ハスターなオリ主とドラゴンボール   作:ラムセス_

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ピッコロ大魔王の人間性

 

 世界各地で武道家が襲われているらしい。

 TVではこのニュースで持ちきりだ。

 

 俺は招かれたカメハウスで、改めてクリリン君と向き合っていた。

 クリリン君びしっと頭を下げて叫ぶ。

 

「改めて、本当にありがとうございました!」

「だからいいっていいって。無事に蘇生できてよかったよ」

 

 俺が鷹揚に手を振ると、クリリン君はおずおずと顔を上げたようだった。

 俺が入院したことにかなり罪悪感を抱いていたようだったからな。

 別にあんなの俺のサイズからすれば古傷がちょっと傷んだだけの話だし、気にしなくていいのに。

 

「それで、調子はどうだ?」

「はい……まだ力がうまく入らなくて。悟空を探しにいくこともできず」

「ああ、それなら数日寝てれば治るよ。単にエネルギー切れだからな」

 

 俺じゃ気の充填ができないだけだ。

 生体機能としては回復しているはずだから、数日しっかり療養すればきちんと治る。

 

 武天老師様がふうむ、とTVニュースを眺めながら唸った。

 

「天下一武道会に出た選手を襲うために名簿を奪ったのなら、ここも危険じゃろう。他の場所に移動せねばなるまい」

「あー、なら俺が認識阻害の結界を張っておくよ。拠点を新しく構えると何かと面倒だろ?」

「お主、そんなことまでできるのか!」

 

 目を見張る武天老師様に俺はふふんと胸を張った。

 まだ本調子ではないとはいえ、万能性はドラゴンボールにも負けないつもりだ。

 規模間では劣るかな……いやこの世界のルールに慣れてくればいけるはず。

 

 というかそもそも羽虫如きのためにみんなが居住区を移す必要はないわけで。

 ここは俺の出番だろう。

 

 ウーロンとかいうブタ君が腕を組んで悩ましげにしている。

 

「やっぱさ、ドラゴンボールに願うのは『ピッコロ大魔王をやっつけてくれ!』じゃないか?」

「そうね。あとはどうやって奴らから球を奪うかだけど」

 

 俺は口に出さなかったが内心、それは賭けになるんじゃなかろうかと思うなどした。

 

 ドラゴンボールの仕組みは少し特殊で、破壊は苦手で創造が得意だ。

 大元の神格の性質によるものだろう。

 要素を付け加えるのは小さなエネルギーでも可能だが、削除が極端にロスが多いと言うか。

 だからピッコロ大魔王の破壊となると、どうしてもエネルギーが足りるかどうかが問題となるはずだ。

 

 ブルマちゃんが窓から遠くを眺めながら、憂いを帯びた顔をした。

 

「孫君もやられてるかもしれないし、こっちで戦えるのは三人だけ。一人は護衛になってほしいし、実質二人ね。クリリンも体力が戻ってないし、厳しいわ」

「あ、いや。悟空君は生きてるよ。俺が場所を捕捉してるし、元気にしてるみたい。俺たちが近づくと逆に目立ちそうだから行かなかったけど」

「ホント!?」

 

 ぱあっとブルマちゃんの顔が明るくなった。

 

 心配していてくれたようで嬉しい限りである。

 悟空君はなんかデカい魚食べて元気全開だった。

 流石サイヤ人、生命力が違う。

 

「なら孫君と合流する前にドラゴンボールを集めましょう!行くわよ!黄衣さんも来て!」

「お、おお、了解した」

 

 そうと決まれば話は早い。

 捜索には人手があった方がいいと言うことで、フルメンバーでの出発となった。

 

 ホイポイカプセルから自家用飛行機を取り出すブルマちゃんは流石の貫禄である。

 凄い金持ちの香りがする。

 

 俺も一応フリーザ軍から個人宇宙船を貰ったが。

 社用車を私事に使うのは厳禁だろうからそのままにして、出勤の時だけ使っているんだよな。

 

 最近はどうもフリーザ軍の業務が安定しているらしく、俺が前線に出る事はない。

 俺は主に「強さを生かして戦闘員に言うこと聞かせられる事務員」みたいな扱いとなっていた。

 

 喧嘩っ早い社員が多いんだよね。

 文官なんて屁のカッパというか。

 だから俺が先頭に立って、文句言っても殺されない文官となったわけである。

 

 文官も可哀想なことだ……。

 無駄に備品壊しても注意することも一苦労とは。

 

 まあともかくほどほどに仕事をしている俺ではあるが。

 

 散らばったドラゴンボール探しは飛行機の存在もあり、かなりスムーズに進めることができた。

 あっという間に集まったのは、やはりドラゴンレーダーのおかげだろう。

 

 天津飯君と武天老師様が何やら話し合っている。

 

「やはり万が一の時は魔封波で封じるしかなかろう」

「武天老師様のお師匠様から授かったと言う封印技術ですか。ですが、それは命と引き換えの秘技だと……」

「うむ。まあ、命の張りどころというやつじゃて」

 

 どうやら前回人間の手で行われたと言う封印は、命と引き換えに発動するもののようだ。

 

 俺は顔をくしゃくしゃにして苦言を呈した。

 

「封印術の詳細は知らないが、もし魂が損壊したら俺でも蘇生させられないぞ」

「まあ、その時はその時じゃよ。わしは十分生きたわけじゃしの」

 

 そう言われてしまうとムムムと口を噤まざるを得ない。

 彼は純粋な人間で、外的要因で長生きしているに過ぎない。

 生に飽いたと言われれば、俺には留めようがない。

 

 ブルマちゃんがこそっと俺に話しかけてくる。

 

「黄衣さんは戦わないの?孫君より強いんだし、もしかしたら大魔王を倒せるかも!」

「うーん。地球に降りかかる災いは、できれば地球の人に戦って欲しいと思うところ。俺がいない時にまた別の脅威が来たら困るし」

 

 「それって……」と訝しげな顔をされたがノーコメントを貫いた。

 超外宇宙イカでーす。

 天敵は猫。

 

 俺はとりあえずサムズアップして誤魔化した。

 

「その代わりサポートはきっちりするよ。ドラゴンボール代わりに蘇生も願い事もなんのその!」

「黄衣さんって一体なんなの?ドラゴンボール制作者だったりするわけ?」

「しないねぇ。俺龍神系列じゃないし。系統外だよ」

 

 特定外来生物とも言う。

 何を思ったのか、ブルマちゃんがすすすっと俺に体を擦り寄せてムーディなポーズをした。

 

「あたし、最新の研究機器で気になってるのがあって、これこれ、でも1億ゼニーもするから個人用のはお小遣いが足りなくってぇ」

「おお、可愛いねぇ、いいよいいよ。ホイポイカプセルに詰まったのを作ってあげようねぇ」

 

 俺は思考から該当の研究機器を読み取り、ぽしゅんとコピー品を魔術で創造。

 ブルマちゃんに手渡した。

 

 今は大学生だって言ってたしな。

 良き良き、人間種は学びが一番だ。

 おいちゃんが新しいのを用意してあげようね。

 

 ブルマちゃんはガッツポーズをしてから、我に返ったように「なんか孫みたいなトーンで返答された…」と納得いかない雰囲気を出した。

 どうやらお色気アタックのつもりだったらしい。

 そんな、俺みたいなイカに肌を見せるなんて、自分を大事にしなさいよ君。

 

 

 

 そんな雑談をしていれば、五個揃うのはあっという間だった。

 あとの二個は敵方が持っているようだ。

 ドラゴンレーダーによるとまとまって移動する様子が映っている。

 

 決戦、と言うわけだ。

 

 今回は俺も現地に行くつもりだ。

 あんまり腹立つ羽虫なら俺がプチッとしてもいいし。

 緑の神格が死ぬのは悲しいが、後任不在の間は俺が最低限様子を見ることは決まっている。

 

 飛行船の後ろの席をいただくと、天津飯君が「よろしくお願いします!」と頭を下げた!

 

 本当はチャオズ君も一緒に行く予定だったのだが、流石に乗り切らないのでお留守番である。

 彼は兄弟子についていけないことを悟り、すごく涙目になっていた。

 可哀想だが、チャオズ君が危険でも困るしな。

 

 適当な荒野に到着したら、罠を張って待ち伏せする。

 俺は近場から見ているだけだ。

 

 だが予定は上手くはいかないようで。

 

 こちらを察知した大魔王が、ドラゴンボールを飲み込んでしまったのが遠目に見えた。

 つまり天津飯君と戦うしかない、というわけだ。

 

 「いきましょう、武天老師様」と天津飯君が気を引き締めるように軽く肩を回した。

 若者が命をかけることに複雑な顔をする武天老師様に、俺は軽く声をかけた。

 

「最悪殺されても蘇生は試みるから、気楽に行ってくれ!」

「お主のお、そういうノリでええんか?」

「心残りはない方が全力を出せるだろ」

 

 なんとなく肩の力は抜けたようだ。

 二人が出ていくのを、俺は静かに見守った。

 

 実際。

 ピッコロ大魔王とかいう羽虫の方が、おそらく強い。

 魔封波とやらが決まらなければ二人は無惨に殺されるだろう。

 だがその死を以って敗北を刻み、生命はより学びを深める。

 

 蠱毒というと言葉は悪いが、死を以って得られる力もあるのだと、俺はよく知っている。

 羽虫遊びで適当な知性体をニャルと一緒に族滅していた時もあったが。

 そういう時、ふと羽虫は思いもかけぬ進化を遂げたものだ。

 まあ所詮は虫なので蛹が羽化して蝶になった程度の話だが。

 

 話した感じ、天津飯君は羽虫だがいい子だ。

 

 死の苦しみと痛みを与えるのはちょっとだけ気が引ける。

 逆に武天老師様は何を言っても止まりはすまい。

 老兵として若い命のために力を尽くすと、覚悟が決まっているのがよく分かる。

 

 

 目の前で決戦が幕を開けた。

 お、初手魔封波!

 

 読み取ると、それが実に面白い術式であることがよく分かった。

 密閉空間を核に、封印札を使って封をする形式だ。

 原理上密閉空間ならなんでもよく、壺でも空き瓶でもいい。

 ただ、封印物に比例してエネルギー消費が跳ね上がっていく上に、制御が非常に難しいようだ。

 札が剥がれただけで封印が解けるのもいただけない。

 

 俺の封印もできそう……とちょっと怖くなったが、どうやらそれはなさそうだ。

 

 封印の工程で相手を気で同化させるのだが、気のない俺ではそうはならないからだ。

 ほっと一安心しつつ。

 この世界ならではの技術に惜しい気持ちになる俺である。

 

 激しく暴れ狂う魔封波に、寄る年波に勝てなかったらしい武天老師様が倒れ伏す。

 ああ、惜しい。

 あと10年早ければ成功していただろうに。

 これもまた命運というやつか。

 

 動揺した天津飯君は、その後をついで大魔王に挑み掛かる。

 だが技の精彩を欠いている。

 武道会で舞台を吹っ飛ばした技もギリギリ回避され、すぐに腹を貫かれてしまった。

 

 これは天津飯君が弱かったと言うより、大魔王の動きが老獪だったが故だろう。

 不意打ち魔封波で警戒心が上がっていて、油断が取れたのも大きかった。

 

 大魔王の手の中にドラゴンボールが収まっている。

 

 俺は何を願うのか見てみることにした。

 もし変な願いだったら、術式に干渉して不発にしてしまえばいい。

 あたりが不自然に暗くなり、長大な姿の神龍が現れる。

 

 大魔王は歓喜に打ち震え、願い事を口にした。

 

「私を若返らせてくれ!最も力の溢れていた頃にな!!」

「それだけかいな!!もっとあるだろ!!」

 

 ついうっかり俺は無駄口を叩いてしまった。

 みるみるうちに、目の前のピッコロ大魔王は若くハリのある姿になった。

 

 なにやら力が溢れてるらしいが、違いがよくわからん。

 おんぶバッタとショウリョウバッタぐらいの差はある……のか?

 

 軽く片手で神龍を消し飛ばして、ニタリと大魔王が俺を見た。

 ああ、あんな見事な造形物を壊して勿体無いことをする。

 投射体だから構わないだろうけど、多少のフィードバックはあるだろうに。

 

「まだゴミが潜んでいたのか。わしに逆らうとどうなるか、そこの奴らが証明しているぞ?」

「先に聞き取り調査しておきたいんだけど、あの飛行機に乗ってる奴らがお前を復活させたのか?」

 

 大魔王は嘲笑うような顔をして喉を鳴らした。

 

「くっくっく、そうだ。わしは長い封印より解き放たれ、これから世界を手に入れる。恐ろしかろう?」

「目的は支配か。すごく人間っぽいな」

「………なんだと?」

 

 気分を害したらしい。

 俺は肩をすくめて首を振った。

 

「待て待て、褒めてるんだ。羽虫の割には人間臭いと。支配欲。道理であの緑の神格は人間味がないと思ったよ。切り離してたのか」

「貴様、神を知っているのか」

「知ってるよ。最後の質問なんだけど、これからどうするつもり?」

「………」

 

 俺が軽く話を流したことに納得いかないらしい。

 ニタリと凶悪に嗤って、大魔王は両手を広げた。

 

「国王を殺し、わしが王になるのだ。世界を悪が溢れた素晴らしい世の中にしてみせる!」

「なるほど」

 

 悪ってものには、多分に人間味が入っている。

 欲望と混沌、人間らしい負の側面の詰め合わせだ。

 過度に抑圧するつもりもないが、無くなっても困るもの。

 

 まあ、悟空君に倒してもらえればちょうどいい羽虫と言えるだろう。

 ちょっと強いかな。いや、悟空君が頑張ればいけるさ。

 

 俺は自然体で背を向けた。

 

「よくわかったよ。じゃあ俺は帰るよ」

「まさか無事に帰れるとでも思っているのか?」

「邪魔していいよ。できるならな」

 

 大きなエネルギー波が俺の背にぶち当たる。

 

 職場のリクーム先輩の何十分の一だろうか。

 まあどちらも同じ羽虫だけど、最近悟空君達を観察して強さに違いがあることもわかってきた。

 マダニとダニのサイズ比が大きく異なると理解できるようになったのだ。

 

 だから、リクーム先輩とピッコロ大魔王で大きな差がある事ぐらいはわかる。

 

 俺にぶち当たったエネルギー波は、そのまま霧散してかき消えた。

 よっこらせと二人の死体を持ち上げる。

 これなら二人とも蘇生できそうだ。

 えっちらおっちらと歩き出す。

 

 それから幾度も攻撃の嵐が俺を襲ったが、それは俺になんのダメージも齎さなかった。

 当然だ。

 羽虫が連続ビンタして痛がる人間がいるか、という話だ。

 

 息を荒らげる大魔王が愕然としている。

 

「馬鹿な、そんな馬鹿な……!貴様!」

「仕方ないなぁ、諦めるまで待っててやるよ。ほら、打ち込んで来な?」

「ぐ、ぐうぅぅぅう!!!!」

 

 叫んで、大魔王は大袈裟なポーズから全力の一撃を叩き込んできた。

 

 哀れ、それは俺の肌すらも貫くことはない。

 もう動けないようで、そのまま立ち尽くしている。

 

「俺は帰るよ。世界征服頑張るといい。試練は強大な方が人の成長を促す。ま、健闘を祈る」

 

 歩き去る俺をもう追うことはなかった。

 凄まじい怨念の視線がぶつけられている。

 

 今度は出血しないように上手く蘇生させねばなぁ。

 

 

 

 そうして。

 カメハウスに帰って、俺は二人を蘇生した。

 天津飯君はなんとか無事に蘇生できたのだが、次いで武天老師様のときに出力をミスって俺は再び大出血。

 病院に逆戻りすることになったのであった。

 

 猫傷ヒリヒリして痛いね……恨むぞあの猫。

 





・フリーザ軍でのハスターの仕事
今は業務が通常モードなので文官中。
強くて文官もできる人材にホクホク笑顔のフリーザ様です。
特に大規模データの処理が得意で、判断は安全寄りだが手堅く任せられるともいう。
フリーザ様「いい拾い物をしました^ ^」
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