また戦ってくれなんて言わないで ――春麗は今日もめんどくさい――   作:エーアイ

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今までの他世界の春麗の残響の受信から直接交流する会議なったらという話になります。


断章IF:春麗たちは、リュウについて会議する

 

 春麗は、夢を見ているのだと思った。

 

 そうでなければ、おかしい。

 

 目の前に、自分が六人いた。

 

 いや、自分を含めれば七人かもしれない。

 

 円卓のようなものがある。

 

 場所は修行場に似ているが、修行場ではない。

 どこかの部屋のようでもあり、どこでもない場所のようでもある。

 

 そこに、春麗たちが座っていた。

 

 青い武道服の春麗。

 黒いドレスの春麗。

 少し落ち着いた顔の春麗。

 どこか焦った目をした春麗。

 妙に柔らかい空気をまとった春麗。

 そして、明らかに「私は違う」と言いたそうな春麗。

 

 本編の春麗――自分をめんどくさい女だと自覚している春麗は、しばらく無言で全員を見回した。

 

 それから、低く言った。

 

 「……何なのよ、これ」

 

 黒いドレスの春麗が、腕を組んだ。

 

 「会議でしょう」

 

 「見ればわかるわよ。問題は、なぜ私たちが集まっているのかということ」

 

 通常救済版の春麗が、静かにお茶を置いた。

 

 「残響が増えすぎたから、一度整理が必要なのでは?」

 

 「誰が用意したのよ、そのお茶」

 

 「知らないわ。でも、落ち着くでしょう?」

 

 本編春麗は頭を押さえた。

 

 落ち着かない。

 

 まったく落ち着かない。

 

 なぜなら、目の前にいる全員が自分だからだ。

 

 しかも全員、微妙に違う。

 

 まず、本編春麗。

 

 自分がめんどくさい女だと自覚している。

 黒も青も使う。

 リュウへの反応倍率が上がっていることも理解している。

 甘さを訓練と言い換える癖がある。

 ただし、自覚しているからこそ動ける。

 

 次に、自覚前春麗。

 

 青い武道服で、どこか警戒した顔をしている。

 

 「最初に言っておくけれど」

 

 自覚前春麗は言った。

 

 「私は面倒ではないわ」

 

 全員が一斉に見た。

 

 本編春麗が眉を寄せる。

 

 裏ルートの特殊ルート、黒ドレス特化で救済された春麗がため息をつく。

 

 裏ルートの通常パーフェクトコミュニケーションで救済された春麗が微笑む。

 

 行き遅れ恐怖版が少し心配そうにする。

 

 裏ルートでグランドフィナーレを迎えた春麗が、静かに首を振る。

 

 そして全員が、ほぼ同時に言った。

 

 「違わないわよ」

 

 自覚前春麗は固まった。

 

 「……ひどくない?」

 

 本編春麗は腕を組む。

 

 「ひどくないわ。事実確認よ」

 

 「あなたにだけは言われたくないわ」

 

 「私は自覚しているもの」

 

 「自覚していれば許されるの?」

 

 「少なくとも、あなたよりは運用しやすいわ」

 

 黒ドレス特化版が、そこで口を挟んだ。

 

 「自覚しているだけ、まだいいじゃない」

 

 本編春麗が振り返る。

 

 黒いドレスの春麗。

 

 黒ドレス特化版。

 

 女として見せる自分も、格闘家として沈める自分も、リュウに見られた春麗。

 甘くて重いことをある程度受け入れ、「責任を取りなさい」と言える春麗。

 

 本編春麗は目を細めた。

 

 「あなたはあなたで、かなり重いわよ」

 

 黒ドレス特化版は平然と返した。

 

 「知っているわ」

 

 「開き直りすぎでしょう」

 

 「だって、見られたもの」

 

 その一言に、自覚前春麗が反応した。

 

 「見られたって、何を?」

 

 黒ドレス特化版は、少しだけ口元を緩めた。

 

 「黒い私を。女としての私を。格闘家としての私を。黒を脱いだ私も」

 

 自覚前春麗は顔を赤くした。

 

 「……言い方」

 

 黒ドレス特化版は首を傾げる。

 

 「何か問題が?」

 

 本編春麗は小さく呟いた。

 

 「甘さ耐性が高いのよ、この私」

 

 通常救済版が静かに言った。

 

 「でも、黒でも青でも、結局リュウは見るわよ」

 

 全員が裏ルート通常救済版を見る。

 

 彼女は、もっとも落ち着いていた。

 

 黒でも青でも見る、とリュウに言われた春麗。

 黒にも青にも囚われず、フォームを選べるようになった春麗。

 どこか柔らかく、安定している。

 

 本編春麗は少しだけ面白くなさそうに言った。

 

 「あなたは安定しすぎなのよ」

 

 裏ルート通常救済版は微笑む。

 

 「そうかしら」

 

 「そうよ。黒でも青でも見るって言われて、ちゃんと受け取れたんでしょう?」

 

 「ええ」

 

 「……素直ね」

 

 「あなたも受け取ればいいのに」

 

 本編春麗は視線を逸らした。

 

 「私は、そういう単純な話ではないの」

 

 黒ドレス特化版が即座に言う。

 

 「単純ではないと言いたがるところが、面倒なのよ」

 

 自覚前春麗が頷きかけて、慌てて止まった。

 

 本編春麗はそれを見逃さない。

 

 「今、頷こうとしたわね」

 

 「していないわ」

 

 「したわ」

 

 「していない」

 

 「認めなさい。あなたもこっち側よ」

 

 「違うわ」

 

 全員がまた見た。

 

 自覚前春麗は小さくなった。

 

 「……まだ違うわ」

 

 裏ルートでグランドフィナーレを迎えた春麗が、そこで初めて口を開いた。

 

 「“まだ”と言った時点で、かなり近いと思うわ」

 

 その声は穏やかだった。

 

 グランドフィナーレ済みの春麗。

 

 裏ルート拗れ救済を終えて、物語として決着を迎えた春麗。

 

 彼女には、他の春麗たちとは違う落ち着きがあった。

 

 本編春麗は、その落ち着きを少し眩しく感じた。

 

 「あなたはいいわよね」

 

 「何が?」

 

 「終わっているもの」

 

 裏ルートでグランドフィナーレを迎えた春麗は、少しだけ目を伏せた。

 

 「そうね。終わっているわ」

 

 その言い方に、行き遅れ恐怖版の春麗が反応した。

 

 「終わっているって、やっぱり安心するもの?」

 

 全員が彼女を見る。

 

 行き遅れ恐怖版。

 

 焦りと不安が強く、リュウとの関係が決まらないことに恐怖を持つ春麗。

 

 彼女は指先を握っていた。

 

 「だって、終わらないままだと……本当に、このまま何も決まらないんじゃないかって思うじゃない」

 

 本編春麗は少しだけ表情を緩めた。

 

 「あなたはあなたで、切実ね」

 

 「あなたたちが余裕すぎるのよ」

 

 黒ドレス特化版が言う。

 

 「余裕なんてないわよ。リュウの鈍感力は、黒でも貫通しきれないもの」

 

 本編春麗が頷く。

 

「それは同意するわ」

 

 通常救済版も静かに頷いた。

 

 「見ることはできるのに、甘い意味への変換が遅いのよね」

 

 自覚前春麗が小声で言う。

 

 「……わかる気がする」

 

 全員が見る。

 

 自覚前春麗はすぐに顔を上げた。

 

 「気がするだけよ」

 

 黒ドレス特化版が微笑む。

 

 「七十点ね」

 

 本編春麗が反応する。

 

 「私の時は八十点だったわ」

 

 黒ドレス特化版の眉がわずかに動く。

 

 「まだ言うの?」

 

 「事実よ」

 

 「私は黒ドレスで責任の話までしたのよ」

 

 「私は青で点数制にして誘導したの」

 

 「言い方がずるいわ」

 

 「あなたこそ、責任を取りなさいなんて言える時点で十分強いでしょう」

 

 「でも七十点」

 

 「私は八十点」

 

 行き遅れ恐怖版が慌てて止める。

 

 「ちょっと待って。リュウの言葉に点数をつけるのが普通みたいになっているけれど、それ、普通なの?」

 

 裏ルート通常救済版が穏やかに言った。

 

 「普通ではないと思うわ」

 

 裏ルートグランドフィナーレを迎えた春麗も頷く。

 

 「でも、私たちらしいわね」

 

 自覚前春麗が震えた。

 

 「私たち、なの?」

 

 本編春麗がにっこり笑った。

 

 「あなたも含むわよ」

 

 「含めないで」

 

 「もう遅いわ」

 

 「遅くない」

 

 「リュウに“面倒でも春麗だ”と言われて、点数をつけかけたでしょう」

 

 自覚前春麗は黙った。

 

 「つけていないわ」

 

 「頭の中で九十点が浮かんだでしょう」

 

 「……浮かんでいない」

 

 黒ドレス特化版が静かに言う。

 

 「今の間は黒ね」

 

 通常救済版が補足する。

 

 「いえ、青の中に黒が残っている反応ね」

 

 裏ルートグランドフィナーレを迎えた春麗が微笑む。

 

 「かなり本編寄りね」

 

 自覚前春麗は机に両手を置いた。

 

 「やめて。私を分析しないで」

 

 本編春麗は勝ち誇ったように言う。

 

 「分析される側になるのも訓練よ」

 

 「それ、あなたがよく使う言い訳でしょう!」

 

 「便利よ」

 

 「便利じゃないわよ!」

 

 行き遅れ恐怖版が小さく呟く。

 

 「でも、リュウが来るなら、訓練でも何でもいい気がする」

 

 全員が少し黙った。

 

 その言葉は、妙に本質だった。

 

 リュウが来る。

 

 ただそれだけで、春麗たちはそれぞれ動いてしまう。

 

 黒を着る春麗。

 青を選ぶ春麗。

 訓練と言い張る春麗。

 責任を問う春麗。

 終わりを怖がる春麗。

 救済後に落ち着いた春麗。

 まだ面倒ではないと言い張る春麗。

 

 全員、違う。

 

 けれど、リュウが来ることに反応する。

 

 本編春麗は、少しだけ息を吐いた。

 

 「……結局、全員リュウに振り回されているじゃない」

 

 通常救済版が言う。

 

 「振り回されているというより、見られているのでは?」

 

 黒ドレス特化版が続ける。

 

 「見られて、重くなるのよ」

 

 行き遅れ恐怖版が小さく言う。

 

 「見られないと、不安になるわ」

 

 自覚前春麗が反射的に言う。

 

 「私は別に」

 

 全員が見る。

 

 自覚前春麗は声を落とす。

 

 「……見られないと、少し気になるだけよ」

 

 本編春麗が頷いた。

 

 「それを面倒と言うのよ」

 

 「違うわ」

 

 「違わない」

 

 「違う」

 

 「なら、リュウに“見ない”と言われても平気?」

 

 自覚前春麗は口を開いた。

 

 閉じた。

 

 そして、低く言った。

 

 「……それは、失礼でしょう」

 

 黒ドレス特化版が笑った。

 

 「失礼、ね」

 

 通常救済版も微笑む。

 

 「可愛い言い換えね」

 

 自覚前春麗は耳まで赤くなった。

 

 「うるさいわよ、私たち!」

 

 本編春麗は、その光景を見て思った。

 

 たしかに、別ルートの春麗たちは新キャラのようだ。

 

 だが、全員自分でもある。

 

 どの春麗も、リュウに対して何かを抱えている。

 

 黒を見てほしい。

 青も見てほしい。

 女としても見てほしい。

 格闘家としても見てほしい。

 面倒でも春麗だと言ってほしい。

 でも、素直には言いたくない。

 

 本編春麗は、ふと疑問を口にした。

 

 「結局、リュウのどこがそこまで厄介なのかしら」

 

 全員が黙った。

 

 それから、通常救済版が言った。

 

 「来るところ」

 

 黒ドレス特化版が言う。

 

 「見るところ」

 

 行き遅れ恐怖版が言う。

 

 「待っていると、本当に来そうなところ」

 

 グランドフィナーレ版が言う。

 

 「終わらせても、忘れないところ」

 

 自覚前春麗は少し迷ってから言った。

 

 「……落ち着く、と言うところ」

 

 本編春麗は、最後に言った。

 

 「面倒でも春麗だと、言うところ」

 

 沈黙。

 

 それぞれの春麗が、それぞれのリュウを思い出している。

 

 同じリュウなのに、少しずつ違う。

 

 少しずつ違うのに、同じ。

 

 通常救済版が、静かにまとめた。

 

 「黒でも青でも、結局リュウは見るわよ」

 

 黒ドレス特化版が言う。

 

 「ただし、甘い意味には鈍いわ」

 

 本編春麗が頷く。

 

 「だから訓練が必要なのよ」

 

 自覚前春麗がすぐに反論する。

 

 「訓練って言えば何でも許されると思わないで」

 

 本編春麗は真顔で返した。

 

 「かなり許されるわ」

 

 「許されないわよ!」

 

 行き遅れ恐怖版がぽつりと言う。

 

 「でも、訓練なら次も会えるのよね」

 

 全員が彼女を見る。

 

 行き遅れ恐怖版は、少しだけ恥ずかしそうに言った。

 

 「……それは、便利だと思う」

 

 黒ドレス特化版が頷いた。

 

 「そうね。責任確認よりは軽いわ」

 

 本編春麗が得意げに言う。

 

 「でしょう?」

 

 通常救済版が少し困ったように微笑む。

 

 「でも、それを繰り返すと、結局ずっと終わらないわよ」

 

 本編春麗は肩をすくめた。

 

 「終わらない殴り愛が本編でしょう?」

 

 グランドフィナーレ版が、静かに本編春麗を見る。

 

 「その言い方、少し羨ましいわ」

 

 本編春麗は意外そうにした。

 

 「あなたが?」

 

 「ええ。私は終わったから」

 

 その声には、穏やかな寂しさがあった。

 

 「終わった物語には、綺麗さがある。でも、続いている物語には熱があるわ」

 

 本編春麗は言葉を失った。

 

 グランドフィナーレ版は微笑む。

 

 「あなたはまだ、負けられる。怒れる。訓練と言い訳できる。リュウに点数もつけられる」

 

 黒ドレス特化版が続ける。

 

 「黒で自爆もできるわ」

 

 通常救済版も言う。

 

 「青で甘さを受けることもできる」

 

 行き遅れ恐怖版が小さく言う。

 

 「焦ることもできる」

 

 自覚前春麗が、少し不本意そうに言う。

 

 「自覚しないふりもできる」

 

 本編春麗は、しばらく黙った。

 

 それから、深く息を吐いた。

 

 「……どうして私が一番面倒みたいな扱いになっているのよ」

 

 黒ドレス特化版が即答した。

 

 「本編だからでしょう」

 

 通常救済版が頷く。

 

 「一番動くからね」

 

 グランドフィナーレ版が微笑む。

 

 「一番続けられるから」

 

  自覚前春麗が少し悔しそうに言う。

 

 「一番言い訳が上手いから」

 

 行き遅れ恐怖版が付け足す。

 

 「一番、次を作るから」

 

 本編春麗は、全員を見回した。

 

 どの自分も、少し腹立たしい。

 

 どの自分も、少し羨ましい。

 

 そして、どの自分も、たぶん自分だった。

 

 春麗は腕を組む。

 

 「わかったわ」

 

 全員が見る。

 

 「本編として、私が引き受ける」

 

 自覚前春麗が目を丸くする。

 

 「何を?」

 

 「面倒さを」

 

 黒ドレス特化版が少し笑う。

 

 「ようやく?」

 

 「ようやくではないわ。前から自覚している」

 

 通常救済版が言う。

 

 「では、その自覚をどう使うの?」

 

 本編春麗は少し考えた。

 

 そして、堂々と言った。

 

 「訓練に使うわ」

 

 自覚前春麗が机を叩いた。

 

 「結局それなの!?」

 

 本編春麗は平然と返す。

 

 「ええ。リュウの鈍感力改善訓練。私の反応制御訓練。甘い言葉への耐性訓練。黒でも青でもどちらでもない私でも、止まらない訓練」

 

 黒ドレス特化版が頷いた。

 

 「悪くないわ」

 

 通常救済版が微笑む。

 

 「結局、黒でも青でも進むのね」

 

 グランドフィナーレ版が言う。

 

 「続けられるあなたらしいわ」

 

 行き遅れ恐怖版がほっとしたように言う。

 

 「次があるなら、少し安心するわ」

 

 自覚前春麗だけが、まだ納得していない顔をしていた。

 

 「私は、まだ面倒だと認めていないから」

 

 全員がまた見た。

 

 本編春麗が、優しくも意地悪く笑う。

 

 「大丈夫。すぐよ」

 

 「すぐじゃないわ!」

 

 「次回訓練を予約したでしょう」

 

 「それは戦闘上必要だから!」

 

 「私も昔はそう言っていたわ」

 

 「昔って何よ!」

 

 春麗たちの声が重なる。

 

 夢の空間が揺れる。

 

 円卓が淡く消え始める。

 

 本編春麗は、最後に全員を見る。

 

 通常救済版。

 黒ドレス特化版。

 自覚前。

 行き遅れ恐怖版。

 グランドフィナーレ版。

 

 それぞれ違う春麗。

 

 それぞれ別の答えを得た春麗。

 

 でも、最後に向かう先は、たぶん同じだ。

 

 リュウが来る場所。

 

 リュウが見る場所。

 

 春麗が、面倒なまま次を選ぶ場所。

 

 消えゆく中で、黒ドレス特化版が言った。

 

 「リュウに甘い言葉を考えさせるなら、点数は厳しめにしなさい」

 

 通常救済版が言う。

 

 「でも、ちゃんと受け取ること」

 

 行き遅れ恐怖版が言う。

 

 「次があることを、大事にして」

 

 グランドフィナーレ版が言う。

 

 「終わらないことも、祝福よ」

 

 自覚前春麗が最後に叫ぶ。

 

 「私はまだ面倒じゃないから!」

 

 本編春麗は笑った。

 

 「はいはい」

 

 そして、目が覚めた。

 

 朝。

 

 春麗は寝台の上で、しばらく天井を見ていた。

 

 夢だった。

 

 たぶん夢だった。

 

 でも、胸の奥に妙な疲労感がある。

 

 自分たちと会議をした疲労。

 

 それは、普通の疲労ではない。

 

 かなり面倒な疲労だった。

 

 春麗は起き上がる。

 

 青い武道服を手に取る。

 

 少し迷って、黒いドレスの方も見た。

 

 どちらでもいい。

 

 今日、何を着るかは自分が決める。

 

 リュウは、たぶん見る。

 

 黒でも。

 青でも。

 どちらでもなくても。

 

 春麗は小さく笑った。

 

 「……本編だから、ね」

 

 誰に言うでもなく呟く。

 

 一番面倒。

 

 一番動く。

 

 一番続けられる。

 

 なら、仕方ない。

 

 今日も訓練だ。

 

 リュウの鈍感力改善訓練。

 

 自分の反応制御訓練。

 

 そして、次を作るための訓練。

 

 春麗は青い武道服に袖を通した。

 

 「次の宿題、ちゃんと考えてきているでしょうね」

 

 そう呟いてから、自分で顔を熱くした。

 

 「……訓練として」

 

 付け足す。

 

 それも含めて、いつもの春麗だった。

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