白亜紀からこんにちわ   作:VISP

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その42 宇宙超魔獣 中編

 レーザーもミサイルもロケット砲も歯牙にもかけず、ゴジラの熱線にすら耐えたソレが東京に降り立ち、巻き上がる粉塵の中から姿を現した時、極東防衛のために集った人類は震えた。

 見ただけで分かる、他の大型怪獣とすら別格と言える存在の威圧感。

 自衛隊とて小型が主だが対怪獣災害を生き抜いた経験を持つ、十分な訓練と経験を積んだ職業軍人相当の者達だ。

 そんな彼らがデスギドラがただそこにいるという圧だけで恐怖に凍り付いてしまった。

 撃つべきだ、撃たねばならない。

 しかし、今撃ったらアレの矛先になってしまうという死の恐怖が彼らの動きを鈍くした。

 そんな中、真っ先に動いた者がいた。

 

 『ッ、G4が敵ギドラ型に突貫!』

 『各員、攻撃開始!周囲の鎌持ちに邪魔をさせるな!』

 

 自分達の装備ではあの化け物に勝てない。

 対空迎撃を物ともしないその威容に圧倒的不利を悟った自衛隊は自分達の攻撃が通じる敵、即ちガイガン達への対処に専念する事にした。

 実際、大型怪獣相当の戦力は数の上では互角だが、飛行能力を持たないモゲラ系が主力である以上、制空権は宇宙怪獣側が持っている。

 月人のメカゴジラⅡも必死に応戦し、制空戦闘に専念しているが、やはり不利は否めない。

 上空では既存戦闘機のF-15JにFー35の最新仕様、そして制空戦闘仕様のUWAVがメカゴジラⅡに混じって必死にガイガン達と戦っているが、やはり火力と装甲が段違いであるために苦戦している。

 今現在辛うじて不利ながらも膠着状態に近い形に持って行けているのはゴジラ達が一番ヤバい敵と二番目にヤバい敵を受け持ってくれているからだ。

 デスギドラをG4が、ガイガン・レクスとミレース×8をG5が受け持つ形で戦闘し、辛うじて数的有利になっているからこそだ。

 他にも地上に配置された戦車隊や戦闘車隊に自走対空機関砲がビルの合間から射撃を加え、遠隔地に配された自走砲や榴弾砲部隊等々が時折支援砲撃を行っているが、圧倒的運動性能と飛行性能から有効打は多くない。

 徐徐に航空戦力を削られ、何れは逆転される。

 そんな最悪の展開が地下の司令部の脳裏を過るが、どうしようもない。

 救援を頼もうにも何処も精一杯戦っている状況なのだ。

 一応、地下の怪獣達はいるが人類側の要請に応えてくれるか不明だし、相手が王の号令ことαコールをしてくる関係上滅多な事で動かす事は出来ない。

 モスラとバトラは卵から復活可能とは言え、一度死ねば成虫になるまでには時間が掛かってしまうため切り時は間違えられない。

 コングやメガロでは決定打にならないし、シーモは余波で日本が滅びかねないと来た。

 これでも先の戦略級対宙攻撃で三分の一近く減らしているのにこの始末である。

 もし先制攻撃無しだったらと思うと考えたくもない。

 最低でも地上の部隊は蹂躙され、最悪は地下の大深度シェルターにも攻撃が加えられていただろう。

 それはさておき、やべぇよやべぇよ・・・と思いながら打開策が無い現状に内心で頭を抱えつつ、何とか必死に指揮を執って破綻を遠ざけようと努力を続け、前線でも必死の攻防が続く中、遂に状況が動いた。

 

 『これは・・・地震です!敵ギドラ型を中心に、地震が発生しています!』

 

 地下司令部も直ぐに気付いたそれは、最悪の状況を知らせるものだった。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 己に果敢に挑みかかってくる強敵を前にしても、死を持たないデスギドラは常に平静沈着に思考を続ける。

 戦闘で勝つだけでなく、戦略で最終的に勝つためにもこうした思考と情報収集は必須と言えた。

 こうした思考形態は激闘の中にあっても他分体と思考を共有する事で冷静かつ広範な視点を維持するゴジラ達のそれに近いとも言える。

 デスギドラはそのマグマ操作能力によって、この土地の地盤が緩い上に複数の大陸プレートの境界にある事を察知した。

 そして、地下深くに多数のマグマ溜まりや活断層がある事も把握した。

 目の前の敵は確かに強敵で、周囲の機械人形もこちらに怯まず戦闘し続けている。

 

 だが、果たして自身の依って立つ大地が激しく揺れ動いた時、戦意を保ち続けられるだろうか?

 

 幾度目かになる頭の一つを潰されながら、デスギドラはマグマ操作能力を用いて東京都地下の複数の活断層に干渉、地震を発生させた。

 一つ当たりはそこまで大きくは無い。

 精々がM5~7の中地震、震度ならば5程度だろう。

 しかし、それが複数同時に起きたとならば話は異なる。

 最終的にはM8以上震度7に到達、つまりスマトラ島沖地震 (M9.1)や東北地方太平洋沖地震 (M9.0)級のエネルギーが解放され・・・

 

 させんよ

 

 なかった。

 ギリギリの所で、G4がゴジラ達の持つ数ある能力の一つを発揮し、それを大きく軽減した。

 それでもM7、震度6弱の地震は発生、地上に展開していた部隊の殆どはホバー走行が可能なモゲラ隊を除いてまともな戦闘行動が不可能となり、空中で地震に影響されないガイガン達によって次々と撃破されるも、地下司令部や大深度シェルターへのダメージは避ける事は出来た。

 これはヤバいな、とゴジラは思う。

 強さならばカイザーギドラの方に軍配が上がるが、厄介さでは遙かにこのデスギドラの方が上だろう。

 地震や火山の噴火という古来からありながら、人類の殆どが碌に対策していない、できない天災を自在に発生させる能力。

 それを皆殺しにしたラドン種から分捕った火山を刺激し、自在に噴火させる能力を応用し、逆に沈静化させる。

 が、ゴジラ側の方がこの能力の押し合いに関しては大きく不利だった。

 何せデスギドラはその道の専門家であり、ゴジラ達はこの分野に関してはアマチュアに近い。

 氷河期を終わらせるための方法として多少修練したが、結局自分の熱と体細胞を海流に流して徐徐に進めていった方が確実だと実行して以来、ほぼ使ってこなかったのだ。

 対して相手は何千何万年か、それ以上の永い間にその能力を磨いてきた手練れだ。

 その習熟度は比較する事すら烏滸がましい程の隔たりがあった。

 それでも日本が完全に壊滅しない程度には地震を低減しているのだから、大したものだと言えた。

 だが、その代償は大きかった。

 その能力の多くを割いて無理に慣れない能力を行使したが故に、G4は戦闘に割ける思考リソースとエネルギーが大きく低減し、デスギドラに圧され始めたのだ。

 勿論、デスギドラに対し、G4は幾度もダメージを与え続けた。

 しかし、相手は幾ら生物の形を取っていても本質は死の概念の無いマグマ状存在なのだ。

 幾ら砕こうが、幾ら熱線で吹き飛ばそうが、それは見た目よりも遙かにダメージが少ない。

 寧ろマグマや炎を操る不死性自慢とくればシーモが得意とする手合いなのだが、彼女が急行するには如何せん時間が足りないし、デスギドラを凍結して封印する程の出力の凍結ブレスとなれば、氷河期とは行かずとも半氷河期が到来し、東京全域が凍結しかねない程の出力となるだろう。

 それは流石にちょっと不味い。

 具体的には何処ぞの通信爆撃娘がまーた喧しく泣いてしまうから。

 そのために、G4はマグマ弾や火炎放射は効かないからって肉弾戦に移行したデスギドラにボコボコに痛めつけられる事となった。

 他分体からのエネルギー供給と演算リソースを割けば反撃に転じる事も可能だったが、それはあくまで優勢になるだけで決定打にはならない。

 となれば、G4や現地の人間達には悪いが今暫く不利な状態で頑張ってもらうしかない。

 奥の手はあるが、迂闊に使うとヤバいと分かっているので下手に使えない。

 もう少し状況が改善するか、最早待った無しになるまではこの状況を続けるしかなかった。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 『ブルー4、残弾0!レーザーのみで対処する!』

 『パープル2、レールガン融解!使用不能!』

 『モゲラ隊、損耗率20%を超えます!』

 『敵鎌持ち5体目を撃破!次の目標に移ります!』

 

 極東戦線の状況は依然として芳しくなかった。

 地上が断続的に中小規模の地震に見舞われては、空中を飛び交う敵への対空射撃の命中率など期待できる訳がない。

 すると、命中弾を出すためにどうしてもばら撒く必要があり、必然的に弾薬の消費速度は上がっていく。

 通常の戦闘車両では尚更だ。

 結果として、モゲラ系は次々と弾切れになる機体が出始め、既存地上兵器は置物と化し、空では事実上孤立した状態で必死の戦闘が繰り広げられる事となる。

 地球側が圧され、増援の宛ては無い。

 明らかに相手を削る速度よりもこちら側の消耗が早い。

 自衛隊も在日米軍も決して弱い訳ではない。

 寧ろ訓練や装備の充実ぶりは先進国でも有数だ。

 しかし、対大型怪獣戦闘のための経験と兵器の蓄積は足りておらず、更に言えば相手が悪過ぎた。

 デスギドラという戦略級大型怪獣、それもマグマ操作能力を介して地震を発生させるという既存の人類社会では如何ともし難い能力を持った存在を相手にして、人類が出来る事は余りにも少なかった。

 とは言え、寧ろ地震に慣れた日本の自衛隊と在日米軍だからこそ、こうして何とか食らいついているとも言える。

 古い建物の多い欧州、耐震対策のしていない家屋の多い米国、何より地震に慣れてない人々が多いこちら側の戦線では最悪士気の崩壊すら有り得た。

 

 GYAWOOOOOOOO!?

 

 そんな状況を辛うじて維持していた要因の一つ、G4がデスギドラの一撃により横倒れに転倒した。

 地震発生と抑制の押し合いの中、不意を打った翼腕による打撃が決まったのだ。

 代償として頭三つ全部消し飛ばされているが、脳は事前に別の箇所に複数設置しているので何も問題は無かった。

 

 KYAOOOOOOOOO!

 

 ゾウの鳴き声に似た、しかしより重低音の鳴き声を響かせ、デスギドラがG4へと圧し掛かる。

 見た目よりも軽いゴジラ種、その中で全高140mしかないG4にとって、見た目以上の重量を誇るデスギドラにマウントを取られると容易には復帰できない。

 局所放射による推力ならば押し返しての復帰も叶うだろうが、今のG4はエネルギーと演算リソース不足により熱線を多用できない。

 幸いにも電磁バリアはそのままなのでデスギドラの攻撃は近接戦闘以外ダメージはほぼ入らないが、この重量でののしかかりとなれば必然ダメージが発生、累積していく。

 更にデスギドラは身体の一部をマグマ状に戻し、G4を拘束すべくその体表を覆い始める。

 死なないのなら拘束し、無力化すれば良い。

 不死身故に同じような奴への対処方をデスギドラは心得ていた。

 拘束されながらも、それでもG4は必死に地震の抑制に努めているため、抜け出す事は出来ない。

 対して、デスギドラは地震の威力を大きく抑制されてはいるが実質フリーとなった。

 後は未だ抵抗し続ける飛べない鉄屑を叩きのめせば、この地での勝利は確定する。

 そして、デスギドラは意外と多様な光線技を持ち、引力光線の様な応用技こそ無いが火力自体は高い。

 口内に火砕流や溶岩流をエネルギーと共にチャージし、光線として放つ「火砕流撃弾」や体内の熱量を火炎として放つ「火龍重撃波」、更に3つの首から火砕流撃弾を一斉に放ち回転を加えて増幅させて撃ち出す「三重渦撃砲」、そして三重渦撃砲の弾速と回転を更にパワーアップさせた強化技「炎龍旋風撃波」を持つ。

 更に地割れを起こし、地下のマグマを噴出させる「剛烈駆雷震」、防御やカウンター技として体の一部を爆発させる事で背中などの死角から敵を吹き飛ばすと同時に大きなダメージを与える「天怒爆突」、高熱エネルギーによる体内放射「轟砲一閃」もあったりする。とても中二病

 最大火力たる炎龍旋風撃波で地上全ての敵を薙ぎ払うべくチャージを開始し、全身から余剰熱量を立ち上らせるデスギドラ。

 その熱量たるや、ゴジラ達の放射能火炎のそれに匹敵、或いは凌駕する程だった。

 そんな戦術核級の攻撃の予兆を前にして、モゲラ達も断続的な地震とガイガンからの攻撃に手子摺る中、必死に阻止行動を取ろうとするが間に合わない。

 上空のメカゴジラⅡや戦闘機、UWAVも必死に阻止しようとするが、徐徐に削り殺される数がやや増えただけでしかなかった。

 頼みのG5もガイガン・レクスと8体ものガイガン・ミレースに抑え込まれ続け、間に合わない。

 

 そして、デスギドラの最大火力たる「炎龍旋風撃波」の一撃が放たれてしまった。

 これにより日本の首都東京は焼き尽くされ、戦乱による二度目の壊滅に遭うのだった。

 

 




【悲報】東京大炎上【106年ぶり二度目】

でも事前避難のお陰で民間人の死亡はほぼ無し&知的財産はほぼ無事
家屋は消し炭ですがスクラップ&ビルドは可能
これを期に要塞化して第二新東京市にしようぜ!
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