いやだ!!俺はマヨヒガに引きこもるんだ!!! 作:ガチャ運を寄越せ陸八魔ァ!
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みなさんありがとうございます、みなさんの期待に答えられるよう精進して参ります
守矢神社からの依頼を完了して6日後…俺は紫さんから休暇をもらい、妖怪の山を歩いていた
理由は気分転換、たまに幻想郷を自由に歩き回って綺麗な景色が見たくなるのだ
太陽の畑や、冥界の枯山水など美しい場所や景色は沢山あるが、やはり1番綺麗なのは妖怪の山で見る景色だと俺は思う
ちなみに妖怪の山を歩いているが、俺の隣にはいつもの護衛である椛の存在がいない
妖怪の山は文字通り妖怪達の住む山…守矢神社の参道以外を歩けば山の警備をしている白狼天狗に警告され、それを聞かなかったものは外来人、幻想郷の人間関係なしに問答無用で捕縛もしくは切り捨て御免となる
幻想郷では幻想郷の住民である人間をできる限り襲ってはならないという決まりがあるのだが、妖怪の山では話が別となる
そんな中、外来人の見た目をした人間が堂々と歩いていれば確実に白狼天狗が…そうでなくとも天狗の誰かが飛んでくるはずだ
しかし、俺の前には天狗どころか山童などの妖怪1人現れやしない
俺のことを完全に信頼しているから?いいや、そんなことは有り得ないだろう
なんせ、どれだけ配達でこの山のあちこちを訪れ、交友関係を深めたとしても必ず白狼天狗の誰かが護衛や監視役としていたのだから
では何故今日はそんな妖怪がいないのか…それは俺の隣を歩く人物が関係している
その人はケモナーであればモフりたくて仕方がない、9本の立派な尻尾を生やし、頭には2つのとんがりを持つナイトキャップらしきものを被った、幻想郷の賢者の1人である八雲紫の式神であり九尾の狐…八雲藍である
彼女がとんでもない量の妖力を出しているため、怖くて誰も近付かないのだ
藍さんは俺の隣を歩きながらも鋭い視線で前を見て歩く
俺はそんな藍さんに声を掛ける
「あの、藍さん…?」
「………」
「おーい、藍さん?」
「………」
呼びかけるが、藍さんは一切の反応を見せない
…これは、前を歩くことに集中しているからではなく、単純に無視されているだけである
言ってて悲しいが、藍さんは俺と2人きりの時はこう呼ぶと反応しない
正直、気が乗らないけど呼ぶかぁ
「…藍姉」
「どうしたんだ、葛籠」
「や、呼んだだけ」
俺が藍姉と呼ぶと、先程の無視や鋭い視線から一変し、穏やかな目をして自分の呼ばれた理由を聞いたので呼んだだけと返す
すると「そうか」と返して前を向いた…しかし、その尻尾は微かながら、左右に揺れている
…はい、みなさんは
ご覧の通り藍さんは姉と呼ばれることに執着を見せているのだ
ちなみに、橙や他の人が藍さんを姉として呼ぶとやめるように苦言を呈するのだが、俺だけは真逆で2人きりの時は姉呼びしないと無視するし脅して姉呼びをさせることすらあるのだ
もうヤダこの姉さん怖い
いやまぁ、一度2人きりの時に藍さんを見て姉を幻視したことと、悪ふざけが重なった結果姉ちゃんなんて言った俺が悪いけどさぁ…ここまで拗れるとは思わんやん?
少し前に「ねぇね」や「姉貴」など様々な姉としての呼び方を試したのだが、「藍お姉ちゃん」「ねぇね」「藍姉」の3つだけ反応が良かった
その中の「ねぇね」だけは藍さんがいつもの真面目なキャラが崩壊しており、俺をめちゃくちゃ甘やかしにきた
普段なら絶対に独り占めする油揚げを少し分けてくれたり、一緒に風呂に入ろうとしたり、添い寝しようとしたり…うん、とりあえず「ねぇね」呼びは藍さんが壊れることがわかった
ちなみに「ねぇね」呼びに藍さんの名前をつけると更に壊れることも検証済みである、二度と呼ばねぇからな「藍ねぇね」なんて…(一敗)
…何、藍ねぇねって呼んだらどうなるか知りたい?
やだ、やらない、絶対無理…あんな恐ろしいことまたやらせる気か?
仕方ないから譲歩してねぇね呼びはしてやる…これでもあまり呼びたくないんだけど
俺は覚悟を決めて俺の中でほぼ禁忌としている言葉を口にする
「…ねぇね」
「どうしたんだ葛籠〜?お姉ちゃんに何か用あるのか?何でも言うと言うといい、私ができる限り叶えてやるぞ〜。それともお姉ちゃんと手でも繋ぎたいのか?全く、仕方ない弟だな…ほら、これで安心できたか?」
先程の藍姉との返事とは打って変わり、デレデレして藍さんが俺の手を握ってきた
ちなみに何でも叶えると言ったが、ここで「犬走椛という白狼天狗を連れてきて欲しい」と言えば彼女は二つ返事で了承して半殺し状態か五体満足の状態で連れてこられる
もうわかっていると思うが、ねぇね呼びの時の藍さんは完全にブラコンの姉である
「今お願いしたいことはないかな、ねぇねと手を繋げるだけで十分だよ」
「そうかそうか!姉の機嫌を取ろうなんて可愛い弟だな!」
超ご機嫌となり、嬉しそうな声で俺の頭を撫でる藍さん
ちなみに俺は暫く…恐らく藍さんと2人きりの時間が終わるまでこれからずっとねぇね呼びしないといけない
理由はこの状態でいきなり藍姉や藍さん呼びすると「何故戻した?」と重圧をかけながら問い詰めてくるから
藍さんと手を繋ぎながら再び妖怪の山を歩く
俺と藍さんの身長はほぼ同じ…というか俺の方がミリ差で勝っているため傍から見れば狐の妖怪と人間のカップルに見えてしまう
藍さんが妖力で周囲に圧を掛けているから誰かに見られることはないのは幸いか…
「葛籠、もう少しで着くぞ…体力は大丈夫か?厳しいならお姉ちゃんが負ぶうぞ?」
「体力は平気だから大丈夫、それよりはねぇねと手を繋いでたいかな」
「ッ!ふふっ、全く仕方ない弟だな」
嬉しそうに、優しく握っていたその手に、少しだけ強く握られる
しかしそれは決して痛みはなく、しっかりと掴んでいたいという思いが伝わる
そして、俺はこんな藍さんの思いを感じながらこう思う
あ、危ねぇ…流石におんぶは絵図が地獄だせ…
考えてみろよ、ほぼ同じ身長の男が怪我を何も健康な状態で女性の背中におんぶされてる姿をよ…
俺はそこまで男としての尊厳を捨てたわけじゃないぞ…
「葛籠、着いたぞ…どうだ?私が薦める景色は」
「…おぉ…綺麗だ」
獣道を辿って開けた場所へ出ると、藍さんが足を止める
俺は顔をしっかりと上げ、藍さんがおすすめして連れてきてくれた景色を目に焼きつける
そこからは幻想郷の1部を見渡せる
連なる山々、遠くに流れる玄武の沢、その先にある霧の湖と2つの館
更に奥には人間の里が見える
ここから見える風景画を描けば、誰もが見とれるであろう絵になるだろう、この景色を俺のように直で見れば、1年は忘れないであろう…そんな美しい景色
現代のように進んでいないからこそ、目立つ人工物が少なく、自然に囲まれた人間の暮らしが感じられる…そんな美しい景観
こんな素晴らしい景色を教えてくれた藍さんには、感謝しかない
「…藍姉」
「…なんだ?」
「この景色を見せてくれて、ありがとう」
「…弟に美しい景色が見れる場所を教えることも、姉としての立派な責務だからな」
そう言って、藍さんは俺の頭を撫でた
「ね、ねぇね…流石に大丈夫だから…!」
「何を言うんだ、足を挫いたのはお前だろう。大人しく負ぶられておけ」
あの雄大な景色を見た後、俺達は再び妖怪の山を歩き始めたのだが運悪く足元にあった木の根っこを踏んづけ、足を挫いた
そこで横を歩いていた「ねぇねモード」となっている藍さんがめちゃくちゃ心配してきて、重病でも治せるような治療妖術まで使った挙句、足にどこから取り出したのかわからない包帯を足に巻いておんぶされている
…俺、元々身体が柔らかいから、挫いたように見えて挫いてないのよね…
だから俺からしたら無傷の足にすごく回復する術を掛けられ、包帯を巻き付けられた上におんぶされてるのよね
俺の尊厳よ…お願いだから下ろして藍姉…藍姉の好きないなり寿司と油揚げ大量に作るから
「いた、葛籠と八雲のし……き」
そんな時突然、空から椛が降りてきて、俺と藍さんの光景を目にする
その光景はまぁ…とても衝撃だろうな、なんせいつも仲良くしてる男が真剣な顔した賢者の式神おんぶされてるんだから
というか「何この光景?」と困惑している顔がしてるし
へるぷみーもみじ、もうサモエド呼びしないから
「その…八雲の式、何をしているのか聞いてもいいか?」
「何をしているも何も、弟が足を挫いたのだから負ぶっているだけだが?」
椛は困惑しながら何をしていたのかと聞き、藍さんはさも当たり前かのように平然と返す
何この状況…誰か助けてくんない?
弟という単語が気になったのか、椛は更に困惑を深めた顔で質問する
「八雲の式…葛籠は人の子な上、八雲紫の庇護下にあるだけでお前と
「そうだな、葛籠とは姉弟という関係ではない…だが、私は葛籠の姉であり、葛籠は私の弟だ」
もうダメだ…おしまいだぁ…
某野菜王子のような言葉が出るのも許してほしい、だって初めましての人に「私はコイツの姉だ(存在しない記憶)」と言い張ってるんだから
おかしい…藍さんも以前まではまだ他の人の前では普通になってたはずなのに…なんで今日はこんなに壊れてるの…?
ほらもう椛が頭に疑問符を浮かべてるよ!なんなら少し「ばなな」って言ってそうな顔になってるよ!もう思考放棄しそうになってるよ!
「椛、椛からもねぇねに言ってくれ、大丈夫だと」
「…ハッ!そうだ八雲の式、葛籠は大丈…ん、ねぇね?」
そこに疑問を持たないでくれよ椛、こうしないと藍さんめちゃくちゃ詰め寄ってくるんだから
その後、藍さんに色々と言ってなんとか下ろしてもらい、椛へ事情を説明した
すると納得してくれたし、藍さんとのやり取りを見て物凄い同情の目を向けて今度一緒に飲もうと誘われた…俺お酒飲めないねん
下ろして事情説明をした後、俺と椛の2人がかりで何とか藍さんを説得してその日はマヨヒガへと帰った
ちな椛との飲む約束はしっかりとスケジュール帳に記した、偶には椛の愚痴を聞いてあげないとね
そして、マヨヒガで現在夕食の時間なんだけど…
「あの、藍さん…?」
「姉にさん付けして他人行儀で呼ぶな、いつものように『藍姉』か『ねぇね』と呼ぶんだ」
「紫さんの前なんですけど…」
「?何かやましいことか?」
貴方昨日まで紫さんの前じゃ普通にさん付けで呼ばせてましたよね!?
今日の何が藍さんの気に触ったのか知らないが、完全に藍さんの理性ブレーキが壊れてしまったらしく、自身の主の目の前で居候に姉呼びを強要している
俺は紫さんへ「助けてください」と視線を送る
俺と目の合った紫さんはにこり、と笑う
…なんでだろう、嫌な予感しかしない
ちなみに橙だが、「藍様だけずるいです!私も葛籠にお姉ちゃんと呼ばれたい!」と駄々をこねている…あなたは良くても妹か同年代ですよ?
橙の今の扱い?ペットだけど?
「葛籠もここに住んで長くなるし、家族として迎え入れるには丁度良いわね」
やっぱり
え?俺これから藍姉呼びかねぇね呼びがデフォになるの?嘘でしょ?
知り合いに見られたりゴシップ天狗に見られたら絶対ネタにされるやん…おわったぁ……………
その後、紫さんからの援護射撃もあった藍さんは更に圧を掛けてきてこの日から姉呼びすることが定着してしまった
橙の姉呼びに関しては、禁忌とした「藍ねぇね」呼びでなんとか阻止した…ありがと藍姉
だけどその後に一緒に風呂へ入ろうとしたことが悪かったな、俺からの藍さんへ姉としての好感度が下がったぞ
ということで藍さんをブラコンにしました、理由なんてありません。ワイの自己満です
藍さんが姉姉して甘やかしてくれたら嬉しいと思いません?