白亜紀からこんにちわ   作:VISP

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その20 開戦

 モスラとゴジラの仲裁によりイーウィス族の里へと受け入れられたAT部隊だったが、当然ながらその後もまた面倒だった。

 

 だって誰もイーウィス族の言語含む文化とか知らないのである!

 そして同じ位、イーウィス族他もまた地上の人類の会話方法とか文化とか知らないのである!

 

 何か怪獣と共生している地下世界の原住民と何かデケー金属の塊に乗ってる地上の連中が、何故か共通の敵がいるから倒そーぜ!と集まった寄せ集め集団が今の彼らであった。

 必然、戦略目標とその達成のための戦術目標の統一、お互いの戦力や出来る事出来ない事の確認、敵勢力迎撃のための配置等々・・・戦うに当たって確認しておかねばならない事が大量にあるのに会話すら出来ねーのだった。

 これで連携が出来るとか夢でも見てらっしゃる???

 そこで付いてきたモナーク所属文化人類学者が何とか両者の仲介をすべく間に立った。

 彼の必死な様子からどうやら敵意は無いと分かったのか、イーウィス族側の一人が彼にそっと指先を向け、反応を伺う。

 それを見たAT部隊の面々は(あれ、これアレじゃね?)(○Tだ・・・)(E○だね・・・)と思いつつ、文化人類学者がそっと自らの人差し指を触れ合わせた。

 

 すると、彼の脳裏に多くの情報が流れ込んだ。

 

 余りの体験に意識が飛び掛けるも、何とか彼はそれを堪えて踏ん張った。

 しかしそれも一瞬で、直ぐに比較的単純な言葉やイメージが伝えられる様になると、交流は一気に進んだ。

 先ず、イーウィス族を始めとした対スカーキング連合は防衛は可能だが、元々寄り合い所帯であるために逆侵攻は難しい。

 これは指揮系統の問題でもあり、解決は難しい。

 出来て追撃程度であり、しかしどれだけ相手の数を減らしても、スカーキングという偽りの王がいる限り、侵攻が止まる事は無い。

 それを止めるためにはシーモに守られたスカーキングを討たねばならない。

 相手の最大戦力である古の冷凍怪獣シーモは極めて強力だが、スカーキングの結晶構造体でできたナイフの放つ波長によって無理矢理従わされている。  

 よって、スカーキング撃破のために、先ずはシーモと300にも及ぶ手下のグレートエイプの妨害をどうにかしつつ、操っている結晶構造体を破壊せねばならない。

 

 「厳しいな。数もそうだが、聞く限りスカーキングは年を経た老獪かつ残虐な個体と推測される。自陣営の欠点も把握してるなら、警戒心も強いだろうな。」

 

 目標達成のための壁は三つある。

 1、手下のグレートエイプ達

 単純に数が多いのでこちら側が圧殺されかねない。

 2、スカーキング自身

 老獪かつ残虐、そして戦闘経験豊富なので下手な戦力では返り討ちも有り得る。

 3、シーモ

 圧 倒 的 強 者。

 こいつが本気で暴れたら、ゴジラを除いた対スカーキング連合はそれだけで瓦解所か壊滅する。

 幸いにも本来は温厚で嫌々従っているため、速攻で終わらせる事が出来れば大丈夫だろうが、それをさせてくれる相手ではない。

 ・・・・・・・・・無理では?

 

 「イーウィス族曰く、ゴジラならシーモを止められるとの事です。後、モスラとバトラは卵から幼虫として復活するとの事なので最悪使い捨てて構わないと。」

 「お、おう。凄まじい生態だな・・・。」

 

 幸いと言うべきか、こちらに向けて合流すべく向かっているゴジラ、G1とG2の二体が合流すれば、確実にシーモを抑え込みつつ、スカーキングを撃滅可能らしい。

 それだけの力がゴジラ達にはある訳だ。

 だが、それは合流しないとゴジラ並の戦闘力を誇るシーモとガチで戦わねばならないという事でもあった。

 

 「幸いと言うべきか、連中は対空射撃の概念はあるが、飛べる奴は一体もいないという事だな。」

 

 対してこちらはモスラにバトラ、メガロという大型怪獣ながら飛行可能な怪獣が3体、更にUWEVがAWACS(早期警戒管制仕様)含めて20機もいし、スーパーモゲラとモゲラ2機は短時間ながらも空中機動を可能としている。

 戦術的機動性は明らかにこちらが上だ。

 

 「加えて、地形的にここは閉所だ。連中が全ての戦力を展開するには狭い。」

 

 グレートエイプ達が100もいれば鮨詰めになる様な場所がイーウィス族の住まう里だ。

 他にも拠点はあるが、ここが最大かつ最も重要な場所でもある。

 迂回ルートも無く、行き止まりなため、大軍の強みを押し付ける事は難しい。

 しかし、それは逃げ場が無い事と同義でもある。

 

 「えぇっと、イーウィス族が言うには、あの巨大な石英をぶつける事で強力な衝撃波と一時的に広大な無重力空間を展開できるそうです。つまり、僅かですが連中が無重力に慣れる前に隙が出来ます。」

 「そんな事も出来るのか?・・・使えるな。タイミングさえ合えば行けるかもしれん。」

 

 グレートエイプ達には特殊能力は無い。

 それはつまり、無重力空間では推進力を自ら生み出せない事を意味する。

 勿論、浮かぶ瓦礫や大岩なんかを足場にしたり、物を投げる反作用等で動く事は出来るが、それでも元々飛べる連中からすれば大したものではない。

 

 「シーモはゴジラに任せ、他の面々でスカーキングに対する斬首戦術を行うしか手はありません。」

 「そうだな。幸い、我々の存在はまだ知られてはいまい。ゴジラは兎も角、奴にとって我々は何をしてくるか分からん未知の存在だ。そこを利用するしかあるまい。」

 

 隊長が立てた戦術に、その場にいる面々はマジかよ・・・という顔と面白そうという顔に別れ、準備が進められる事となった。

 こうして世界初となる地下と地上の人類と怪獣達による共同作戦が実施されるのだった。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 一方、スカーキングは上機嫌だった。

 対スカーキング連合が成立して以来、遅々として各地への侵略が進まず、その苛立ちを配下へとぶつけて憂さ晴らしをする日々だった。

 しかし最近、遂にその状況を打破するモノを手に入れた。

 

 あのシーモを支配できる結晶構造体こそ、スカーキングの上機嫌の理由だった。

 

 発見は配下の知識奴隷こと何処ぞの群れの中にいた人間だった。

 お陰で随分と自分に逆らう愚か者を始末できた。

 特に水辺で屯していた連中はその水ごと氷付けにして随分と綺麗になったものだが、ちと寒すぎるのも考えものだな、とも思うが。

 原作と違い、スカーキングらの拠点は不毛の火山地帯ではなく、緑溢れる山林地帯だが、そこは今やすっかり禿げ山と化している。

 基本的に超重量の怪獣達が多数かつ長期間一定の場所に生活すると、当然ながら地面は踏み固められ、とてもではないが植物の自生できる環境では無くなる。

 例外は地面を耕す様な習性を持っていたり、植物を活性化させる能力を持っていたり、体重が怪獣としては極端に軽かったり、そもそも地上で暮らしていない水棲系の怪獣だった。

 そして、グレートエイプ達の巨体と数を維持するためには、安定して大量の食料を確保する必要があった。

 しかし、そんな手段は存在しない。

 狩猟や略奪では限度があるし、多数のグレートエイプの胃袋を満たす食料生産能力を持った文明はこの地下世界には存在しない。

 故にグレートエイプ達の巨大な群れはこれまでも存在したが、その多くが食糧難によって瓦解した。

 スカーキング達の群れは戦争によって支配下に置いた他の群れを奴隷として労働力にし、時にはそのまま食料にする事で飢えを凌ぎ、拡大してきた。

 だが、それも限界が見えてきた。

 狩猟対象の怪獣が乱獲と地上への逃走で減ってしまった事もあるが、それ以上に厄介な問題だった。

 

 スカーキング達の行動を知った他の群れや数少ないヒト族の文明が連合を組み、対抗してきたのだ。

 

 これにより、今までの様な急拡大も奴隷と食料の確保も出来なくなった。

 このままでは干上がるか群れの内側から反乱でも起きて立ち行かなくなる。

 そんな状況を打破するための力がシーモだった。

 自らの王の号令に従わないのは癪だが、これ程の強者を奴隷同然に使えるのは気分が良い。

 そしてつい先日、漸く対スカーキング連合の最大拠点の位置を割り出す事に成功した。

 見つけた連中の一部を態と死なない程度に痛めつけてから逃がしたのだ。

 結果、周囲の景色に擬態した幕とそこに入っていく痛めつけられた連中の事を聞き、スカーキングは勝利を確信した。

 故にこそ、群れの戦える配下を全て引き連れ、嫌がるシーモに跨がりながら、スカーキングは出陣した。

 これから起こる戦い、その後に控える略奪と虐殺の愉悦に笑みを浮かべながら。

 だが、スカーキングには幾つかの誤算があった。

 一つ、モスラが地上の盟友を応援として呼んだ事。

 二つ、その呼び声が地上の多くに届き、別の者達も応援に駆け付けた事。

 三つ、そもそも怪獣王の存在を知らなかった事。

 スカーキングはグレートエイプとしては年配、年嵩の個体だ。

 しかし、彼が生まれたのは白亜紀の大量絶滅以降の事で、更に当然だが地下世界から外に出た事は無かった。

 宇宙から飛来した偽りの王は勿論、この星を守る真の王の威容を知らずに生きてきた。

 それらを知る者からすれば、スカーキングの行動は無謀か自殺志願にしか見えない事だろう。

 事実、モスラは何度も警告を送ったが、しかし一度として受け入れられた事は無かった。

 

 GUOOOOOOOOOOW!!

 

 スカーキングの命令により、シーモが冷凍ブレスを放つ。

 軽く薙ぎ払われたそれはあっさりとモスラの張った擬態用の幕を凍て付かせ、砕き、内部に隠されていたイーウィスの里を暴いた。

 そのまま一気に制圧すべく、再びシーモがより高出力の冷凍ブレスを放った時、それは起きた。

 

 シーモの冷凍ブレスと正面からぶつかり合う様に、赤紫色の熱線が放たれたのだ。

 

 シーモの冷凍ブレスと赤紫色の熱線は互いに押し合い、その中間地点で炸裂した。

 周囲に熱線と冷気の余波を撒き散らしながら、予想外の出来事にスカーキングの群れは動揺する。

 そしてスカーキングの視線は余波で巻き上がった粉塵の向こうから現れる影を目敏く捕らえ、その影の正体を知るシーモは身体を強ばらせた。

 

 GYAWOOOOOOOOOOOON!!

 

 山が如き巨体、ケロイドと鱗が合わさった様な黒い外皮、連なる剣の様な赤紫の背鰭と棘、それらを支える強靱な両脚と尾。

 そう、彼こそが真の王、この星の生態系の頂点にして守護者、怪獣王ゴジラである。

 その真なる王の咆吼に、スカーキングの群れは身を竦ませた。

 彼らは本能的に理解したのだ。

 自分達とは生物として、戦う者としての格が違う強者であると。

 

 GUOOOOOOOOOOW!!

 

 しかし、相手の実力をある程度推察しながら、スカーキングは止まらなかった。

 焦るシーモに構わず、配下の群れ共々突撃を命じた。

 この時、スカーキングは勿論、その配下とシーモの意識は完全にゴジラ、G4へと固定された。

 それは誤りだった。

 ゴジラの背後、イーウィス族の里にある重力制御装置たる上下に作られた石英製の三連ピラミッドの固定が外され、今にも落下して衝突しそうになっていたのだから。

 スカーキングらに触発された様に、ゴジラもまた突撃を敢行、走り出す。

 狙うはシーモ一択、それ以外は雑魚であると断じて、彼は自分の役割に徹する事にしている。

 そして双方の衝突の瞬間、遂に三連ピラミッドが衝突した。

 独特な破砕音と衝突の衝撃波が地下世界に広がる。

 同時、周辺に無重力空間が広がり、全ての重さがゼロになった。

 この時、ゴジラと正面衝突したシーモは兎も角、前傾姿勢で走るゴジラに一撃を与えるべく飛び上がっていたスカーキングはそのまま明後日の方向へと飛ばされ、勢いづいていた配下のグレートエイプ達は止まる事も出来ず、多少減速したもののそのまま斜め上へと飛んでいってしまった。

 彼らの前方向とはつまり、イーウィスの里の方向である。

 そこには敢えて杭の先に結んだ縄で地面と自分を結んだ対スカーキング連合側のグレートエイプ達27体、そして空を自在に飛行可能なバトラとモスラ、メガロにスラスターによる空中機動が可能なスーパーモゲラとモゲラ×2、そして20機ものUWEVが待ち構えていた。

 

 『全員、予定通りだ!奴らが無重力に慣れる前に狩り尽くせ!』

 『数を減らすのが最優先だ!シーモはゴジラが相手をする!撃ちまくれ!』

 

 こうして、突然の無重力に慣れる事も出来ず、スカーキング配下のグレートエイプ達は対スカーキング連合のグレートエイプ達の対空攻撃、そして飛行可能戦力による攻撃を諸に受ける事となったのだった。

 

 

 




イーウィス族がテレパシーを使えなければ、ここまでの連携は出来ませんでした。

戦術の基本は自分の強みを押し付け、相手の強みを活かせないようにする。
結果、無重力で溺れてる敵を飛行戦力で刈り取って数を減らそう。
残った面倒なネームド戦力は数で囲んで棒で叩く。
ヘイトタンク担当は一番強くて頑丈なゴジラが担当で。

・・・やっといて何だが普通にこのまま勝てそうだな、犠牲は兎も角として。
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