直接的なゴールインはしていないからセーフ‼︎
俺は、目の前の店が何の店なのか、理解したくなかった。
なかったが。
「へぇーこんなお店あるんだね。知らなかったなぁ」
「教えてくれた赤羽くんに感謝ね」
鈴音と桔梗はとても興味深げだ。
嘘だろう?ここ『兎の園』はバニー専門店だぞ?
おいカルマ、これはかなりダメだろう。
「はいはい。文句はいいから行ってきてね。あ、俺はもう入るのごめんだから、三人だけで入って」
「────ダメだろ」
「何が?」
俺と鈴音と桔梗だけで密室で、二人はバニーガールなんだろう⁉︎
俺とても美味しく頂かれるぞ⁉︎
草食獣の皮を被った肉食獣なんだぞバニーガールは‼︎
「来てくれカルマ‼︎」
「い〜や〜だ〜」
電柱に捕まって必死に踏み止まる?(掴み止まる?)カルマを全力で引っ張る。
くそ。力強いな。
とか思ってたら、桔梗が少し悲しげに声を掛けてきた。
「………そっか、清隆は、嫌なんだね」
「当たり前だろうこんなの殆どコンセプトラブ──」
「それ以上いけない」
ありがとうカルマ。
R17.9がR18になるところだった。
鈴音も続いて、悲しげな顔と声で。
「………仕方ないわ。清隆くんが嫌がることはしたくないもの」
「うん。そうだね。仕方ないよね。
「いや、それは別に──」
「言質取ったわよ」
「取れてないだろ‼︎」
三人でいるのは嫌じゃないが‼︎
ここに入るのが嫌なんだ‼︎
「くっ、中々折れないわね。しょうがない」
鈴音は、徐に顔を近付けてきた。あ、鈴音のやつディープキスで眠らせるつもりだ!
咄嗟に両肩を掴んで止める。
流石に、流石に!この部屋で三人きりはダメで───。
「よくやったわ桔梗さん」
「波長ブレブレだったから突きやすかったよ」
カルマは、寒気すら覚えた。
これは選択をミスったか?もしかして今日、綾小路は大人の階段を登ってしまうのでは?
…………まぁ良いか。
「んじゃ、綾小路のゲーム機で遊んでくるね〜」
「はーい。紹介状ありがとー」
「潮田くん達にもお礼を言っておいて」
スペアキーは借りているし、今日一日は、ゲーム三昧だ。
何せ、今日は土曜日なのだから。
意識を取り戻した俺は、すぐさま飛び起きようとして。
頭を柔らかい感触が包み込んだ。
「あ、起きた」
「おはよう。よく眠れたかしら?」
柔らかい感触の正体は、桔梗の胸だった。
後頭部で感じているこの感覚は、成程、桔梗の膝枕か。
成程、波長を読み取って起きあがろうとしたから、覗き込もうとして。その体制だったから、俺は頭から胸に飛び込む形になったのだろう。
よし、取り敢えず冷静に、二人から目を逸らそう。
咄嗟に転がりながら、走り、扉を開けようとして。鍵がかかっていることに気付いた。
壁際で立って、視線を壁に向ける。
「ありゃ、感想聞きたかったのに」
「ね。せっかく着たのに」
少しは躊躇ってくれ。
一瞬視界に入った黒いバニーガールの鈴音と、白いバニーガールの桔梗が脳裏をよぎり。
すぐさま頭を振って追い出す。
「ほれほれ清隆ー?こっち見てよー?」
「そうよ。ここはそういう場所なのよ?写真もちゃんと撮りなさい」
「嫌だ」
俺の理性に従って、壁際からは絶対に離れない。
少しでも視線を向けて仕舞えば、それどころか写真なんて撮ったら、完全に終わる。
俺のサイドエフェクト、じゃなかった理性がそう言っている。
「しょーがないな〜。えいっ!」
やめろやめてくれ背中から抱きついてこないでくれ。
背中に当たっているんだ!その柔らかい感覚が!
「ふっふっふっ。当ててんのよってやつ?……………思ったよりも恥ずいな」
恥ずかしいなら離れて………。
お願い………。
とか思ってたら、左耳に息を吹きかけてきた。
思わずまで背筋が震える。
「───ひぇ」
待って変な声出たもうやめてくれ鈴音!
「───振り向かなかったら、舐めちゃおうかしら?」
背筋を震わすウィスパーボイスで、空恐ろしいことを脅迫してくる。
舐める?耳を?耳は舐めるところじゃありませんよ?
「良いねそれ。私も────舐めちゃおっかな〜〜〜。───ふぅ〜」
再び背筋どころか全身が震えた。
本当に勘弁してくれ。膝が笑ってきたぞ。
崩れ落ちたら全てが終わる。
そうだ!あの日みたいに、いっそのこと眠らせれば!
ひらめきに従い、まずは手強い桔梗から落とそうと、壁際から離れて、桔梗と向かい合い。
止まる。
桔梗から、目が離せない。
谷間を強調する白いバニースーツと、肩を完全に出したノースリーブに、鼠蹊部をギリギリで隠して、太腿を引き立たせている上に、網ストッキングが、あまりにも扇情的で。
いつの間にか、桔梗にキスされていた。
「───んぐっ⁉︎」
「───ん、んぅ」
あ、まずい。先手取られた。
咄嗟に反撃しようとするが、反撃の芽は悉く潰されて、蹂躙される。
「───んぇ、ぅん」
「───う、ぁ」
やむを得まい。いつかのように、下腹部を押し込もうとして。
鈴音に両手を後ろで固められた。
「───それは、ちょっとずるいもの。禁止よ」
ちくしょう。鈴音からやるべきだった。
意識を失う寸前で、桔梗は暗殺をやめた。
「───ぷはぁ」
銀色の糸が、ぷつりと切れる。
力が抜けて、へたり込みそうになり。
二人に誘導されて、ベッドに仰向けに寝転がされた。
…………ベッドまであるのかよ。
今度は鈴音が、俺に馬乗りになる。
この姿勢は、凄くダメじゃないか?
そんなどうでも良いことを考える思考は、視界を占有する鈴音の姿に、吹き飛ばされた。
鈴音の細くも美しいボディラインと、一定以上はある胸が、バニースーツで強調されて。
鍛え上げられた美しい脚線が、網タイツにより淫靡にラッピングされ。
鼠蹊部をギリギリのところを隠す下半身に、視線が吸い込まれそうになって。
湯だった脳みそを、鈴音が、ディープキスで追撃してくる。
「───ん、んぅ……………」
「んんぅ、はぁ、んぅ………」
もう殆ど反撃も出来ない。
飲み込まれるように、俺の舌は蹂躙され、歯茎はいじめ倒され、意識は飛び掛けて。
「そこまでだよ。これ以上は失神しちゃう」
「…………はぁ、勿体無いわね」
「………はぁ、………はぁ、…………はぁ」
あぁ、やばい。
頭がクラクラする。どうにかなってしまいそうだ。
身体中を熱が駆け巡っていて、本能に従ってしまいそうだ。
あぁでもそれでも良いのかもしれない。
ほら、据え膳食わぬは男の恥って諺もあるし。こんなの据え膳どころじゃない。強いていうならあれだ、鴨が鍋と葱背負って葱を輪切りにして、鍋に出汁を入れて、自身も食べやすいように調理して、鍋を火にかけているところだ。
もう良いよな。心ゆくままにごちそうさましても良いよな。
俺の天使は、日野先輩の姿をしていた。
『ダメです。綾小路くん。辛いのは分かりますが堪えて下さい。まだ答えを出してはいないでしょう』
俺の悪魔は、殺せんせーの姿をしていた。
『ヌルフフフフフ。良いではありませんか。お二人もここまでしてきたんですよ?手を出さないのは、逆に失礼ですらあります』
今の所悪魔が圧倒的に優勢なんだが。
頑張ってくれ日野先輩。
『良いですか綾小路くん。このままだと告白への返事もしていないのに流されて三⚪︎する最低クズ野郎になってしまいますよ?それで彼女達の隣に立てるのですか?』
ありがとう日野先輩。
俺、目が覚めたよ。
『───何を仰いますか日野くん。良いですか綾小路くん。愛ですよ。愛。それさえあれば、全ては肯定されるのです。あなたが二人を愛するのなら、三⚪︎だろうが何の問題もありません』
『教え子を悪魔の道へと導くのが教師の仕事ですか殺せんせー!』
『しかぁし!時には悪魔の道こそが正道となるのです!』
天使と悪魔が相争っている。
よし、これに意識を集中させよう。
目の前の二人から目を逸らすんだ。
とか思っていたら、二人もベッドに寝転んで、鈴音は右、桔梗は左に横になった。
「清隆、こっち見て」
言われるがまま桔梗の方へと視線を向けると、桔梗が伸ばした左手には、レンズをこちらに向けた一眼レフ。
シャッターが切られる。
…………不味い写真が撮られたな。
誰かに見られたら否定できない。
「ほら清隆くん。次は私よ」
もう半分くらい諦めながら、鈴音の方へと視線を向ける。
さっき桔梗から受け取ったカメラで、再びの同衾自撮り。
あぁ、堀北先輩に見られたら、絶対に殺される。
とか思っていたら、今度は俺に一眼レフを持たせて。
「ほら、私を撮りなよ」
「いいえ、私を撮りなさい」
二人の誘惑攻撃が、来た。
無理だ。選べない。
なので、ふらつきながらも起き上がって、二人を纏めて撮ることにした。
あれ?なんで俺撮ること了承しているんだ?
………まぁ、いっか。
俺の意図に気付いた二人は、鈴音が仰向けで、両手を頭上に放り出して。桔梗は顔と足を逆にして、両手で胸を強調するように抱えながら。
俺は上の視点から二人を纏めて写真に撮っていた。
まずは、鈴音の写真をたくさん撮っていく。
ベッドに腰掛けて脚を組んだり、上半身だけを寝かせて、下半身を立たせたり、ソファに移動して寝そべったり、とにかくいろんな写真を納めていく。
今度は、桔梗の写真を積極的に撮っていく。
ベッドの上でさまざまなポーズを取る桔梗を、カメラに収めていく。
鈴音はソファで観戦していた。
…………もし本番が始まったら、乱入してくるだろう。
「どう?私、魅力的?」
「あぁ、とても、魅力的だ………」
自然と声は熱に浮かされている。
桔梗はとても嬉しそうに笑いながら、腕を頭上でクロスさせたり、片肘を立てながら、足をパタパタさせてみたり、扇情的で悩殺的なポージングを取り続けていく。
俺は、無意識のうちに、どんどん近付いていく、と、
やがて、俺は再びベッドに片膝を付く。
桔梗もあっさりと受け入れた。
どんどん俺と桔梗の距離は縮まっていく。
やがて、俺は桔梗に馬乗りになった。
桔梗は、期待と、それから歓喜とに瞳を濡らしながら笑う。
右手でカメラを持って、写真を撮る。
桔梗は、色気付いた表情を崩さず、蠱惑的な視線をカメラ越しの俺に向けて───、目を見開いた。
俺は左手で、桔梗の下腹部を一気に押し込んだ。
以前とは違い、悲鳴じみた嬌声は、俺の口には吸い込まれなかった。
瞬時にベッドに乗り込んできた鈴音は、俺の左手を押さえようとしてくる。
なので───。
「勝負をしよう。鈴音。もし俺が負けたら、
「───なん、でも⁉︎」
やはり食い付いたか。
「──何、食い付いてんのよっ、鈴音の馬鹿っ!色ボケっ!えっちっ!」
「ひ、酷いわ桔梗さん!あなただってもし同じような状況だったら同じ反応するくせに!」
「それとこれとは話が別なんだよっ‼︎どうせアレでしょ⁉︎私が耐えられるかどうかを賭けたりするんじゃないの⁉︎」
「良いや違う。これから五分間、俺はこのカメラで動画を撮りながら、桔梗の下腹部をマッサージする。
その後、映像を鈴音が確認して、少しでもブレていたら俺の負けだ」
圧倒的に、二人に有利な条件だ。
撮っている時に気付いたが、このカメラ動画も撮れるらしい。
「………ブ、ブレていたら、私たちの勝ちなのね」
「ねぇ鈴音。これ了承するとさ、私五分間清隆にボコボコにされるんだよね。
…………あれを、五分………?
え待ってやめて了承しないで私は了承しないからねっ‼︎」
だが、俺にも手はある。
「───もし了承しなかったら、俺はこの場で、全力で自分を殴って気絶する」
「それはダメ」
「それはダメだよ」
…………ダメか。
な、なら!
「な、なら全力でこのカメラを壊す!絶対に高いぞこれ。弁償で何月分のポイントが飛ぶんだろうな?五億取れなかった俺たちにとっては相当に痛い出費だぞ⁉︎」
「…………な、なる、ほど」
「なに納得しかけてんの馬鹿なの鈴音‼︎あ、あれを味わったことないから鈴音はそんなこと言えるんだよ‼︎
ヤバいからねっ‼︎ほんっとうに、ヤバいからねっ‼︎」
────ここだな。
「よし、なら、マッサージを受けるのは鈴音で、確認するのは桔梗ならどうだ?
これなら、桔梗は文句ないだろう?」
少し悩んで、ちょっとだけ惜しみつつも、桔梗は納得した。
「…………ま、まぁ、それ、なら………」
「ちょっと桔梗さん?それだと私ボコボコにされるのだけれど」
しかし、鈴音は体験はしていないのだ。
聞いたことはあれど、実際にどれだけ凄いのかは、鈴音は知らない。
───だからこそ、騙し切れる。
「もし、俺の腕が少しでもブレてしまったら、お前たちの勝ちなんだぞ?五分耐えるだけだ。それだけで、俺に
どうだ?鈴音は、納得できないか?」
少し悩んで、ほんの僅かに期待と好奇心を滲ませながら、鈴音も納得した。
「わ、分かったわ。その勝負、受けて立とうじゃない」
───勝ったな。
ベッドの上に仰向けになった鈴音の上に、俺は馬乗りになる。
右手でカメラを構えながら、左手をそっと、下腹部に添える。
鈴音はごくりと、唾を飲み込んだ。
「よ、よし。それじゃあ、用意、スタート」
桔梗の合図と共に、動画を撮り始める。
同時に、左手の中指と薬指で、下腹部をトントンと叩き始める。
鈴音は、怪訝な顔でいた。ふむ。この程度の衝撃だと反応しないか。なら、少しだけ強めに。
数十秒くらい、俺は鈴音が反応する衝撃を探っていく。あの日の桔梗は丸出しだったし、キスで少し、その、出来上がっていたからな。この作業は必要なかったが。
ラバーで覆われたバニースーツで、キスをしながらではない鈴音だと、少し反応を探らないと。
怪訝そうな顔が消えて、余裕を見せるように、仄かに笑おうとして───、固まった。
ふむ。このぐらいだな。
「………っ、ぁっ、………な、に、………こ、れ、ぇ………」
完璧な力加減で、下腹部をノックしていく。
鈴音は、必死に両足をばたつかせようとして。
下半身だけを動かして、鈴音の両足をロックする。
上半身は、全くブレていない。
まぁ、快感を流されたら面倒だしな。
ノックのペースをゆっくり上げていく。
「………ゃ、………ゃぁ、……!だ、めっ、………!だ、めぇぇ……、」
固く目を瞑った鈴音は、自身の顔が乱れている自覚があるのか、必死に両手で顔を隠した。
───そう、カメラに撮られていることを意識させることで、羞恥心を煽り、両手を使っての妨害を封じる為に、この勝負にした。
よし、次は、押し込むとしよう。
「─────っっっっ‼︎‼︎‼︎ダメダメダメダメそれはやめてっ‼︎」
よく効いているな。桔梗よりも敏感かもしれん。
押し込み続けながら、ぐりぐりと回してみる。確か桔梗はこれがよく効いていたんだったか。
鈴音にも、相当に効いているようだな。
腰から上が飛び上がり仰反る。必然、より強く指先が下腹部を押し潰して。
鈴音は、悲鳴じみた嬌声をあげた。
両手をクロスさせて、必死に顔を隠す鈴音を見ていると、なんだか、よくない感覚が、背筋を登っていく。
………………もっと、虐めたい、のか?
今度は、数回撫でてからの軽いノック。
撫でる度に全身を震わせて、ノックの度に途切れ途切れの濡れた悲鳴を上げる鈴音に、嗜虐欲、が、顔を出していく。
………………もしかしたら、俺、Sかもしれん。
押し込んでから撫でて、押し込むと見せかけてまた撫でて、また撫でて、緩い刺激に慣れてきたところで強目に押し込む。
涙声で鈴音は懇願してきた。おかしくなりそうなのだとか。
ダメだ、もっとやりたくなってしまう。
今度は押し込みながら円を描いて、一回転したら今度は撫でるように円を描く。そしてまた一回転したら押し込みながら。
鈴音は頭を振り乱していた。もう意味ある言葉を話せないらしい。
とどめを指すつもりで、掌で押し込む。
大きく仰け反りながら、鈴音は気絶した。
「………桔梗、あと何分ぐらいだ?」
体感だとあと二百秒近くは残っているはずだが。
「あ、あと、三分十五秒、だよ……」
………もうちょっと、虐めるか。
掌で押し込みながら、ぐりぐりと捻る。
鈴音はあまりの衝撃と快感に、意識を叩き戻されたらしい。
蕩け切って涎すら溢した顔を隠すよりも、俺の左手が何をしていたのかを視界に入れて。
鈴音は咄嗟に、両手で抑えようとした。
だが、もう殆ど力も入らないらしい。俺の左手に添えられただけの鈴音の両手は無視して、掌で押し込みながら、捻りつつ、揺らす。
「────っ、ぁ、ぁぁぁぁぁああああっ、ごめ、ごめんなさ、やめ、やらぁぁ」
「す、鈴音……」
桔梗は、徹底的に鈴音を虐め倒す俺に、戦慄していた。
再覚醒から四十秒程度で、再び鈴音は意識を失った。
残り二分半程度か。
よし、気絶する隙すらも与えずに虐め倒すとしよう。
………後から思い返すと、この時の俺は、二人からのディープキスやら、直前の撮影会やら、カメラで撮られる鈴音の痴態やらで、完全に理性がどこかに行っていた。
その、鈴音には、本当に申し訳ないことをしたと、思っている。
「あ、後、五秒、だよ………」
「分かった」
トドメを指すように、三回連続で掌を押し込むと、鈴音は嬌声を上げながら気絶した。
あまりの快感に途中から懇願するように謝罪をしていたが、逆に昂ったというか、もっと虐めたくなったというか。
…………やり過ぎたか?
「や、やり過ぎだよ」
「………その、鈴音は、大丈夫、だろうか?」
「いやもう無理だって。今日は絶対立てないよもう」
桔梗は呆れと怯えを入り混じらせつつ、俺からカメラを受け取って、動画を確認する。
…………うん。写っているものが衝撃的過ぎて、多少のブレとかどうでも良くなっているだろうな。
桔梗も動画を見ながら、『………やっばー』とか、『う、うわうわうわうわ』とか、『…………これ、本番絶対一人じゃ無理だよ……』とか。
「その、ブレとか、どうだった?」
「………えっ、あ、そうだった。うん。殆どなかったよ。もう清隆の勝ちでいいよ」
「────よし、なら俺も、ご褒美を貰わないとな」
「…………えっ」
桔梗をソファに押し倒して、馬乗りになる。
怯え切った涙目で、それでも仄かに、期待の色を覗かせる桔梗に、俺は、笑いかける。
「すまん桔梗。俺はどうやらSだったらしい」
「うんそうだねさっきの見てよく分かったよだからお願いどいてくださいそれをするのは本当に勘弁して」
「安心しろ。録画はしない。確か、この部屋は二時間制だったな」
時計を見てみる。
俺が気絶してから、凡そ一時間四十五分。
俺が目を覚ましてからは、一時間二十分。
着替えの時間やら諸々を考慮すると、俺たちが部屋に入ったのは、一時間三十五分前ぐらいだろう。
となると。
「後二十五分か。ノンストップで行ってみるか」
「ダメダメダメダメダメダメダメダメダメほんっとうにダメ。私壊れる!壊れちゃう!」
「壊れてても愛してるから安心しろ」
「何も安心できない!やめてぇぇぇ‼︎」
………………今思い返すと、俺かなりヤバいことを口走っていたな。
桔梗が言葉の内容をよく考えるよりも早く、俺のマッサージが始まった。
十五分後。
電源が切れたように桔梗の意識が完全に途切れた。
何度押し込んでも、痙攣はするが意識は戻らない。
途中から泣きながら謝罪する桔梗に、より興奮して、更に念入りにマッサージしながら、少しだけ鬱陶しかったので、ディープキスで黙らせたのが相当に効いたらしい。
後十分は後片付けの時間かな、と思っていたんだが、丁度いいな。
「────起きたか、鈴音」
「────き、よたかくん………」
殆ど力の入らない身体を引きずって、ベッドの枕側に動いて、俺から遠ざかろうとする。
「────きゃっ、」
「っと、危ないな。本当に」
ベッドから滑り落ちそうになった鈴音を、咄嗟に飛び込みながら受け止めた。
危なかった。本当に。
「────あ、りがと」
「別にいい。さて、と、どうやら、俺が桔梗を虐めているところを覗き見していたようだな?」
「…………」
沈黙は肯定とみなすぞ。
「なぁ鈴音。後十分もあるんだが」
「や、やぁ………む、むりぃ………」
いや、だがな。
「後十分間鈴音をマッサージすれば、二人ともキリよく十五分だ」
「だ、だから何よ………」
「なんだか、やってみたくならないか」
「ならないわっ、ならないからっ、やめて、お願い、その手を、撫でないで、離してぇ」
「すまん。桔梗には言ったんだが。
────俺はどうやら、Sらしい」
鈴音の悲鳴が、部屋中に響いた。
十分後。
再び鈴音は気絶した。
途中で泣きながら『これ以上は嫌いになるからやめて』とか言ってきたんだが、普通にショックを受けて、手を止めて、悲しそうな顔で、『き、嫌いになったか?』とか聞いていた。
思ってるよりもダメージがデカかったな。鈴音も申し訳なさそうな顔になって、『い、いえ、別に、嫌いになってはいないから……』なんて言ってきて、いや、普通に俺が悪いんだが、『そ、その、酷いこと言って、ごめんなさい……』なんて謝ってきて。
俺は、その、『良かった……』とか思わず声に出てしまって、鈴音は、俺の発言の意図を考えて、凄く赤くなった後、『───なんで私に嫌われなくて良かった、とか言っちゃったのかしら?無意識のようね。それだとまるで私のことがぁあぁんっ、ちょっ、話し、てる、か、らぁ』、これ以上喋らせるのは危険だし、お仕置きも兼ねて。
丹念に丹念にマッサージしながら、瞼だったり首元だったり鎖骨のあたりだったりを吸い付くようにキスマークをつけて、桔梗と同じようにディープキスしながら掌を押し込んで捻って揺らしてやると、電源が切れたかのように気絶した。
その後、二人が起きるまで着替えさせることができないから延長しなければと思っていたのだが、店員曰く、三日以内にスーツ返してくれればいいらしいので、二人の体をコートで隠して、バレないように俺の部屋に。
………軽井沢とか茅野に連絡して、女子寮に運んでもらおうかなとは、思ったんだが。
その、二人の服装は、バニーガールなので。
退店の際、カメラの写真と録画データはどうするのかと聞かれて、その、今月分のポイントは、完全に吹き飛んだとだけ。
…………図らずしも、今回も一線を越えることは無かったな。
よし、セーフ。
『アウトですよ』
『アウトですねぇ』
頭の中の天使と悪魔は、意見が完全に一致していた。
セーフ‼︎セーフなの‼︎
隔離しないでハーメルン‼︎
死んだら察してください。