グラスランド・デスワーム
数十年前から存在する頂点捕食者にしてこのヴァイス大草原の主。広大な草原を縄張りとし、その縄張りに入った獲物を土砂ごと捕食する。
各地の草原に生息する草原のミミズ、プレーリーワームの老個体であり討伐難易度は限りなくSに近いA。
ブルアカの総力戦の難易度でいうと
Tormentである。
ヴァイス大草原
空から降ってきた獲物を丸呑みして空腹を紛らわす。まだだ、まだだと次の獲物を探すべく移動しようとした。
その瞬間。
光よ!!!
バゴォォォォォォォォン!!!
ギィシャアアアアァァァァァァ!!!
イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ!
思考が痛みで染まる。
体の一部が破裂した。それに遅れて痛みが頭に伝わる。中が爆発するような、熱さと痛みが襲い掛かってくる。穴が空いた所から血が溢れ出し、再生する筈の箇所は熱によって塞がらなかった。
一体何だと小さくない穴を開けられ、今も激痛を感じながら動物的な思考で原因を探そうと考えていると⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。
ホシノ「うへ〜、何とか脱出できたね。」
クルミ「うげ〜、粘液まみれで最悪なんだけど⋯⋯⋯⋯⋯⋯。」
キサキ「だがお陰で助かったのも事実であろう。それに奇跡は起こったではないか?のう、ヒフミ?」
ヒフミ「こんなの望んでいないんですけどーーー!!!」
ケイ(うぅ、皆のこの姿を見れて嬉しい気持ちと粘液の気持ち悪さが襲ってくる。私も粘液まみれでなんて⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯これは所謂必要経費ってやつですね!!)
ミツケタ。
あの小さいのだ。あの小さいのが自分を傷付けた。
ゼッタイニユルサナイ。
その衝動に支配されたグラスランド・デスワームは口を大きく四つに開きながらホシノ達に襲い掛かった。
ケイの持っていたレールガンで腹の内部から脱出したのは良いが⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。
ヒフミ「あ、ああ、あの!あれがこっち向いていません!?」
グラスランド・デスワームと距離を取るべく走っている面々。ヒフミがどうなっているんだろう?と確認してみると頭がこっちを向けて口をパカッと開いていた。
キサキ「うむ、随分と怒っておるな。」
クルミ「そりゃ食べた獲物が腹の中を爆発させて脱出したもの。怒るに決まっているでしょ?」
ケイ(ふふ、やはりレールガン。レールガンはこの世の全てを解決してくれる!)
脳筋が過ぎる。
ホシノ「うへ〜、大変なことになったね〜。デスワームくんを怒らせちゃった。」
こっちに向かってくるグラスランド・デスワームは距離を置いていたホシノ達を再び捕食するべく突進してくる。
見た目より想像以上に速い。が、ミミズはミミズ。やっぱり見た目通りに遅いデスワームくんは相当怒り心頭のようだ。
遠近感が狂ってしまう程の巨体。全長は数百メートルはあろうか。縦にも大体五メートルくらいあるデスワームくんを倒すのは相当骨が折れるだろう。
ホシノ「皆、戦闘は回避できない。ここで迎え撃とう。」
ザザザ!と小さな砂煙を立てながらホシノは止まり、それに続いて皆も止まった。
ホシノ「たとえこのまま空から見えた街まで走っても追いつかれるだけだし街に逃げても追いかけてこない、なんて保証は何処にもないからね。」
クルミ(闇雲に走っていた訳じゃないのか。)
冷静に状況を分析しこの場で最適解を出すべく目を閉じる。
ホシノ「作戦としてはケイちゃんのレールガンでダメージを稼ぎつつケイちゃんを援護する。確実に隙ができる時に攻撃しよう。中途半端だとダメな結果になると思うから確実に削っていこう。」
作戦を立てていく。今までのゲームで培った経験を活かしていく。その経験は『小鳥遊ホシノ』のリテクスチャによってより思考は巡る。
ホシノ「ケイちゃんは火力メインだからとりあえず最大火力を撃つ時は私の合図でやって。クルミちゃんは飛んでくる土砂から皆を守って。キサキちゃんは後方からの指示をとバフをお願い。ヒフミちゃんは皆のサポート。私はあのデスワームくんの注意を引きつけるから。」
クルミ「分かったけどホシノ!無茶しないでよ!」
キサキ「あい分かった。」
ケイ「⋯⋯⋯⋯⋯⋯やっぱり無理ですか。」
ヒフミ「に、逃げるのは無理なんですか!?」
キサキ「あの巨体よ、巨体に見合う広大な縄張りを持っておるだろうな。その縄張りを抜けるのは不可能と妾は思うぞ。」
そうこう言っている間にデスワームくんは距離を詰め捕食範囲内に入った。
ホシノ「みんな!右に避けて!!」
デスワームくんは上に頭を上げ、ホシノ達を地面ごと捕食しようと速度を上げ奇声と共に襲い掛かった。
キィィィィィィイイイイイ!!
ドゴォォォォォォン!!
ヒフミ「うわあああぁぁぁぁ!!」
ホシノ達がいた所にデスワームくんが突進からの振り下ろしのような捕食で地面と激突し、デスワームくんの口が土砂で一杯になる。その衝撃によって周りの地面はいくつもの亀裂が走りクッキーのように容易く崩れていく。
あまりの衝撃的な光景にホシノの助力もあって回避できたヒフミは心から溢れる恐怖を声に出す。
ヒフミ「あんなの食らったらおしまいですよ!!」
ホシノ「何言ってるのさ、食らわなきゃ良いだけだよ。キサキちゃん!ケイちゃん!今だよ!」
ヒフミの襟を掴みながら赤い彗星みたいなことを言う。
回避に成功した彼女達。ケイはすぐさま『ケイ』と同じ銃、ルミナス・ノヴァを構えチャージを開始する。
ケイ「チャージします!バフを掛けます!」
ルミナス・ノヴァをチャージして威力を上げる。
キサキ「⋯⋯⋯⋯⋯ほれ、これが必要なのだろう?ケイよ。」
キサキの特徴的な灰色のヘイローが輝いた後、ケイのヘイローに干渉し、ケイを『強化』する。
ブルアカの『キサキ』のEXスキル詔令・格物致知(しょうれい・かくぶつちち)は味方のEXスキルを強化するスキルだが、キサキのEXスキルはそれに加え身体能力高向上、魔力攻撃力高上昇、神秘力超上昇のバフとなっている。
ケイはキサキのEXスキルを『受け取り』このバフによってケイは超バワーアップし、120%以上の火力を出せるようになった。
ケイ「ありがとうございますキサキ。標的を確認。推定デスワームくん。目標までの距離⋯⋯⋯⋯良し!照準補正良し!魔力充填率85、90、95!」
初めての実戦のでチャージした状態で使う為、女神ロアから教わった順序に則って準備している間にデスワームくんが次だと頭を上げてホシノ達に向ける。
ホシノはケイがこの戦いの鍵を握っていると確信している。この巨体を倒せるだけの火力はケイしか出せない。
ケイ「悪を打ち砕く正義の一撃!」
自身に見たこと無い武器で攻撃しようとする捕食対象に殺すのでは無く捕食を優先すると結論を出し、攻撃を無視して捕食しようとする。
そんな光景にヒフミは恐怖する。そりゃそうだろう。自分より遥かに巨大な生物が自分達を捕食しようと向かってくるのだ。最初は回避に専念しようとリソースを回していた為感じなかったが怖い物は怖い。何故恐怖で取り乱して逃げようとしないのか不思議に思うくらい『心は冷静になりつつあった。』
恐怖もあるのにそれでもと前に進もうとするのは何だか前やっていたホラーゲームをやっていた時と似ているなと場違いな考えを持つヒフミ。
ヒフミだけでは無い。クルミやキサキ、ケイ、あまり恐怖していないがそれでも少し感じているホシノ。
何故逃げても無駄だと現実を突き付けられても取り乱さないのか?
それは彼女達の魂に命の危機を感じる時、『冷静になるように』女神ロアが細工をしているからだ。
その事を彼女達は知らない。
ケイのヘイロー、四角い模様が連なった赤白いヘイローが輝いていく。
ケイ「外しはしません!光よ!!!」
放たれた瞬間にデスワームくんに直撃する。その圧倒的な速度、貫通力、衝撃力、そして威力。デスワームくんの防御力はほんの僅かな抵抗しか出来ず、その絶対的な自信は打ち砕かれた。『ケイ』の肉体だからこそ放てる威力。百キログラムは越え反動は数百キログラムはあるであろうレールガンを放つ姿は正しく『侍女』に相応しかった。
そのチャージされたレールガンから放たれたビームと見間違える程に強力なバフで盛られた一撃はデスワームくんの頭の右上に直撃して向こうの景色が見える。続いて遅れて貫通した箇所から周囲の肉も弾け飛んだ。
グラスランド・デスワームは頭部右上を失った。
何か大きな光が見える。
赤と白い色。
昔に自分を脅かした小さい集団の後ろにいた小さいのが持っていたのと似ている⋯⋯⋯⋯⋯けど違う。
なんだろう?何か見たことが無い物が輝いているような⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯?
あれ?一瞬強くひかっ
光よ!!!
ビュン
パァァァァァァァン!!!
あ、あれ?口の一部が無く⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯?
ギイイイイイィィィイイイイイ!!!
なんで?なんで?なんでなんでなんでなんでなんでなんでナンデナンデナンデ!?!?
イタイ、イタイ!!イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ!!!
何が起こって⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯!?
痛すぎて思考が鈍る!ここまで大きくなってから痛みなんて感じた事が無いからここまでの痛みに慣れていないからあまり動けない!
体が吹き飛んだ口が修復しようと再生を開始する。
あの時と違って威力が『高すぎて』熱い所も一緒に吹っ飛んだようだ。
再生していくも不完全な口になった。
体力は大体戻った。
けど、
傷を癒す為に使った生きていく上で大切な生命力が削られた。これがなきゃ傷は直せないし、削られ続ければここまで大きくなった体を維持できずに死んでしまう。
あと二、三発食らうと死んでしまう!
モウホショクハヤメダ。
コロス。
いつだって、いつだってお前達だ。今より小さかった時からずっと小さい集団の後ろにいるのがいつも自分を追い詰める。
コロス!!
グラスランド・デスワームはケイの攻撃を受けて初めて生命の危機を感じた。
これによりホシノ達は捕食対象から殺す存在となった。
第二形態に突入しようとしていた。
女神ロア(よ、良かったです。皆さん死ななくて。)