アトランティスの黄昏   作:アビス・アッカーマン

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皆さん、水着ナグサ引きましたか?

私はメモロビ見た瞬間速攻で引きました。120連でした。

ま、まぁ致命傷ではありませんから(震え声)。


11話 クアトル城塞都市探索 下層

 

クアトル城塞都市 下層

 

アンナの案内の元、ホシノ達五人はそれぞれの固有武器と軽い荷物を纏めてアンナ家の家を出た。両親は仕事場に行き、妹のアレンとしばらく外へ出た後アレンの友達の親に預け学び舎であるロア信教の教会まで一緒に行ってもらう。アンナは名残惜しそうに手を振りながら、いってらっしゃいとアレンが見えなくなるまで手を振り続けた。

 

クルミ「それで、何処に連れて行ってくれるの?」

 

一緒に手を振っていたクルミは案内役のアンナに何処へ行くのか尋ねた。

 

アンナ「そうだね、よし。まずはこの『下層』を案内してあげる。」

 

ホシノ「オッケー☆よろしく〜。」

 

 

 

下層はこのクアトル城塞都市の総人口の大部分を占めている場所だ。主に階級の低い平民の殆どが住んでいる区画で、このクアトル城塞都市の収入源は冒険者であるが、その家族が住んでいたり冒険者を支える商店を経営している者達であったりと、かなりの世帯がクアトル城塞都市に集まっている。中には冒険者によって運ばれる魔物の素材を使いたい、そこで手に入れた物で鍛錬を重ねたいという理由で職人気質な者達が集まっている為、今も人口は増加傾向にある。下層は主に商店街や酒場、鍛冶屋に道具屋など冒険者に関する店が多く、少し視線を向けても確実に冒険者関係の店が映るくらいだ。

 

そんな下層でアンナはとある店を紹介した。

 

アンナ「じゃーん、まずはこの店!」

 

赤い屋根に白いレンガで包まれた家々や商店が並ぶ大通りを抜け更に奥、他の場所と隔絶された地区へやって来た。

 

そこは空気が重かった。別に悪い空気が立ち込めているというわけでもない。唯上に向けずとも見える沢山の煙突から黒い煙を吐き出し、カン!カン!と金属と金属がぶつかる音が地区一体を支配していた。時々漢達の怒声が響き渡りあーだこーだと騒いでいる声が聞こえる。それに何だか熱い。日差しの刺すような熱さでは無くまるでヒーターの近くにいるような、それでいて汗をかいてしまうような熱さだ。時折冒険者と思わしき者達が長年の月日で薄汚れた店に入り、出てきた者は皆手に持った武具をキラキラと眺めている者もいた。

 

物騒な物々に重厚な音、顔を少し歪ませる黒煙の匂い。熱せられているような熱さ。これが空気が重い原因である。

 

ここまで来れば分かるだろう。そう、この場所は鍛冶職人が集まり、クアトル城塞都市に住む冒険者の半身である武具を調達する場所、『金工街』だ。

 

その地区の一角にある店、ドレイス武具店に指を指しながら紹介していく。

 

アンナ「この店はドレイス武具店!ルーキーからベテランまで幅広い顧客を虜にする店だよ!私達も良く利用してるんだぁ。」

 

その店はザ·鍛冶屋と容易にイメージできる店だった。全体的に広くカン!カン!とさっきよりも音が大きく、鼓膜がおかしくなりそうだ。煙突から絶えずモクモクと黒煙が立ち込めている。外装はあまりよろしいとは言えず漏れ出た煤や外からの汚れで綺麗な所は一つもない。はっきり言って汚い。何度も開け締めされたであろう扉は古くドアノブは擦り減っているし、剣と金属鎧が描かれた看板は薄汚れている。よほど切羽詰まっているのか、或いは外装を良くするより鍛錬をしたいのか分からないが、この店の者は外装なんて興味ないようだ。しかし客である冒険者達の出入りは多く、出てきた者の中には一級品と素人目でも分かるブロードソードを腰に下げながら仲間と思わしき人達と笑顔で会話していた。

 

 

 

へぇ〜、いい店っぽい。

 

 

 

リーダーのホシノはグラスランド・デスワームの討伐した際の素材等は全て売り払っている。錬金術や新たな素材開発に役立てる物ばかりだが自分達で処理なんて出来るわけ無いので、素材等は代表長のモグリットに丸投げした。単体の報酬はもちろんだがその先にある死の森から取れる資源によって、今後世界が助かる可能性が高くなり、さらに領主からの感謝の籠もった褒賞金も加わってとんでもない額となっている。額が額なので明日の正午に改めて来て欲しいとお願いされている。つまり今日は討伐報酬のみ貰う予定だ。ちなみに『金額はどのくらい?』と質問したら『五人全員が安定した生活を送れる金額くらいだ、そうだな、ざっと王金貨五百枚だな』と言われた。王金貨一枚は勇者の国の価値で言う約百万円くらいとのこと。単純計算で王金貨五百枚の金額は日本円にして約五億円。

 

つまり、何が言いたいのかというと。

 

ホシノ(今日からお金持ちだから良い武器あったら買お!)

 

今日から大富豪みたいな超大金持ちになるということ。

 

支払い?一括の後払いで。

 

クルミ「ねぇ、私達はもう武器を持ってるわよ?何で鍛冶屋に?」

 

クルミの言う通り女神ロアから神器ならぬ固有武器を貰っている。そこらの武器を軽く上回る性能であり、当然この世界のジュウとの性能差は隔絶されている。

 

はっきり言ってこの武具屋で武器を買っても使いはしないだろうとクルミは考えている。

 

アンナ「確かにね。その通り。しかぁし!」

 

クルミの意見を肯定しつつ一部間違っていると人差し指をクルミにビシッと立てて言う。

 

アンナ「その神⋯⋯⋯⋯ジュウって近付かれたら弱いっていう欠点があるよね?敵が近付いてきたらジュウしか持たない君達は攻撃手段の少ない状態で戦わなくちゃいけない。そんな時にサブウェポンを持てば対応できるでしょ?だからこの店を紹介したんだよ!」

 

クルミ「あ〜、確かに。(まぁでも盾で殴ればいいじゃ?)」

 

ホシノ「うん、それもそうだね〜。(うーん、悩むなぁ。ロンソかブロソ、ウォーピック、傭兵の双刀⋯⋯⋯あ、傭兵の双刀は違うか。でもグレソやグレートメイスも捨てがたい。あー!クレイモアも悪くないかも!悩むなぁ、お金(後で貰う)があると選択肢増えるなぁ。)」

 

ケイ「私が特にそうですね。サブウェポンがあれば私の弱点を克服できると思いますし。(ルミナス・ノヴァか拳で殴れば解決すると思いますけどね。何故ならルミナス・ノヴァと拳で解決しないものなど存在しないのですから。)」

 

キサキ「うむ、妾はそれが顕著であるな。近付かれたらお終いよ。妾にはどれが良いのか分からぬ。先見の明を持つアンナに頼むとしよう。(後衛だからと言って狙われない事などありえませんからね。実際後衛を狙うデスワームの例もありますし。)」

 

ヒフミ「確かにその通りですね。アンナさん、オススメとか教えてください。(私に武器を振るえるのでしょうか?不安ですぅ。)」

 

それぞれの思う所はあれどサブウェポンを買うことには賛成という形になった。

 

それぞれの言葉を聞いてアンナは良し、じゃあ入ろう!とドレイス武具店に足を踏み入れた。

 

 

店員「へいらっしゃい!」

 

威勢の良い挨拶が店内に響き渡る。中は意外と広々としており見渡しても武器武器防具武器防具武器防具武器防具武器と多種多様な武具が所狭しに置かれていたりウォールシェルフに丁寧に飾られていたりと様々な方法で並べられていた。入口近くの武具らは品質が安定している市販品という印象を受ける。悪くはない性能だが、『ブライト・エッジ 』の皆の装備やニクスの装備を見ている為、どうしても見劣りしてしまう。対して奥に行けば行くほど見た目が豪華であり質が高い。一級品と分かる獲物から、んん?と目を疑う物まで。店内の一箇所には投げナイフ類や武具の手入れに欠かせない油やヤスリなど武具以外もあった。

 

本当にルーキーからベテランまで幅広く扱ってるんだねぇ。

 

店員「どのような武具をご所望で?」

 

最初に営業の挨拶をした店員さんが顧客を逃すまいと早歩きで駆け寄り要望を聞いてきた。

 

アンナ「この子達に見合う武器を。正確には接近戦をカバーできる物が欲しいんだけど⋯⋯⋯。あぁそれとあまりお金は気にしない方針だからいいヤツ頂戴。」

 

店員「かしこまりました!ではこちらへ!」

 

店員さんが私達を店内を案内し奥へと足を進めていく。

 

ホシノ(本当に目移りしちゃうなぁ。どれが良いかなぁ。)

 

アンナ「気になったものがあれば言ってね。相談に乗るよ!」

 

店員「私の方でも解説しますので遠慮せず沢山質問してくださいね!」

 

二人の熱い心に何だか空気まで熱せられているような気がする。

 

それにしてもここは涼しい。外は鍛冶の熱気でちょっと顔が火照ていたのに、この中は快適な温度になっていてひんやりする。

 

まるでエアコンが付いているみたいだ。

 

ヒフミ「何だかエアコンが付いているみたいに涼しいですね。」

 

クルミ「確かにね。部屋の四方から涼しい風が送られているわね。それでいてちゃんと空気を循環させている。凄いわね。」

 

クルミの狐耳がピコピコと動き風を感じ取っているようだ。

 

そのクルミの言葉を聞いて、よく気が付いてくれましたね!と言わんばかりの顔をしながらグルッと後ろに半回転させた。

 

店員「そう!そうなのですよ!この風は我々の親方が王都で修行をし学んだ技術を応用した最高傑作の一つなんです!勇者の国ではこの技術は当たり前とされているのは周知の事実かと思います。電気という雷エネルギーを用い、数多の精密な数百にも及ぶ部品で構成された『エアコン』という品。しかし我々ではそのミリ単位の部品を作るのにはそれ相応の技術力と専用の設備、さらにはその品をコントロールする術等が必要になります。かの王都の天才技術者白鳥ウタナ曰く『その勇者の国の製品を作る為の設備を作る為の設備を作る為の設備を作る』と言うほどの無理難題、不可能に等しい技術なんですよ!ですから初代勇者の時代から現在に至るまでその技術を再現した人物は歴史上『たった一人』!しかもその人は勇者で我々アトランティスの住人には不可能だと思われていたんですよ!しかぁし!しかしです!俺達の親方は違いました。学んだ鍛冶技術と魔法を学んだんです!このエアコンは親方の魔法の力と鍛冶の技術を使ってこの技術を再現したんです!魔力は万能です。あらゆるエネルギーに変換することが出来て火にも土にも水になってなる万能エネルギーなんです!当然!風にすることだって可能です!だからまず⋯⋯⋯⋯⋯。」

 

凄い熱気だぁ。にても長い解説だねぇ。

 

長すぎるので纏めると。

 

親方の鍛冶で土台を作り、風魔法で空気を送る。必要となる魔力は専用の回路を設置して空気中または使用者の魔力を使って魔法を持続させる。土台は魔法を閉じ込めるような金属を用いて作成。魔法は親方の魔法とのこと。魔力は万能エネルギーとはいえど他者の魔力だけでは持続は短くなるし安定しない。そこで空気中の魔力を利用する構造に改良したとのこと。

 

その後も熱烈に解説していくがアンナはそんな事どうでも良いのか途中で早く終わってくれないかな?という顔になっていた。ここで文句言って中断させないのはこういう人は最後まで聞けと逆ギレじみた態度を取られかねないから今後の事を考えて黙っているのだろう。周りもまた始まったと少し遠い目と同情の眼差しを向けていた。

 

しかし私達元日本人としては興味深い内容であり、この世界の常識や仕組みを理解するのに大変ありがたい解説のため些細なことも逃さずに聞く。

 

店員「と、いう訳なんですよ。」

 

ホシノ「良いことを聞きました。解説ありがとうございます。」

 

本当に良いことを聞いた。魔力は万能エネルギーであり何でもできるということや勇者のこと、歴史等。

 

本当に、良いことを聞いた。

 

アンナ「早く案内して。」

 

苛立ちが募った声色を奏でながら店員さんに言い放った。そんな声の原因に気付く事なくやりきった顔をしながら店員さんはこちらへと手を武具の方に向けながら何事も無かったかのように案内を再開した。

 

キサキ「良いことを聞いたのう(コソ)。」

 

クルミ「ね(コソ)。」

 

ホシノ「万能エネルギー、か。」

 

理論上あやゆる物質、現象、干渉が可能な存在。そんな夢みたいなエネルギーは前世には存在しなかった。

 

この世界だけのオリジナル。

 

この世界だけの理。

 

まさに『異世界』。

 

住人も、常識も、文化も、技術も、理すら異なる世界。

 

改めて私達は異世界に来たのだと実感する。

 

そんな事を思いつつ案内している店員さんは目的の場所に着いたのかくるっとこっちに向きを変える。

 

店員「さて、改めてどのような武具を使います?何でも聞いてください!」

 

ホシノ「私はまだ決めてないけど⋯⋯⋯⋯他の皆は?」

 

いろんな武器振りたい、だから最初は何にするか本当に悩む。他の皆の意見を参考にしようかな?

 

クルミ「そうねぇ。⋯⋯⋯私は別にいいわ。盾で殴ればいいし。」

 

ホシノ「投げナイフとかククリとか必要じゃ⋯⋯⋯⋯⋯。」

 

クルミ「あのねぇ。私達には銃があるじゃない。それに私の場合は盾もあるし、無くても殴れば拳で解決すればいいのよ。だから私はぶっちゃけ要らないわ。」

 

ケイ「私も同様ですね。拳とこのルミナス・ノヴァがあれば充分です。」

 

ホシノ「あ、うん。⋯⋯⋯⋯そう。」

 

クルミちゃんとケイちゃんは本気で要らないと考えているようだ。ナイフ類とかに琴線が触れないのは分かるけどあれはあれでいい武器なのに⋯⋯⋯。戦技のディ◯ニー・クイックステットワンダーランドとか便利なのに⋯⋯⋯!

 

※それはダクソ3です。

 

内心でモヤモヤしつつも気を取り直してキサキちゃんとヒフミちゃんに聞いていく。

 

ホシノ「キ、キサキちゃんとヒフミちゃんは?」

 

キサキ「うーむ、悩むのう。そもそも妾はどの武器を振るえば良いか分からぬ。ホシノよ、共に戦ったお主であれば良い物を持って来れるのではなかろうか?うむ、そうだな。ホシノよ、其方に任せるとしよう。期待しておるぞ。あぁ、当然アンナ殿や店員にも聞く。持ってきた武器が合わなくともお主を責めぬ。安心せよ。」

 

ホシノ「へ?」

 

間抜けな声を出してしまった。しかし、いきなり重大な事を任せられるこっちの身にもなって欲しい。

 

ヒフミ「うーん、ずっと疑問だったんですけど。」

 

ホシノ「な、何かな?」

 

もしかしてヒフミちゃんもキサキちゃんみたいに武器を⋯⋯⋯。

 

ヒフミ「私が武器を振るう姿なんて想像できません。私達が武器とか振るっていいのでしょうか?」

 

それはブルーアーカイブという一般常識を身に着けているからこそ生まれた疑問。少なくとも生徒が中世のような剣や槍を振るう姿など見たことが無い。故にヒフミは最推しになったからこそ『ヒフミ』であろうとしているのに『ヒフミ』のイメージを破壊しかねない近接武器を振るう姿に対して抵抗が生まれた。

 

 

⋯⋯⋯⋯。

 

⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。

 

⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。

 

 

 

確かに。生徒が近接武器を振るうなんて想像できない。

 

でも君達最推しであって最推しじゃないじゃん!

 

ホシノ「えーと、と、とりあえずクルミちゃんは筋力補正のメイスとかかな!?ケイちゃんは特大武器似合いそうだし、キサキちゃんは軽大剣とか似合うと思うし、ヒフミちゃんはとりあえずクラブとか振ればいいんじゃないかな!?」

 

クルミ(武器はどれが良いって頼んでないんだけど。)

 

ヒフミの意見に納得しかけたホシノは頼んでいないクルミとケイの最適かもと思われる武器まで口早に喋る。

 

ヒフミ「なんで私クラブ何ですか!?」

 

ホシノ「クラブは相手を叩くのに特化しているし剣みたいに何も考えずに振っておけば強いからね!隙も少ないし強武器の部類だよ!?」

 

ヒフミ「そんなに熱弁するくらい強いんですかそれ!?私ってそんなに野蛮な人に見えるんですかぁ!?」

 

クルミ「『ファウスト』。」

 

ヒフミ「!?」

 

キサキ「『覆面水着団』。」

 

ヒフミ「!?!?!?」

 

ケイ「『トリニティで戦車強奪して被害甚大。』」

 

ヒフミ「!?!?!?!?」

 

クルミちゃんが『ヒフミ』ちゃんの行ったことを告げ、続いて茶化すように追求していく。

 

ここぞとばかりにキサキとケイはヒフミをからかう。

 

アンナ「ファウスト?覆面水着団?」

 

ホシノ「知らなくていいよ〜。どうせ分かんないと思うからね。」 

 

アンナ「う、うん。分かった。」

 

戸惑ったアンナさんが知らなければ分からない単語の数々に口に出すが冒険者の暗黙のルールに則って口を閉じた。

 

店員「⋯⋯⋯。とりあえず皆さんに似合う武器を取り繕っておきますね。」

 

ホシノ「ありがとうございます店員さん。」

 

驚愕と裏切られた者の顔をしながら口をパクパクしていたヒフミちゃんを無視して私は武器を探していったのだった。

 

しばらくしたのち

 

 

 

私は悩んでいた。皆に似合⋯⋯⋯⋯振るのに最適な武器をあれだこれだと考えていた。柄が豪華に装飾されたツヴァイヘンダーや白銀色のハルバードなどなど、周りには質の良い武器が全体にありどれも良い値段をするがこれから受け取る金額からすれば屁でもない為、予算を気にせずに思案しながら精査していく。

 

ヒフミちゃんにはこれが良いかなぁ。いやでもメイスは厳しいかな?やっぱりクラブか強化クラブにするべきか?手斧も悪くないけど⋯⋯あれは筋力よりが向いているからなんだったら槍が良いのかもね。突き、薙払い、振り回し。剣士と槍使いが対戦したら剣士は槍使いの三倍の技量が必要だって言うし。なら槍かなぁ?でもクラブも良いんだよなぁ。ここにあるのは金属製だけど木とかでも代用できるし。あ、クルミちゃんにこそ槍が良いんじゃないかな!?盾と併用できるしもし状態異常の槍またはレイピア、もしくは斧槍が良いかも!盾チク、懐かしいなぁ。カンスト周回のエルデの最後の最後でお世話になった。状態異常の武器があるか後で聞いてみよ!ケイちゃんは⋯⋯⋯特大武器しか思い付かないなぁ。グレソとか似合いそう。もしくはセスタスとかかな?拳で殴れば良いって言ってたし棘球拳を推したらオッケー貰えるかなぁ?あれ信じられないくらいの強武器だからぜひ使って欲しいなぁ。キサキちゃんは軽大剣みたいな優雅な武器が似合うと思う。大剣クラスのリーチと見た目よりもその軽さで敵を屠る姿見てみたいし、強武器だし強武器だし!うん!キサキちゃんは軽大剣で決定だね!よーーし!そうと決まれば!

 

ホシノ「店員さん!」

 

店員「!はい!何でしょうか!」

 

ヒフミちゃんとクルミちゃんに武器の説明をしていた店員さんは失礼します!と言葉を残して私の方に早歩きで駆け付ける。

 

店員「決まりましたか?」

 

ホシノ「私はまだです。他の皆の武器は決まっていない感じですか?」

 

キサキちゃんがロンソを持っているが顔がイマイチだ。それを見てアンナさんは苦笑している。ケイちゃんは静観の構えを取っているし本当に要らないみたいだ。

 

店員「はい、そうみたいですね。」

 

なら⋯⋯⋯!

 

ホシノ「クルミちゃん⋯⋯⋯狐の子にはレイピアか槍、白髪の子には棘球拳かセスタス、黒髪の子には軽大剣、金髪の子にはクラブを紹介してほしいです。私からいくと遠慮すると思うので。」

 

店員「かしこまりました!⋯⋯⋯⋯所で一つ聞いても?」

 

ホシノ「はい?何ですか?」

 

店員「⋯⋯⋯失礼を申し上げますが、棘球拳、軽大剣とはなんですか?」

 

ホシノ「⋯⋯⋯⋯⋯⋯え?」

 

え?知らない?嘘でしょ?

 

ホシノ「棘球拳っていうのはうーん、そのまんまの意味です。分厚い球体に鋭い棘がたくさんあった拳武器で、軽大剣はリーチが大剣くらいあるのに女性でも振るうことが出来る軽さを持った武器です。」

 

店員さんはしばらく考えた後、頭を横に振り残念な顔をした。

 

店員「すみません。その様な武器は取り扱っていません。いえそもそも、その様な武器は存在しません。」

 

ホシノ「⋯⋯⋯⋯⋯⋯嘘でしょ。」

 

存在、しない?あんなに強いのに。もしかして強さに気付いていない?まさかマイナー?

 

店員「似たような武器は存在します。棘球拳ならガントレットやモーニングスター、軽大剣ならレイピアやエストックがあります。しかしその様な武器が開発された、という話は一切聞いたことがありません。」

 

ホシノ「そ、んな。」

 

膝が崩れ落ちるような感覚に陥る。軽大剣を振るうキサキちゃんを見たかったのに!

 

店員「まずは棘球拳から。現実的な話ですが棘球拳はお客さんの言った通りなら制作には非常に技術が求められるでしょう。棘部分は先端が折れないために高価な金属類を使用すると思いますし、拳に嵌める以上リーチの問題もあります。まぁそれについては解決出来ますし、リーチに関しては使用者の戦闘スタイル云々の話になるので別に良いでしょう。問題は魔物相手に通用するのかという点です。棘がたくさんあるということは衝撃は集中され一点突破という形になるでしょう。棘球拳の耐久力⋯⋯いえ攻撃力が相手の防御力よりも高ければ相手を貫けるでしょう。しかし、もし相手が上だった場合、衝撃は自分に返ってきて自身の指の骨が折れ、手首は曲がり肩は外れるでしょう。まぁ、強化魔法を受ければもしかしたら、という線もありますがそんなに強靭な肉体を持つなら他の武器を持ったほうが良いでしょう。」

 

思ったよりも現実的すぎる問題でしかもその理由もしっかり話すため一切反論できない。

 

店員「次に軽大剣です。技術ならなんとかなるでしょう。しかし女性でも振るえる軽さということは大剣としての優位性をある意味捨てていると言えるでしょう。大剣とは相手を叩き斬る、重い突きなど重量を活かした武器です。軽大剣の場合、軽さとおそらくですがしなやかさが売りです。軽ければ重量を活かせずに弱い魔物ならともかく強い魔物相手にはまるで弱い鞭を振ったような威力しか出せませんし、しなやかなら振った反動で根本が折れてしまうでしょう。折れる問題は素材でなんとかなりますが、攻撃力に関してはダメでしょうね。以上の点から作られなかったもしくは開発段階で諦めたのでしょう。」

 

ロマンが、ロマンが無い!

 

導きの棘球拳、軽大剣。

 

ありがとう、エルデDLCで活躍してくれて。君たちの勇姿は決して忘れないよ。

 

がっくりと淀んだ気持ちになり俯いたホシノだが店員は諦めていないようだ。

 

店員「諦めるのにはまだ早いですよ。」

 

ホシノ「え?」

 

身長の低いホシノは店員を見上げる形で見る。ちょうど店内の照明灯が店員と重なって逆光みたいになり、店員の営業スマイルもあってホシノの目には救世主のように見えた。

 

店員「俺がお客さんにうちの親方に合わせられるかやってみます。棘球拳は無理かと思いますけど、軽大剣ならいけるかもです。」

 

ホシノ「おお!」

 

ホシノの瞳は星々のように輝いていく。逆光も相まって実際に光ってもいるのだが。

 

店員「他のお客さんの後にお客さんの要望を応えられるか頑張りますね。」

 

ホシノ「店員さん。⋯⋯⋯⋯⋯ありがとうございます!」

 

90度に腰を曲げ深いお辞儀を無意識に繰り出すくらいには深く感謝していた。

 

よーし!軽大剣は何となるかもだし保留にしといて、他にも色々聞こうかな?

 

ホシノ「店員さん。状態異常が付与されている武器とかってあるんですか?」

 

店員「ありますよ!」

 

!?本当に!?

 

ホシノ「本当ですか!?」

 

ニコッと笑みを浮かべて答える。よく質問してくれたという顔をしながら。

 

凄い笑みだなぁ。というか⋯⋯⋯何だか既視感があるんだけど。

 

店員「よくぞ質問してくれました!状態異常の武器というのは基本的にダンジョンから取れる所謂ダンジョンウエポンという武器に最初から付いている特殊な魔法が込められた魔剣に⋯⋯⋯⋯あぁ、この場合は状態異常の効果ですねそれを指すかまたは戦場で魔法使いの方がエンチャントとして一時的な付与を施す武器のことを状態異常の武器と言うんですけど魔剣のように普通は最初から付与すること、それこそ持続的に効果が続くなんて普通は不可能なんですよ!その様な武器を鍛造する為には鍛冶の技術だけでなく天才的な魔法の才が必要なんですから!この時代までその様な武器を作製するには魔法使いの方と鍛冶職人が必要の為コストがヒジョーに掛かりましてそれに魔法使いの方も良し悪しが激しいから出来る人なんて限られていますし魔法使いの方々は鍛冶職人とは縁がないと思われている人が大勢で我々鍛冶職人も同様に縁がないと考える人が一定数いるんですよ!ですから市場や個々の武具店にはそういった武器は取り揃えていないんですよ!まぁダンジョンウエポンの性能が良すぎるからわざわざ鉄を打たないっていう理由もありますけどね。ですが!このドレイス武具店は違います!エアコンの例の通り親方は魔法の才もあるんです!多種の金属を複合させ鉄を打ち、それぞれ効果を長引かせる魔法を付与して中央に目的の魔法を付与します!複合するという形であれば先程も言った通り魔法を付与出来ますしそれに武器自体も良い仕上がりになるんですよ!ま、それ相応の技術が求められますけどね!そういったわけでここでは状態異常の武器を取り扱っておりますよ。オーダーメイドという形になってしまいますけど。」

 

ホシノ「えーと、つまり親方のお陰でオーダーメイドのなるけど状態異常の武器を取り扱っているってこと?」

 

店員「まさしくその通りです!」

 

この人、親方を自慢したくて仕方無い人だ。そして説明の仕方が『コトリ』とすごい似てる。

 

次からは慎重に質問しよ。

 

 

 

その後、キサキ達の元に戻ったホシノと店員はホシノが頑張って考えた最適と思われる武器を紹介したが皆からの反応はイマイチで結局買うことは無かった。

 

ホシノ自身の武器は『あれ良いな』と思わせる武器はあれど購入までは踏み切れず、取り敢えずククリ数本だけ買った。店員と話した軽大剣の件は急すぎる案件のためまた後日という形になり、ホシノ達はクアトル城塞都市の探索へ戻るのだった。





女神ロア(この人をぶつけて良かったです。流石にこれくらいの運命は操作してもいいですよね?)


店員さんの腕前は武器の手入れがピカイチですが鍛冶職人としての腕前は全然です。ですが親方さんは接客対応も出来る事が判明した店員さんにある程度店内を任せていますし、ホシノみたいに注文を持ってきてくれるのでドレイス武具店に必要な存在です。

⋯⋯⋯説明が長すぎるのが欠点ですけど。

まだ探索は終わりません。チュートリアルですから。

だからといって話全然進まないとかさぁ。しっかりしてもろて自分。
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