白亜紀からこんにちわ   作:VISP

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その39 USA!USA! 前編

 

 欧州が割と勝ち確な中、一方のモナーク本部やDr.サカヨリらも滞在中の米国ではどうなっているかと言うと・・・一進一退と言うべき状態だった。

 現在のアメリカに布陣している戦力は人類側で最も充実していると言っても過言ではない。

 G2とG7の2体のゴジラにメカゴジラ×1、メカゴジラⅡ×15、スーパーモゲラ×20、量産型モゲラ×50、そして無数のUWAVと通常兵器群から成る。

 なお、歩兵ではどう足掻いても囮やレーザー照準の補助位しか出来ないので戦力としてカウントされていない。

 対して宇宙怪獣軍団側はというとガイガン・レクス×1、ガイガン・ミレース×50、そして・・・

 

 KYIIIIIIIIIIIII!!

 

 ギドラである。

 黄金の鱗、三つの龍の首、一対の翼と一体化した腕、二股の尾とそれらを支える強靱な2本脚。

 全高200mを超える巨体を持ち、引力光線と重力障壁、飛行能力を始めとした多彩な能力を持った宇宙怪獣ギドラ族の典型的な個体だ。

 更に言えば、この個体はカイザーギドラに忠誠を誓っており、皇帝の命令に絶対服従で単独での逃亡など絶対にしないという事が他の同種の個体との違いだろうか。

 

 GYAWOOOOOOOOOOOON!!

 

 対するG2は同種の中では三番手、G0とG1を除けば地上最大最強のゴジラであり、全高160mの巨体を持つ。

 その能力は最早言うまでも無く、宇宙怪獣の中でも特に強力かつ自身よりも巨体のギドラに対し、ほぼ互角の戦いを演じていた。

 

 KYUAAA!

 GYAWOOOOOOO!

 

 そして、G7はガイガン・レクスを前衛に8体のガイガン・ミレースが支援する事で抑え込まれており、その動きを封じ込まれていた。

 これらを除き残った宇宙怪獣側の戦力はガイガン・ミレース×42のみであり、この戦力比ならば米軍の方が上ではないのかと思うだろう。

 しかし、現在米軍が今まで揃えてきた通常兵器、特に戦闘機はギドラの持つ天候操作能力によって発生した巨大ハリケーンによってその動きを封じられていた。

 軽装の歩兵では下手すると空に飛ばされそうな程の暴風雨の中では、如何に最新仕様の軍用航空機であろうとも危険が勝った。

 大型航空母艦アルゴにしても制空権が確保できていないこの状況で迂闊に戦域に飛ばせば撃墜のリスクが跳ね上がるため、容易に出す事は出来ない。

 幸いにしてUWAVは十分に戦闘機動を取る事は出来るが、記録的ハリケーンの中ではやはり制限されてしまう。

 これに対し、ガイガン達は全てF-35を超えるレベルの飛行能力を持っている上、高精度・高威力のレーザー砲を有している。

 メカゴジラⅡよりも性能は低いものの、数の差もあって制空権は宇宙怪獣側に傾いていた。

 戦況としてはほぼ互角、そんな状況が続いていた。

 時間が経てば、性能に劣るUWAVが徐徐に落とされていく事を考えれば、時間は米軍に利する事は無い。

 ゴジラ達が負けるとは考えられないが、現在展開中の米軍は壊滅する事が視野に入る状況だった。

 そんな時、状況が動いた。

 

 ガイガン・レクス率いるミレース達に拘束されていたG7、その放射線量と熱量が急激に上昇した。

 

 理由は簡単、欧州での戦いが大凡決着が着いたからだ。

 それによりG3とG6により他の分体へとエネルギー供給が開始されたのだ。

 結果、ギリギリの所で均衡を保っていたガイガン達とG7の戦いは一気にその天秤が傾いた。

 G7の体表が赤熱し、その直後に全方位へと超高温のエネルギー波が発せられる。

 へドラ事件で一躍有名となった超高熱波攻撃により、接近していたガイガン・ミレース4体が一瞬にして融解・蒸発・爆散して撃破される。

 距離を取っていたミレースと辛うじて退避の間に合ったレクスは増援を呼び寄せ、空中に飛び上がり、距離を保って時間を稼ごうとした。

 しかし無意味、否、悪手だった。

 G7の背中を中心に電磁パルスが収束していく。

 通常の荷電粒子ビームではない、合計8カ所もの収束点が発生し、それを見たレクスは咄嗟に前腕の鎌を盾の様に正面へと構えた。

 

 瞬間、8条もの荷電粒子ビームが米国の空を焼いた。

 

 それぞれが照射しながらも角度を変え、更にそれを放っているゴジラも背中の向きを変えて照準を調整する。

 8条の荷電粒子の帯を用いた斬撃に等しい対空砲撃により、今まで空を我が物顔で飛んでいたガイガン達多数が被弾した。

 直撃した個体は熱線により溶断され爆散し、軽傷の個体も空中から叩き落とされ、飛行能力を始め多くの機能を喪失した。

 その数、何と15体にも及んだ。

 そしていきなり総数が三分の一近くまで減らされたとあれば、その連携には修復不可能な程の大きな穴が開く。

 例えガイガン・レクスが高性能な戦術指揮能力を持っていても、ここまでやられてはもう押し返す事は出来ない。

 その当のレクスとて両腕の鎌で熱線の防御に成功したものの熱によって変形してしまい、蛇腹剣として展開する事は不可能になっている。

 ゴジラの手と尾の届かないギリギリの距離で近接戦をしていたレクスにとって、これ以上の近接戦闘は相手の間合いに踏み込む事を意味する。

 そして、当然ながらゴジラの方がパワーと耐久性双方で勝る。

 リーチと速さで勝るガイガン・レクスだったが、流石にこの状況で前に出る事のリスクは余りにも大きかった。

 敗北、全滅の可能性が急激に高まった事をガイガン・レクスの量子CPUが告げ、降伏の選択肢を提示するも無視して戦闘を続行する。

 もしこの場を降伏する事で生き延びても、あの皇帝が負ける可能性は限りなく0だ。

 二度の降伏をあの皇帝が許す訳もなく、どの道自分は死亡するだろうとレクスは判じた。

 そして生存のための唯一の可能性、即ちこの場での最大戦力たるギドラの勝利を援護すべく、一転して圧倒的不利になった状況でガイガン・レクスは手負いの状態で果敢にG7へと斬りかかった。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 一方その頃、同じく北米で激戦を繰り広げていたG2とギドラの戦いだが・・・当初は圧倒していたギドラだったが、徐徐に徐徐に圧され始めていた。

 

 なんだ、こいつはなんだ!?

 

 ギドラの脳内では戦闘のための思考とは別に、目の前の存在に対する疑問と驚愕で満ちていた。

 このギドラは嘗てX星人に敗れ、屈辱的な改造を施されてそれなりの期間を隷属して過ごしていた。

 故に油断も慢心もなく、その心中には自らを解放してくれた皇帝への忠義とその敵への殺意に満ちている。

 そんなギドラをして、目の前の存在は異常極まりなかった。

 自分よりも一回り以上小柄な、辺境の星の怪獣。

 今まで幾度も捻じ伏せてきた筈の手合いだと言うのに、その存在は何処までも異質だった。

 攻撃を受けても怯まない、怒らない、恐れない。

 特殊な能力なんて熱線位しか見せてこない、なのに手強い。

 極々単純な身体能力と生命力に火力が極めて高度に纏まった上で戦いに慣れ過ぎている。

 挙動一つ一つが早く、それでいて徹頭徹尾無駄が無い。

 自分より遙かに長く、永く戦い抜いてきた古強者。

 シンプルイズベストとでもいうべき能力なのだが、ギドラは直感的に相手が幾つもの手札を伏せている事を見抜いていた。

 相手が手札を切る前に手早く仕留めねば負ける。

 故に速攻を心掛けた。

 しかし、出来ない。

 幾度も幾度も攻撃を加え、直撃を与えた。

 だと言うのに相手、G2は倒れない。

 自慢の引力光線を始め、突進に噛みつき、翼や尾での殴打、エネルギー吸収攻撃までも加えた。

 だというのに、未だ倒れない。

 それでいて、自分には徐徐に疲労とダメージが蓄積していく。

 それなりの長い時を皇帝の側に仕えてきたギドラであったが、こんな経験は初の事だった。

 そのせいか、ギドラの中には焦りが出来た。

 一刻も早く目の前のこの敵を倒し、皇帝の元へと馳せ参じねばならない。

 万が一も無いとは思うが、万が一が本当に起きてしまわないようにと。

 後知恵になるが、この焦りこそがギドラの敗因だった。

 単なる一対一ならば、ギドラは決して焦らずに詰みまで持って行っただろうし、その方がゴジラにとっては問題だった。

 しかし、焦りからより高威力の、つまり隙もエネルギー消費も大きくなってしまう攻撃を幾度も繰り返してしまった。

 対するG2は最初から持久戦を前提とした勝ち筋を持っていた。

 標準的な体型と能力のギドラとは、つまり既にゴジラにとっては二度戦った相手に過ぎないのだ。

 ギドラの持つ全てが既知の範囲であり、得意の引力光線すら既に耐性を獲得済みである。

 例え時間が掛かってもタイマンならば何れは勝てるし、そうでなくとも好機が来るまで耐えきれる。

 もしも焦った相手が迂闊な行動に出れば、その隙を突けば良い。

 幸いにして、戦闘開始からここまで目の前の仇敵の行動と性能は予測の範疇に過ぎず、それらは十分実現可能な範囲だった。

 この精神的余裕こそ、ギドラとG2の命運を分けた最大の原因だった。

 

 KYIIIIIIIIIIIII!!

 

 もう幾度となるかも分からないギドラの突撃が繰り出される。

 引力光線を放ちながら、脚と翼腕を地に着けて行われるそれは大体の強敵を屠ってきた実績を持っている。

 それに対し、G2もまた荷電粒子ビームを放って引力光線を相殺、正面から突撃を敢行、ぶつかり合う。

 衝突の瞬間、周辺の大気が全て吹き飛ばされ、一瞬だけ無音になり、次いで周囲に衝撃波が吹き荒ぶ。

 その中心で両雄は既に幾度目かになる攻防を繰り返す。

 ギドラがその三つの顎でG2の首と両手首に食らいつき、押し倒し、そのまま地を引き摺るように前進する。

 その行動に対し、G2は今まで幾度となく背面からの局所放射を用いた強引な起き上がりからのドロップキックによる反撃で対処してきた。

 しかし、今回だけは異なった。

 局所放射をする所までは同じだったが、その向きが違う。

 今までは背面からの一方向への噴射だったそれを、二方向へと変更する。

 

 具体的にはG2を中心にして回転運動を生み出す様に右正面からと左背面から局所放射を行い、グルンと勢いよく回転したのだ。

 

 これに意表を突かれたのがギドラだった。

 この戦いが始まってから数度行った反撃とは全く異なるその行動に、ギドラの反応は一瞬だが確かに遅れた。

 反撃のドロップキックを覚悟して腹部の防御へと意識を割いていたギドラだったが噛んでいた相手の身体に引き摺られ、突如として横倒しにされてしまった。

 完全に意識外からの攻撃と態勢に復帰が遅れ、噛みついていた口も離してしまい、大きな隙を生じてしまった。

 そんなものをG2が見逃す筈がなく、起き上がろうとするギドラへと馬乗りになった。

 別にここからマウントポジションだからと滅多打ちにする事は無い。

 そんな無駄な事はしない。

 ただ、必要な一撃を加えるだけである。

 

 組み付き、抑え込んだギドラが復帰する数秒間、その間に熱線の体内放射、即ち全方位攻撃を放った。

 

 KYIIIIIIIII!?

 

 至近距離かつほぼノーモーションで放たれた全方位攻撃は、しかし溜めの時間が短かった故に威力自体は大した事は無い。

 しかし、ギドラの最も脆弱な部位である翼を焼き、飛行能力を一時的に喪失させる程度の事は出来た。

 ギドラは自分の腹に乗っていたG2へと至近距離からの引力光線によって吹き飛ばして強引に復帰するも、既にその翼はズタズタだ。

 戦闘が終了するまでは回復に割くエネルギーも時間も無く、これでは目の前の敵を倒すまで皇帝の元へと馳せ参じる事は出来ない。

 自らのしくじり、そして目の前の大敵の引き出しの多さに内心で舌打ちしながら、ギドラは再び引力光線を放った。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 激戦が行われているのは何も地上だけではない。

 巨大ハリケーンの中、それでも飛行可能な数少ない戦力であるメカゴジラとメカゴジラⅡ、そして多数のUWAVは多数のガイガン・ミレースを相手に激しい制空戦闘を行い、地上からはモゲラ達による対空射撃が行われ続け、その合間に激しい陸戦が勃発している。

 だが、戦局は米軍側に傾き始めていた。

 先程のG7の対空攻撃によってガイガン・ミレースはその数を15体も減らし、現在はモゲラとメカゴジラ達の活躍もあって更に5体を撃破、残り30体といった所だ。

 対する米軍側はメカゴジラ計16機とスーパーモゲラ20機に欠損は無いものの、サイズに劣る量産型モゲラは既に半数の25機が脱落、UWAVも航空機よりマシとは言え対怪獣ロボット兵器に比べれば紙に等しいため多数が撃墜されてしまった。

 

 一手、何か決め手が足りない。

 

 状況が分かる者達の正直な意見がそれだった。

 ゴジラ達は心配はいらず、徐徐に押し返しているが、それ以外の場所では一進一退が続いている。

 これを動かすにはどうすれば良いのか・・・答えはもう分かっていた。

 

 『連中の中の赤い個体、それに通信が集中しています。間違いなくそいつが指揮官です。総司令は中東で暴れてるアイツですが、そちらはG0が抑えています。狙うなら強さよりも厄介さのある赤い個体を狙うべきです。』

 

 さらっと指揮所で観測されるデータからあっさりと敵の通信状況を解析してのけたDr.サカヨリの言葉に、米軍関係者と月人達は決断した。

 腹を括った、とも言える。

 

 『なら自分が行きます!奴は今G7に気を取られています!自分の機体ならサイズも他のメカゴジラよりも小さく目立ちません!行けます!』

 『それだけでは不安だ。我々も他の敵の陽動を行う。』

 『お前達ばかりで突出するな。それでは相手の対応が間に合った際に即座に返り討ちだ。』

 

 榊元三尉とUWAVのパイロット達の言葉に、しかし指揮所の司令官はにべもない。

 

 『・・・全体で攻勢を掛け、相手の処理能力を飽和させる。』

 『しかし、何処にそんな予備兵力が・・・?』

 『今から2分後、参戦させていなかったアルゴと戦闘機部隊を出す。通常よりも機動が制限されるが、一気に決めてみせろ。』

 『『『『『『了解!』』』』』』

 

 司令官のその言葉に、今まで歯がゆい思いをしていた戦闘機パイロット達とアルゴの乗組員が威勢良く返答する。

 巨大ハリケーンによって出撃が許可されず燻っていた彼らだが、制空戦闘が互角で硬直した現状を打破する要素には成り得た。

 

 『他の戦線への支援はこの際考えるな。勝利こそ優先しろ。』

 

 こうして、北米での戦いは後半へと移行していった。

 

 

 

 




欧州の戦力・・・G3とG6、メカゴジラⅡ×15、スーパーモゲラ×10、量産モゲラ×30、UWAV×沢山、既存兵器×沢山

米国・・・G2とG7、メカゴジラ×1、メカゴジラⅡ×15、スーパーモゲラ×20、量産型モゲラ×50、既存兵器×超沢山

日本・・・G4とG5、メカゴジラⅡ×20,スーパーモゲラ×10、量産型モゲラ×20、既存兵器×それなり
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