白亜紀からこんにちわ   作:VISP

6 / 15
次回、漸く原作突入
ここまでいろPの出番0という超がくや姫SSとしては我ながら色物過ぎるw


その6 「超」担当の誕生と怪獣達の目覚め

 『聞いて聞いて!遂に彩葉が産まれたの!ツクヨミとスマコンの開発も順調だし、あの子が一人暮らし始める前にはバッチリ正式稼働が出来るよー!!』

 

 ほーん(欠伸)

 通信爆撃(n億回目)を受けながら、私はあっそうとばかりに浮かれポンチの話を聞き流していた。

 昨今では怪獣に関連してヒト種の社会情勢の変化が著しく、正直ゲームとかに関心を払っている暇が無いのだ。

 遂に怪獣の存在が明らかになり、米国が密かに設立していた対怪獣調査特務機関であるモナークも表社会に立ち、情報公開を行う事態となった。

 と言うのも、北米アリゾナ州にて油田や地下資源のための試掘中に発見された巨大な地下空間からスキュラが出現、そのままアリゾナ州で暴れ回ったのだ。

 無論、モナークからの要請と市民からの通報を受けて即応した州軍、間を置いて合衆国軍による攻撃が行われたのだが、即応可能な通常兵器では効果が薄く、その侵攻を止める事が出来なかった。

 スキュラは頭足類、それもオウムガイに近い頭部と胴体、そこに甲殻類に近い長い足が8本ある、一見すると蜘蛛の様な姿をしている。

 防御力こそ同サイズの怪獣の中では低い方なのだが、何と水中限定だが私よりも速いのだ。

 陸上でもその長い脚部を生かして機敏に動くため、対怪獣戦闘の経験の薄いヒト種の軍隊では相手にならない。

 更にはスキュラはその性質上、周辺の生態系に対して極めて悪影響を与え得る生態を持っている。

 スキュラは私同様に放射線を吸収する他、怪獣の死骸を食べるスカベンジャー的性質を持っている。

 この腐肉食性なのだが、その栄養分を体内に共生している致死性の水性バクテリアに与えて活性化・増殖させて放出する事で攻撃手段としても使用できるが、体外に放出されたバクテリアは周辺に多大な被害を及ぼす。

 また、体内と外界の熱比を変換する熱交換能力を持っており、これにより周囲と体内の熱を自在に吸収・放出する事が出来る。

 また、放射線を吸収した際には過剰になった熱を体内の水分を霧状に放つ事で放散するのだが、この際吸収しきれなかった放射線等も共に出すため、深刻な環境破壊を引き起こす事もある。

 一応、この熱交換能力のお陰で地球温暖化や極端な寒冷化を緩める事も可能なのだが、このスキュラとその近縁種は以前始末した棘野郎と同じくやたら攻撃的で凶暴な事もあり、おまけに目覚めたばかりで空腹だった。

 結果、アリゾナ州のパロベルデ原子力発電所を襲撃して放射線を吸収してある程度空腹を満たした後、攻撃してくる米軍相手に暴れ回り、最寄りの都市のバックアイ市にまで縺れ込んで壊滅的な被害を出した。

 これを察知した私はモントレー湾最深部に待機させていた分体に出撃を命じた。

 本来なら南米のペルー・チリ海溝にいる分体も動かすべきなのだが、こちらは南米の大穴の監視任務があるため下手に動かせないので最も近場だが二番目に小柄な北米の分体を動かす事となった。

 モントレー湾から海上をサンディエゴ近郊のカールスバッド市まで移動して上陸、そこから市内のサン・ルイスレイ川を遡上して真っ直ぐバックアイ市へと向かった。

 無論、道中には多数のヒト種の住居があったが・・・積極的に踏まないようにしているので勘弁願いたいものだ。

 怪獣だって山や谷とか傾斜のキツすぎる土地は避ける、これから戦うとなれば尚のこと。

 そしてこの時代、特に先進国では大体の平地には人里があるため、どうしても市街地を通過する事もある。

 まぁ積極的にヒト種狩りとか弱い者虐めをしたい奴もいるので、例外もいるにはいるがそれはさておき。

 その道中でも散々αコール、号令による地底世界への帰還を命じたのだが、スキュラは余程腹が立っているのか、一切聞き耳を持たずに暴れ回るだけだった。

 ならばもう、後は暴力で解決するしか術は無い。

 多少運河がある街と言えども内陸である事に変わりは無い。

 水中と違ってこちらよりも遅いのならば、取り逃がす事は無い。

 咆吼し、最後の警告を放つこちらに襲いかかってきたスキュラに対し、こちらは防御力を活かしたカウンターを決める。

 勢いのままに突進し、その足の先端の爪を突き立てようとしてきたスキュラに対し、こちらはただ重心を低くしてそれを受け止め、組み付いてくるスキュラの前足の根元付近を掴む。

 これでもう相手は逃げる事は出来ない。

 熱線の発射準備を始めるこちらに対し、スキュラは口部にある無数の触手とその中の嘴(頭足類共通の「カラストンビ」と呼ばれるもの)でこちらの顔面に攻撃してくるが、そんな苦し紛れの攻撃で私の電磁バリアが貫ける訳もない。

 チャージ完了と共に熱線を放つ、それだけで済んだ。

 交戦開始して僅か1分とせず、スキュラはその頭部と胴体を熱線によって消し炭にされて息絶えた。

 仕事を終えた分体はそのまま勝ち鬨として特大の咆吼を上げた後、近場の海であるカリフォルニア湾の奥、ラス・リサスから海へと入り、元いたモントレー湾へと海路で向かった。

 この大事件を経て、モナーク及び米国政府は怪獣の存在を公開する事となり、世界は各地で存在が確認されるようになった私達を含む怪獣への対応に奔走する事となった。

 

 なお、こんな大事態になっても私の暮らしは特に変わっていない。

 

 だって、現在のヒト種の運用する兵器類で私を傷つける事は叶わない。

 熱核兵器の飽和攻撃だろうが、膨大な放射線と熱量を用いた広範囲爆撃では電磁バリアを破る事は出来ず、寧ろそれらを吸収する私からすれば餌に過ぎない。

 よって、私にとって現在の人類は警戒はすれども脅威にはならないのだ。

 だからといって虐殺なんてしないが、それでもヒト種は私を他の怪獣以上の脅威と見て対策を進めている。

 まぁ好きにすればよい。

 脅威に対して備えるのは当然のことだし、今後の怪獣対策には絶対に必要なプロセスなのだから。

 ヒト種には是非とも強くなってもらわねば困る。

 何れ来たる大戦で彼らが生き残るための備えは幾らあっても足りる事は無いのだから。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 「我々モナークはこの一連の事態に対し、人類が一丸となって対応せねばならないと提言いたします。出来ねば我々人類はただ滅び去るだけだからです。」

 

 突如地下空間から現れた節足動物染みた怪獣により、北米アリゾナ州では多大な被害が発生した。

 更にその半日後、海から現れた巨大な爬虫類染みた怪獣の出現とカリフォルニア州への上陸、そしてアリゾナ州で暴れるもう一体の怪獣目掛けての侵攻により、アメリカ合衆国は多大な被害を受ける事となった。

 一体目に比して二体目の被害は少なめであるものの、それでも両者合わせて国民と軍人に数万人もの行方不明者が発生した事実は大きい。

 しかも、世界最強と名高いアメリカ合衆国軍がこのやられぶりである。

 世界中の人々の目は怪獣と米国の次の動きへと注がれた。

 そんな中、米国内の対巨大生物関連特務研究機関MONARCHがその存在と今まで彼らが調査してきた世界中の怪獣達のデータを突如公開した。

 その24時間後、彼らは怪獣への対処についてリアルタイム放送で世界中に語りかけた。

 

 「怪獣達は主に広大な地下世界に生息し、時折地上へと上がってきます。しかし、その殆どは今回現れた2体目の怪獣、識別名ゴジラによって撃退されています。これは我々が知る限り、数千年前から続いています。」

 

 ザワザワと記者会見の会場にどよめきが広がり、それがやや収まったタイミングでモナーク広報担当官は続きを話す。

 

 「怪獣達の多くは通常の摂食の他、放射線を吸収する事でエネルギーを得ています。第二次大戦以降、世界中で行われた核実験が休眠中だった怪獣の覚醒を促し、地上への進出が加速しました。嘗ては100年に1体が今や一月に1体となっております。」

 「申し訳ありません、質問よろしいでしょうか?」

 

 そこに大手新聞社所属の記者が挙手をする。

 勿論、事前にブック読み合わせ済みである。

 

 「何故二体目の怪獣、ゴジラでしたか、アレはどうして地上にいるのですか?他の怪獣は地下世界に生息しているとの事ですが。」

 「お答えしますと、ゴジラは地上全域を自身の縄張りと定義しているからです。確認されている全8体により地球全土が彼らの縄張りとして監視下にあり、ある程度大型の怪獣が地表に近付いた時点で感知されます。これは我々人類の持つ多くの観測機器に匹敵、或いは凌駕しています。」

 

 ざわざわとまたも場が喧噪に包まれる。

 たった8体で地表全域を探知可能な観測能力を機械ではなく、生物の機能として持つという常識外の能力に場は困惑と驚愕に満ちていた。

 もし本当だとすればイージス艦なんて目じゃない程に広範囲の索敵能力を持っている事となる。

 この機能の原理を解明できれば、それだけで軍事的優位を確立できると言える。

 

 「質問です!地下世界という事ですが、どのような場所なのでしょうか!?それは我々の住まう地表とは異なるのでしょうか!?」

 「お答えしますと、詳細な地形は把握できておりません。余りにも危険過ぎるからです。現在は大型怪獣の通れない小さな穴から無人探査機を飛ばして観測しておりますが、有人探査は危険なため行えておりません。しかし、大気成分や日光に近い光源の存在、未発見の鉱物や動植物が多数ある事はこれまでの調査から判明しております。」

 

 ザワザワザワザワ!とこれまでで一番の喧噪が場を包んだ。

 既に地球上は人類によって探索されて久しい。

 海底や地下、宇宙などの例外を除けば、既に地球全土に人類が分布している状況だ。

 そんな所に全く手付かずの広大な地下空間があり、そこは人類未到の未知なる大地が広がっているのだ。

 これだけを聞けば、誰もが冒険心を擽られる事だろう。

 そこが怪獣達の楽園で特殊極まる場所でなければ、米国が真っ先に新たなフロンティアだと喜び勇んで飛び込んでいた事だろう。

 

 「しかし、地下世界と地表との間には強力な重力変動力場が存在し、既存の移動手段では入る事は極めて困難です。光すら歪むため、無人探査機を僅かに送り出す事が限界となっております。」

 

 辛うじて入り口付近なら電波は通じるため、本当の本当に入り口周辺のみ無線操作のドローンを飛ばしてカメラ映像を撮影する事は出来る。

 しかし、それだけだ。

 未だに人類には重力変動の壁を越える手段が無かった。

 

 「質問です。人類の兵器で怪獣に、特にゴジラに対抗する事は可能でしょうか?」

 「お答えしますとスキュラ、一体目の様な怪獣にはある程度可能ですが、ゴジラに対しては熱核兵器による飽和攻撃すら意味を成しません。つまり、既存のあらゆる兵器は通用いたしません。唯一比較的有効な攻撃は巨大質量による打撃、つまり他の怪獣による近接攻撃だけです。・・・申し訳ありませんが時間ですので本日の会見は以上となります。」

 

 この情報公開を期に、各国は対怪獣兵器の開発の推進及び地下世界への探索を独自に開始した。

 同時に既に何歩も先に進んでいるモナークへの諜報活動を活発化させた。

 これに対し、モナークを設立した米国はアドバンテージ維持のために対抗措置を行いつつ、抗重力技術と対怪獣兵器の開発を加速させるのだった。

 時は2025年、仮想世界『ツクヨミ』が正式サービス開始される1年前の出来事であった。

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。