白亜紀からこんにちわ   作:VISP

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宇宙編
その31 落ち穂拾い


 対ゴジラ兵器群と分体達が戦う中、G0は中東に入った時点で移動速度を上昇、同時に赤熱状態へと移行した。

 

 その体表温度たるや1万度にも達し、G0が歩いた場所を中心に金属や鉱物含むあらゆる物質が気化しプラズマ状態へと突入、その範囲外では大火災が発生、油田も都市もオアシスも何もかもが燃え上がり、溶け落ち、蒸発し、そうでなくとも炭化していった。

 事前にゴジラ達が中東へ向けて移動している事を察知した多国籍軍や外交関係者、邦人には避難命令が出されたものの、既に洗脳によって手遅れとなっていた者もおり、動きの早い軍関係者を除いた多くがそのまま中東で炭も残さず消え去った。

 そのG0の歩みを少しでも遅らせるため、洗脳された中東の軍部隊の他、正規軍ではないテロリストや民兵、更には武器を持っただけの民間人が老若男女問わずゾンビが如く押し寄せた。

 だが、無意味だった。

 彼らにはゴジラの電磁バリアを破る術は勿論、指揮系統も戦術も無かった。

 ただただ命じられるままに侵攻するゴジラへと攻撃し、僅かな足止めも出来ぬまま、寧ろゴジラの前に立つ事すら出来ず燃え尽きていった。

 戦車、攻撃ヘリ、戦闘機、砲台に民間乗用車に武装をポン付けしたテクニカル。

 あらゆる兵器が持ち出され、何の効果もなく、何の意味もなく死に絶えていった。

 熱線の発射は殆どせずに済んだ。

 放射能熱線を都市部等の人口密集地、即ち洗脳された者達が多くいる場所に叩き込む以外は歩くだけで良かった。

 同時に、G0は安堵していた。

 洗脳アプリという最悪の劇毒がこれ以上広まる前に駆逐できた事を。

 ネット上にそれが拡散しかけた時、G0は即座に対応、同時にこの手の専門家であるヤチヨに通報し、洗脳された月人による洗脳アプリの世界中への拡散はギリギリの所で防ぐ事が出来た。

 しかし、直接月人が降り立った中東はどうしようもなかった。

 元々反欧米感情の盛んな場所だった事もあり、モナーク経由の警告も意味を成さなかった。

 遂には政府中枢すら乗っ取られ、実質的な最高権力者達すら金を出す事で命を長らえている状況で、尚且つ王へと刃を向け、地球の生態系そのものへの裏切り行為を働いた。

 洗脳であっても、脅迫であっても、最早関係無い。

 これ以上の汚染と被害を防ぐため、全てを焼き尽くすだけだ。

 中東全てが紅蓮に燃え上がる中、対ゴジラ兵器群が順調に撃破された所でG0はお目当てのお宝へと侵攻方向を変えた。

 

 そう、月人と復讐者らの最大の拠点、対ゴジラ兵器を建造した秘密施設にである。

 

 ここはナノメタル製造設備も含め、現在の地球上で最大最高峰の技術を持つ場所だ。(ちょっと分野違いで規模で劣るのが酒寄ロボ研)

 放置しておけば、再び対ゴジラ兵器群を量産して戦いを挑んでくるだろう。

 それは見過ごせない。

 場所はペルシャ湾に面するザグロス山脈、その最高峰であるザルド山周辺の地下だ。

 この山脈はイラン西部から南部、イラク国境にかけて連なる全長約1500kmの巨大な山脈だ。

 ユーラシアプレートとアラビアプレートの衝突によって形成され、独特の褶曲地形が広がっており、山間部には急峻な谷や美しい自然が残されている

 そしてザルド山は標高4548mの最高峰であり、ペルシア語で「黄色い山」を意味し、その名の通り特有の黄色みを帯びた岩肌や美しい景観が特徴だ。

 また、イランで最も水量が豊かで旅客船が航行可能な唯一の河川であるカールーン川の源流となる程に豊富な水源でもあり、真夏でも溶けない天然の氷が存在する「氷の洞窟」など、手つかずの豊かな大自然が残されている場所だ。

 嘗ては多くの遊牧民が夏の間の放牧地としてこの山を利用し、何代にも渡って利用してきた伝統的な場所であったが・・・今はもうその面影は消えていた。

 先ず生物の気配が無い。

 野生動物は勿論、人影一つさえ無くなっていた。

 ここがナノメタル製造設備兼対ゴジラ兵器開発・運用拠点となったのも、その豊富な水源故だ。

 原子力発電と水源は原子炉の冷却上切っても切れない関係にある。

 それが核融合や核分裂だろうとも変わらず、故に多くの原子力発電所は海に面した場所にある。

 しかし、ここは軍事施設であるが故に秘匿性と耐久性を優先し、現地への悪影響は一切無視されて山脈内部が巨大な要塞と化している。

 しかも多量の放射線が放たれ、日々出入りする多数の人間は入るばかりで出て行く事は無い。

 現地の住民は全てナノメタル製造のための素材とされ、野生動物は本能的に危険を察知して逃げ去った。

 残った植物類は水源確保のために伐採される事こそ無かったが、漏れ出す高濃度の放射線に一部が既に立ち枯れている。

 そんな既に死んだ山脈に、G0は来た。

 もう取り繕う事は無いと、山脈の各部から隠れていた砲台類が展開、多数のミサイルやレールガン、レーザー砲や中性子砲が放たれ、G0の巨体へと命中していく。

 G0はそれを回避しない。

 する必要が無かったから、ただ紅蓮に身を染め上げながら歩み続ける。

 放たれる砲弾はナノメタル製のそれであり、周辺には粒子状のナノメタルが散布されている。

 だが、止まらない。

 G0の持つ圧倒的強固な外皮と灼熱と化したその身体にはナノメタルの砲弾はほぼ刺さらず、僅かに通ったそれは即座に高熱により融解していく。

 

 GYAWOOOOOOOOOOO!

 

 G0が咆吼と共に、大地を踏みつける。

 その瞬間、山脈全域を包む程の超広範囲・超大出力の電磁パルスが放たれた。

 直後、要塞はその全機能を停止、全てが沈黙した。

 そこからのG0の行動は意外なものだった。

 なんと、山脈を下へと向けて掘り出したのだ。

 その巨体の持つ圧倒的パワーにより、人類なら円柱型のドリルマシーンを用いて数年掛けで行う掘削工事をものの数分で終わらせると、G0は目当てのものを見つけた。

 

 要塞の全機能を統括・管制する量子CPUである。

 

 月人達の設計したそれはナノメタルを除けば現地で手に入る素材を用いて作られており、量子CPUという地球上では規格外の性能を持つ演算器だろうと、外部への介入手段が無い今は単なる置物に過ぎない。

 配線や追加された装置を爪先でそっと取り除き、最奥にあった繭や蛹、筍や花の蕾みにも似たそれを後で人類に回収させて有効利用させるべきだが・・・その前に掃除をしておかねばならない。

 

 何せこの中には地上に降りた月人共が入っているのだ。

 

 要はかぐやのタケノコ型宇宙船と同じなのだ。

 サイズと収容人数、演算能力の差があれど、基本的な機能は同じだ。

 つまり、これは今も電子生命体状態の洗脳された月人達が入っているのだ。

 こいつらが地上でナノマシン製の肉体を用いて各所に介入、洗脳アプリや対ゴジラ兵器などの開発と生産を担当したのだ。

 現在は基地施設と一体化し、量子CPUとして活用していた。

 だが、現在はG0に眼前へとその本体を露わにされてしまった。

 肉体から脱却したばかりの精神生命体ならいざ知らず、既に電子生命体として最適化して久しい月人は本体である演算機を壊せばそこで終わるだけの脆弱な存在だ。

 そのため、もし内部が巨大な演算機である月が破壊された場合、月人も滅び去る。

 電子生命体らしく自己のコピーやバックアップも可能だが、月以外の場所にそれをするには一度その場に赴く必要がある。

 話が反れたが、要は目の前に無防備な洗脳済みの月人が宿る演算機が存在しているという事だ。

 これはとても貴重なサンプルだった。

 一体どうやって意思薄弱と言えど精神体だけの月人に干渉し、洗脳したのか?

 また、それを解除する事は出来ないのか?

 或いは干渉しやすさから洗脳の上書きや人格ごと洗脳を削除する事は不可能なのか?

 少し弄っただけで死ぬ脆弱な地球人類ではできなさそうな実験でも、肉体が無い電子生命体なら幾らでもリカバリーが利く。

 

 何せバックアップもコピーもし放題な事はあのヤチヨが証明している。

 

 勿論処理能力上の限界はあるだろうが、実験し、検証を重ねるには十分だ。

 自身の庇護下にはない侵略者の尖兵にかける情け等存在しないG0にとって、目の前の量子演算機に宿る月人達は実験室のマウスと同じ実験機材に過ぎなかった。

 その後、G0がそこを離れたのは明け方になってからだった。

 それまでの間、量子演算機の中で一体何が起こっていたのかを知る者は誰もいない。

 後日、モナーク及び在外米軍が現地に駆け付けた際、データは超高出力の電磁パルスに晒されたせいか綺麗さっぱりと消え去っていたという。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 後日、急遽開催された緊急国連会議にて(中東諸国と中国は欠席)

 

 「約半年後、地球に彗星群が飛来します。へドラ事件と同様に、恐らくそれが宇宙からの侵略者が来る合図です。」

 

 開催早々、議題は「宇宙からの侵略に如何に対処するか、また今から何が出来るのか」というものだった。

 欧米諸国に日本を始めとした先進国は既に何年も前から国民全員を収容可能な大深度地下シェルターの建設を国内各地で行っており、現在も突貫工事が続いている。

 既に工事の終わったシェルターの区画は稼働を開始、食料生産や酸素・水等の循環を開始し、本番に向けた試験を続けている。

 軍事面においては核保有国の多くはICBM、大陸間弾道ミサイルを始めとした核ミサイル類の照準を地上の仮想敵国等ではなく、宇宙から来る飛翔体に命中させられるよう改良を続けている。

 他にも地対空ミサイルの射程・威力の増強に各種弾薬や兵器の増産など、対人類では過剰とまで言える軍備を進めていた。

 最早どの国も出血過剰大サービスだが、やらないと滅ぶしやっても滅ぶかも知れないのならここで破産覚悟で頑張って万が一でも生き残れる可能性が増えるかもしれないと全力を尽くしていた。

 また、米国の軍需産業各企業はここに来てモゲラとスーパーモゲラのライセンス生産を全面的に許可、希望する企業や国家には技術者を派遣して指導すら行う事を表明した。

 米国もこれを大いに歓迎し、自国で採用済みのスーパーモゲラとモゲラのアップデートキットの販売すら許可した。

 AT部隊は増強した規模を更に増強、モゲラの配備数は予備含めて12機だったのが倍の24機へ、スーパーモゲラの配備数は予備含めて4機から8機へと倍加した。

 おまけに内部構造や各追加装備はスカーキング事件のそれよりも更新され、反応速度を中心に総合して10%近い性能向上を実現している。

 通常兵器のミサイルや砲弾類も対大型怪獣向けの高威力・高貫通力のものをラインを全力で回して生産中であり、自国のみならず他国にもドンドン売却している。

 各国も呆れる程に大量に武器弾薬を購入・生産して備蓄しており、関連企業はウハウハの好景気となっていた。

 勿論、これが一瞬のものであると誰もが理解していたが。

 

 「射程距離に入り次第、各国の核ミサイルで先制攻撃は良い。しかしタイミングはどうする?ゴジラの熱線、それもへドラ事件以上のものが放たれた場合、人工衛星も巻き込まれ、精密照準どころか諸共撃墜される可能性がある。」

 「命中して高高度核爆発が起きた場合、地球全土に電磁パルスが撒き散らされる可能性があります。そうなっては敵の着陸後の戦闘で大いに支障が出るかと。」

 

 実に悩ましい課題だった。

 人類が持てる最大火力たる核弾頭での飽和攻撃をした場合、それはこちらにも電磁パルスとして跳ね返ってくる。

 地上に落ちてからの飽和核攻撃は深刻な放射能汚染を地上に広げる事となり、生き残れた後に問題となるだろう。

 まぁ地上ならばゴジラ他怪獣達に放射線を吸収してもらうという手も無い訳ではないが。

 

 「Dr.サカヨリらによるゴジラとの接触実験をもう一度行う事でゴジラとの共同戦線は出来ないのですか?」

 「難航している様です。ゴジラが先の戦闘でのダメージから一時的に休眠状態に入っているらしく、こちらからの通信に応じてくれないそうです。G1も地下世界の奥地に移動して接触できていません。」

 「何て事だ・・・。」

 

 誰もが絶望に包まれかけていた。

 あの地球の頂点、生態系の覇者、怪獣王ゴジラが警告した宇宙からの侵略者。

 単なる大型怪獣にすら苦戦してきた人類でも出来る事はある筈だと努力してきたつもりだ。

 全地球規模の破滅的事態に一致団結して対応するためにこうして集まったというのに、人類は余りにも無力だと改めて突き付けられてしまった。

 挙げ句の果てに神頼みならぬ王頼みすら出来ないとあっては、関係者の絶望は益々深くなるばかりだった。

 

 「失礼・・・・・・なに!?」

 

 不意に米国大使の元へと部下が走り寄り、何事かを耳打ちした。

 

 「えー皆さん、緊急のお知らせです。Dr.サカヨリがやってくれました。例の洗脳されたルナリアン達の使用した対怪獣兵器ですが、中東の拠点をある程度調査・復旧した結果、生産の目処が立ったとの事です。」

 「「「「「「「「「はぁッ!?」」」」」」」」」

 

 この時こそ超かぐや姫!の超担当こといろPがハッピーエンドに向けて全力を出し始めた事が世界に知られた瞬間だった。

 

 

 

 

 




次回、いろP無双

ハッピーエンドに向けて、駆け抜けろ彩葉!
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