白亜紀からこんにちわ   作:VISP

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随分間が開いて申し訳ない
次回でカイザーギドラ戦は終わります


その45 王VS皇帝

 この世の地獄、それが今の中東だった。

 

 GWOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!

 GYAWOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!

 

 カイザーギドラの反重力光線とG0の荷電粒子ビームがぶつかり合い、壮絶な爆発と閃光と共に相殺される。

 本来ならば引力光線の上位互換たる反重力光線ならば生半な攻撃は全て歪曲、そうでなくとも圧倒的エネルギー量の差で強引に押し切る事が出来る。

 だがしかし、G0というこの星の王の熱線は皇帝が今まで相対してきた相手とは次元が違う。

 圧倒的エネルギー量と出力、そして何より操作精度。

 反重力光線によって歪曲し、かき消される筈の熱線は極めて精緻な電子操作能力によって拡散される事なくそのまま直進、純粋な出力勝負の果てに大爆発を引き起こす。

 他の怪獣達ではこの爆発によって大きく後退や転倒、最悪はそのまま戦闘不能すら有り得るのに対し、両雄は違う。

 一切怯む事なく、ただ前へ出る。

 灼熱の地獄の中、巨大質量同士が全力で駆け、正面から衝突する。

 その瞬間、鳴る筈だった轟音は鳴らず、無音が広がる。

 音を伝達するための大気が丸ごと衝突時のインパクトによって吹き飛び、再び戻ってきてからまた吹き飛んで、三度目にして漸く轟音を全方位へと伝えていく。

 

 流石

 

 感嘆と共に、G0は幾度目かとなる敵の戦力評価を上方修正する。

 同時、その右手の爪でカイザーギドラの甲殻を引き裂こうとして、しかし翼腕の打撃によってリーチ外から殴られ、距離を取られる。

 だが、効かない。

 その程度の単純な打撃ではノックバックこそ発生するものの、質量と筋力、重力障壁によって電磁バリアを破れても戦闘続行に支障の出る程のダメージにはならない。

 そんな事はここ数時間の戦闘にて皇帝も把握済みだ。

 もう何度も繰り返したやり取りであり、この後は片方のどちらかが光線技や体内放射を用いて距離を取っての仕切り直し・・・になる筈だった。

 

 これでも小手先の技は得意だ

 

 そんな思考と共に、G0の背面から今までにない特異な電磁波が出力される。

 直後、周辺の地面や僅かに残った瓦礫から無数の残骸や砂が浮かび上がった。

 それらは全てが鉄だった。

 戦闘の余波と中東全域の殲滅戦によって元の形をほぼ留めていないそれらだが、ある程度纏まって存在してはいた。

 砂鉄や鉄骨、細かな鉄片とそれらによって支えられた瓦礫が宙に浮き上がり、雪崩の様にカイザーギドラへと殺到する。

 

 手品だな

 

 対する皇帝もまた、周辺に反重力光線を照射し、無数の瓦礫を浮き上がらせて壁にしつつ、一部を質量弾としてGO目掛け射出していく。

 主に電磁力を操るG0と重力を操るカイザーギドラ。

 二体にとってこれは味変染みた小手先の技の応酬に過ぎない。

 しかし、もしこれが人類に対して向けられた場合、容易く先進国の軍隊を蹴散らし、壊滅させ得るものだった。

 両雄にとっては戯れではあるが、それ以外にとっては絶死の空間。

 今の中東は正しく地獄だった。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・

 

 

 そんな場所にただ一人、勇敢な例外がいた。

 

 『駄目だ、これ以上は接近できない。この距離から情報収集を行う。』

 

 人類で最も勇敢な男、その名をサカキ・ハルオ。

 身体の殆どをナノメタルに置換し、月人製の最新兵器たるメカゴジラのパイロット。

 現在は巡航形態にて飛行しつつ、両雄の戦いを見守りつつ、情報収集に徹していた。

 ただそこにいるだけで周辺に多大な危険を撒き散らす頂上決戦だが、その結果如何では生き残った皇帝に残存戦力で戦いを挑まねばならない。

 そうなった場合に備え、人類側に共有できる形での情報収集は必須だった。

 まぁ、相手が消耗しているだろう事を踏まえても最大限努力した所で勝てるかどうかは分からない所か、分が悪いまであるのだが、それはさておき。

 

 『分かった。引き続き頼む。こちらでも対策を立案する。』

 『了解。』

 

 次々と送られるデータは人類軍と月人達の間でリアルタイムで共有されていく。

 しかし、その内容は芳しくないのか、閲覧している者達の顔はどんどん険しく、やがては絶望に沈んでいく。

 

 『G0と正面から戦って全く打ち負けない程の耐久力にパワーか・・・。』

 『おまけにギドラ族としても異常な程の重力操作能力・・・。』

 『北米の個体のデータと比較しても数段というか格が違いますな。』

 『再生能力も凄まじいですぞ。G0によって与えられた傷が僅か数分で完治しています。』

 『今シミュレートしましたが、人類の現有戦力ではダメージは与えられても勝てません。メカゴジラⅡを全機ぶつけても難しいかと。』

 

 各国の軍関係者の呻き声と月人からの冷徹な宣告に、関係者全員が頭を抱えた。

 はっきりと分かっている事は、自分達では手に負えないという事だけだ。

 

 『ドクター・サカヨリ。何か手はないかね?』

 『んー?』

 

 そんな時、先程から何事か計算し続けている世紀の大天才へと声がかかる。

 しかし、彼女は手元の端末から目を離さずに告げた。

 

 『必要無いですよ。ゴジラが勝ちます。』

 『根拠は?』

 『この時点になってもG1が動いていません。予備兵力でもあるのでしょうが、動かす必要が無いから動かしていないんでしょう。』

 

 ギョッとテレビ通話状態の各国関係者の視線がドクターサカヨリへと集まる。

 それはつまり、戦力を払底させずとも勝つ事が出来るからに他ならない。

 

 『この戦いで十分なデータは集まりました。他の戦線に回していたエネルギーが今度は全てG0へと回されます。あのギドラ変異個体の勝ち目は犠牲を全て無視して速攻を掛ける事でした。長々と戦った事で、その目はもう消えています。』

 『!? G0の熱量及びエネルギー量に変化を確認!これまで以上の数値です!』

 

 ドクター・サカヨリの言葉の直後、偵察中のメカゴジラから戦場の変化を告げる叫びが響き、全員がそちらへと視線を向け、最後の戦場を注視する。

 一方、ドクター・サカヨリは端末から視線を動かさず、ぽつりと呟いた。

 

 『私としては、月の方が気になるんだけどね・・・。』

 

 これまでの月人や地球人を洗脳して手駒にした連中とカイザーギドラ率いる宇宙怪獣軍団。

 前者は狡猾極まりなく、後者はその戦力が強力極まる。

 だが、少しだけ気になる点があった。

 何故この二つは連携を取らなかったのか?

 取られていた場合、人類は月人と連携する事もなく、個々に事態に対処する羽目になっていた。

 そうなれば、人類と月人の被害は現在の比ではなかったのに、後者は兎も角前者はそれをしなかったのは何故か。

 

 それこそが、これらは実は全くの別勢力だという仮説だ。

 

 モスラ達や月人との情報共有が進む中、この仮説を実証するために彩葉はヤチヨとかぐやと共に調査を進めていた。

 結果、仮説塗れであるが、大凡その意見が正しそうだとは知れた。

 理由は二つ、手段と動機だ。

 カイザーギドラは確かに配下に多数のロボット怪獣を率いているが、それらを製造している訳ではない。

 また、永い時を生きてはいるものの直接機械類にアクセスできる様な技術は持っていない。

 そのため前者の集団の様な手段を有していない。

 次に動機だが、モスラ達からの情報でギドラ族の生態情報から推測するにカイザーギドラ率いる軍団は最終的に戦争での勝利と星の持つエネルギーの吸収を目的としていると考えられる。

 だが、前者の者達の行動は結果的にこれを妨害している事になる。

 前者の洗脳テロにより、人類と月人は連携し、カイザーギドラの軍団に対抗し、各所で有利となっている。

 これはカイザーギドラとその軍団の目的に反している。

 この事から、カイザーギドラとその軍団の他に、もう一つの敵対勢力が存在する可能性が高い。

 その不明勢力の残した唯一の鍵が月の電脳世界にある自閉状態となった月人達なのだ。

 一刻も早くそれらを解析して詳細を掴まねば、取り返しのつかない事態になる予感がする。

 

 (まぁ今の私に出来る事は無いんだけどね・・・。)

 

 頭脳は兎も角生身の酒寄博士に月面に干渉する手立ては無かった。

 

 「それはそれとして・・・頼んだわよ王様。」

 

 彩葉の視線の先、そこには遂に決着と成りつつある中東の地獄の光景が映し出されていた。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 G0は最古にして最大最強のゴジラである。

 地球上のあらゆる存在がそれを認めているが、しかし、その力の上限を知る者はいない。

 しかし、遂にその時が訪れた。

 宇宙の彼方より飛来したギドラ族の皇帝、カイザーギドラ。

 彼の皇帝との死闘により、遂にG0は体内のエネルギーが尽きかけていた。

 

 まぁ予測の範疇か

 

 今回、敢えてG1は地下に置いてきた。

 だが、それは単なる予備兵力ではない。

 もしもの時のスペアでもない。

 これから行う事に必要な行動だった。

 現在、G2~7までの個体は戦闘終了後、活動を休止してエネルギー供給へと専念している。

 欧州、北米、そして極東。

 各地に配置された分体ゴジラ達の体内で生成されるエネルギーは現在、全てG0へと注ぎ込まれている。

 しかし、それを上回る消費が嵩み、現在のG0の体内残存エネルギーは10%を切った。

 カイザーギドラはそれを正確に知覚し、楽しかった死闘を終わらせ、蹂躙に移るべく再び反重力光線の最大出力を叩き付けるべくその首をG0へと向ける。

 だが、勘違いしてはいけない。

 

 G1からのエネルギー供給はまだ始まっていないのだ。

 

 反重力光線が放たれる直前、G0の全身が白く輝き出した。

 まるで恒星を直視したかのような閃光に、さしもの皇帝も目が眩む。

 その光はG0の背鰭と体内から放たれており、膨大なエネルギーがその身体へと流れ込んでいる証明だった。

 その光、そのエネルギーはカイザーギドラもまた見知ったものだった。

 

 この光、この莫大なエネルギーの奔流こそがこの星の核、命そのものだった。

 

 コング族の宮殿、即ちこの星の核に最も近い位置から星の核エネルギーを汲み出し、自身の体内で生成したエネルギーと合わせてG0へと供給し始めたのだ。

 地下に降りてから今まで生成して溜め続けた分と星の核からの供給により、10%近くまで減少していたG0のエネルギー量はものの数秒で満タンになり、今も尚過剰なエネルギー供給を受け続けている。

 放出しなければ体内から焼かれ、果ては大気圏に着火しかねない程の膨大なエネルギーを放出して減らさなければならない。

 今この瞬間も超高熱波攻撃の様にエネルギー放出を毎秒行い、全方位を焼き払い続けているというのに、エネルギーの消費が間に合っていない。

 そんなG0の目の前に、丁度良く吐き出すべく相手がいた。

 電磁操作による荷電粒子ビームと体内の核物質を圧縮・解放して口から放つ放射能熱線。

 この二つの主な攻撃手段を限界を超えた出力で、尚且つ同時に放つ事で今までに発揮した事の無い程の攻撃となる。

 荷電粒子がゆっくりと収束し、背鰭が尾の先端側から次々にガション、ガションと外へと突き出て、発射の準備が進んでいく。

 無論、その危険性を直感的に察知したカイザーギドラはこれまでにない死の物狂いの速さで反重力光線を放った。

 アレを撃たせれば負ける、そう確信しているが故の早撃ちだった。

 しかし、結果だけを言えばそれは悪手だった。

 現在、全身から膨大なエネルギーを放出し続けているG0を相手に、早撃ちのために余りエネルギーをチャージしていない反重力光線では余りにも足りていなかった。

 ただ放たれ、垂れ流され続けるエネルギー波を押し留める事こそ出来たものの、本命であるG0へとその一撃は届かない。

 飛んで逃げる事も、防ぐ事も出来ぬだろう極大の一撃が、カイザーギドラ目掛けて放たれようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なお、全方位エネルギー放出の圏外へと辛うじて退避に成功したメカゴジラからの観測データとこの後の結果予測を正確にシミュレートした人類&月人は余波で地球が滅びる可能性に気付いて発狂、てんやわんやの状態になっていた。

 

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