白亜紀からこんにちわ   作:VISP

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なんでこんなキワモノofキワモノなSSが超かぐやSSの中で総合10位なんですかね・・・正気かな?


その19 いざ行かん

 あの日、全世界で突如若年層の間で起きた白昼夢、その原因が解明されたとモナークから全世界へと発表された。

 

 白昼夢の原因、それは超大規模かつ高出力のテレパシーだった。

 

 怪獣達の楽園たる地下世界、そこから発せられたSOSだという。

 現在、地下世界では僅かに生きる現地の人類と多数の怪獣達が大きく二つの勢力に分かれ、戦争状態になっているらしい。

 今回のテレパシーを送った勢力は相手側に比して弱く、しかし地上への侵攻の意図を持たない勢力であるらしい。

 逆に強い勢力は地下世界を武力で統一後、地上へと侵攻する予定らしく、敵対勢力の拠点にある地上への穴を奪おうとしているらしい。

 この侵略勢力が今まで怪獣達を地下から追い立てていた者達であり、つまり今日までの怪獣災害の主な原因であるとの事だった。

 弱小勢力側が破れた場合、知能の高い類人猿型怪獣が数百体もの集団で地上へと侵略してくる事となる。

 これはゴジラ達と言えども極めて危険な相手であり、地上の人類側による救援が必要であると説いた。

 んなアホな・・・と誰もが当初は懐疑的だったものの、実際にテレパシーによって昏倒等の一時的な意識障害に陥った人々がそれは事実だと追認し、何より解明したのがあのDr.サカヨリだという一点で世界は「あ、コレマジ話だ」と悟った。

 多くの人々が混乱する中、モナークとアメリカ政府の動きは迅速だった。

 編成中だったAT部隊を急遽地下世界へと派遣を決定、僅か三日間だが不眠不休で準備した後、AT部隊は周辺国家の承認の下、南米へと派遣された。

 目的地はブラジル、リオデジャネイロの沖合数km程の地点だ。

 同時に同地域は避難命令が下され、住民の避難が開始されたが・・・もしもの時までに間に合うかは微妙なラインだった。

 現在、そこにはペルー・チリ海溝から南米大陸本土最南端のカボ・フロワード岬を越えて泳いできたゴジラ、G5の姿があった。

 全身の背鰭や一部の棘や爪、瞳孔を赤紫へと輝かせた王の一族は普段の30倍近いエネルギーを蓄えて、無人となった美しいビーチでその時を待っていた。

 

 Grrr・・・

 

 水平線を見つめていたG5の視線が不意に内陸の方へと向けられる。

 見れば、そこには多数の輸送ヘリに吊り下げられた三つの鋼の巨体、それらを護衛するように空を舞う無数の航空機とそれらを統括する様な巨大な航空機アルゴの姿があった。

 

 『目標を確認しました。ここが待ち合わせ場所です。』

 『デートに遅れてしまった様だな。これ以上待たせる訳にもいかん。M1から3はこれより浜辺に降下せよ。』

 『了解。降下開始します。』

 『UWEV隊はいつでも動けるように待機。他の機体は周辺警戒を厳に。アルゴは周辺を旋回しながら上空に待機する。』

 

 巨大な網とワイヤーによって固定されていたモゲラ達が砂浜に降ろされ、同時に固定が解除される。

 立ち上がる1機のスーパーモゲラ、その両脇を固めるモゲラの姿を見届けて、ゴジラは足下の海底を踏みしめ、大きな足音を立てた。

 同時、その足裏から局所放射の要領でエネルギーを放出した。

 次の瞬間、海面が複雑な発光現象と共に渦を巻き始めた。

 

 GYAWOOOOOON!

 

 咆吼と同時、ゴジラは頭からその渦へと突っ込んだ。

 本来、この辺りの水深はゴジラにとっては膝下だ。

 しかし、頭から突っ込んだゴジラの身体はそのまま海底の更に先、地下世界へと消えていった。

 

 『重力変動を感知!ゴジラが飛び込みました!』

 『馬鹿な!?未発見のポータルだと!?』

 『特定条件下、ゴジラがエネルギーを注いだ事で起動したのだと思われます。現在、ゆっくりとですが反応は縮小しています。どうしますか?』

 『・・・AT部隊、全機突入!穴が閉じる前に駆け込めぇ!ムーブムーブ!』

 

 機体に比して大型のレドームを背負ったUWEVーAWACS(早期警戒管制仕様)に乗る部隊長からの言葉と同時、モゲラ3機が突貫、その遠隔操作用のUWEVも続いてポータルへと突貫する。

 後はもう我先にと接触しないギリギリの距離を保ちながら、全機が突撃していく。

 そして、その判断は間違いではなかった。

 最後の一機が突入した10秒後、ポータルは跡形も無く閉じ、周囲は再び美しい海へと戻った。

 今し方、戦士達が戦場へと赴いたとは思えないような静けさだった。

 

 『無事の帰還を祈る。』

 

 こうして人類の公式記録で初となる有人での地下世界突入及び軍事作戦が始まった。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 

  

 モナーク、そして米軍から派遣されたAT隊へと配属された彼らは選りすぐりの精鋭だった。

 しかし、そんな彼らであっても完全に未体験の事態となれば、例え厳しい訓練と事前知識があったとしても動揺するのは人として当然だった。

 

 『う、お、お、お、お、お!?』

 『なん、だ、これ・・・!』

 『全員、掴まれ!逸れるなぁ・・・!』

 

 凄まじいGが全員に襲いかかる中、しかし視界に映る光景は余りにも幻想的で、美しかった。

 光の無い筈の暗黒の空間を、しかしまるで彗星の様に色取り取りの光が流れていく。

 まるでSF映画の超光速のワープにも似た、しかしそれよりも遙かに美しい光景だった。

 が、全身に掛かる未体験の重圧と振動、視界のブレがそれを堪能させてくれない。

 そして此処を抜けた所で、待っているのは重力反転現象による揚力の喪失からの墜落死だ。

 だからこそ既存の航空力学に頼らない反重力推進器が必要だった。

 それらをブレイクスルーでぶち抜いたDr.サカヨリら天才達の支援の下、彼らは今、人類の公式記録上初めて地下世界へと乗り込もうとしていた。

 

 『ぜ、前方、光が見えます・・・!』

 『総員、出口だ!!エンジン再始動の準備ぃ!!』

 

 そして彼らは暗黒の地下通路から、遂に地下世界へと到達した。

 

 『すげぇ・・・。』

 『ここが、地下世界か・・・。』

 

 遠方の大地から上空に向かってそびえ立つエメラルド色の超巨大な結晶体から放たれる光によって照らされた地下世界は、正しく別世界だった。

 上下に大地が存在し、その間に雲と空、飛行可能な生物が飛び交う。

 地上には豊かな森が広がり、水量豊富な川がゴウゴウと流れている。

 動物こそ見慣れぬものばかりだが、植物はどれも地上の原生林と然程変わらない植生に見える。

 そして、眼下と頭上には巨大な石英で作られたピラミッドが3対存在していた。

 ここが地下世界、救援を出した地下世界人の人里近くの領域だった。

 

 『え、エンジン停止!再始動します!』

 『周辺の重力、二方向にあります!』

 『モゲラ全機操作復帰!着陸態勢に入ります!』

 

 そして、地上世界の人類は初めて地下世界へと降り立った。

 

 『全部隊、状況報告!』

 『全機、シグナル確認。若干興奮が見られますが、隊員の生体反応も基準値内です。』

 『よし、問題がある者は直ぐに報告せよ!周辺の索敵急げ!例の猿共が何時仕掛けてくるか分からん!情報にあった現地の反抗勢力との合流を目指す!』

 

 そして、彼らが移動を開始しようとした瞬間、暴風を引き連れてそれは現れた。

 

 GYUYYYYYYYYYYYYYYYY!!

 

 黒い甲殻と翼、黄の棘と角、そして赤い複眼と翼の模様。

 如何にも凶悪そうな面構えをした巨大な蛾の怪獣である。

 

 『隊長、こいつは!?』

 『撃つな!先制は不味い!集合して全周警戒!』

 『し、周辺に熱反応多数!大型怪獣です!』

 

 警告と同時、周囲の地面や山肌、崖の上にギリースーツの様なもので偽装していたグレートエイプ達が姿を現す。

 その数、実に20体近く。

 しかも全ての個体が棍棒や石や骨製の武器を構えているし、腰に巻いたベルトには投擲用の岩が入った網がぶら下がっている。

 更に言えば、全員が二人一組で常に互いをカバーできる位置取りをしている。

 明らかに今まで地上に出てきた怪獣達とは異なる、明確な知性と連携、戦術を有した迎撃のための陣形だった。

 これでは如何にAT部隊が人員・装備両面で精鋭と言えども、完全な窮地だった。

 

 『隊長、攻撃の許可を!』

 『駄目です!絶対に駄目!今撃ったらどの道死にます!それに虫系の怪獣は反抗勢力側です!』

 『じゃぁなんでこいつらはオレ達を囲んでるんだ!?』

 『誰だって自分らの警戒ラインの裏側に知らん奴が出てきたら警戒するでしょうが!』

 『・・・それもそうだな。』

 『各員、武器をしまえ。格納して敵意が無い事をアピールしろ。他人の庭先に入ったのはこっちが先だ。』

 

 隊長の言葉にAT部隊各員は渋々と武器を下げ、敵意が無い事を示す。

 それにグレートエイプ達も戸惑った様に顔を見合わせ、動きを止める。

 黒い蛾怪獣も最初の咆吼と暴風以外は上空を旋回するだけで、攻撃の気配は無い。

 え、こっからどうすんの?と双方が悩む中、答えは別の場所から入った。

 

 CYUYYYYYYYYYY!!

 GYAWOOOOOOOON!!

 

 ビリビリと地下空間に響き渡るのは、二種の王の咆吼だ。

 上空からは光り輝くもう一体の蛾怪獣モスラが、地上からは先に地下に降りていたのだろうゴジラが姿を現した。

 その二体が姿を現したと同時、対スカーキング連合側のグレートエイプ達は完全に戦意を消し、構えを解いた。

 AT部隊の方にもまた、たどたどしいが彼らに分かる言葉が脳裏に走る事で戸惑いと共に力を抜いた。

 

 ぶきを おいて ください

 わたしが あなたたちを よびました

 わたしは もすら

 ちかのじょおうの ひとり です

 

 彼らAT部隊もまた、体内にミトコンドリアを持つ地上の生物の一つだ。

 つまり、モスラ達が行ったテレパシーを受け取るだけの素地はある。

 今回はゴジラに向けてではなく、目の前の彼らにだけ範囲や出力を絞ってテレパシーを行う事で円滑なコミュニケーションを図っているのだ。

 

 かれは ごじら

 かいじゅうたちの おう

 ちじょうの まもりて です

 

 追加されたその言葉に、事態を見守っていたゴジラが顰めっ面をした様に見えた者がいたが・・・今までのイメージから自分の見間違いだと思って見なかった事にした。

 こうして紆余曲折の果て、何とか対スカーキング連合と地上のAT部隊、そしてゴジラが一堂に会する事となったのだった。

 

 言うまでも無いが、この後も面倒事は続くものとする。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 同じ頃、南極の穴から地下世界に降りたゴジラ、G0を除けば最大の巨体を持つG1はとある場所に来ていた。

 嘗てグレートエイプの一部が群れを作っていた場所であり、現在は放棄された草木の殆どない荒野だ。

 しかし、ここはこの地下世界でも最も重要な場所の一つでもある。

 嘗て二度目のギドラ襲来の際、ゴジラの分体の一つが撃破された。

 その遺体は長らく放置されていたのだが、現在はここの山の中の洞窟へと運び込まれ、今は放置されている事は僅かな反応から知っていた。

 G1は空洞となった山の内部、嘗ては彼らの宮殿だった場所へと入る。

 そこにある巨大なグレートエイプの像や道具類の痕跡、そして地面に埋め込む様に設置された分体の遺骨と背鰭を加工して作られた斧を見つめる。

 ここは地球の核そのものと最も近い場所の一つであり、地球の核の持つエネルギーを汲み上げる事の出来る井戸でもあった。

 とは言え、汲み上げたそれを利用する事は普通は出来ない。

 唯一つの例外として、その機能を持っているゴジラの体組織を利用する以外は。

 ここに運び込まれた分体の遺体だが、その特性を見抜いた当時の地下世界の人類がグレートエイプ達に頼み込んで運び込んでもらい、武器の素材及びエネルギーの補給装置として加工された。

 地面に埋め込まれた遺骨を用いて地球の核エネルギーを汲み出し、斧へと貯蓄する。

 そして、多量のエネルギーを貯め込んだ斧は内部に貯め込んだエネルギーが続く限りは強力な攻撃にも防御にも使用できる。

 ここを根城にしていたグレートエイプ達は嘸かし繁栄した事だろう。

 だが、ここにはもう誰もいない。

 元々火山が近く、植物も碌に育たない場所だ。

 多少生き物がいるが、ここまで繁栄しただろうグレートエイプ達の腹を満たす程の獲物は到底獲れないだろう。

 そして明らかに同族同士で争い合っただろう骨の痕跡から、答えは分かっていた。

 群れの拡大による食糧不足、そこからの内乱による滅亡。

 それがこの地のグレートエイプ達が滅んだ理由だった。

 そこまで思考が及んだ所で、G1はフンと鼻を鳴らした後、埋め込まれた骨へと近づき・・・

 

 GYAWOOOOOOOOOOOOON!!

 

 咆吼と共に、熱線で周囲を焼き払い始めた。

 自身の遺骸と地球の核エネルギー。

 この二つの扱いを間違えれば極めて危険な代物を誰の手にも渡さないように処分する。

 スカーキングが真に地下世界の覇権を握ってしまった場合、何れはこの地も見つかってしまう。

 そうなる前に地上の人類にも発見される前に焼き尽くす事がG1がここに来た目的だった。

 元々、G0を除けば最大のG1が態々この土地に最も近い南極の穴に配置されていたのも、こうして地球の核エネルギーが悪用された際に迅速に対応するためでもあった。

 これにより、多少参陣が遅れる可能性も出てきたが、幸いにもモスラ達の所には既にG5がおり、更にG2も間もなく到着する見込みだ。

 少なくともG1が到着するまでの時間稼ぎはシーモ相手にも可能だろう。

 後は出たとこ勝負だが・・・まぁ良いか。

 G1はそう判断すると一際強力な熱線を吐いてから、その場を後にするのだった。

 

 




取られて危ないものは先んじて処理するという当然な行動
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