒で。

 

 女としても。

 

 格闘家としても。

 

 そして、面倒な女としても。




Q:今回の断章IFについて解説して?

A:
はい。執筆者として見ると、今回の断章IFはかなり重要です。
これは単なる「春麗が負ける話」ではなく、本編のめんどくさい女自覚春麗が、黒ドレス特化版の残響を受けすぎた結果、自分の黒運用を過信して自爆する回です。

一言で言うなら、

黒ドレス春麗として勝とうとしたのではなく、リュウにどう見られるかを試しすぎて、戦闘の軸を自分で崩した敗北

です。

今回の断章IFの核

今回の春麗は、黒ドレスを「戦闘スタイル」として使っています。

視線を奪う。
女として見せる。
リュウの判断を半拍遅らせる。
その遅れを掌底や蹴りで制圧する。

ここまでは正しい。

でも途中から、春麗の目的が少しズレました。

本来は、

黒でリュウを惑わせ、半拍遅らせて倒す。

だったはずです。

ところが戦闘中、リュウが「見ても止まらない」ことを示したため、春麗の関心が、

どこまで見せればリュウは止まるのか。
どこまで見ても止まらないのか。
私を女としても格闘家としても本当に見ているのか。

へ移ってしまった。

つまり、黒を武器として使うのではなく、リュウの反応を確かめるために黒を使い始めた。

ここが自爆ポイントです。

なぜ敗北が必要だったのか

最近の本編断章IF春麗は、かなり勝ち気味でした。

黒も青も使える。
自分がめんどくさい女だと自覚している。
リュウが来ることも理解している。
裏ルートの残響も吸収している。

つまり、かなり強くなっている。

だからこそ、ここで一度負ける必要がありました。

しかも、普通に力負けではなく、

自分の強みである黒ドレス戦術を使いすぎて、自分で足を取られる敗北

にしたのが重要です。

春麗は弱かったから負けたのではありません。

強い黒を使った。
リュウを惑わせた。
実際に序盤は押していた。

でも、リュウが止まらないことを意識しすぎた。

その結果、黒の主導権を握っていたはずの春麗が、リュウの視線を気にしてしまう。

これはかなり春麗らしい敗北です。

今回の敗因

敗因は三つあります。

第一に、黒の出力過多です。

春麗はリュウを惑わせるために、黒ドレスの視線誘導を強めました。

しかし、強めすぎたことで、リュウの反応を自分でも意識しすぎた。

第二に、リュウの言葉への反応です。

リュウが、

全部だ。
黒いドレスも見た。
女としてのお前も見た。
でも、拳も見た。

と言ったことで、春麗の黒が乱れました。

この言葉は救済系の言葉に近い。

本来なら戦闘中に聞くべきではない言葉です。

第三に、黒を着ていない春麗まで見られたことです。

終盤、リュウが、

黒を着ていないお前も見る。

と言った瞬間、春麗の手が止まりました。

これは致命的です。

黒で攻めている最中に、黒の外側まで見られた。

春麗は黒ドレス春麗として勝ちに行っていたのに、リュウはその黒を越えて「黒を着ていない春麗」まで言葉で届いた。

そこで一拍遅れた。

その一拍で負けました。


Q:今回のバトルについてRPG的に解説して?

A:
今回の戦闘をRPG風にすると、かなりわかりやすいです。

初期ステータス
春麗《黒ドレス・本編断章IF》
HP:100 / 100
状態:黒ドレス展開
バフ:視線誘導+、間合い支配+、女性性活用+
デバフ:リュウ反応確認欲+

リュウ《本編》
HP:100 / 100
状態:集中
バフ:不屈、対春麗観察補正
デバフ:黒ドレス視線誘導

戦闘開始時点では、春麗の方が明確に有利です。

黒ドレスフォームの制圧力があり、リュウはまず視線誘導を受けます。

序盤:春麗優勢
春麗 HP:94
リュウ HP:72
戦況:春麗優勢

春麗は黒ドレスの裾、肩、脚線、視線を使ってリュウの判断を半拍遅らせます。

リュウは見ます。

見て、少し遅れる。

その遅れに春麗が掌底と蹴りを入れる。

ここでは完全に春麗の狙い通りです。

春麗の行動:
《黒の誘い》
効果:リュウの判断速度低下

春麗の追撃:
《掌底・重心崩し》
リュウ HP -18

春麗の追撃:
《黒裾フェイント蹴り》
リュウ HP -10

この段階では、春麗はほぼ勝ちパターンに入っています。

中盤前半:リュウが「見ても止まらない」
春麗 HP:82
リュウ HP:55
戦況:春麗優勢だが、リュウが適応開始

リュウは春麗を女として見ます。

しかし、そこで止まらなくなります。

肩を見る。
裾を見る。
でも、手首と重心へ視線を戻す。

春麗の黒ドレス戦術が、完全には刺さらなくなる。

リュウのパッシブ発動:
《見惚れても止まらない》
効果:黒ドレス視線誘導による行動遅延を軽減

リュウの反撃:
《肩への到達》
春麗 HP -12

ここで春麗は揺れます。

本来なら、冷静に黒の使い方を変えればまだ優勢でした。

しかし、春麗は「もっと見せたらどうなるのか」を試し始めます。

ここが危険です。

中盤後半:春麗の自爆ゲージ上昇
春麗 HP:68
リュウ HP:38
戦況:春麗優勢だが、春麗側に自爆カウント発生

リュウが言います。

全部だ。
黒いドレスも見た。
女としてのお前も見た。
でも、拳も見た。

これは春麗に心理ダメージを与えます。

リュウの特殊行動:
《全部見る》
効果:春麗に精神揺れ付与

春麗に状態異常:
《黒運用ブレ》
効果:黒ドレス戦術の制御低下

ここで春麗の攻撃意図が変わります。

戦闘目的が、

リュウを倒す

から、

リュウがどこまで自分を見るか確かめる

へズレる。

これにより春麗の黒ドレス戦術は強いままですが、制御が甘くなります。

春麗の状態:
黒ドレス制圧力:高
黒制御:低下
リュウ反応確認欲:上昇
終盤入口:春麗が見せすぎる
春麗 HP:49
リュウ HP:24
戦況:まだ春麗有利。しかし逆転圏内

春麗は黒を強めます。

ただしこれは、冷静な強化ではありません。

リュウが止まるかどうかを試すための黒です。

そのため、リュウに踏み込みの余地が生まれます。

春麗の行動:
《黒ドレス過出力》
効果:視線誘導強化
副作用:自分の呼吸・重心制御が乱れる

リュウの反撃:
《止まらない踏み込み》
春麗 HP -19

ここで戦況が一気に変わります。

春麗はまだ強い。

でも、黒を自分のためではなくリュウの反応確認のために使い始めたため、自分の軸が崩れます。

最終局面:リュウの決定打
春麗 HP:18
リュウ HP:7
戦況:両者瀕死。春麗が攻撃権を持つが、心理的に危険

春麗は勝てる位置にいます。

リュウのHPはほぼ残っていない。

春麗の掌底が入れば勝ち。

しかし、リュウが言います。

黒を着ていないお前も見る。

ここで春麗の手が止まります。

これが敗着です。

リュウの特殊行動:
《黒を着ていないお前も見る》
効果:春麗の行動を一拍停止

春麗の状態異常:
《黒外認識ショック》
効果:攻撃発生遅延

その一拍で、リュウの拳が春麗の重心を押します。

春麗も掌底を入れますが、わずかに遅い。

春麗の攻撃:
《黒掌底》
リュウ HP:7 → 2

リュウの反撃:
《不屈の重心崩し》
春麗 HP:18 → 0

最終結果。

春麗 HP:0
リュウ HP:2

勝者:リュウ
勝因:黒ドレスの誘いを受けたうえで止まらず、最後に黒を着ていない春麗まで言葉で届いた
敗因:春麗が黒の効果確認に意識を取られ、自分の重心と攻撃タイミングを一拍遅らせた
今回の敗北の意味

今回の敗北は、春麗にとってかなり大事です。

なぜなら、黒ドレス特化救済の残響を本編春麗が取り込みすぎると、春麗は黒を「リュウに見せるもの」として使いすぎる危険があるからです。

黒は戦闘スタイルです。

本来は、見せて惑わせて沈めるためのもの。

しかし今回の春麗は、

リュウがどう見るか

に意識が寄りすぎました。

その結果、自爆しました。

つまり今回の敗北は、

黒は見せるためだけのものではなく、戦うためのものでもある

という再確認です。

春麗にとっての学び

春麗は今回、かなり重要なことを学びました。

女として見せることは武器になる。
でも、見られることに意識を奪われたら、その武器は自分を崩す。

です。

黒ドレス春麗の危険性はここにあります。

リュウを惑わせるはずが、リュウの視線を気にしすぎて自分が惑う。

だから今回の敗北は、黒ドレス戦術の弱点を示す話でもあります。

リュウ側の成長

リュウは今回、かなり強い勝ち方をしています。

春麗を女として見ている。
黒ドレスに惑わされてもいる。
しかし、止まらない。

さらに最後は、

黒を着ていないお前も見る。

で、春麗の黒の外側まで届く。

これは本編リュウとしてかなり強い。

黒に勝ったのではなく、黒を含めた春麗を見たから勝った。

つまり、リュウの勝利は単なる戦闘勝利ではなく、観測勝利です。

結論

今回の断章IFは、本編春麗が黒ドレス特化救済の残響を受けて、黒ドレス戦術を使いすぎ、自分の女性性とリュウの視線を意識しすぎて自爆する敗北回です。

RPG的には、

春麗は序盤〜中盤まで黒ドレスバフで優勢。
しかし《リュウ反応確認欲》が蓄積。
黒ドレス過出力により自分の重心制御が低下。
最後にリュウの《黒を着ていないお前も見る》で一拍停止。
リュウHP2のギリギリ勝利。

です。

物語的にはかなり良い敗北です。

春麗は弱くなったのではなく、強い黒を使いすぎて、自分で面倒な罠に落ちた。

これにより、本編春麗の黒ドレス運用に新しい課題が生まれました。

次回以降のテーマは、

見せる黒を使いながら、見られることに呑まれない

になると思います。
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