しかし、不意の隕石との衝突でエラーが発生し、なんと8000年前へと来てしまった!
かぐやは損傷した宇宙船を何とか復旧して現代に辿り付くべく足掻くのだが、その最中にとある存在と出会う事となる。
彼こそは王、星の管理者にして守護者、後に誰もが彼を称えるその名は怪獣王ゴジラ。
これはうっかり変な世界線へと跳んでしまったかぐやと怪獣王の交流とその後を描くストーリである。
この大地に転生してから、果たしてどれだけの時間が経過した事だろうか。
最早暦を数える事すら億劫となる様な、永い永い時間を過ごした事だけは覚えている。
地表にはシダ植物が生い茂り、哺乳類ではなくは虫類と節足動物こそが繁栄した時代に生まれた。
文明のbの文字すら無く、只管に自然の中で淘汰と進化が繰り返される中で今の私は産まれた。
転生、と言うのだったか。
最早遠い昔、遙か彼方の記憶の残滓がそれを教えてくれる。
恐竜の時代、白亜紀だったか。
そういう時代の中で、嘗ての人としての意識は消えて、今の私が産まれた。
時に狩りを行い、肉を食み、縄張りを巡回し、自然の秩序を乱す様な輩を屠る。
それすらも途中からただの暇潰しの散歩となってしまった。
永い時と闘争の中で成長し、山の様な巨体と成ってしまった今の私を相手に戦う気概を持つ者も、害しうる者も既にいなくなって久しい。
嘗て、今の大きさの半分位の時は多くの者達が生存のために私に挑んだ。
中には複数や群れで挑む者もおり、周囲一帯を巻き込んで苛烈な生存闘争へと発展した事も一度や二度ではない。
だが、その全てを私は勝利し、今もこうして生きている。
別にそのことを後悔するつもりは無い。
あそこで負けていれば私は勿論、多くのこの世界の生物が死滅していただろう事が度々あった。
多種の生物をその毒で過剰に殺戮し、その死体を苗床に無尽蔵に繁殖する菌糸類。
火山を自在に噴火させ、無秩序に全てを蹂躙しようとした巨大翼竜。
そして、宇宙より飛来して全ての生物を殺戮しようとした黄金の三つ首龍。
それら全てに対し、私は勝利した。
お前達は、この大地に必要無い。
一個の生命としてこの星の循環の中で生きるならば認められた。
しかし、自らの領分を超え、生態系を食い潰すというのならば容赦はしない。
他にも多くの者達が現れたが、自らの分を弁えた生き方が出来ない者達のなんと多い事か。
その悉くを私は鏖殺した。
一切の例外は存在しない。
星の循環が滞れば、それで生きる私の身にも不利益となるからだ。
生に飽いて、闘争と徘徊、変化する自然の観察しか出来る事の無い身で生に執着するとは・・・我ながら滑稽極まりない。
そして星の表層からほぼ全ての巨大生物を駆逐し終えた頃、私は唐突に無性生殖の機能を獲得した。
この星の下、広大な地下世界に住まう巨躯の生物達は自らの領分を弁えているが故に私の殺戮の対象とはならなかった。
暇を飽かし、それを潰す方法を思いつかない私は自らの身体と再び向き合う事にした。
転生したての頃はこの余りに強大ながらも大雑把な巨体(今の視点だと貧弱極まるが)に辟易していたものだが、更に成長して数倍以上の巨躯となった現在では少し動くだけで周辺に多大な影響を与えてしまう。
幸い、この身体は世代を経る事なく進化できる自己進化機能を有していた。
今までは闘争と生存のためにのみ使用していたこれを便利な方向へと使う事にしたのだ。
その結果が無性生殖機能の獲得だ。
単体で有精卵を生むというものだが・・・こうして産まれた個体は新しい自我を有していない。
あくまで私の模造、コピーであり、その意識は私と同じものだ。
つまり、何が言いたいかというと・・・一つの意識で二つの身体を操る事になるのだ。
もし何らかの事象で一体しか操作できずとも、新しい個体の中には私のコピーが存在している。
例え本体である私が滅んだ所でコピーの私がその活動を継続していく事となる。
これを時間を掛けて幾度も繰り返し、7体もの私のコピーを生み出した。
時間経過と取得した経験の差でそのサイズと形状には若干の差があるものの、その機能自体は出力や処理能力の差を除けば同等となっている。
無論、本体である私が最も巨躯かつ強力ではあるのだが、それはさて置き。
『では私は眠る。緊急事態と判断すれば起床する。それまでこれまでと同様に地表の管理を行うように。』
コピー達の是という返信を個体間のテレパシーで受け取った後、私は自らの巨躯を深い深い海の底、その中の谷のようなっている海溝へと沈めるのだった。
それから、また永い時間が過ぎた。
巨大な隕石衝突の影響で地表の生物が一度ほぼ絶滅しかけた事もあった。
知識としてこの後何が起こるか知っていたが、知っていても結構心配になってしまった。
まぁ既存生物の保護よりも飛来した隕石の中に隠れ潜んでいた三つ首の黄金龍の同種への対応を優先せざるを得なかったのだが。
一体何匹いるんだあの連中は。
お陰で初手の隕石攻撃により分身が一体撃破されてしまったではないか。
さっくりと黄金龍を処理して壊れた分身を再生産した後、私は新たに獲得した機能を用いて周囲への干渉を開始した。
私の身体から排出される細胞は極めて多くの栄養を含んでいる。
これを寝床にしている海底火山の熱と共に海流に乗せ、氷河期を迎えた地球を下から温めようというのだ。
私の身体は天然の原子炉を備え、更に熱から肉体を生成する事が出来るため、通常の摂食活動を行う事は殆ど無いからこそ出来る荒技だ。
隕石の衝突により巻き上げられた膨大な粉塵により日光は遮られ、地表の生物の多くが絶滅し、恐竜の時代は終わった。
しかし、地表の生物全てが死に絶えた訳ではない。
以前喰らった翼竜の力も用いて火山を活発化させて全球凍結だけは防ぎつつ、栄養豊富となった海流により生命の芽が完全に途絶える事だけは避けた。
加えて、私の細胞の影響により以前よりも強靱な生命体になれるだろう。
過度な干渉はすべきではないが、滅びかけの現状ならば多少の梃子入れは良しとしよう。
そして、更に永い時間が過ぎた。
氷河期こそ過ぎ去っていないものの、地表に再び多く生物が増えていった。
中にはこの間まで猿だったのに、遂に道具や毛皮を使う生物、つまり初期の人類までもが現れたのだ。
この頃になると分身達も活動を鈍磨させ、監視に徹する形となっている。
それぞれが地下世界との通路の出入り口を寝床とし、地表に被害が出ないように蓋をしている。
地表は電磁波を用いたセンサーで大まかに把握しているが、生態系が全滅しかねない異変が発生すれば自ずと分かる。
何れ人類が発展すれば感知されるやも知れないが・・・まぁ特段気にする事も無いだろう。
私としてはこの無駄に永い悠久の暇を潰すためにも変化に富む観察対象である人類には是非とも繁栄してもらいたいと思っている。
特段手を貸す訳ではないが、彼らの適度な繁栄を私は祈っている。
そうして氷河期が過ぎ去り、多少地表が暖かくなり、そろそろ本体による温暖化及び海水への細胞流出を止めようかと思った頃、それは訪れた。
『何?』
突然、この星の表層、それこそ月以遠までカバーする私の探知範囲内に本当に突然何かが現れ、海上へと落着したのだ。
椰子の実程度の大きさだったが故に大きな問題は発生しなかったものの、もし嘗て三つ首の黄金龍が隠れていたものと同サイズであれば折角繁栄を開始した人類が滅びる所であった。
一体何なのだこれは?
極めて高いステルス性に対し、減衰も何もせずに落着したという不自然。
攻撃にしてはおかしいが・・・繁殖するタイプなのだろうかと思ったが、その後一切の変化が無い。
遠距離からの探知ではこれ以上の詳細を知る事は出来ないがか・・・。
『確認するべきだな。』
日本海溝に待機させていた分身を動かし、対象へと近付く。
近付けばその詳細な形状を確認できた。
これは・・・タケノコ?
金属製で一部に損傷が見られるが、確かにタケノコに近い形状をしている。
内部から幾度も電波が出ている・・・時折ナマコに酷似した生物が周囲を活動している?
やはりこの星の生態系に属する存在では無い様だ。
電波を用いて周囲に干渉しているのならば、逆に電磁パルスや電磁バリア、レーダーを備える自分に干渉できない道理は無い。
波長を合わせ、もしもの時の攻撃に対応できるように他の分身とのリンクをカットした上で対象をより詳細に観測、可能ならば干渉する。
『え、なになになになに!?何なのぉ!?なにこの生き物怖いよぉ!助けて彩葉ぁ!!』
何かとてもやかましい、成熟前の人類種らしい少女の声が鳴り響いた。
これが後に8000年を生きる事となる月よりの姫かぐやと約1億4550万年前の白亜紀から生き続ける転生者の初対面の出来事だった。
○転生ゴジラ主
白亜紀初期にモンスターバース&アニゴジ仕様のゴジラの身体で転生を果たした転生者。
と言ってもその人格は既に無く、力と僅かな知識のみが残った完全体の地球の王。
自己進化能力が本家よりも高く、無性生殖による分身の創造とリンク機能を持っている他、ゆっくりと自身の細胞と熱量を海流によって世界中に拡散させて生態系の保護している。
これによりある程度生態系の改変も行われて生物の進化が早まっているのだが、本人は気付いていない。
退屈な日々の中、人類が発生してほっこりしていた所にかぐやのタケノコ号が不時着した事で驚きつつも現場確認のために現れ、接触する事となる。
結果、タケノコ号が本来より早期に陸地へと上がる事となる。
以降、腐れ縁として8000年を多少のインターバルを挟みつつ時々駄弁る仲となる。
○かぐや
ご存じ超かぐや姫!の主人公の一人。
再びいろPに会わんと時間遡行したら隕石で事故って8000年前に不時着、しかもクソデケー怪獣に遭遇して踏み潰されそうで焦ってる。
話が通じると分かって以降は腐れ縁となる。