ゲヘナのメインストーリー読んだ後。
嘘だぁぁぁぁそんなぁぁぁぁ!!どうすんだよこれぇ!!
ホシノ「んじゃ、私は火竜の所行くから後はよろしく〜。」
ニクス「は?」
ホシノへの言葉に間抜けな声が出てしまうが、それをホシノを聞くこと無く火竜の方へ突撃していく。
ダンダンダァン!!と三連射。火竜を挑発するようにスレスレで掠るように放つ。火竜を引きつけるべく、ヘイトを集め徐々に離脱していく。
それに火竜は上等だと鼻を鳴らし凶星から離れていく。
ニクス「おい嘘だろ!?」
ホシノの勝手な行動にニクスは驚愕と怒りを覚えるが。
クルミ「まぁ、ホシノならなんとかなるでしょ。」
ケイ「ですね。」
キサキ「うむ。」
ニクス「あぁ〜〜〜〜クソ!やればいいんだろやれば!お前ら!!凶星を叩くぞ!!!」
仲間も大概だと気が付き、ヤケクソ気味に号令を出す。するとそこへ。
???「おぉ〜火竜ルインカイトよ!俺を忘れてはならぬぞ!!俺の恐怖を!貴様に刻んでやろう!俺も竜の戦士だ!」
ホシノと同じく勝手な行動を取る男が現れた。
ニクス「どいつもこいつも好き勝手に行動しやがって!!ふざけんな!!」
そう文句を言うニクスの間を通り過ぎたあの男は大弓片手にホシノと火竜ルインカイトの元へ走り出すのだった。
ニクスの叫びはエーテルリアの森に木霊した。
「」
今の凶星の心情は「まじかよ。」である。主人の離脱はいいとしても、敵の勝手な行動は呆れ果てた。
まぁいいと気を切り替え、正面を見据える。
これは狩り。だからこそ警戒するべきは、謎の魔法を放った大剣を持つ若い戦士。盾と謎の筒を持つ獣人、大筒を構える女。後ろにいる魔法使い達。
それ以外は大したことは無いだろう。
ここへ向かってくる途中で見た主人を傷付けたあの攻撃は絶対に回避しなければならないだろう。それに一瞬で居場所を特定した獣人も気を付けるべきだ。
さてどう出る?
最初に動いたのはキサキ。
キサキ「これが必要なのじゃろう?」
キサキのEXスキルの詔令:格物致知を発動し、ケイへ付与する。
ケイの最大チャージは約十秒後に強制的に放たれる。ケイはそれを知っているため戦闘開始する前に解除し、再度チャージを開始する。
ニクスはケイの持つ武器は神器であることを知っている。あれがこの戦いの鍵となると理解している。
故に。
ニクス「事前の作戦通りにいく!弓を持つ奴!攻撃開始!魔法使いは指示があるまで待機!近接組は周囲を警戒!サポートは各々に任せる!タンクは後衛を守れ!俺はアイツとやり合う!おら、余裕のあるテメェ!俺が相手だ!!」
その流れるような作戦指示と共に弓矢またはクロスボウを持つ者達が自慢の矢を放ち、走り出したニクスの上を通り過ぎて凶星へ大量の雨の矢が降り出す。
その間に後衛の魔法使い達は魔力を練り、強力な一撃を放つ前準備を始め、近接攻撃主体の戦士達は万が一に備えて周囲を警戒。その無防備な状態を守るのは大盾を持ちながら凶星を見つめるタンク達。頑強な鎧まで身に着けた彼等は正に鉄壁であった。
クルミ「あんたここに来るまで作戦練ってたのね。結構やるじゃない。」
当然のようにニクスの隣で走るタンクのクルミ。それにピキリながらも答えていく。
ニクス「そりゃ火竜と凶星がいるんだから、戦闘になった時の作戦も必須だろ?ちなみに、お前達はこの作戦に入ってないから、な!」
クルミ「ふーん、なら即興でお願いね。」
そう言いながら見るのは、放たれる矢を踊るように華麗に避ける凶星の姿。
時々矢が凶星に当たるがその鋼鉄並みの強度持ちながら、毛特有の滑らかさと曲線状の体毛により弾かれるか流れるように別の方向へ飛んでいく。
効果はイマイチだった。
ニクス「てかなんでここにいるんだよ。後衛守れや。」
クルミ「ごめんちゃい!でも別にいいでしょ?あそこにいるタンクは皆優秀そうだし。余計なお世Wi-Fiかもだけど、あんたの守りは私がやるわ。あんたは攻撃に集中して。というか一人で大丈夫?」
ニクス「大丈夫じゃねぇけど、大丈夫、だ!『グラニティ!』」
魔法発動と同時に手に持った武器に見えない重圧が纏われる。
風のように剣を中心に吹き荒れる訳では無い。けれど、確かに纏われたと分かる『見えない圧』が剣にはあった。
ケイ「いきます!光よ!!!」
ドゴォォォォン!とルミナス·ノヴァをぶっ放し、凶星目掛けて死の光が襲い掛かる。
「!」
光を認識するより早く。
凶星は突如バックステップし、ケイの一撃とすれ違うように回避した。
ケイに目を向けずに。
「嘘でしょ!」
誰かの驚愕がこの場にいた者達を代弁していた。
凶星は目などの五感ではなく第六感、獣の本能でなんの予備動作をもなく音速を超えるあの光の一撃を回避してみせた。
確かにまともに喰らえば死に大きく近付く攻撃を本能のみで回避したのは素晴らしい。
けれど、その代償は大きかった。
キサキ「受け取るが良い!ニクス!」
ニクス「オラァッ!!」
大きく回避した影響か、僅かな隙を晒した。
それを見逃すほどニクスは間抜けじゃない。
バフを貰ったニクスは自身の魔法が込められた剣を振り下ろす。
ニクスの魔法は『グラニティ』という重力を操る珍しい魔法だ。この魔法は切り裂く事に長けている風と違って、相手を押し潰す、または拘束する事に長けている。グラニティは習得難易度が風よりも高いため、あまり使われていないがニクスはこれを愛用し、今では剣に纏う形でこの魔法を使っている。
「ッ!」
その魔法を凶星はまともに喰らい身動きが取れず、強靭な肉体が悲鳴を上げる。
凶星は悟る。これはすぐに抜けられないと。
ヘルホーンハウンドは元から高い魔法耐性を持っている。凶星は平均よりも遥かに上。それでも抜け出す事は叶わない。
本来ならニクスの魔法はここまで強力では無い。精々が数秒程度。
にも関わらず数秒を超えて地面に拘束したのはキサキのバフがあってこそ。
イレギュラーによって生まれた決定的な隙。勝敗を決めるならここしか無い。
ニクス「魔法使い、今だ!」
その命令を聞いた直後、待ってました!と言わんばかりに火水風土雷の数多の魔法が凶星へ殺到し、最後には様々な色の混じった爆発を引き起こした。
それにより砂煙が巻き起こり凶星を隠す。
ニクス「索敵を⋯⋯⋯!」
クルミ「大丈夫よ凶星はそこにいるわ。それにしてもあれだけ食らって傷が一つも無いなんて個体名が付けられているだけはあるわね。ま、個体名が付けられる理由は知らないけど。」
ニクス「お前さぁ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯は?待て、今『傷一つ無い』って言ったか?」
クルミ「そうだけど?」
キョトンとしながら答えるクルミに、ニクスは信じられない事を聞いたかのような顔をする。その顔には恐怖も混じっていた。
ニクス「あり得ねぇ、あり得るはずがねぇ!魔力耐性が高いヘルホーンハウンドであったとしてもあれだけの攻撃を食らって傷が一つも無いなんてあり得ねぇ!!」
そう言いながら砂煙に隠れている凶星を睨み付ける。
砂煙が晴れていく。それに伴って段々と翡翠色が強くなっていく。
最初は見えなかった光は、ぼんやりとした光から、次第に輪郭を持ち、今ではハッキリと見える程に強くなっていく。
砂煙が完全に晴れる。
そこには無傷の凶星が額にある翡翠色の角を強く発光させながら、自身にバリアのような膜を覆わせている姿があった。
その姿に、誰もが言葉を失った。
「」
本来なら。
火がその身を焼き、水の派生である氷が体を凍てつかせ、風が天然の鎧を切り裂き、土が骨まで伝わる衝撃をもたらし、雷が感覚を痺れさせたのだろう。
だか、そうにはならなかった。
凶星は一匹狼だった。
普通のヘルホーンハウンドは群れで生活し狩りをするという集団行動を主とする魔物だ。
しかし稀に一匹狼となる個体が存在する。それは我が強い個体であったり、集団行動を好まず一人行動が好きな個体であったり理由は様々だ。
当然群れは統率を乱す存在などいらない。群れから追い出されるのは自然であった。
大半の一匹狼は大自然の前に屈服し息絶えるが、そうはならない個体も存在する。
その中の一体が凶星だった。
彼は強かった。それこそ頂点捕食者足り得る程に。
ヘルホーンハウンドの討伐難易度はAランク、一個体としてみればCランクではあるが、この時の凶星はAランクという強さだった。
まだ『凶星』という名が与えられる前、勇者鈴野桔梗率いる魔王軍対抗隊と偶然遭遇した。
そして長きに渡る死闘の末、逃走した。
そんな時に火竜ルインカイトと遭遇し、以後火竜の猟犬となった。
そこからの日々は常に死と隣り合わせだった。
猟犬になったから主人に獲物を渡すのかな?と思っていたら、戦闘ダイスキ暴君トカゲが襲ってきて、主人は「これ殺すのを手伝えもちろん拒否権は無い」という最初にしてはあまりにも無慈悲な命令に狼生初めて理不尽を感じた。
それは信じられないくらいに強かった。
それこそ凶星を大きく飛躍させる程に。
死闘の果てに得た力。それがニクス率いる冒険者達を襲い掛かる。
クルミ「凶星ってバリア貼れるんだ。これ知ってたの?」
ニクス「そんな訳ねぇだろ!総員!攻撃準備!」
まさかバリアを貼れるとは微塵も思わず動揺が広がる、が。ニクスの迷いの無い命令で動揺していた魔法使い達を一瞬で統率し、急いで魔法を唱えようとする。
その光景を見ながら凶星は防御から攻撃へ転ずる。
翡翠色の角をバリアを展開した時よりも強く光らせ、近くであれば目を覆いたくなる程の光量となる。
凶星へ向けられた魔法はバリアにより霧散した。その時の周囲の魔力を取り込むべく、キュオオオォォォ!と大きく息を吸い込み、火水風土雷の属性を取り込んで自身の制御下に置く。それを自身の魔力と混ぜ合わせ、発射口となる口に収束させる。
口内から溢れ出た極光色となった魔力は、小さな魔力爆発を引き起こし、キラキラと死の虹を煌めかせる。
クルミ「マズイ!」
ニクス「やらせるか!」
キサキ「受け取るが良い!」
ケイ「光よ!!!」
クルミやケイ達は直感で、ニクス達冒険者はこれまでの冒険者生活で培われた経験則で、皆は理解した。
『あれ』はダメだと。
クルミの銃撃、ニクスの魔法、キサキのバフを貰ったケイの一撃を凶星は口内の極光色の魔力を収束させたまま全て回避。弓矢かクロスボウを持った者達も攻撃するが効果無し。
凶星が攻撃動作に入る。
ニクス「避けろぉ!!」
攻撃はキャンセルできないと察したニクスは即座に回避命令を取る。それを受けて疑問を抱かず全ての者が回避行動をとる。
一部を除いて。
ヒフミ「あ。」
絶望し、ただ見ているだけだったヒフミは、咄嗟の回避が遅れた。
そんなヒフミは凶星と目があった。
その目は『弱点』を突こうとする狩人の目であった。
放たれる。
それは音が無かった。
無音。ただの膨大なエネルギーの奔流。
回避不可。
たとえキヴォトスクオリティの肉体であっても重症は免れず、最悪の場合。
死ぬ。
その攻撃をヒフミはどこか他人事のように見つめた。体は何もせず、思考は放棄され、呆然としていた。
ヒフミに極光が襲い掛かる。
クルミの盾は間に合わない。他のタンク達は後衛を守ることに集中していて更にニクスの指示で対応が遅れる。ホシノは火竜と戦闘中の為動けない。キサキのシールドが貼られるもそれは気休めにしかならない。
何故ならこれは防御貫通攻撃だから。
クルミはそれでもと手を伸ばし、キサキは顔を歪ませ目を閉じ、ケイはルミナス·ノヴァのチャージを始める。
ヒフミの光景が『白』のみとなる。
もう間に合わない。
この攻撃を食らっ
「『ディフレクト。』ま、そうはさせないんだけどね。アハハ!」
「『ディフレクト〜。』そのとお〜り。」
誰かの声が聞こえた。軽くて、挑発するような、そんな笑いと共に。
ドゴォン!と大きな衝撃音が聞こえず、代わりにギギギ!とガラスとガラスが重なってそのままずらした時のような音が鳴った。そんな嫌で耳を塞ぎたくなるような音を戦場全体に奏でながら。
目の前に映る現実を疑った。だって確実に終わったと思うくらいに凄い攻撃が、私に襲い掛かったと思ったのに。
ホシノさんでもなければ、クルミさんでもない。ましてやケイさんやキサキさんでもなかった。
段々と現実を理解していく。目の前の情報を処理していく。
すると気が付く。私を守ってくれたのは神聖な白の膜だった。だって今も私を守るために攻撃を逸らしている。
???「いや〜危ないところだったね?にしてもさぁ、あの攻撃をまともに喰らおうとするなんてマジありえないしー。避けないとかちょー間抜けじゃない?アハハ!」
???「もしかして〜、足つってしまったとか〜?今確認するね〜。」
はっ!と後ろを見ると私が守られる直前に聞いた声と同じの人が立っていた。
二人とも同じシスター服を着ていてほぼ同じ低身長だった。それに顔も凄く似ていて髪も緑の髪だった。もしかして双子なのだろうか?一人は皆が思想像するようないたずらっ子のような子で、もう一人はボケーとしたあまり感情を読み取れない不思議な子だった。
二人とも私と同じ子供だと、なんの脈略も無くそう思った。
そんな二人のうちの不思議な子が私を診ていく。慣れた手つきで、その作業の手際はプロ顔負けで。
丁寧、それでいて素早い。
そんな状態だったからなのか周りを見る余裕が生まれた。
ふと見るとホッとした顔をしたクルミさんと、あぶねー呟くニクスさん、現実に驚きと安堵の混じった表情をするキサキさんがいた。
そして、驚いた雰囲気を出している凶星がいた。
ケイ「余所見している場合ですか?」
そんな凶星に向けて光を放つケイ。その顔は静かな怒りがあった。
「!?」
それを本能で回避。即座に警戒態勢へ移行する。
ケイ「皆さん、驚いたりするのは分かりますが、今は凶星に集中を。気を引き締め下さい。」
クルミ「⋯⋯⋯それもそうね。いけるわね?」
キサキ「ふぅ。仕方ありませんね。いきましょうか?」
ニクス「だから仕切ってんじゃ⋯⋯⋯⋯はぁ、もういいや。」
頭を掻いた後、諦めの表情と共にグレートソードを構え直す。
クルミ「ラウンド2!!」
「アオオオォォォォォンンン!!」
凶星は認識を改める。これは一方的な狩りではないと。
凶星は本気を出す。
第二形態へ突入
???「ねぇ君大丈夫?もしかしてだけど〜??怖がってんの〜???」
???「もしかしてこわいのー?」
シスター服を着た双子の少女は最初ヒフミを見た時に「助けなきゃ。」という思いが体をヒフミの元へ走らせた。
それは天啓のようだったと後に語る。それに従わなければならないと、心の底から思ったそうだ。
そんな二人は恐慌状態のヒフミの元へとてとてと駆け寄ろうとすると、凶星がヒフミへ攻撃。
それを咄嗟にあらゆる流れを強制的に逸らす奇跡『ディフレクト』を発動し、ギリギリの所でヒフミの直撃を回避できた事に内心冷や汗を掻きつつも、なんとか攻撃を逸らすことに成功するのだった。
???「んん??いじょ〜な〜し。」
???「異常無し?それって怖くて動けなかったってこと?アハハハハハ!わかりみー!」
煽り口調のような喋り方でヒフミにあーだこーだと言いまくる双子。
助けてくれたことに関しては感謝してもしきれないですけど。いつまで話を?っていやいや!なんとか!なんとかお礼を!
ヒフミ「⋯⋯⋯⋯⋯えっと、その。」
ノセル「あ、ワタシはノセルって言うんだ。よろしくね。アハハ!」
ヒセル「ヒセルはねーヒセルっていうのー。よろしくー。」
ヒフミ「⋯⋯⋯⋯⋯⋯ヒフミです。ノセルさん、ヒセルさん。」
なんだか『ノゾミ』と『ヒカリ』みたいだと内心思うが、今はそんな事はどうでもいい。
ノセル「あのさぁ、思ったんだけどさぁ。いつまで怖じけてんのさ?」
人を小馬鹿にするような顔をしていたのに、急に真顔して真面目さを貼り付けるノセルさんは、どこか恐ろしかった。
ヒフミ「え?」
唐突だった。
ノセルさんにまるでナイフを刺されたような感覚だった。
深々と刺さった言葉というナイフは鋭利で、冷たくて、でも熱くて。
そんな矛盾した感情が生まれていく。
ヒセル「確かにこわいよねー。火竜さんと狼さん。」
ノセル「ま、そうだね。でもさ⋯⋯⋯⋯⋯⋯とっとと立ち上がってくれない?君。」
冷たい目をしたままノセルさんは冷徹に呟くのだった。
女神ロア(神は言います。ヒフミさんの所へ駆け出してと。)
尚、絶対に助かる保証は無い。