白亜紀からこんにちわ   作:VISP

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気をつけても出るのホンマ申し訳ないです。


その17 新型

 204×年、遂にアメリカ合衆国政府はモナーク、エイペックス社含む軍需産業連合と米軍の協力の下、正式に対怪獣専門の巨大ロボット兵器を主体とした部隊の設立を公表した。

 その目玉となったのが二種の新型ロボット兵器、正式量産版モゲラとスーパーモゲラの二機種だ。

 以下がその詳細となる。

 

 AT-01 MOGERA

 プロトモゲラの正式量産版であり、サイズや形状、基本構造と機能含め大きな変更等は敢えて抑えられている。

 テスト用の機材と実戦で必要性の薄いとされた装備を排除して10%の軽量化に成功、また試作核融合炉の改良で出力が安定化しているため、戦闘でダメージを負ってからの継戦能力が向上している。

 戦闘用OSも改良されており、軽量化と相まって反応速度も向上、よって近接戦闘能力も強化された。

 装甲材等に関しては変更点は無いものの、機体内部の伝達系が寸断された場合、他の別な無事な伝達系で迂回して機能を維持する等、細かなソフト面での改良が大きい。

 また、既存の武装に加えて背面に大型の複合バックユニット(3式機龍重武装型の多目的バックパックほぼそのまま)を装備可能になっている。

 これにより既存の歩行とホバー&ローラーによる走行の他、以前は不可能だった長距離ジャンプ及び短時間なら飛行での移動が可能となった他、バックユニットに備えられた多数の大型ロケット弾ポッド及び対怪獣用多目的VLSで火力も増強されている。

 これにより複数機で運用の際、より柔軟かつ立体的に機動・火力投射を行う事が可能になっている。

 コスト面に関しては量産効果でプロトモゲラに比べて圧縮され、最新の巡洋艦1隻並にまで安く(!?)なっている。

 

 ATー02 SUPER MOGERA

 AT-01をベースに機体全長を倍以上に大型化した、対大型怪獣の中でも強力な個体に対抗するために生み出された機体。

 コスト面に至ってはATー01の5倍近いものの、それに値する性能を誇る。

 基本構造・機能こそAT-01と共通しているものの、前腕のランスのみならず、機体の主装甲部位全てに人工ブルーダイヤモンドコーティングが施され、装甲厚も大型化した分以上に増強されたために極めて高い耐久力を持つ。

 また、全身の関節構造、特に下半身周りが再設計されて球体が連なる独自の関節構造となった上、増大した重量に対応するため尾部のテールバインダーも大型化、先端が棍棒状となって打撃武装としてもより強力になっている。

 この再設計により、以前とは比較にならない程に自由で生物的な挙動を可能としており、その巨体からは想像も出来ない巧みな近接戦闘を可能としている。

 また、機体各部の姿勢制御スラスター類もより高出力化、更に肘に追加されたこれを用いてエルボーロケットパンチを繰り出せる。

 そのため、AT-01に比べてより下半身が肥大化して尻尾と腕が伸びたシルエットになっている。

 外装への追加式だったロケット弾ポッド等が内装式に変更、基本は装甲内部に格納されているが、使用時には各部が展開して砲台がせり上がり、任意方向へと指向され発射される。

 頭部のカメラアイと一体式のレーザーCIWSも出力の向上に伴って威力と射程距離が強化されているが、やはり決め手にはなりにくい自衛向けとなっている。

 こうした機能と大型化した機体を十全に稼働させるため、AT-01では1基だった核融合炉が2基に増設され、上半身と下半身に分散配置されている。

 そのため、背部放熱板の数も増やされ、テールバインダーの先端近くまで設置されている。

 また、頭部側面と背部の一部にマイクロウェーブ給電システムの送信器が追加され、連携する反重力推進式航空機へと送電する事で作戦行動範囲が大幅に拡大している。

 この他にも本来なら豊富なオプション兵装も予定されていたが、機体本体の余りのコストから見送られている。

 このため、射撃兵装での火力に不足が見られるが、同カテゴリ兵器の本来の目的たる怪獣のヘイトタンクという役割は十分果たしつつ、近接アタッカーとしての役目も出来る機体として完成している。

 

 米軍ではこれらをスーパーモゲラ1機に対してモゲラ2機、支援用航空機6機の編成で運用する予定であり、現在機体運搬用の大型輸送ヘリと合わせて運用方法を模索している。

 一方、同時期に開発された反重力推進式航空機も正式型が完成、一部がAT部隊で運用する他、地下世界探索のために多数生産が開始されている。

 以下がその詳細となる。

 

 AGー01 UWAV

 外観の変更は無いものの、バッテリーの性能が大幅に向上した事、反重力推進装置の改善によって燃費が向上した事で欠点が解消された。

 バッテリーに関しては小型怪獣であるヴァータシーンの解析データによって得られた発電・蓄電能力を参考にした新型高効率バッテリーへの交換が行われた事で若干ながらコストが上がってしまっている。

 ヴァータシーンというのは翼竜の仲間の小型怪獣であり、前肢と一体化した翼と腰から生えた1対の小さな翼(それとは別に後ろ足もある)の計4枚の翼、サメのような背びれ、黄色と黒の雷模様にフラミンゴやセミクジラに歯が生えたような頭部を持つ。

 小柄ながら大型怪獣すら怯む放電能力を持っているのだが、飛行する生き物として軽量化しているのに何処でそんなに発電しているのかと疑問視されていた事から研究が始められ、モナークの外部研究員であるDr.サカヨリ率いる酒寄ロボット工学研究所によって解析された。

 結果、デンキウナギが一部の細胞が発電細胞になっているのに対してほぼ全身が発電細胞兼筋肉となっている上、飛行中に発生する大気とそこに含まれる塵や埃、水分との間に起きる摩擦によって発生した静電気を長期間蓄える事が可能だと判明、これを必要時に一気に解放する事で大型怪獣にも通用する放電を行う事が判明した。

 それ自分が感電しないのかって?

 脳髄とか一部の周りに脂肪が付いてて肝心な場所は絶縁されている上、元々の耐電性能がとても高かったから問題ない事も判明した。

 その分、脳の大きさや知能が残念な事になっているのも判明したが(原作でも杜撰な変装で群れの中に紛れ込まれてた事から恐らくダチョウ並)。

 勿論、その構造原理はしっかり解析され、新型バッテリーへと活かされた。

 序でに全身義体も次のアップデートで新型バッテリーが搭載される事となった。

 このため、単独でも数時間程度の巡航飛行が可能になったが、それ以上に長距離を飛ぶ際は4基の反重力推進装置の側面に安定翼付きの外装式ラムジェットエンジンユニットを装着、反重力推進は最低限に絞って飛行する事で更なる長距離飛行を可能にしている。

 武装は以前と変わりなく12.7mm機関砲×2、多目的ミサイルポッドだが、反重力推進装置の側面か機体の上下面にオプション追加用ラッチが設置され、用途に応じて様々なオプションを追加できる。

 総じて、スーパーモゲラのマイクロウェーブ給電システムと合わせて、運用上問題無い程度に燃費改善に成功している。

 運動性・加速性共に優秀で生産コストもモゲラに比べれば安い事もあって、今後暫くは本機が地上と地下双方で運用され続ける事となる。

 

 「いよーし!これで今回はお役御免!日本帰りまーす!」

 

 各種試験もクリア、後は試験運用して問題点の洗い出しするだけなので、いろPは愛する人のいる我が家にルンルン気分で帰った。

 酒寄ロボット工学研究所の所員達も一部の連絡員を残して帰った。

 はーやれやれ、コレで暫く本業の方に精を出せるな、いやそれよりも残業と徹夜ばっかだし休みましょう・・・と皆揃って機上の人となり、日本へ帰国した。

 勿論行きと同じく政府要人用超音速旅客機with最新仕様のF-22一個飛行隊で。

 帰国して最初の三日間は思い思いに休み、以降は適度に休みを挟みながら仕事する。

 あぁ、今回は余りデスマーチせずに済んだな、いやそもそもデスマーチなんてすべきじゃないんだが、と思いながら、本業の全身義体を始めとしたロボット技術の研究したり、全身義体のヤチヨやかぐやの悪戯ややらかしに頭を抱えるという以前の日常に戻っていた・・・言うまでも無いが、そんな日々が長く続く訳もないのがこの世界である。

 そんな日々の中、唐突にある異変が起こった。

 

 「んえ?」

 

 ふと、彩葉はいつもの夢、ゴジラとの共振が起きたと思った。

 しかし、違う。

 今見ているものはゴジラの記憶には無いものだった。

 正確には植生などは見覚えがあるものの、それは地上世界の光景ではないし、こんな大勢の巨大な猿の怪獣が出てくる事も無かった。

 

 たすけて

 

 「え、なに?」

 

 たすけて ききがせまっている

 

 「・・・別口か!え、一体誰?地下世界の人?」

 

 巨大な猿が各地で侵略を繰り返し、他の怪獣や僅かながら人間が殺されていく光景が流れる。

 そこで彩葉は漸くこれが過去の記憶ではなく今現在起きているだろう事だと察しが付いた。

 

 おねがい しま す  ち かに き  て

 

 「ちょ、情報が足りない!ヤバいのだけでも教えて!」

 

 彩葉の最後の言葉に応じたのか、冷凍光線を吐き出して周囲一帯を凍結させる巨大な四足歩行の爬虫類型の怪獣の姿を映して、夢は終わった。

 起床と同時、モナークの芹沢博士からの緊急通信が来ている事を告げられ、彩葉は即座に受話器を取った。

 

 「テレパシー?」

 『そうだ。分かっている限りでは多数の年若い一桁から二十代の人間が同時に奇妙な夢を見たと証言している。確認できただけでも数千人にも及ぶ。」

 「内容は巨大な猿ですか?」

 『君も見たのか。そうだ、巨大な猿の群れが戦争を起こし、全てを滅ぼす光景だ。その背景にあった上下に陸地のある世界は恐らく地下世界だろう。つまりこれは地下世界からのSOSだ。』

 「・・・本来受け取るべき相手はゴジラでしょうか?」

 『恐らくは。漸く地下世界の探査が実行できそうな我々人類を頼る意味は薄いからな。』

 

 事実、最近になって漸く地下世界への有人探査の用意が整いつつある人類に対して態々テレパシーで通信を行うだけの理由が無い。

 送ってきた者が誰であれ、その人物は現代の人類の科学技術や政治情勢に対して無知又は詳しくないだろう事が察せられる。

 

 こんな大規模かつ無差別な通信、介入してくれと言っている様なものではないか。

 

 少なくとも、アメリカならば絶対に介入を決断する。

 あの国の大統領は大体いつも何か歴史的な事をしたがる傾向にある。

 歴史が短いが故のコンプレックスか、それとも世界の警察としての自負かは知らないしどうでもよい。

 問題なのはまだ人員と装備が充足し切っていないAT部隊とモナークに対し、地下世界の探索が命じられるだろう事だ。

 一応、ズブズブとは言え軍と米国政府とは直接的な命令系統は無いとされるモナークだが、設立したのは米国だし、予算の多くも米国から出ている。

 つまり貧乏学者の集まりたるモナークはスポンサー様のご意向に逆らえないのだ。

 政府首脳と政経界から新たな市場、新たなフロンティアとして地下世界が期待され、想定よりも遙かに早く送り出されかねない。

 勿論、無茶を通すのだから色々と要求する事で時間稼ぎする予定だろうが、あのテレパシーの内容からもう本当に余裕が無いのが伝わってきた。

 

 「猿の怪獣の他、大きな白い四足歩行の爬虫類型の怪獣の姿もありました。ソレが極めて危険で、広範囲を一瞬で凍結させる程の冷気操作能力を保有していました。」

 『その情報だけで大凡我々がすべき事は分かった。急ぎ地下世界探索のための人員と装備を手配する。』

 「可能な限り急いだ方が良いかと。向こうはかなり切羽詰まった様子でした。」

 『となると・・・申し訳ないが酒寄博士、所員共々またお願いする事になる。』

 「ですよねー。」

 

 こうして、僅か一ヶ月後にいろP&酒寄ロボ研の愉快な仲間達はまたしても機上の人となるのだった。

 

 

 

 




便利な天才技術者とか、酷使されない方がおかしいんだよなぁ
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