殺せんせーの教え子たち   作:宇津木 沙坂

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Cクラスの反省会

 同じクラスで、同じ男子で、同じくらいの重症だったので。

 カルマと龍園は、同じ部屋で横になっていた。

 

「…………何でお前なんだよ」

「………知るかよ」

 

 常とは違い、赤羽業の返事が、余りにも弱々しいので。

 龍園は、驚いた。こいつ、こんなふうになるのか。

 

「………はぁ、もっとやりようは無かったのかよ」

「…………お前にだけは言われたくない」

 

 それを言われると、龍園としては黙るしかない。

 スパイ作戦は流石に無謀だったし、向こうみずだった。実際、Bへの潜入は一切うまく行かなかったし、Aも、ひよりでなければ逆に利用されていた可能性が高い。

  Dに関しては、まさか山内春樹にしてやられるとは。

 幸村輝彦も、池寛治も、予想を遥かに超える難敵になっていた。………たった1ヶ月で、ここまで。

 

「……………認めんのは癪だが、お前のお陰で、首の皮一枚繋がった。感謝、する」

 

 もし、赤羽業が、動かなかったら。

  Dクラスとの差は、おおよそ300CPは離れて、昇格されていた。

 他クラスとの差は、もはや考えたくもない。

 

「この特別試験で、致命傷を負うとこだった」

 

 敗因は、間違いなく。

 

「───………俺の能力不足、それに加えて、 Dクラスへの、執着。そんで、お前への、恐怖」

 

 単純に、龍園翔の能力が、そこまで至っていなかったこと。

  Dクラスのリーダーを当てることに執着して、視野が狭くなっていたこと。

 そして、自身を脅かす、赤羽業に、恐怖を、抱いていたこと。

 入学初日。

 このクラスの王になるために、一番の難敵だと判断した赤羽業に、喧嘩を売って、一方的に打ちのめされたとき。

 それまでの龍園翔だったら、何度も何度も何度も何度も、挑み続ける筈なのに。

 赤羽業には、挑めなかった。

 

「────………認めんのは、ほんとに、癪だが。

 お前には勝てねぇって、そう思っちまった」

 

 本当は、安心していた。

 こいつが、俺の邪魔をしないって、契約を結んだ時に。

 その時点で、きっと俺は───。

 

「………はっ。情けねぇよなぁこんなん」

 

 最後に仕留める?馬鹿を言え。

 んなもん、理由つけて逃げ回ってただけだ。

 

「…………やけに弱気だね。ちょっとキモイよ」

「………今のオメェにだけは言われたくねぇがな」

 

 完膚なきまでの敗北と、赤羽業に尻拭いされた屈辱。

 それらが合わさって、過去一番にナーバスになっている自覚こそあるが、隣で寝るこいつは、それ以上なように思える。

 ………あの二人も倒れたのが、そんなに効いたのかよ。

 

「………俺も、まだまだだったね。

 あの二人のことを、全然読みきれてなかった」

 

 椎名ひよりと、奥田愛美。

 二人の行動力を、完全に読み違えていた。

 ───全く、笑えない笑い話だ。

 

「…………俺は、リーダーを降りる」

 

 龍園のその言葉に、赤羽業としては、納得しかなかった。

 負けるのは、予定通りといっていいが。

 ここまで酷い負け方は、些か、予想外だ。

 ────だが。

 

「酷なことを言うけど、認めないよ」

 

 苦虫を数百匹、まとめて噛み潰したような顔で、龍園翔は赤羽業を見つめた。

 

「お前にはまだ、そこに居てもらう」

 

 ───それは。

 今の龍園翔には、何よりも残酷な通告だった。

 

 

「…………げっ」

「あっ、伊吹さん。ご機嫌いかが?」

「………たった今、最悪になったわ」

 

 櫛田桔梗と、伊吹澪は、たまたま偶然、遭遇した。

 

(…………この女が、私を気絶させたカラクリは、何も分かってない)

 

 可能な限り、最大限の警戒を抱きながら。

 ただ、それがどれほど効果があるのか、全くわからない。

 そんなふうに身構える伊吹に、桔梗は笑いかけた。自然と近づくが、桔梗が一歩詰めるごとに、伊吹は一歩下がってゆく。

 

「あははははは。そんなに警戒しなくても、あの日みたいなことはしないよ」

 

 しかし伊吹は、桔梗を睨む目をやめない。

 全く怖くない。怖くないが。怖くないから、恐ろしくて、堪らないので。

 それは、まるで、天敵に精一杯威嚇する小動物のようだった。

 

「…………っ、もう、いいでしょ」

 

 振り払うように、その場を後にして、振り向いた先の角から、堀北鈴音が、現れた。

 

「こんにちは。伊吹さん。少し、お話しましょうか」

 

 前門の(堀北)、後門の(櫛田)

 

「あんたら絶対待ち構えてたでしょ!」

 

 心から、伊吹澪は叫んだ。

 しかし、前から鈴音が、後ろから桔梗が、ゆっくりと、距離を詰めてきた。

 

「な、何、何なの⁉︎あ、謝るから近付かないで!」

 

 前よりも後ろを圧倒的に恐れながら、そんなことを叫んだ。

 すると二人は立ち止まる。

 立ち止まって、殺気だけをぶつけてくる。

 

「………ねぇ、伊吹さん」

 

 気付けば、懐に櫛田がいる。

 後ろに飛び退こうとしても、壁しかない。

 

「───赤羽くんに、伝言を頼みたいの」

 

 堀北鈴音のその声は、薄暗い廊下に、嫌によく響いた。

 

 

 体調も万全になったので。

 椎名ひよりは奥田愛美と共に、お茶会を楽しんでいた。

 

 本を片手に優雅に紅茶を嗜むひよりと、両手で包み込むように持ちながら、一口ずつ飲む愛美。

 二人が考えるのは、同じ男子。

 

「……何というか」

 

 ちらっと。本当にちらっと見た限りでは、見たことないぐらいに憔悴していたので、気まずくなって、顔を出せなかったが。

 よくよく考えると、これはこれで。

 

「………カルマくんには申し訳ないんですけど、ちょっとだけ、嬉しいかもです」

 

 奥田愛美のそんな言葉に、椎名ひよりは落ち着き払った様子で紅茶を置いた。

 

「………まぁ、その。石崎くんが言うには、ボロボロなのに会いに行こうとしていたぐらいなので、その、私たちの想像以上に、大切に思われているようですね」

「………みたい、ですね」

 

 二人は再び、無言になる。

 ちなみにさっきからひよりは一頁も進んでいない。

 

「………そろそろ、お見舞いに行きます?」

 

 まぁ、その。心配、ではあるのだ。多分、お互いに。

 それはそれとして、気恥ずかしさが勝つというか。ちょっと会うのが怖いというか。

 巻き込まないように動いたり、毒を盛ることはなかったりしたのに、二人は結局自分から毒を飲んだわけで。

 ちょっと、その、怒られそうで怖い。

 

「……まぁでも、そろそろ行くべきでしょうね」

「じゃあ僕もついていっていいかな?」

 

 突如二人に割り込んでくる男子。潮田渚に、二人は驚いた。

 

「────色々と、話しておこうかなって」

 

 とても。そうとても穏やかな笑みなのに。

 とても、恐ろしい。

 

 渚としては、毒を盛ったことそのものに、そこまで怒っているわけではない。いやまぁ怒っていないわけではないのだが。それよりも。

 自分を大切にしなかったことに、一番怒っている。

 確かに、自分も毒を食べるのなら、怪しまれないだろうが。単純計算で通常の四倍は摂取したわけで。

 まぁ、それだけ重症ならば、疑われることは無いだろうが。

 

(………まぁ、あの時は、停学中だったっけ)

 

 E組の百年は語り継ぐべき伝説の一つ、『渚の自爆特攻&殺せんせード怒り事件』を思い返した。

 

「………その、今は、そっとしておいた方が」

「は、はい。酷く憔悴していたので」

「……あぁ。それはほっとけば勝手に治ると思うけど………まぁ、二人がそういうなら、辞めておいてあげるよ」

 

 ──さて、本題に入ろう。

 

「僕たちに盛られた毒なんだけど、何だか夏休みのスモッグさんのやつに似ている気がしたんだよね」

 

 奥田は図星を突かれたのか、露骨に肩を竦ませた。

 

「───僕の知る限り、再現できる人がいるとしたら、奥田さんなんだけど」

 

 観念したのか、奥田愛美は素直に話した。

 

「………はい。私が、作りました」

 

 なるほど。ならば。

 

「お手入れが、必要だね。奥田さん」

「待ってください。私も共犯です」

 

 嘗てのお手入れを思い起こしながらも、椎名ひよりは奥田愛美と共に、罰を受けることにした。

 

「………分かった。じゃあ、カルマに伝言を頼むね」

 

 それはつまり、とっととお見舞いに行ってこい、とのことなのだろう。

 

 諦めた二人は、重たい足取りで赤羽業の元に向かった。

 

 

 部屋の前で、二人は浅野学秀に遭遇した。

 

 二人に気付いた浅野は、爽やかな笑みを浮かべた。が、正直とても怖い。

 

「………やぁ椎名さん。無人島試験では、世話になったね」

「……それは、私のセリフです。その、兎は、どうなさるのですか?」

「あぁ。ちゃんと帰したよ。野生で生きているんだから、野生に帰さないとね」

「……まぁ、ですよね」

 

 少し名残惜しそうだが、ABクラス女子は同じくらい名残惜しそうだった。

 さて。

 

「………赤羽に伝えておきたいことがあるんだが。

 君たちに伝言を残した方がいいかな?」

 

 浅野の伝言を受け取った二人は、船から降りた後のことを考えて、心からゲンナリした。

 

 

「………はっ、俺の成長に期待でもしてんのか?だったらそんなの、時間の無駄だ」

 

 常からは考えられないほど卑屈であり、それほど敗北が龍園に傷をつけたのだと伺える。

 だが、赤羽業も決して譲らなかった。

 

「……あぁ。今でも期待している。お前が俺に勝てるかもしれないところまで来ることを」

 

 ………無理だ。

 赤羽業を超える?

 そんなこと、出来るわけがない。だって最初から諦めているのだから。

 

「……………、俺は、初日にお前に負けた時からもう、お前に勝てないって思ってた!

 それでも、それを認めちまえば、俺の今までを否定することになるから、どうしても、認められなかった………!

 弱さを受け入れることもできない、本当に弱っちい奴なんだよ!」

 

 山内春樹は、そうじゃなかった。

 自分の弱さを受け入れて、その弱さを武器にした。

 ───その強さを、龍園は持てないと思っている。

 

「──いいや。お前はもう、それを持っている」

「………はぁ?」

 

 だって、本当に、赤羽業に勝つことを諦めていたのなら。

 

「どうしてひよりさんを突き離さなかった」

「、何、言って」

「ひよりさんが俺に情報流してたことぐらい、分かってただろ」

 

 ………そう。

 それぐらいは、分かっていた。

 

「本当に、俺が怖かったなら。

 俺に勝てないと、そう思ってたなら。

 ひよりさんを、突き放してた」

 

 そう。ひよりをそばに置く限り、赤羽業の影は、必ずついてくる。何をしても、どれだけ怖いと思っていたとしても。

 

「ひよりさんをそばに置く限り、お前は俺から離れられない」

 

 だから、本当に怖いなら、突き放していたのだ。

 ひよりの知恵を借りることなどせずに。

 

「───なのにお前は、ひよりさんをずっとそばに置いていた。

 なんでだ?」

「そ、れは───」

 

 その可能性に思い至っていなかった?

 そんなわけがないだろう。

 この男ならば、それぐらい分かる。

 

「───お前は、ひよりさんを通じて、俺を動かそうとしてた。俺がどんな風に動くのかを、見極めようとしていた」

 

 それは、つまり。

 

「お前はずっと、俺を理解しようとしていた」

 

 分からないから。理解できないから。怖い。

 だから、理解しようとしていた。

 赤羽業を理解して、最後に勝つ為に。

 

「────自分に嘘をつくなよ、龍園翔。

 お前は最初から、俺に勝てないと諦めてたわけじゃない。俺に勝つ為に、俺を理解しようとしていた。

 だからお前は、諦めてなんか、いなかった」

 

 その言葉は。

 龍園翔を、大きく揺さぶった。

 

「───………お前は、自分で思ってるより馬鹿だし、視野が狭いけど」

 

 山内春樹に騙されるぐらいには、視野が狭いけれど。

 

「それと同じくらい、諦めが悪い」

 

 ────そう。

 龍園翔は、諦めが悪いのだ。

 

「たった一回の敗北が何だ?卒業まであと二年以上ある。

 最後に勝てればいいだけだろ?

 だったら、後十回二十回負けようと、どんだけ泥に塗れようと、どんだけ屈辱を味わおうと、勝つ為に戦い続けろ」

 

 そうして。

 最後に。

 

「俺が、お前の前に立ち塞がってやる。

 浅野くんを、綾小路を、渚を、堀北さんを櫛田さんを茅野ちゃんを一之瀬を坂柳を葛城を乗り越えた先に、俺がいてやる。

 ───俺はお前にとっての、最強の敵であり続ける」

 

 悪魔とは、また少し違う。

 龍園翔は、その赤羽の笑顔に。

 知らない怪物(殺せんせー)を、幻視した。

 

「────殺せるといいな!卒業までに(殺せるといいですね。卒業までに)

 

 そんな発破を受けて。

 龍園翔は、殺る気を漲らせた。

 

「─────はっ!首を洗って待っとけ、赤羽業!

 卒業までに、必ず!」

 

 まるで、嘗ての三年E組のように。

 

「───お前を殺してやるよ!」

 

 龍園翔の、そんな宣言を聞いて。

 赤羽業は、笑い声を漏らした。

 

 

 

 さて、二人がある程度落ち着いた頃。

 ノックの音が響いたので、部屋に入らせたところ。

 

「───愛美さん、に、ひより、さん」

 

 奥田愛美と椎名ひよりが、特に問題はなさそうに佇んでいるのを見て。赤羽業は、露骨にホッとした。

 龍園翔は、信じられないものを見る目を向けた。

 よもやこいつ、二股してるのか───?

 

「…………二人とも、何で毒なんて飲んだの?」

 

 責めるような、あるいは拗ねるような問い掛けに、奥田は曖昧に笑い、椎名は気まずげに目を逸らしながら、それぞれ答えた。

 

「…………その、こうすれば疑われないと思ったので……」

「…………その、カルマくんも、飲んでましたし」

 

 その後、開き直るように、椎名ひよりは逆に質問した。

 

「────どうして、カルマくんは私たちには毒を盛らなかったのですか?」

 

 その質問した後で、椎名ひよりは失敗に気付いた。

 

(────もしこれで、大切だったからとか答えてきたら……)

 

 嬉しさのあまり、ちょっとまずいことになるかもしれない。

 

「あっ、その、えっと。今の質問は、その、取り──」

「……ひよりさんは、何でりんごをあげたのか、分かってると思ったんだけどな」

「……………それは、その」

 

 思わず取り消そうとして、それより早く、カルマの返答が帰ってきた。帰ってきてしまった。

 りんごを受け取った瞬間何を考えていた(特別扱い嬉しい)のかを思い出してしまい。

 椎名ひよりは赤くなって座り込んだ。

 慌てる赤羽業と奥田愛美。

 

「ちょっ、赤いよひよりさん!熱とか、まだ残ってたんじゃない⁉︎」

「そ、そんな!あれはもう効力を無くしているはずです!」

「じゃ、じゃあ別ので風邪引いたってこと⁉︎」

「そ、その可能性が高いです!医務室行きましょう!」

「…………違うんです………違うんです………」

 

 俺は何を見せられてるんだろうな。

 龍園翔は、目の前で繰り広げられるコントを見て、そんなことを思った。

 

「…………あー。ドタバタしてるところ悪いんだけど、良い?」

 

 顔を出した伊吹の言葉に、赤羽と奥田は食い気味に答えた。

 

「今はダメ!ほらひよりさんは捕まって、医務室まで支えるから!」

「カルマくんは寝てて下さい!まだ万全じゃないんですから!私が運びます!」

「………違うんです…………違う………違うの……そうじゃなくて、その」

 

 もうここまで来たらちゃんと話さないとダメだと思ったのか。

 顔を赤くしながら。鼓動を高鳴らせながら。椎名ひよりは、言葉にする。

 

「…………カルマくんに、特別だと思われてて、その、嬉しいって、考えてたんです」

 

 伊吹は驚いた。

 何故いきなり告白劇が始まったのだろうか。

 

 龍園は呆れていた。

 こいつらは小学生か?

 

 赤羽は固まった。

 え、え、つまり、え?

 

 奥田は納得した。

 

「────なんだ、椎名さんもそうだったんですね!」

 

 伊吹は驚愕した。

 これが音に聞くちょっと待ったコールか?

 

 龍園はもはや楽しんでいた。

 さぁ、赤羽はどうする?

 

 赤羽は納得した。

 なんだ、そういうことか。

 思ったよりも大切な存在だと思っていることがバレたから、恥ずかしがっていたんだな。

 それはそれとして、認めるのは自分も恥ずかしいので。

 

「────別に特別扱いしてたわけじゃないし」

 

 伊吹は心から驚愕した。

 いや小学生男子か⁉︎

 

 龍園もまた度肝を抜かれた。

 小学生のガキかよコイツ。

 

「えぇ⁉︎何だかカルマくんに大切に扱われてて嬉しかったのに!」

「いーやそんなことないね。二人に盛らなかったのはただの気紛れだから!」

「嘘です!カルマくんは嘘をついてます!ですよね椎名さん!」

「……………………嘘をつく人は、嫌いです」

 

 小学生のように、拗ねるように、顔を背けながら。

 椎名ひよりはそう言った(誤魔化した)

 

「…………………いや、その、別に、その。

 ───あぁもう!二人を傷付けたくはなかったし、傷ついて欲しくなかったの!

 これで良い⁉︎」

 

 伊吹澪と、龍園翔は。

 赤羽業は、超ド級恋愛初心者(情緒小学生男子)だと、結論付けた。

 

 

「はぁ、そろそろ良い?」

「…………何だよ」

「……堀北と…………櫛田から、伝言。『赤羽くんと、共犯者の二人には、船から降りた後、丸一日かけたお手入れを行います。逃げないように』、だってさ」

 

 伊吹の伝言(死刑宣告)を聞いて、三人は震え上がった。

 ───一体、どれほどのお手入れを?

 

 しかし、それだけではない。

 

「えっと、その、実は渚くんからも、伝言が、ありまして………」

 

 カルマとしては聞きたくはなかったが、聞かないと後が怖いので。奥田の伝言に、耳を傾けた。

 

「『船を降りたら、共犯者だって言ってきた二人も含めて、丸一日お手入れするから、逃げないでね』、だ、そうです」

 

 二度目の、伝言(死刑宣告)

 

「実は、その、浅野くんからも、伝言がありまして………」

 

 気まずげな、椎名の言葉を聞いて。

 赤羽業は、絶望した。

 

「『夏休みの間に、丸一日かけたお仕置きをしてやる。覚悟しておけ』とのことです」

 

 椎名ひよりと奥田愛美は、浅野学秀のお仕置きには、自分たちは含まれていないことに、心から安堵した。

 

 赤羽業、『悪魔の三日間(スリーデイズ)』。

 

 さぁ、おもちゃになるときだ。

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