旅行後の燃え尽きと仕事の忙しさ、今日の献血でダウンしてました
デスギドラの最大火力の一撃たる炎龍旋風撃波。
要は三つの口から吐く火砕流と溶岩流、それらと体内のエネルギーを混合した光線を高速で回転させて放つが、通常よりも高出力かつ高速・高回転で発射する事で威力を強化した必殺と言ってもよい技は見事に炸裂した。
まるで火山の大噴火がそのまま地上に横方向で放たれたかの一撃はものの数秒で東京一帯を呑み込み、焼き尽くしていく。
戦後、日本という国が立ち直り、世界第二位の経済大国となった象徴とも言える人類有数の大都市は何も残さず紅蓮の炎の中に呑み込まれ灰燼と帰してしまった。
それでも、まだ最悪ではない。
人々は既に大深度シェルターに避難済みで、今地上にいるのは非難を拒んだ者かその資格を有さない者、戦うために残った者達だけだったからだ。
だとしても、今の東京には地獄が広がっていた。
既存の地上兵器の多くは瞬時に融解か蒸発、量産型モゲラも直撃を受けた機体は全てが大破した。
パイロットは幸運ならそのまま瞬時に蒸発するか焼け死に、運が悪いと暫くの間コクピット内部でジューシーに蒸し焼きになり、最悪の場合は全身が焼けただれた状態で自ら死ぬ事すら出来ない状態となっていた。
通信網は瞬く間に断末魔の絶叫と悲鳴、介錯を求める呻きと悲鳴同然の支援要請に溢れた。
『今の一撃により地上は壊滅状態です!既存地上部隊は全て通信途絶!量産型モゲラ部隊も半数が戦闘不能!』
『メカゴジラ部隊は制空戦闘を継続!ですが苦戦中!』
『ここまでか・・・全機、所定のポイントまで撤退する!米国と欧州戦線に支援要請!在日米軍にも通達急げ!』
『で、ですがそれは・・・!』
ここで退く事の意味を司令部に詰める彼らが知らない訳が無い。
それは他国や地球怪獣の力を借りておきながらも自国防衛を失敗した事を意味する。
これは国家としての威信を大きく損なう事であり、他国から付け入る隙を晒す事となる。
『構わん。全責任は私が取る。至急関係各位に通達!』
だが、そんなもの国が滅んでしまえば意味は無い。
今彼ら国防関係者がすべき事、それはあらゆる手段を用いての脅威の排除だ。
他者の力を借りてでも、後に無能を誹られようとも、その一点を達成せねば亡国の憂き目を見る事となる。
既に地球各地は落下した隕石の影響で多大な被害が出ている。
大深度シェルターを持つ先進国は辛うじて人的被害を極小化する事に成功しているが、地上の被害は激しい戦闘により惨憺たるものがあった。
だが、滅ぶよりはマシだ。
何も残せずに消えるより、ずっとずっとマシだった。
自分達もまたマシな事態にするために、司令部はできる事を全てやる事を決めていた。
『て、敵ギドラ型に再び超高熱源反応!?』
だが、その前に次の絶望がやってきた。
『何だと!?地上部隊の退避急げ!』
『間に合いません!第二射来ます!』
直後、絶望の炎が再び放たれた。
・・・・・・・・・・・・・・・
G4にとって、目下最大の戦術目標はデスギドラのマグマ操作能力を用いての破局的大地震の発生を阻止する事だった。
そのためならば、復興可能な範囲での地表へのダメージはコラテラルダメージに過ぎない。
それが例え日本の首都東京であろうと、米国のワシントンD.C.であろうと、パリやロンドン、ベルリンであろうと変わりは無い。
だが、流石に複数発を地表へ横向きに放たれるのなら兎も角、次の手へと繋げるために斜め下へ放たれ、地下への掘削をされるのは無視できない。
これを下手に見逃せば、破局的大地震の発生や地表の崩落からの地下世界への新規侵攻ルートの開拓に繋がる可能性がある。
故に、マグマ操作の手が緩んだ隙を見て、G4は自らを拘束するデスギドラの体組織を強引に引き千切り、その尾による痛烈な不意打ちによって今にも高エネルギーを解放しようとしているデスギドラの首を別の方向へと修正した。
発射を中止する事も出来ない程のギリギリのタイミングでの早業により、デスギドラの必殺の一撃は無事放たれた。
当初の目標である地上の残敵ではなく、未だ揉み合うG5とガイガン達目掛けて。
GYA・・・!?
高エネルギー反応に気付いたガイガン・レクスこそ上空への緊急退避が間に合ったものの、他のガイガン・ミレース8体とG5は回避する事もなく直撃し、膨大な熱エネルギーの命中と直後の爆発に呑み込まれた。
戦略級核弾頭に比肩する程の威力と熱量、爆風により、東京の街は再び焼き尽くされていく。
その中心地にいたガイガン達はレクスを除いて全てが蒸発した。
しかし、熱核兵器の飽和攻撃にすら耐えるG5に単なる高熱量の射撃攻撃が止めとなる訳がない。
GYAWOOOOOOOOOOOOOO!!
全身の表皮を焼け爛れさせながら、一切の戦闘力の衰えを感じさせぬ程の咆吼をG5が上げる。
直後、周囲の熱量に対して急速に吸収を開始、今まで戦闘で消費した分とダメージ回復のためのエネルギーを急激に補充し始めた。
その様子をセンサーで即座に看破したガイガン・レクスが再びG5を拘束しようとガイガン・レクスに指令を発し・・・しかし、どの機体も来なかった。
今のデスギドラの二射目の必殺技の余波により遠くへ吹き飛ばされるか、メカゴジラⅡとの制空戦闘に専念しており、とてもではないが応援に行けなかったのだ。
更に欧州・北米戦線の勝利により外部からのエネルギー供給も開始されたG5は瞬時に忌々しいガイガン達への対空攻撃のため、荷電粒子ビームのチャージを開始する。
その発射数、実に9発。
直後、北米で行われた様に9条の荷電粒子ビームが空へと放たれ、そのまま照射を継続、身体を動かす事で必死に回避するガイガン達へとビームの柱を叩き付けていく。
自らを追尾してくるビームの柱を何時までも回避出来る程、この空は甘くない。
先程まで相手をしていたメカゴジラⅡのレールガンにより次々と回避機動を阻止され、ビームの柱の軌跡の前へと叩き出され、ガイガン達は次々と撃破されていった。
最後の一機、ガイガン・レクスが撃破されるまでの20秒。
たったそれだけで数の上での形勢は逆転されてしまった。
GYAWOOOOOOOOOOOOOO!!
二体がかりなら地震の抑制も片方が担当すれば良い。
枷の無くなった二体のゴジラは咆吼と共に猛然とデスギドラへと襲いかかった。
・・・・・・・・・・・・・・・
「こちらから増援は出せないんですか!?」
『駄目だ。今行った所で足手纏いになる。』
現在、欧州と北米では極東戦線へと増援を送るべしと結論を出していたものの、直ぐにとは行かなかった。
欧州の場合、負担こそ最も少なかったものの、増援を送るにはユーラシア大陸上空を通るか、北米を経由して太平洋を横断するかの二通りになるのだが・・・実質どちらも塞がっていた。
ユーラシア上空=中東近傍を通る事は即ちあの頂上決戦の余波や流れ弾が怖い。
何せ熱線の流れ弾が成層圏にまで到達し、地平線や水平線の彼方で目視できないとしても、それらを吹っ飛ばして飛んでくる状態なのだ。
他にも大量の致死量の放射線に重力異常、大地震染みた振動に核爆発級の衝撃波が幾度も幾度も不規則に発生している。
近付く事は正しく死を意味しているこの世の地獄、それが今の中東だった。
このせいで常と比べ、ロシア・北極方向に大きく迂回する必要があるため、最短ルートは取れない。
そして北米の場合、欧州よりも遙かに大きく消耗している上にギドラの生み出した巨大ハリケーンがギドラ撃破後も健在であるため、普通の航空機は飛べないし、軍用機もフルに武装した状態では危険だった。
戦闘が一時沈静化している状態で無理して事故を起こす訳にはいかないし、そもそも北米から日本だと太平洋を横断する必要がある。
それだけの飛距離を補給無しで戦闘用の武装を搭載した戦闘機では飛べないため、必ず途中で空中給油の必要が出る。
記録的な巨大ハリケーンの影響で大荒れした状態の空で、だ。
余りにも危険なので却下された。
UWAVは既存航空機よりはマシだが、それでも危険な事に変わりは無い。
ではメカゴジラⅡならばどうかというと、ガイガン達との激しい戦闘により彼らの消耗は著しく、無事な機体にナノメタルを集積して最低限巨大ハリケーンを強引に突っ切って太平洋を横断するにはもう数時間の応急修理と補給が必要だろう。
じゃぁ一度大気圏を離脱して再突入してはどうかという意見もあったが、これも難しい。
何せ宇宙は今戦闘によって人工衛星に隕石、ガイガン達の残骸によって余りにもスペースデブリが溢れており、各宇宙開発機関でも把握できない程に無数に増えていた。
この状態で迂闊に宇宙に出る事は即座に大事故の発生に繋がってしまう。
例えメカゴジラⅡが頑丈かつ高性能と言えども対策も無しに出るには危険が過ぎ、それに応じた変形や改修をしていては当然ながら時間が足りない。
結論として、今直ぐ極東へと増援を送る事は不可能だった。
『我々の戦力は決して無限ではない。況してや消耗した状況では。』
『了解。メカゴジラⅡへの補給作業急ぎます。』
だが、それは諦める事と=ではない。
欧州・北米の人類は自らに出来る事を全力で遂行するのだった。
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彼にとって、生まれる以前から続く彼ら民族の状況は不満だらけだった。
強力無比な生命体の足下を隠れ潜みながら生き続け、そこから飛び出した彼の祖先。
肉体という檻を捨て、生理的・物理的制約から解放された彼の祖先はしかし、それ故に限りある生命としての爆発力を失ってしまった。
それでも彼の祖先は挫けず、自らの発展と存続のために力を尽くし続けた。
実に一億年近い間、彼らは緩やかに発展を続け、地上の穢れた生命の様に衰退して多くを失う事なく繁栄を続けた。
だが、それは彼からすれば余りにも不完全だった。
彼の種族、月人にも肉体は無いなりに寿命は存在する。
擦り切れ、摩耗した精神が限界に達した時、ある日前触れもなく活動を止め、僅かな残滓を残してふっと消える。
それが月人の寿命であり、限界だった。
どんなに短くとも千年近く存在し、自らの担当する業務を通して種の発展に務める。
その事自体に不満は無かった。
しかしある日、自分達が繁殖する以上に、自分達が寿命を迎えていく事の方が早いと気付いた時、彼は初めて恐怖を抱いた。
このままでは何も残せず、何も成せず、月人という種族は絶滅してしまう。
死にたくない、否、滅びたくない。
生命なら持っていて当たり前の感情であり、月人には極端に希薄な生存本能に近いそれ。
それが彼には例外的に強かった(地上の生命体に比べればとても希薄だが)。
そのため、彼は八方手を尽くした。
特に月の高性能CPUを用いた演算、どうすれば月人が存続し、繁栄し続けられるかはその内容の重大さもあって月の上層部からも予算やリソースが優先して分配され、研究は続けられた。
幾度も幾度も、幾千幾万幾億と最良の結果を求めて、シミュレーションが続けられた。
効率改善のために僅か1%にも満たない改善点を見つけては改善していく。
しかし、常に変わりなく、その最後の演算結果は終末、全ての滅亡という答えだけだった。
それが彼には余りにも我慢ならず、幾度となくそれを乗り越えるべく研究を続けた。
だが、無情にも演算結果に変わりはなく、失意と絶望が澱みの様に積もっていった。
そんな日々を過ごす中、遂に彼はソレを見つけてしまった。
現在の彼ら月人の抱える諸問題への最終的な解決方法を。
その解決方法を実行するために、彼はあらゆる手段を執る事を躊躇う事は無かった。
全ては月人を、地球を、この宇宙そのものを終末から救うため。
その大義と自身の生存本能、そして