白亜紀からこんにちわ   作:VISP

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次のゴジフェスでモンスターX=カイザーギドラの出演が内定しているそうな
出来ればそっちを見てから出したかったのですが、残念ながら11月との事なので執筆続行します


その37 開幕

 遂にギドラ率いる宇宙怪獣軍団の地球圏への到達が確認された。

 同時に月の影に隠れる形で飛来していた巨大彗星とその周囲を固める隕石群は月の引力を利用したスイングバイのために減速した。

 如何に重力や引力に干渉可能だろうとも、エネルギー節約の観点から月を利用したスイングバイを行う事はへドラ事件の経緯から予測済みだった。

 

 『侵略者諸君、ようこそ地球圏へ。歓迎しよう、盛大にな。』

 

 狙い通り減速した宇宙怪獣軍団とその予測進路目掛けて、前日の内に発射され、誘導と再点火を待っていたICBM群が起床と共に襲いかかった。

 その数、実に約1万5000発である。

 とは言え、その半数近くが最新のものではなく、数増しのために旧式の原爆も含めてのものだ。

 更に言えば戦略核弾頭と戦術核弾頭も合わせた数なので、一発毎の威力には大きく隔たりがある。

 また、大気圏内ではない核爆発では大気を押しのける事で発生する衝撃波が無い分その威力が大きく減衰するため、そこまでやっても撃破できるかは未知数だった。

 余談だが、どっかの命知らずが「Dr.サカヨリなら核弾頭量産レシピとか知らないかな?」と聞きに行った所、「ご家庭で揃えられる材料でできるワクワク核実験教えてあげるね」とDr.サカヨリ(徹夜三日目)に言われかけたため、この件に関するあらゆる記録と記憶がヤチヨとFUSHIによって消去された事があったりする。

 それはさておき、数が数である。

 如何に宇宙怪獣軍団が放射線に耐性があり、また高い防御力と生命力を持っていようとも無傷では済まない。

 確かに無傷ではなかった。

 なかったが、予想よりも遙かに与えられたダメージは少なかった。

 

 第一波核攻撃以降、ほぼ全てのICBMが迎撃されたのだ。

 

 最初の第一波攻撃で10近い隕石群が木っ端微塵になったのだが、それを見た他の隕石は全て外殻をパージ、中身を晒して迎撃行動に移行したのだ。

 背中に三枚の赤い背鰭、空色の外皮に金の鱗、両手と長い尾の先端にある鋼色の鎌、突き出た鶏冠に赤いバイザー状の感覚器官。

 その名をガイガン・ミレース。

 地球から遙か数万光年の彼方に存在したX星人がギドラの生体組織を利用して作り出したサイボーグ怪獣である。

 その額にある赤いクリスタル状の器官から放たれるレーザー砲は威力こそそこまで高くないものの、極めて高精度であり、飛来する超音速のICBM群を全て迎撃するだけの性能を備えていた。

 10減ったと言えど未だ190近いガイガン・ミレースにより、続いた第二波・第三波の熱核飽和攻撃は全て迎撃され、成果を上げる事は無かった。

 邪魔が入ったが、これ以上は何も無いと判断したのか、ガイガン・ミレース達は元のコースへと戻り、地球を目指すべく宇宙を飛翔していく。

 その光景を月人の観測機器を通して見ていた地球の軍関係者は頭を抱えた。

 今見た光景だけでも、ガイガン達の性能が大型怪獣の中でもかなりの上澄みであると察するには余りあるものだったからだ。

 先ず推進剤無しでの宇宙航行能力=重力推進能力を持ち、更に飛来するICBM群を精密に迎撃できるだけの感知能力とレーザー攻撃能力を持っている事が分かる。

 これに加えて、両手の見た目通りに高い近接戦闘能力まで持っている事が推察される。

 大気圏内での飛行も可能だとすると、大型怪獣の中でも対抗可能なのは別格のゴジラ、地下の女王たるモスラとバトラを除くと、これまた別格のシーモと汎用性に長けるメガロ位しかいない。

 グレイトエイプ?武器ありならいけるかもだけど投石で落ちてくれそうな手合いじゃないだろアレ。

 対空迎撃又は飛行が可能な怪獣でなくば勝負の土台にしか上がれない。

 しかもちらっと見た宇宙空間での機動性・運動性だけでも既存の戦闘機のそれを上回るものを持っている。

 もうこの時点で真面目に用意してきた日米欧州の先進国以外は一方的に蹂躙されるしかない。

 軍関係者がその脅威度に顔を引き攣らせる中、遂にその時が来た。

 

 ゴジラ達の熱線照射が開始されたのだ。

 

 一ヶ月近くに渡りチャージされたゴジラ達のエネルギーを存分に投じた熱線の威力たるや、地上人類の熱核兵器のそれを遙かに超えたものだった。

 先ず、一射目に放たれたそれが先行してスイングバイを行ったガイガン・ミレースに命中、次々と蒸発させた。

 そして二射目、同じくスイングバイを行った後に乱数回避機動を取りながら散開するガイガン・ミレースに対し、無数の熱線が回避先全てを潰すように薙ぎ払われた事で多数が撃破された。

 だが、第三射目は大きく結果が異なった。

 

 遂にスイングバイを終えて地球落着コースを取った巨大彗星へと熱線が放たれたものの、その手前で不可視の障壁へと衝突、10秒近い照射を受けながら全てを防ぎきったのだ。

 

 『対象の周辺にて重力変動を感知。重力障壁かと思われます。』

 『熱光学兵器ではなく、質量兵器による攻撃を推奨します。』

 

 冷静に状況を管制する月人達だが、彼らもまた次の第四射には度肝を抜かれる事となる。

 今行われた三度の照射は全てG2~G7が2体ずつ行ったものだ。

 単体で行うものよりも2体が熱線を収束する事でその威力・射程・貫通力を大きく向上させているが・・・それらは全てG0単体の熱線に遠く及ばない。

 巨大彗星が月の影から出てきた今、遂にG0の出番がやってきた。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 全てが焼き払われた死の大地と化した中東にて、全高約300mもの巨体が真っ直ぐ天へと向いていた。

 遂に来るべき時が来たのだと彼、この星の頂点たるG0は分かっていた。

 勝っても負けても、この星は大きく変革する事になる。

 終わりか、巣立ちか。

 どちらかは分からないが、それでもこの星の王として、否、一つの命として戦い抜く事を決めていた。

 

 さて、やるか

 

 準備はずっと前からしていた。

 今はその成果をただ全力で出すだけだ。

 力士の四股踏みの様に右の剛脚を大地へと突き刺すように固定し、次いで左脚もそれに倣う。

 最後に全長の半分を閉める強靱な尾を大地へと叩き付けるようにして固定する。

 そして、体内のあらゆる器官と共生する極限環境微生物群へと一つの命令を下した。

 

 全力を絞り出せ

 

 ゴジラの体内には原子炉、正確には「熱核エネルギー変換生体器官」と呼ばれる生体システムがある。

 体内に取り込んだ物質の元素を細胞膜を通して任意の元素へと変換するものであり、水素や窒素などの陽子数の少ない元素から生存に必要な元素を生成、更にその際の崩壊熱をもエネルギー源として利用する。

 いわば生成される元素を任意で選べる核融合炉であり、水や空気さえあればどこであっても栄養素とエネルギーを生み出し生存が可能だ。

 今回は更に生成される元素にウランを選択、これを用いて核分裂の連鎖反応を行う事で更に出力を向上させる。

 そして、一ヶ月間貯めに貯めたエネルギーも用いて、ただ一撃に注ぎ込む。

 勿論、この後の激戦も予想して、全てを使い果たす訳ではないが、月サイズの天体すら粉砕可能なエネルギー出力となるだろう。

 そんなものを放てばG0も排出される余剰分のエネルギーで身体が損傷するが、生憎とタフさと再生能力はこの星で最も高いという自負が彼にはある。

 要はHPと自動回復で耐えきれるのだ。

 既に発射準備の時点で周辺に撒き散らされる廃熱と電磁波により、気温が100度近くまで上昇し、電磁パルスが発生している。

 だが構わない。

 ただの一射で終わらせるには、こうでもしないと無理なのだから。

 

 穿て

 

 そして、遂にG0の全力の荷電粒子ビームが放たれた。

 巨大な光の柱の様なそれが向かう目標は月の影から全貌を露わにした巨大彗星だ。

 周囲のガイガン達なぞおまけ・・・所か意識すらしていない。

 本命一つに狙いを絞り、ただ全力で照射する。

 

 来たか

 

 その一撃を、しかし皇帝は予見していた。

 荷電粒子ビームの第三射を防ぎ切った皇帝、カイザーギドラだったが、その知覚能力と知性、そして永い戦いの経験から本命の次が来る事を予見していたのだ。

 故に、当初のプランである巨大彗星を地表に叩き付けて速攻で片付ける作戦を即座に破却、全力で嫌な悪寒がする方向へとスイングバイによる方向転換で彗星を向かわせる。

 直後、G0の全力の荷電粒子ビームが巨大彗星へと放たれた。

 カイザーギドラは空かさず先程と同じように重力障壁を展開、ビームの無効化を図った。

 だが、出来ない。

 攻撃の性質上通常の重力障壁で対処できる筈なのに、放たれ続けているエネルギー総量が先程よりも遙かに大きいが故に無効化しきれないのだ。

 このままでは障壁を突破され、彗星は砕け散るだろう。

 数値にすれば桁が二つは違うだろう圧倒的出力にカイザーギドラは驚愕し、戦慄し・・・しかし、同時に歓喜した。

 

 まだこの宇宙にこれ程の強者がいたのか!

 

 飽くなき闘争への歓喜。

 生まれながらの強者たるギドラ族、その中でも永く生き過ぎた故に敵がおらず、ただ弱者を蹂躙して糧を得るだけの日々。

 とても、とてもつまらなかった。

 不死のマグマ状生命体を見つけて甚振った時も、弄くり回された同族と戦った時も、無数の星々の生命を食らい尽くした時も、とてもつまらなかった。

 だが、手慰みの軍団を率いるようになった今頃になって、圧倒的強者が自分の前に現れた。

 二度も同族を倒して生き延びた星の王。

 飽くなき闘争への期待のまま、皇帝は重力障壁を本来の形に戻した。

 即ち、彗星全体を覆うのではなく、あくまで自分の周囲のみを覆う形に。

 これにより余分な消費も消え、この熱線の中であっても自分だけはより高出力となった重力障壁によって守られる。

 残った軍団はその多くが消えるだろうが・・・別に構うまい。

 同族とペットは自分の背後、熱線には影となる位置にいるから問題も無い。

 所詮は手慰みで得た雑兵に過ぎない。

 最終的に自分さえ立っていれば良いのだ。

 最後に軍団へとこの星各所の生命を根絶やしにせよと号令を下し、カイザーギドラは巨大彗星を纏ったまま、熱線の放たれている大元、即ち中東へと突き進むのだった。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 『巨大彗星、崩壊しながらなおも進行中!予想落下先は中東です!』

 「来たわね遂に。」

 

 現在、Dr.サカヨリとお付きの二人は北米の大深度シェルターの一つにある米軍の総司令部にいた。

 現大統領や国防長官達、モナーク最高責任者の芹沢博士なども同席しており、ここから北米に展開する全ての米軍へと司令を出すのだ。

 勿論、前線指揮所はまた別にあるのだが。

 現在の米軍はアフリカや中東、中南米に派遣していた部隊を全て引き上げ、その多くを北米に、次に日本、その次に欧州への駐留軍へと再配置している。

 これだけやってもまだ不安が過ぎるのだが、こうでもしないととても宇宙からの侵略者相手に対抗できそうにないのだから仕方ない。

 戦後の米国への信用失墜?

 後の事は先ず生き残ってから考えようか!

 そんなノリで動いている米国は現在、遂に迎撃可能距離へと入ってきた侵略者相手に対空ミサイル群による迎撃を開始した所だった。

 

 「Dr.サカヨリ、どう見るかね?」

 「今はまだ何とも言えませんわ大統領。でも、確かな事が一つだけあります。」

 

 普段の自信満々な様子を見せず、ただ真剣に問うてくる大統領に対し、酒寄博士はにっこりと笑みを返した。

 

 「この戦い、勝てねば我々は滅びます。」

 

 斯くして、へドラ事件の様な場当たり的な対応ではなく、人類史上初の宇宙からの侵略者に対する迎撃作戦が幕を上げた。

 

 

 

 

 

 




現時点で判明しているギドラ軍団内訳

指揮官 カイザーギドラ
次席 ???
第三席 ???
第四席 ???
第五席 ガイガン・ミレース

第二回の様に彗星・隕石の迎撃に失敗した場合、地上人類の文明崩壊により「BAD END 次の周回にご期待ください」になってました
ですが二度も同じ失敗をする程ゴジラ主はお馬鹿ではないのでした
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