月人とは、嘗て白亜紀後期の時代に肉体を捨て去り、精神のみとなった超能力者達の末裔である。
地球と宇宙双方の怪獣による大災害を経て、それらによる絶滅を避けるために肉体を捨て、地球から月へと移住したのが彼らだった。
彼らは肉体を捨て去ってもなお強力な超能力を活かして月へと移住した後、月の表面は敢えてそのままにその中身を長い年月をかけてまるっと特殊な構造体へと作り替え、そこを住処とした。
と言っても、それは地下世界の様な閉鎖した完全循環型社会ではない。
肉体を失った彼らのためだけの電子空間とも言うべきものだった。
例え侵略した所で実体としてあるのは巨大な計算機、要はサーバーのみで、生物も無ければ資源としても限られたそこは、侵略するには余りにも旨味の無い場所だった。
それでいてやたら頑丈であり、大気の無い月表面に幾度も隕石が衝突したものの内部構造には全く損傷が発生しない程の耐久性を誇る。
クラッキング等を仕掛けようにもその筋一億年以上の月人の本拠地である。
その電子的防衛の充実ぶりたるや、凄まじいの一言だ。
ただ、肉体を捨てた事もあり、肉体由来の快楽・娯楽といったものがまっっっっっっっっったく発展しておらず、寧ろ肉体に縛られた者達の宿痾、即ち無駄として敬遠している。
肉体的限界が存在しない事から寿命も存在せず、そのため世代交代が物凄くゆっくりであり、2050年代現代でも肉体を捨てた当時の世代が生きている程だ。
と言っても、寿命が存在しない訳ではないし、新しい月人が誕生しない訳でもない。
肉体を捨て、暗黒の宇宙に浮かぶ生命の存在しない極端に変化の少ない月での生活は割り振られた仕事以外にする事がまっっっっっっっっったく存在しなかった。
そんな生活なので、月人の寿命とは仕事漬けのある日、唐突に前触れもなくひっそりと消える事を指す。
つまり、精神的刺激の無い生活を余りに長く過ごした事が原因とした自己消失なのだ。
これを解決しようという意見もあったが、唯でさえ肉体由来の寿命の存在しない月人の世代交代が更に遅くなる事、具体的には何をすれば良いのか分からない事もあり、棚上げになっている。
そんな良くも悪くも極端に変化の少ない暮らしを1億年近くしていた月人達だったが、しかし、そんな生活はある日唐突にぶち壊される事となる。
かぐやによる月脱走事件である。
当時から一番若い世代ながらも優れたプログラマーだったかぐやだが、ある日唐突に「つまんねー!」と発狂、もしもの時に地球上で活動するための個人向け汎用タケノコ型宇宙船を奪取して地球へと逃亡したのだ。
後は本編を見ていただきたい。(2026年5月24日時点で興行収入25億6614万2900円、観客動員128万3651人とかスゲェ!!)
頭を抱える最高権力者の姫様他一同だったが、これを切っ掛けに超久々に地上の情勢を調べていく内に洒落にならん事態が発覚した。
かぐやと彩葉を中心に回る因果、輪廻の存在が判明したのだ。
しかも、前の輪廻から来たかぐやことヤチヨがあの地上を治める黒い王の実質的な巫女の立場に収まっているおまけ付きで。
感情の希薄な月人が思わず仰天する事態であった。
この事態に対し、月人達はその処理能力をフルに活かして議論を重ねに重ねた結果、これを利用する方向で纏まった。
何せ一度輪廻が確定すれば、月人の安寧8000年分がその時点で確定するからだ。
更に言えば、かぐやを連れ戻す事が出来れば、今後も黒い王が月に手出しする心配が無くなる。
黒い王、その存在は月人達にとっては数少ない懸念事項だった。
何せ単体で月のあらゆる防衛機構を無視して、月そのものを破壊可能な存在である。
そんな事が可能な存在を他に知らない月人にとって、黒い王ことゴジラG0の存在は数少ない懸念事項だった。
とは言え、彼の王が動くような愚かな行いを月人は先ずやらないため、これまではあくまで懸念事項で済まされていた。
そのため、事を荒立てないように現ヤチヨ前かぐやの開いたイベントに乗る形で現かぐやを連れ戻したのだ。
これには黒い王も納得したのか、一切邪魔は成されずに今も現かぐやは月で仕事中だ。
まぁ、仕事しながら引き継ぎ用の二代目かぐやを作りながらだが、その辺は予定通りなので問題は無い。
真の問題は別にあった。
204×年代末、ある日唐突に月の総人口の1割が離反したのだ。
原因は判明している。
突如月の電子空間内に「出現」したオブジェクトを調査した者達が次々と活動を停止した。
原因を究明しようにも患者は何も反応を返さず、新たにオブジェクトを観測した者達は同様の症状を発症するだけだった。
更に発症して活動停止状態だった月人達が突如周囲の月人へととある画像データ(例のオブジェクトかと思われる)を閲覧させた所、閲覧させられた月人にも同様の症状が発生し、更に被害が拡大した。
これに対し、月の上層部は対象を「認識」する事で発症する新手のウイルス、ミーム災害であると判断、速やかにオブジェクトと感染者周辺を電子的に隔離、更にサーバーを物理的にも隔離する事でこれ以上の被害拡大を防いだ。
勿論だがかぐやも無事である。
現在は件のオブジェクトに対抗するための研究を進めているが、下手に対象を認識してしまうと感染してしまう事から遅々として進んでいない。
そんな中、感染者達は次の行動に出た。
何と地上へと積極的に介入、一部の国家で独自勢力を設立させ、周辺地域を騒乱状態に陥れたのだ。
月人はこの事態に対し、必死の妨害工作を図るものの、生憎と地上の人々の心理に疎い彼らでは技術力はあっても上手く行かず、ミーム汚染を警戒した事もあって簡単な情報収集しか出来なかった。
しかもあろう事か、隔離区画が物理的に月内部を移動し始めたのだ。
人体で言うならばガンを切除すべく麻酔を掛けていたら、いきなり寄生生物として独立、別の場所へ移動したに等しい事態だった。
しかも移動先は地上から直接観測も手出しも極端にし辛い月の裏側だった。
この事態に月人は思わず頭を抱えた。
これは明らかに病気や自然現象ではなく、人為的な侵略行為であり、間違いなく地球を標的とした、現地上文明と黒い王を警戒した動きだった。
しかもつい最近、地下世界でやらかした巨大猿の種族が黒い王によって壊滅させられたばかりだ。
あの人類にダダ甘な王によって自分達がこの隔離区画ごとそうならない保証は無い。
ここに来てかぐやという命綱が機能した事に安堵しつつ、彼らは真剣にどう行動するべきか考えた。
結果、最早事態は自分達でどうにかできるラインを超えていると判断した。
ならばどうするべきか?
簡単だ、助けを求めるしかない。
しかし、その対象が問題だった。
人類国家・・・×
絶賛汚染された月人と一部地上人により混乱中で取り合ってくれそうにない。
王以外の怪獣・・・×
テレパシー能力は月人にも確かに残っているが、傷ありの偽王の件もあって下手に接触すると王の怒りを買いかねない。
その上、地上での活動を制限されている。
王・・・×
論外。
事情を説明すれば理解してくださるかも知れないが、万が一月人丸ごと殲滅を決定されたら死ぬ。
女王達・・・△
事情を説明すれば理解してくださるし、いきなり殲滅される事も無い。
ただし、地上世界への干渉力は極端に低いので、最終的には黒い王へ盥回しされる可能性が高い。
こうなると、残ったのは最後の選択肢しか無かった。
「で、うちに来たと?」
『■■■■■』
黒い王の巫女達へと話を持っていこう。
そうすれば最後には王の力を借りれるかも知れないし、こちらの意思を間違う事なく伝達できる。
かつてかぐやがやった方法のより進んだもの(最初から大人の肉体)で酒寄ロボ研の近所へとやってきた月人はさらっと現地人に偽装(粗品のお月見団子付き)して正面から堂々と訪問してきた(ちゃんとアポ取り済み)。
アポ有りとは言え余りの事態にびっくらこいたいろPだが、ヤチヨによる検査と監視の下という条件を付けた上で取り敢えず話を聞く事にした。
結果、ドギツいお話を叩き込まれて顔半分を掌で覆い隠し、俯きながら深く深く溜息を吐く彩葉だった。
「かぐや、これ有り得る話?」
「信じられないけど・・・態々こっちに来てるって事は本当かも?としか言えないね。」
KGY型全身義体にはいったヤチヨもといかぐやの返答に、彩葉は悩んだ。
月人の存在とかぐやとヤチヨの裏事情を知っている人物は極僅かだ。
当事者である彩葉とかぐや/ヤチヨ、そして当時からの友人二人と黒鬼の三人、そしてヤチヨの友人達と米国歴代大統領と日本の歴代総理大臣と宮内庁とそこの主位である。
後者お三方の内前二つは戦後から数ある引き継ぎ事項として伝えられ、最後の御方とその従者の方々は遙か昔からの重要な伝達事項として伝えられている。
どこに持ち込んでも厄介事にしかならねぇ、けど今直ぐやらんと最悪の事態になる事は分かり切っている。
「取り敢えず、幾つか偉い人達には伝手があるから、そこで対応してくれそうな所に伝えておく。私が出来るのはそれ位だからね?」
『■■■■■』
床の上に礼儀正しく正座していた灯籠頭の従者型月人は彩葉の言葉に恭しく感謝を伝えた。
こうして、地球の一番偉い方々の下へと月人の窮状が伝えられる事となり、更なる難題が増えた事を突きつけられるのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・
彩葉の行動は迅速だった。
先ずホワイトハウスとのホットライン(何故か自宅と研究所にある。なんで???)を用いてプレジデントに事の次第を簡単に説明&分かってる限りの詳細情報を送付した上で、今度はモナーク北米本部へと赴いた。
勿論だが移動は大慌てで準備してくれた政府要人用超音速旅客機with最新仕様のF-22一個飛行隊を用いてである。
最近、自宅は勿論酒寄ロボ研までテロの標的になってるので仕方ない。
米国と日本の政府首脳のメンタルをどん底に叩き落としつつ、いろPはモナーク北米本部にてとある人物と面談する。
「すみませんラッセル博士。お忙しい所に失礼しますね。」
「いいのよ別に。世界のDr.サカヨリからの面談ですもの。」
お相手はエマ・ラッセル博士。
モナーク所属の純古生物学者であり、夫のマーク・ラッセル(こちらは動物学者)共々優秀な研究員として知られている。
「オルカ、ありますよね?」
「・・・何処で聞きました?あぁ結構、Dr.サカヨリなら言うまでもないわね。」
オルカ。
それは怪獣の音声を記録し、再現する音響発生装置の事だ。
ラッセル夫妻が開発した装置で、元々は大学院のプロジェクトで座礁しかねないクジラを沿岸から離れさせ、保護するために作られた。
怪獣災害に悩まされる北米政府がモナークに依頼する形で対怪獣プロジェクトとして発足、研究されていた。
怪獣を含む様々な生物の音声データが納められており、対象の音声データを照合、そこから対象を誘因又は倦厭する音声を発生する事でその行動を誘導(将来的には操作)しようとした野心的プロジェクトだった。
また、複数の音声を合成して別の音声を作る事も可能だった。
モナーク内部でもその危険性から秘匿性の高いプロジェクトだったが、幾度かの実験の末に「ゴジラの怒りを買いかねない」として計画は凍結、無期限延期となっていた。
その成果物としてゴジラの他怪獣に対する「地底への移動命令」を再現した音声データがあり、現在は地下世界へのポータルで毎日一度必ず放送されている。
これにより怪獣災害は減少の一途を辿っているのだが、エマ・ラッセル博士はこれに満足せず、個人で細々と進めていたのだ。
のだが、モスラによる広域テレパシー爆撃事件により「態々音声で会話するよりもテレパシーの方が良くね?」というご意見によって研究費は更に減額し、今はもう趣味の領域と化していた。
「ちょっとゴジラとお話しなくちゃいけなくなったんで、イーウィス族とそのテレパシー関連研究の人達と一緒にお時間頂きたいなと思いまして。」
「ちょっと待って????」
いきなりぶち込まれたお話に、優秀な研究者のエマでも理解が及ばなかった。
以前から大体ファンキーな女性だったが、流石に今回は常軌を逸している。いつもの事?それはそう
「ちょっと最近テレパシー出す装置作ってたんですけど、翻訳の精度も出力も何もかもが足りないんで、オルカとテレパシー使える人達に手伝ってもらって、ゴジラにこちらの言葉を届けようという計画でして。」
「・・・・・・・・・あぁ、うん、取り敢えず言うけど、何を伝えるつもりなのかしら?」
「あー確かに必要ですね、それは。」
大体だが言わんとする所は分かったので、目的だけは聞いておかねばならないとエマは色々脇に置いといて尋ねた。
その問いに、彩葉はちょっと悩みながら、エマにとって完全に予想外の珍回答を出してきた。
「ちょっと嫁の実家が困ってるらしいんで、助けてくれないかなって。」
この言葉でエマは事態が完全に己の理解を超えている事だけは明確に理解した。
この一ヶ月後、モナークと酒寄ロボ研、そしてイーウィスの民による初の合同プロジェクト、即ちゴジラとのコミュニケーションが行われる事となった。
地下世界での実施を予定するこの実験には、何と今まで決して現場に出させてもらえなかったDr.サカヨリ及びAIにより駆動するYT型全身義体も参加するという異例尽くしのものだった。
だが、ゴジラとの平和的コンタクトという前代未聞ながらも今後を考えれば絶対に必要な試みだった。
機材の設計やプログラムの構築にイーウィス族との交渉の傍ら、日本政府と米国政府と身内の説得に四苦八苦しながら、Dr.サカヨリは何とか参加権を捥ぎ取るのだった。
見て!いろP達が幸せそうに配信してるよ!かわいいね!
↓
皆が争っているせいでいろPが全力でハッピーエンドのために動き出しました
強制的に世界中が巻き込まれます
繧ョ繝峨Λちゃんのせいです あーあ