アトランティスの黄昏   作:アビス・アッカーマン

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6話 ボス戦 グラスランド・デスワーム(3)

ギィィィイイイイイシャアアアアァァァァァァ!!!

(ブッコロス!!!)

 

ホシノ「さぁ第二形態のデスワームくんを倒そう!」

 

ケイ「いつでもチャージ出来るようにします!」

 

キサキ「指揮は任せてくりゃれ。」

 

ヒフミ「いっ、いきます!」

 

クルミ「音量を上げろ!生前葬だ!!」

 

この場にいる全ての者が本格的な戦闘を開始する。

 

先手はデスワームくん。

 

もぞもぞと体を動かした瞬間、口から3メートルくらいある大岩を『ホシノ達の後衛』に向けて発射した。

 

その大岩は地中を移動する時や獲物を捕食する時に取り込んだ土砂を自身の体液で固めた物。それは発射した後に遅れて衝撃波が発生する程の速さを持ってちょうどヒフミが直撃コースにいた。ケイのレールガンの射程内というのもあって割と近くいた(デスワームくんにとって)のが災いした。最初の一撃はデスワームくんにとって自身を脅かす後衛の一人を倒せるまたとないチャンス。

 

ヒフミ(あ、死んだ。)

 

目の前に広がる大岩一色の光景。

 

キヴォトスクオリティの『ヒフミ』の体はこの程度の大岩で死にはしない。戦闘不能になるが命を脅かす程でもない。

 

しかし『中谷 南美』として培った常識が死ぬと直感した。

 

走馬灯さえ見ることなく意識を失う。

 

 

 

もちろんそんな事は起こり得ない。

 

 

 

ガギィン!!!

 

 

 

 

 

 

 

ドゴォォォォォォン!!!

 

 

 

ホシノ「ふぅ、危ないね。」

 

 

暁ホシノがいる限り。

 

ホシノ(いやー出来て良かった。でもまさか体が勝手に動くなんてね。)

 

そう思いながらひやりと背筋が寒くなるのを感じた。

 

『ホシノ』は戦車の砲撃を余裕で弾き飛ばせる。これくらいの事は余裕でできるし、『ホシノ』のリテクスチャで再現可能なのだ。

 

ホシノはこの時に自身の問題点を発見した。体が勝手に動くという問題点。

 

今回は良い方向だったが戦場でこれは良くないと考える。頭より先に無意識に行動する。聞こえは良いがこれは自身の体をコントロール出来ていないのと同じだとホシノは考えている為、この戦闘で克服しようと静かに心に決めた。

 

ヒフミ「あ⋯⋯⋯⋯⋯あり⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯!」

 

放心したヒフミがすぐにお礼を言おうとするが⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。

 

ホシノ「お礼は後!とにかく走って!!」

 

デスワームくんは飛ばした岩石弾が弾き飛ばされるという見たことが無い光景を見せられて一時的に思考が停止したがすぐに岩石弾を連射した。

 

ドゴォン!ドゴォン!とホシノ達の周りに大きなクレーターができる中どうしようかと作戦会議をしていた。

 

クルミ「ちょ!何だよあれ!ヤバすぎんだろ!」

 

キサキ「あ、あやつ、後衛の妾達を優先して狙っておるぞ!」

 

そう、クレーターはキサキ達後衛方面に多数あった。

 

ケイ「もしかして私が原因ですかね!?」

 

ホシノ「そうかもだけどなんかそれだけじゃない気がする!何だか恨みというか殺意というか⋯⋯⋯⋯⋯!とにかく!クルミは私と一緒に後衛を援護して!えぇと、とりあえず弾き飛ばして!」

 

クルミ「お前みたいに盾で弾き飛ばせるわけ無いだろー!!」

 

クルミの絶叫が響き渡る。発射間隔は大体ビナーくんの通常攻撃並。ストックが無くなったら地面を食べて発射、食べて発射、食べて発射を繰り返す。

 

デスワームくんは地中からの攻撃はしない。それは過去に幾度も失敗し手痛いカウンターを食らい続けたからだ。

 

グラスランド・デスワームになるまで途方も無い戦闘を繰り広げ、その時に学んだ人間の恐ろしさ。あの攻撃でやっぱり人間は怖いと思い出し、培った経験でホシノ達を圧倒していく。

 

 

 

そして追い打ちを掛けるように空から奴らがやって来る。

 

それはグラスランド・デスワームだからこそ発生するある事象。

 

 

 

 

クルミ「あれ?」

 

キサキ「どうかしたかえ?」

 

打開策を考えているホシノに指示を任せ、今も飛んでくる岩石弾を走りながら避けているとクルミのケモミミでとある音を受け取る。

 

クルミ「なんか『羽ばたく様な音』が聞こえるんだけど⋯⋯⋯⋯⋯。」

 

ヒフミ「え?聞こえませんけど?」

 

この世界の獣人族は五感が鋭い。その事を知っている女神ロアはクルミの体に五感が鋭くなるように細工をした。獣人族の五感は、まぁクルミ程ではないが。だが、この世界の獣人族よりも鋭いクルミだからこそ誰よりも先にその音を聞き取る事ができた。

 

クルミ「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯いや!聞こえる!『羽ばたく音が』!左から聞こえてくるぞ!!」

 

左手にはデスワームくんが岩石弾を発射していてその奥には山々が生い茂っており、さらに遠くには山脈が見える。

 

ホシノ「え!?」

 

そう言われて今も爆音が鳴る戦場で耳を澄ませてみるもやっぱり聞こえない。

 

キサキ「気の所為では無いのかえ!」

 

クルミ「んなわけねぇだろ!ここまではっきり聞こえてんだぞ!気の所為な訳ねぇだろ!!」

 

ケイ「で、では!その音の正体は⋯⋯⋯⋯⋯?」

 

ホシノ「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。」

 

ホシノが耳がダメなら目で確認しようと視線をデスワームくんの方向に固定しつつ、空に目を向けていると⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。

 

ホシノ「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯え?」

 

多くの黒い点が空にあった。

 

それが段々と近づいていく。

 

 

キサキ「あれは、なん、じゃ?」

 

段々と、はっきりと見えてくる。

 

 

ケイ「ウソ、ですよね?」

 

現実として今ではシルエットが分かるくらいに見えている。

 

 

ヒフミ「ワシ?」

 

それは前いた世界のハゲワシに酷似していた。

 

 

 

大型の魔物の周りを飛行しその魔物のお溢れを狙う習性を持つ鳥類型の魔物、スカベンジャー。全体的に黒と黄色の模様があるこのスカベンジャーの全長は二メートル程あり、両翼の長さは三メートル以上ある。彼等は視力が異常なまでに発達しており遠くの物まではっきりと見える。

 

それこそ山々を越えるほど遠くにいるグラスランド・デスワームの姿を目を凝らさずに見つけられる程に。

 

グラスランド・デスワームは巨大だ。この世界の超大型に分類されるくらいに巨大だ。ワーム系の魔物は普段地中の中に潜んでおり、縄張りに入った地上の獲物を捕食する時くらいしか地面から出ない。グラスランド・デスワームもワーム系の魔物。普段は地中に身を潜めている。

 

 

 

だからこういう現象が起きる。

 

 

 

地上に出たグラスランド・デスワームを自慢の視力で見つけたスカベンジャーが習性で集まり、それが空を覆うほどの大群となってやって来るという現象が発生する。

 

 

 

今も飛んでくるスカベンジャー達は集結しつつある。その数は増加していき五十から百、百から三百と増えていき今では空を覆う程。グラスランド・デスワームの攻撃に巻き込まれないように離れつつホシノ達を喰らうべく襲い掛かった。

 

デスワームくんの岩石弾が周囲を破壊しながらスカベンジャー達を撃ち落としていく。

 

ホシノ「皆!胴体か翼を狙って!的が大きいから一発くらい当たって落ちるから!」

 

混戦の状態の中ホシノは指示を出すが⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。

 

クルミ「うおおおおおお!あっぶねぇ!」

 

『クルミ』のリテクスチャでホシノの次に撃ち落としているクルミはスカベンジャーの掴み攻撃を食らいかけた。

 

それをキサキは援護してスカベンジャーを撃ち落とす。

 

キサキ「このハゲワシを相手にしながらデスワームを倒せるのかえ!?」

 

クルミ「やるっきゃねぇでしょ!!そうしなきゃ鳥葬されてお終いなんだからよ!」

 

※ちなみにスカベンジャーは獲物が生きていると動かなくなるまで何度も地面叩き付けてみんなとパクパクします。

 

惨たらしい死に方は御免だとひたすらに撃ち落としていくがスカベンジャー達は次々と集まっており減る兆しが見えない。

 

さらに。

 

ケイ「あのデスワームくん!相変わらずこっちに岩投げてきますよ!」

 

スカベンジャーがいようといまいと関係無く岩石弾を撃ち続けるデスワームくん。

 

一発撃つごとに岩石弾に巻き込まれて死ぬスカベンジャー数匹はその圧倒的な質量に押し潰されて地面のシミとなっている。

 

だが殆どの岩石弾は当たっていない。何故当たっていないのかというと人が口でアリに野球ボールを当てるようなものだからだ。

 

だが相変わらずスカベンジャー達の波状攻撃は激しく岩石弾が飛び交っている。このままでは持久戦となり負け濃厚となる。

 

ホシノ「埒が明かない⋯⋯⋯⋯⋯⋯!皆聞いて!私はデスワームくんの注意を引くからその間にハゲワシを減らしつつこのまま前進して!あの時言った通りに役割を果たして!ケイちゃん!私の事は構わずにレールガンを撃ってね!」

 

ケイ「な!それでは巻き込まれますよ!」

 

ホシノ「大丈夫!『ホシノ』ならこの程度どうってことないって言うはずだから!」

 

ケイ「うわ〜〜!!分かりました!やればいいんでしょう、やれば!!」

 

ヤケクソになったケイは半ば叫ぶように返事をした。

 

ホシノはデスワームくんの注意を引く為に一人突撃していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キサキ「クルミよ、数が多い左手を牽制しつつ前方を切り開け!頼む!ケイ、撃った後の反動が大きいから指示があるまで撃つことは許さぬ。時を待て!ヒフミよ、お主は妾と共に右手を攻撃しようぞ!」

 

クルミ「お前も俺にめちゃくちゃ言いやがるな!わかったよ!」

 

ケイ「了解しました。」

 

ヒフミ「え、援護します!」

 

キサキの指示でスカベンジャー達を撃ち落としていく。

 

視野が広いキサキは背後からの攻撃にも対応しつつ道を切り開く。圧倒的な物量でこちらを潰そうとするスカベンジャーを相手にする時は魔法使いだけでなく対空手段のクロスボウや弓など人によっては連射が効かない武器を使う必要があるが彼女達はこの世界には無い近代兵器の利点を最大限利用して順調に数を減らしていく。

 

キサキ「閃光盾(フラッシュシールド)を使ってくりゃれ!」

 

クルミ「閃光盾チャージ開始!」

 

キサキ「ヒフミ!閃光盾がチャージしている間はクルミは攻撃できぬ!援護を!」

 

ヒフミ「はい!」

 

数が多ければ閃光盾を使いつつ地面に落とし、少なければある程度無視して進んでいく。

 

これはあくまでデスワームくんを倒す戦い。スカベンジャー達の殲滅ではないのだ。ケイの邪魔になるスカベンジャーわ次々と倒しながら次の指示を出す。

 

クルミ「こっち向けよ!!はい、チーズ!!」

 

 

 

ピカーン!

 

 

 

ギャァァァ!!

 

 

 

『クルミ』の閃光盾による気絶付与はゲーム内だと一人だがここは現実。クルミの構えた方向のスカベンジャー達はその異常に良い目をやられ地面に多数落ちていく。

 

キサキ「今じゃ!全速力で進めい!」

 

今もホシノはデスワームくんのヘイトを引き付けてる。ホシノの前進しろの指示に従い前進していくが当然ミスだって起こる。

 

ヒフミ「すみません!ケイさんの方に行きました!」

 

キサキ「あい分かった!」

 

クルミ「数多すぎ!援護ぉ!」

 

キサキ「今シールドを張る!ヒフミ!ペロロ様の人形をクルミの方に!」

 

ヒフミ「分かりま⋯⋯⋯うわ!」

 

ヒフミの攻撃を躱した数匹はケイに向かって来るがキサキがヒフミの報告にすぐに対応して撃ち落とす。

 

だがヒフミがペロロ人形をクルミの方に投げようとする瞬間、地面に引っ掛かって転倒する。

 

キサキ「ヒフミ!!」

 

マズイ。ヒフミの隙を狙ってスカベンジャー達が押し寄せる。

 

クルミは道を切り開く為、スカベンジャー達の相手をする為に前を向かざるを得ない為援護はできない。ケイは撃とうとするが間に合わない。キサキはシールドを張ったばかりであり減らす為に撃ち続けるが数が多くて処理し切れない。

 

スカベンジャー達がヒフミに掴みかかろうとした⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯瞬間。

 

スカベンジャー「「「「!!!!」」」」

 

転倒と同時にペロロ人形を前方に投げたらしく『偶然にも』ちょうど集まったスカベンジャー達のヘイトを一気に集めた。

 

キサキ、ケイ((そういえばブルアカの『ヒフミ』の演出、転倒しながら投げていていましたね⋯⋯⋯⋯⋯。))

 

ブルアカでは戦闘中に手榴弾と間違えてエ駄死な本を取り間違える生徒やリロード中に誤ってエ駄死な本でリロードしかける生徒だっているのだ。

 

こんな状態で再現しないでくれと前にいるクルミも思っていると⋯⋯⋯⋯⋯。

 

 

ホシノ「ケイちゃん!今だよ!」

 

そう言っているホシノはデスワームくんをレールガンの有効射程内まで引き付けてかつキサキ達に側面を見せるように誘導していた。

 

 

 

 

ホシノはデスワームくんに突撃を行う。自殺行為に等しいがそうでもしなきゃこの状況を打破できない。

 

ホシノが加速していく事に蹴った地面が砂煙を引き起こし深い足跡を残していく。

 

!?

 

まさかの単騎突撃に驚愕しつつもそれならと岩石弾を放ちホシノを潰そうとするが⋯⋯⋯⋯⋯⋯。

 

ホシノ「えい!」

 

ホシノ*テラーになってしまった時に放っていた攻撃を真似して『ホシノ』の愛銃と同じ銃、Eye of Horusに神秘を多く注ぎ込む。

 

高速で向かってくるが関係無いと更に速度を上げて通り過ぎる様に前転して回避する。

 

後ろからの衝撃波で髪を揺らす。それと同時に神秘で強化した銃でデスワームくんの頭に直撃させる。

 

ドゴォォォォン!と衝撃と共に爆音を鳴らすが僅かに傷を負っただけですぐに再生する。それも無視して更に直進して有効射程内に入った瞬間に銃撃を行い少しでも後ろにヘイトが行かないように注意をこっちに向けさせる。

 

 

 

イラ

 

 

 

デスワームくんのストレスが高まり、チクチク攻撃すんな!と最初のように押し潰すような形で捕食しようとするが⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。

 

ホシノ「何処狙ってんのさ。」

 

岩石弾と同様、同じ回避をして懐に飛び込み側面を攻撃しつつ距離を取る。

 

ホシノ(もし寝転ぶようなことをされたらぺちゃんこになっちゃうからね。)

 

 

 

イライラ

 

 

デスワームくんのストレスはマックスに近い。

 

苛立ちを隠しきれずに頭を上げてホシノを光を感じる全身で見下ろすと⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。

 

 

 

ホシノ「ほらこっち来なよ、デスワームくん。いくらでも待つよ。だって君、遅いもん。」

 

 

言葉は分からない。たとえ言葉が分かってもその言葉に込められた意味が分かるわけがない。念話で会話していないんだから。だが、先程の攻撃でストレスが高まったグラスランド・デスワームはホシノを殺す為に躱された捕食攻撃を繰り出すべくスカベンジャー達を巻き込みながらホシノに向かって突撃する。

 

それが罠だと気付かずに。

 

 

 

ギィィィイイイイイ!!!

 

 

 

突撃したと思った瞬間にホシノは走り出す。スカベンジャー達が襲ってくるがその身のこなしで回避して攻撃しそこねたスカベンジャー達がデスワームくんに轢き殺されるのを見届けずに前進する。途中で後ろを見る行為はしない。それはスピードを落とす原因になるし心が怖気づくからしない。

 

怖気づいたら死ぬ。隻狼にもそう書かれている。

 

まだだ、まだだと走っていくと⋯⋯⋯⋯⋯。

 

ホシノ「見えた!」

 

今も指示通りに前進しているクルミ達に感謝しつつケイに発射するように言う。

 

ホシノ「ケイちゃん!今だよ!」

 

 

ケイ「了解しました。援護をお願いします!」

 

キサキ「皆の者!全力でケイを守るのじゃ!」

 

クルミ「分かった!!」

 

ヒフミ「ペロロ様!お願いします!」

 

万が一に備えてケイにキサキのシールドでケイを守り正念場だと気合を込めて指示を出す。クルミは射撃と閃光盾で止まったキサキ達に襲い掛かる邪魔者を時に盾で殴って攻撃を阻止する。ヒフミはペロロ人形でヘイトを一気に集めて少しでも負担を減らす。ホシノはケイの攻撃が充分届くように微調整するというスゴ技を魅せる。

 

ケイ「ルミナス・ノヴァ神秘回路全点接続、エネルギータービン出力解放。出力90、95、100。」

 

キサキ「ケイよ!受け取れ!」

 

ケイ「巻き込まれないでくださいね。光よ!!!

 

再びキサキのバフを貰い最大出力に達したレールガンをぶっ放す!

 

デスワームくんは回避行動を取るがデカすぎる体で思うように出来ず側面のド真ん中に直撃し大きすぎる穴を空けた。パァァァァァァァン!と気持ちが良い音の後にブシャアアアァァァ!と気持ち悪い音をデスワームくんから鳴らす。中の体液や内臓を撒き散らしながら大きな奇声を上げて痛みで溜まった感情を吐き出す。今も体液は溢れ出し緑豊かな草原を汚す。スカベンジャー達は今の攻撃で恐怖を覚え、あの巨体に大穴を空けたケイに恐れおおのいてキィィィィ!キィィィィ!と甲高い声を上げながら逃げていく。

 

皆は勝負あったと確信したが⋯⋯⋯⋯⋯。

 

ホシノ「ケイちゃん!トドメを刺して!」

 

その慢心をホシノは許さない。手負いの獣はとても危険だと知っているホシノは油断せずケイに指示を出す。

 

ケイ「!分かりました!次が最後の一発だと思ってください!」

 

いくら神器といえど最大出力を短時間で連続で出すことはできない。過加熱で撃とうとしても引き金を引けないからだ。

 

だが今の状態なら余裕で限界以上の火力を放てる。

 

キサキのバフはまだ継続している。

 

邪魔者は減りつつある。

 

標的は激痛で動けない。

 

今この瞬間しか無い。

 

ケイ「チャージします!バフを掛けます!ルミナス・ノヴァの出力95、100!ルミナス・ノヴァ制限(リミッター)解除!!100、110、115!ルミナス・ノヴァ最大出力!」

 

これまで放った攻撃以上の輝き。ケイのヘイローはより一層赤白い光を帯びていく。これからの未来を切り開かんとするルミナス・ノヴァは外に放流する程の神秘を纏い赤と白の幻想的な希望の光を灯す。

 

グラスランド・デスワームは死の光を見せられて逃げ出そうとするが⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。

 

ホシノ「逃さないよ。」

 

冷徹な声音が伝わった瞬間に見たのは折り畳められた盾を大きく振りかざすホシノの姿。

 

ホシノ(周囲にまだハゲワシがいて良かった。)

 

なんとホシノは恐怖で停滞していたスカベンジャーを飛び台にして飛び移ったのだ。正確に位置を把握しその女神ロアによって作られた驚異的な身体能力で飛んでいる生物の上を飛び移りながら巨大な生物の上に陣取る。

 

それは絶技であった。

 

ホシノ「ゴメンね、私たちも生きたいからさ。」

 

そう小さな謝罪をしながらも攻撃の前動作はやめない。別にトドメを刺さなくても良いんじゃないかと心の何処かで思っている。だがもう合うことは無いと誰が言い切れるのか。もし自分達が仕留め切れずそれが原因で他人に大きな被害が出たら⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。

 

一生ホシノは自分自身を許したりしないだろう。

 

盾を後ろに溜める。振り下ろす動作の為に全身を使って体勢を整える。。

 

グラスランド・デスワームは激痛と目の前の光景に唖然として動くことを忘れた。

 

ホシノ「ふん!」

 

 

 

ドン!!

 

 

 

!?!?!?

 

 

一気に振り下ろした盾と接触したデスワームくんの頭部が陥没するほどの威力、その頭部が一気に沈む程の衝撃に一瞬だけ気を失う。

 

 

 

ホシノの暁的殴打によって命運を分けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ああああああああアアアアアアアアアアアア!!!

 

何故だ!?何故自分の命を奪う!?

 

自分は唯生きていただけだ!食べて寝て生きる!それが自分の全てなのにまた!?またお前達小さいのは奪うのか!?いつもそうだ!縄張りに侵入して自分の命を奪おうとする!私は唯縄張りを広げて小さい奴らのさらに小さいのを多く食べていただけなのに!お前達は同類の縄張りに入り込みそして同類をひたすら殺し続ける!お陰でとばっちりを受けて死にかけるし縄張りが小さくなったんだぞ!だから小さい奴らに殺されない為に大きくなった!今ではもう脅かされない程に!そんな時に突然降って湧いてきた訳のわからない存在に殺されるのか!ふざけるな!今日この日が『死ぬ定め』だとでも言うのか!

 

 

 

 

光よ!!!

 

 

 

イヤだ!イヤだイヤだイヤだイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤ!!!

 

 

 

 

 

死にたくな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その思考と共にグラスランド・デスワームの頭部は完全に吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

 

You hunted

 

 

 

 

 

 

 

 

女神ロア(これがあなたの運命ですよ。)

 

 

 

 

 

 

 

皆で(ホシノは後で合流する)デスワームくんの最期を見届けていると⋯⋯⋯⋯⋯⋯。

 

クルミ「あれ?そういえば⋯⋯⋯⋯⋯。」

 

キサキ「どうかしたかえ?」

 

クルミ「ミミズって死んだ後はのたうち回るんじゃなかったっけ?」

 

キサキ、ヒフミ「「え?」」

 

では例のBGMを。白目が似合う生徒を思い浮かぶあの曲を。

 

 

 

グラスランド・デスワームは討伐難易度が限りなくSに近いAランクだ。

 

これは討伐した『後』も含まれる。

 

よく言うだろう。

 

家に帰るまでが遠足だと。

 

ピクピクと体を震わせたデスワームくんは一瞬止まった。

 

まるでこれから何か大きな事が起こる前に辺りが静まるように。

 

ヒフミ「あ、これマズイですね。」

 

 

 

 

ドォン!!!

 

 

 

ヒフミの髪をデスワームくんの体で揺らす。振り下ろすような形で。

 

 

ブワァァァァァァ

 

 

ホシノ「逃げろーー!!」

 

ドォン!!ドォンドォン!!  ドォンドォンドォンドォン  ドガーン!!ドォンドガーン!ドォン!!ドォンドン!! ドォンドォンドォン!!!  ドォン!!ドォンドォン!!

 

ヒフミ「きゃああああ!!」

 

ホシノ「右!右に行ってーー!!!」

 

クルミ「ざっけんなや!ミミズ風情が!!ふざけんなー!!!」

 

キサキ「文句言ってないで走ってください!!」

 

ケイ「潰されるなんてイヤです〜〜!!」

 

まるで死んだとしてもお前達を殺してやると言わんばかりに暴れまわりここ一帯を更地にしたという。




女神ロア(皆さん!頑張って走ってください!援護します!)


戦技 黄昏砕き

空中へ跳躍し、神秘が込められた変形前の大盾を
対象へ思いっ切り、叩き付ける戦技
それはホシノ独自に生み出した暁的殴打である
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