白亜紀からこんにちわ   作:VISP

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間が開いて申し訳ない


その44 Q.不死の存在への対処方法

 デスギドラはその性質上、不死の存在である。

 

 最早怪獣というカテゴリーではなく邪神とかその類いの存在に近いのだが、幸か不幸かカイザーギドラという生物の枠組みとしては最上級の相手に出会した事で彼?の永遠に近い人生のかなりの割合を皇帝の眷属として過ごす事となった。

 別にそれは良い。

 ただ本能のままに食い荒らし、食べるものが無ければ次に行くだけの日々よりも遙かに有意義で刺激に満ち満ちている。

 しかし、最近は皇帝自身も感じていたが、デスギドラ自身もまた退屈を感じていた。

 カイザーギドラの知性まで模倣したが故の弊害だが、何も感じないマグマ状存在のままよりは良かったと思っておく。

 そうして永い退屈の日々の果て、遂にデスギドラは地球へと降り立った。

 皇帝を筆頭とした軍団は彼?の目線から見ても凄まじい戦力であり、戦うとなれば死にはしなくとも封印されかねない程度には凄まじい規模だった。

 

 そんな戦力が今、自分と皇帝を除いてほぼ壊滅したという事実に、デスギドラは驚きを隠せなかった。

 

 なんて奴らだ、なんて奴らだ!

 驚愕と感嘆の入り交じった心情のまま、デスギドラは三つの首それぞれから火砕流や溶岩流をエネルギーにした光線「火砕流撃弾」や灼熱の火炎「火龍重撃波」を続け様に撃ち放つ。

 それを回避もせず、ゴジラ達は攻撃を行う。

 何せスーパーモゲラやガイガン程度は一撃で戦闘不能になる程度の威力なだけの単なる熱量攻撃でしかない。

 その程度の出力と単純な性質では、ゴジラ達の展開する電磁バリアを破る事は出来ない。

 だが、それはデスギドラも分かっている。

 それらは所詮牽制であり、本命は別にある。

 止めていた地下のマグマへの干渉の応用技、破局的大地震を発生させようとして、敢えて直ぐに止める。

 だがゴジラ達の片方、G5は地震発生を止めようと干渉したものの、それを空かされてエネルギーと演算リソースを余計に食わされてしまった。

 その隙にデスギドラはG5へと攻撃を集中すべく、熱線を無効化するのなら質量で殴るとばかりにその巨躯を各部から局所放射の容量で後方に向けて爆炎を発射して加速からの突撃を敢行する。

 手空きのG4は空かさず前に出てカバーに入るが、それこそがデスギドラの狙いだった。

 デスギドラは勢いそのままに前に出たG4へと突撃して肉弾戦に移行しつつ、決してその側を離れない。

 三つの首で食らいつき、翼腕による殴打と爪による引っ掻きでG4へとがっぷりと組み付く。

 G4も負けじと食らいつき、爪による引っ掻きとその圧倒的パワーから来る握撃によりデスギドラの一部を握り潰すものの、お互いに頑丈さと不死性から全くダメージは入らない。

 不死身と言えども衝撃によるノックバックは当然受ける。

 クロスファイアを組まれてはダメージにならないとは言え行動を阻害されてしまう。

 それは今のデスギドラにとって好ましいものではない。

 

 皇帝達の戦いが終わるまでこの場を長引かせ、邪魔をさせないのが今のデスギドラの目的だった。

 

 自分ではこいつらを相手に戦って勝つ事は至難の業だ。

 というか何で辺境の惑星にギドラ級戦力6体に皇帝級戦力1体が密集してるのか。頭おかしいだろ

 地震による地形破壊を用いた地下への封じ込めも出来ず、また通常の攻撃手段も通じないと分かった今、自分が出来る事は不死性を活かした肉弾戦主体の持久戦だけだ。

 相手のエネルギーは蓄積したものの他に外部供給もあるため、先にこちらのエネルギーが尽きる可能性の方が高い。

 しかし、それはつまり皇帝の方に回されるリソースが減る事を意味する。

 デスギドラがここに存在し、戦闘を続行する事そのものが地球側への重しとなるのだ。

 しかも、下手に放置しようものなら地球規模の大地震すら発生させてくるのだ。

 そうなれば例え戦闘で勝った所で人類文明は大きく衰退する事になるし、自然環境にもどれだけの悪影響が出るわかったものではない。

 故に地球側は決してデスギドラをフリーには出来ない。

 殺す事も出来ず、封じ込むにはかなりのリソースを必要とする。

 正しく地球側にとって存在そのものが害悪なのが今のデスギドラだった。

 今この瞬間も破局的地震を発生させるデスギドラとそれを防ぐG5と組み付き合っているG4とで膠着状態が発生しており、その狙いは実に的確でいやらしい。

 伊達に永きを生きている訳ではなく、高い知能を持つギドラ族に比する知能をデスギドラもまた獲得しているのだ。

 

 その高い知性による現状における最適な戦術を理解しているからこそ、ゴジラ達は次の一手を打っていた。

 

 KYAOOOOO!?

 

 不意に頭上から幾筋もの光線がデスギドラへと降り注ぎ、驚きの叫びを上げる。

 それは先に撃破されたモゲラ達や戦闘機、UWAVに後退し始めたメカゴジラⅡのものでもない。

 二種の光線技は次々と放たれ、組み付いていた二体を強引に離れさせる。

 

 『呼ばれたので急いで来ましたよ。』

 『成程、これはお前達が苦戦するのも納得の手合いだな。』

 

 上空には一対の翼が旋回し、地上の有様を見下ろしていた。

 モスラとバトラ、地下世界の女王達が増援として到着したのだ。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 『極東にモスラとバトラが到着。ギドラタイプとの戦闘に入りました。』

 『よし、これで極東は大丈夫だろう。後は・・・』

 『中東、ですね。』

 

 北米のモナーク及び米軍総司令部ではほっと安堵の空気が流れつつ、同時に最後にして最大の戦場へと意識を向けざるを得なくなった。

 中東、そこは今の地球上で最も地獄と呼んで差し支えない場所だった。

 実際、生身の人間ではそこに立ち入れば即死する様な環境と成り果てており、はっきり言うと誰も行きたくはなかった。

 だが、彼らの立場上最低限でも情報収集はせねばならなかったし、万が一G0が敗北した場合は残った総力を以て敵指揮官であるギドラタイプを撃破しなければならない。

 出来なければ?地球丸ごと滅ぶだけである。

 そんな事態にならない、なっても即応するための情報収集だが、問題なのはどうやってやるかだった。

 通常、離れた戦地を確認するのは人工衛星か、そうでなければ偵察機を飛ばすかだ。

 前者は先の地対宙攻撃と隕石群の落下によって穴あきだらけ、後者は普通の航空機では余波で何時消し飛ぶか分かったものではない。

 無人偵察機も通常の電磁波やレーザーによる遠隔操作も覚束ない程に大気の状態が不安定(所の話ではない)なので飛ばしても現地に辿り着けるか怪しい。

 かといって、何処にも安全地帯の存在しない危険極まりない今の中東に普通の有人機を送り出すのは死ねと言っているも等しい。

 

 『なら、オレが行きます。オレとメカゴジラなら索敵能力も緊急時の機動性も問題無い筈です。』

 

 そこで立候補したのが既に半ば以上肉体を機械化しているサカキ・ハルオ元三尉だった。

 事実、彼のメカゴジラは大きな損傷もなく、既に補給も完了している。

 彼自身も疲労の蓄積はあるものの許容範囲内と数値で出ている。

 機体はメカゴジラⅡよりも戦闘能力で劣るものの、ゴジラ達と正面からある程度戦えるだけの戦闘力も有しているし、現在動かせる有人機の中ではトップクラスの機動性と索敵・情報収集能力をも有している。

 これ以上無い人選と言えた。

 

 『サカキ元三尉、言うまでもないが危険だぞ。』

 『メカゴジラに乗る時に、全て覚悟をしています。』

 『・・・分かった。ただし無理はするな。確実に帰還せよ。』

 

 こうして、地獄の中東への偵察としてメカゴジラが巡航形態にて出撃する事となった。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 『では手筈通りに。』

 『しくじるなよ。』

 

 女王達はそのまま上空を旋回し、その両翼から鱗粉を散布していく。

 モスラ達お得意の猛毒の鱗粉散布からの攪乱攻撃だが、体表が高熱のデスギドラや電磁バリアを持つゴジラには通じない。

 それでもそれを散布するのは、それを活かす方法があるからだ。

 

 GYAWOOOOOO!

 KYAOOOOO!?

 

 一度は引き離されたG4が再び突撃を敢行する。

 このまま距離を取っていれば絡みつかれる事もないのに何故?

 デスギドラのその疑問は直ぐに解答が返ってきた。

 ピシリ、とG4と接触した瞬間、体組織の一部が凍り付いたのだ。

 

 フロスト・ヴァークという怪獣がいる。

 大きさ12m~22mにもなる4足歩行の哺乳類型の怪獣で、全身をセンザンコウのような分厚く青い鱗で覆われ、ホシバナモグラに似た口の周りに先端が青く発光する12本の触手が生えており、視力と聴覚が鈍いもののこの触手を用いて周辺の温度を感知している。

 寒さに強く、ツチブタのように鋭く強力な爪を用いて降り積もった雪や永久凍土に潜って巣穴を作り、移動する。

 口から周囲の熱を吸収して自身のエネルギーにする熱応答性の生態を持ち、凄まじい吸熱能力を持つ。

 その威力たるや、周辺の温度を急激に下げて人間や飛行機をも瞬く間に凍らせ、炎をも寄せ付けない絶対零度を生み出すほどだ。

 一方で熱を探知し吸収する生態故に、炎等の高熱を発するものに誘引される。

 これ以上の冷凍能力は地球ではシーモ位しか存在しないという危険な能力だ。

 

 しかし、肉体性能自体は小型怪獣の範疇を出ないため、大昔のゴジラの敵ではなかった。

 随分昔交戦した際にその能力を獲得してからは特段必要となる程に追い詰められる事もなく、ゴジラ達も使う事は無かった。

 だが、それは使えないという訳ではない。

 ラドンの火山の噴火誘発と同様に滅多に使う機会が無く、練度が低いだけで使用には何も問題無い。

 そして、今回その熱吸収能力の対象となったデスギドラにとってこの能力は天敵に等しかった。

 マグマ状の存在であるデスギドラだが、それはつまり常に高温でなくばその不定形と活動を維持できない。

 例えどれ程の熱エネルギーと柔軟性があった所で、それを運用できない状態に追い込まれてしまえば活動は停止してしまう。

 そして封印され、永い間をそのまま過ごす事はデスギドラの永すぎる時間の中に幾度かあった事でしかない。

 だが、だが、皇帝に仕える身であるからには、無様な真似は出来ない。

 その一心のまま、デスギドラは無理矢理に熱量を絞り出して体表で爆発、更にデスギドラ版の体内放射を行い、強引にG4を振り解く。

 その一瞬の隙に全力で破局的大地震を発生させようと他の一切を無視し、エネルギーの全てをマグマ操作能力に注力する。 

 

 お前達はこれが一番困るのだろう?

 

 自らの行動に焦りを見せるこの星の強者達の姿に、デスギドラは内心で笑む。

 こいつらは何故か戦闘の被害が広がる事を厭う。

 だからこそ、自爆覚悟でこの辺り一帯に大地震を発生させて破壊する。

 こうする事が最もこいつらにとってダメージとなる。

 無論、自分の守りに使うエネルギーも使用するために凍らされてしまうだろうが、皇帝が無事ならば後で幾らでも復活できる。

 更に監視役としてこの強者のどちらかは残り、凍らせ続けねば何れ封印は緩み、自力で脱出できる。

 そして即座に止めようにも、デスギドラの不死生故にそれも難しい。

 どう足掻いても、この状況からゴジラ達にデスギドラによる破局的大地震を止める事は不可能だった。

 

 『助かりました。私達の事を忘れてくださって。』

 『無駄に頭を増やそうとも、不死身に甘んじた者の末路は決まっている。』

 

 だが、この場にその不可能を覆せる者達がいた。

 頭上にて旋回し、鱗粉を撒いていたモスラとバトラの女王達。

 彼女らの旋回の軌跡と散布された鱗粉が光り輝き、デスギドラを中心とした巨大な魔方陣が浮かび上がったのだ。

 それはモスラ達を祀るイーリス族の紋章と同じものであり、モスラの持つ特殊能力の一つを大幅に向上させるための予備動作でもあった。

 その特殊能力こそが魔方陣内部に捕らえた対象を強制的に眠らせ、封印する事。

 嘗てこれを受けた怪獣達の殆どは覚めぬ眠りに囚われ、今も眠りに就いている。

 

 『鱗粉散布してからじゃないと上手く発動できないんですよね。でも、今回は隙だらけなのと消耗しているから楽でしたよ。』

 

 通常、デスギドラはマグマ状存在らしく常時極めて高温を放っているため、毒入りの鱗粉による弱体化や封印が効きづらい。

 しかし、G4の吸熱攻撃と形振り構わないマグマ操作能力の行使によって大幅に熱量が低下、更に頭上を旋回するモスラ達にも何も出来ないと高をくくって意識を外した事もあって、見事に鱗粉の散布と封印の執行に漕ぎ着けた。

 

 KYAOO・O・O・・・O・・・?

 

 封印による意識レベルの低下と熱量吸収による粘性の喪失を受け、デスギドラはものの数十秒で冷えて固まった溶岩の彫像と化してしまった。

 大地震こそ再び起きかけたが、本格的に揺れ出す前にG5の必死の制止によってそれも阻止された。

 結果だけ言えば、極東戦線の人類側戦力は壊滅的打撃を受けたものの、それでもデスギドラの封印に成功したため、ギリギリ辛勝を捥ぎ取ったと言える。

 何時かは封印も解けるのだろうが、少なくとも一朝一夕で解ける事は無いだろう。

 戦闘終了して時間が経てば、シーモ呼んで氷付けにして貰えば万年単位でも封印もできるだろう。

 

 斯くして、遂に極東戦線での戦闘も終了し、残すのは中東、そして月面の二カ所だけとなるのだった。

 

 

 

 




A.拘束して封印
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