魔法少女育成計画ReBirth ―ラ・ピュセル生存記録 2nd Story―   作:神谷萌

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Interlude

 私の心は、閉じていた。

 恋愛に興味がない、と言うより、恋愛できるようにできていなかった。

 男も女も、周囲すべてが敵に見えた。知らずしらずのうちに、自分の心を守る為の、盾、殻をつくって、その中に閉じこもっていた。

 つばめに出会って、颯太に助けられて、私の心は少しずつ動き始めた。

『初めて人を好きになった』

 あれは嘘じゃない。でも、あの時は漠然としていた。

 実際、あの時は颯太とつばめが特別だった。私の心は、まだ閉じたままだった。

 でも、颯太と付き合っているうちに、私の心はもっと開いてきた。

 颯太は私より年下で、見ていて危なっかしいところがあった。

 以前の私だったら、途中でイライラして突き放してたはずだ。

 だけど、実際は逆だった。私はしがみついた。

 私の弱みを知っても、そこを攻撃してこなかったから。

 颯太も私にしがみついてきた。

 颯太は男の精神(こころ)を持っているけど、身体は女だった。だから、私の心は、女に対する回路の方が先に開いた。

 高校3年の夏休みが終わった頃、颯太やつばめ以外の若い女性に対して、たまにドキドキするようになった。

 敵にしか見えなかった同級の女子を眺めているのが心地よくなった。

 最初はわけがわからなかった。

 卒業して勤めだす頃、理解した。

 私は同性愛者になった。

 嬉しかった。

 性愛に関して完全に閉じていた私が、かたちはどうあれ、恋愛、性愛を取り戻した。

 他人は、かたちはどうあれ、こんな風に世界を見ているんだと知った。

 これを知って、颯太との関係が、さらに満ち足りたものに感じるようになった。

 颯太をもっと愛おしく感じるようになった。

 私は今まで知らなかった幸せを取り戻していく。

 取り戻していける。颯太となら。つばめがそばにいてくれたら。

 

 

 私にとってのそうちゃん、岸辺颯太はあの日に死んだ。

 そうちゃんがクラムベリーに殺されかけた日、じゃない。

 そのクラムベリーが死んで、スイムスイムが暫定マスターになった時。

 私はその後が不安で、そうちゃんにこう問いかけた。

『これから、どうなっちゃうんだろう』

 返ってきた答えは

『解らないよ……』

 解ってる。そうちゃんはこの頃から、無責任なことを言わなくなってた。

 でも、私が欲しい答えはそれじゃなかった。

『たとえこの身が滅びようとも、貴方の剣となることを誓いましょう。我が盟友、スノーホワイト』

 あの誓いを守ってほしかった。

 でも、クラムベリーと戦った後のそうちゃんはこう考えてる。

『身が滅びたら誰も守れないんだよ』

 あの誓いを引っ張ったままだと、そうちゃんは誓いを破り続けることになるし、私はずっとそれに甘え続ける。

 だから、あの時は “誓い” を私の方から切った。

 その結果どうなるか、そうちゃんはリップル、華乃の方に向かうってわかってた。

 それも含めて、そうするのが正しいと思ってた。

 華乃は、本当は優しいのに、自分は誰も信じられなくて苦しんでた。

 そうちゃんなら華乃を助けられると思ってた。

 実際、最初の頃は見ていて微笑ましかった。

 華乃がそうちゃんと一緒に人間らしさを取り戻していくのを見て、私も満たされてた。

 それが、いつからだろう。

 そうちゃんと華乃が2人で並んで歩いているのを見て、胸が苦しくなるようになったのは。

 そうちゃんの口から、華乃、リップルの名前が出る度、頭がその内容を拒否するようになったのは。

「そのひとの隣は、私の大切な場所だったんです」

 自分から手放したくせに。

 私、自分が自分で嫌になっていくのを感じる。

 これ、理想の魔法少女じゃ、ないよね。

 





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