ハスターなオリ主とドラゴンボール   作:ラムセス_

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決着と光

 

 キングキャッスルが大魔王の手により占拠された。

 

 この地球には国は一つしかない。

 正確には連邦王国みたいなもんらしいが、基本的には国同士の戦争はないようで実に平和だ。

 

 その最高の王城たる場所が占拠されたのだ。

 

 一応俺を警戒して慎重に出方を見ているらしい。

 今は軍隊を使って俺の行方を探させているようだ。

 困ったものである。

 

 逆に悟空君はカリン塔で謎にパワーアップの雰囲気を見せつけている。

 天津飯君は一晩中魔封波の練習をしているようで、少しだけ心配である。

 

 というか、あの技練習モードとかあるんだね。便利。

 まあ、命が代償なのに無きゃ練習もままならんし技として成立せんのか。

 

 武天老師様が両手を握ったり開いたりして力を確かめた後、やるせなさそうに肩を落とした。

 

「ワシの方はまだ戻らずか、ままならんの。若さの違いか」

「俺の腕が悪かったからかも。すまん」

「仕方ないことじゃ。お主が気にすることではないわい」

 

 俺がぺこっと頭を下げると、武天老師様が気落ちした様子で首を横に振った。

 

 天津飯君と武天老師様を持ち帰った後、俺は2人を予定通り蘇生させたわけだが。

 天津飯君の方は数時間もすれば気が戻ったのに対して、武天老師様の方は数日を要する結果となった。

 

 クリリン君での経験で多少は慣れたと思ったと思ったのだが、まだまだ安定的な蘇生には程遠いらしい。

 この状況下での戦力ダウンは痛いが、仕方あるまい。

 

 だが、これで魔封波の使い手は2人。

 向こうも警戒はしているだろうが、俺の蘇生に回数制限などない。

 勝率はかなり高くなったと言えるだろう。

 

 ヤムチャ君がそーっと俺を見て「なぁ、2人も生き返らせて、もう体調は大丈夫なのか?」と心配そうにしている。

 良い子だ。

 盗賊なんてしていたらしいが、根本的には仲間思いということか。

 

「ははは。見た目は酷いけどそこまで疲れたりしないよ。元々怪我してて、負担で傷が開くだけだからな」

「そうか……無理しないでくれよ。悟空だって、あんたが傷つくことを望んではいないはずだ」

 

 ええ子や!!!

 やっぱ人間しか勝たん。

 ブルマちゃんも俺に二時間毎に小さくおねだりするようになったし、かわゆいねぇ。

 俺がうんうん頷いていると、TV番組が突如緊急番組に変わった。

 

 プーアル君が慌てた様子でウーロン君を起こしている。

 

 画面に映ったのは国王らしい犬系獣人な羽虫さんだ。

 ピッコロ大魔王に脅されているらしい。

 冷や汗と共に緊張の様子を見せている。

 

 皆が大魔王のどうでもいい抱負に聞き入っているので、少しばかり暇だ。

 俺はちょいとブルマちゃんに問いかけた。

 

「なあなあ、この国って獣人が治めてるのか?」

「え、何言ってんのよ。アニマリンじゃない。国王も嵌った動物化の罠!って見出しを飾ったやつ」

「アニマリン……?」

 

 どうも、昔流行ったファッション用の獣人化薬らしい。

 気軽にもふもふになれるからと人気に火がついたが、粗悪品が出回って効果が切れるのが遅かったり、そのまま戻れなくなった人が続出。

 危険性により一気に廃れたが、戻れなかった人が大勢いるのだという。

 

 俺は目をまん丸にして狼狽えた。

 

「え、ウッソ、魂レベルですっかり変化してる…んですけど!?そんなんファッションに使ってたの」

「詳しくはわからないけど、今治療薬が開発中だって聞いてるわ」

 

 ………………。

 

 俺は全身から冷や汗を吹き出した。

 

 それは……実は俺、かなり酷いやつだったのではなかろうか。

 人間を羽虫と間違えるなんて極刑ものだぞ。お前旧支配者クビだよ。

 シュブ=ニグラスの腹からやり直せカス。

 

 真っ青になってカタカタ震えていると、ブルマちゃんが心配そうな顔をした。

 「まだ体調戻らないの?」と言われて、俺はぶんぶん首を振って否定した。

 勝手に許されざる失敗した挙句人間に心配させるクズですよ俺は……。

 

「ま、まさかウーロン君も…?」

「あれは違うわよ。普通に豚」

「クリリン君は鼻ないけど」

「……?鼻ないわね。そういう生まれの人間でしょう?」

 

 ぐおおおおおぜんっぜん分からん!!!

 

 俺は頭を掻きむしって呻いた。

 人間だったら可哀想だからひとまず安全牌として獣人は全部優しくすることにしよう。

 大体人型ならセーフにする?

 でもそんなの深きものどもも人間って判定に…絶対やだ!

 

 俺が丸くなってシクシクしているうちに、新しい政策が大魔王によって発表されたようだ。

 くじ引きをして、引いた数字の区画を吹っ飛ばすつもりらしい。

 ニヤニヤと悪辣に数字を発表する。

 西の都の一部を破壊するつもりのようだ。

 まあ、俺が障壁を張れば問題なかろうよ。

 

 報道を聞いていきりたったヤムチャ君が、立ち上がって叫んだ。

 

「俺もいく!こんな場所でじっとしてはおれん!」

「ヤムチャ、待って!!」

 

 ブルマが後を追いかけ、2人が駆けていく。

 

 悟空君が向かっているのは分かっている。

 戦力的にはかなり接戦になりそうだし、俺も観戦に行くとしよう。

 

 いそいそと権能にてキングキャッスル付近に移動しようとして。

 そのあたりで緑の神格が俺に声をかけてきた。

 

『黄衣よ、宮殿へ来てくれ』

『ん?今いいとこなんだけど……まあいいか。すぐ向かうよ』

 

 最期の頼みがあるのかもしれない。

 できた神格の頼みぐらい聞くのもやぶさかではない。

 

 「少し行ってくる!」と布団で横になる武天老師様に言い残して、俺は転移したのだった。

 

 

 

 

 相変わらず宮殿は静寂に包まれている。

 空気が澄んでいる感じがして、まるで清涼な高原や空白の神域に来たみたいな雰囲気だ。

 

「よくぞ来てくれた。さぁ、座ってくれ。ポポがお茶を用意してくれている」

「すまんね。それで、何の用があったのか聞かせてもらっても良いかな」

 

 俺がやや戦いを気にしているのに気づいたらしい。

 緑の神格はキングキャッスルの様子を水晶玉に映して、戦況を見えるようにしてくれた。

 

 俺もやろうと思えば遠見ぐらいできるが、俺がやったら覗きになって犯罪臭がするからな。

 覗きは最低限にしているのだ。

 

 でもこれは神の視線だからノーカンということで。

 ぐへへ。

 

 緑の神格が眉を下げ、少しだけ俯いた。

 

「私には後釜がいない。今後黄衣には、私の跡を継ぐような清く力のあるものを探して欲しいのだ」

「やっぱ見つからなかったのか」

「……この星の中にはな。皆清くはあれど力はなく、力はあっても清くない。ままならぬものだ。私も、先代のように後釜について早くから準備すべきだった」

 

 悲しそうな緑の神格の様子に、俺は少しばかり同情した。

 志を継ぐもののいないまま永遠の消滅を迎えるのは悲しいことだ。

 永遠たる俺にはどうすることもできない悲哀、人がいつの時代も悩み苦しんだこと。

 

 俺は今後フリーザ軍の仕事でいろんな星に行くことがある。

 その時に、良い感じに長命な羽虫を持ってこれば彼の心残りを晴らせるだろうか。

 

 うむ、と頷いたら「これっ!」と叱られてしまった。

 

「今よからぬことを考えたな。神となるにはまず自らの意思が不可欠。無理やり据えるものではない!」

「うす……」

「平等だ、愛を偏らせれば神は災いしか招かんのだ。わかるな黄衣よ」

「うっす師匠」

 

 俺は触手をクルンクルンにして頭を下げた。

 だーれが穢らわしい羽虫に愛なんか与えるかよ。

 常に地球が羽虫だらけでイラついてんだよこっちは。

 

 茶を持ってきたポポが「だめ。こいつ全然分かってない」と指摘した。

 そして緑の神格によりべしんと杖で頭を小突かれてしまう。

 

 ぐすん。族滅は勘弁してやるよ。

 

「それと、お主に閻魔大王様から抗議の声が届いておる」

「閻魔…あの世の管理人か?」

「そうだ。勝手に死んだ人間の魂を蘇生して世を乱しているとして、お怒りになられている。厳に慎むように」

 

 俺はむすっとして唇を尖らせた。

 

「いやでも、ドラゴンボールでも同じことしてるぞ?」

「あれは私のもので、惑星の神として正式に認められた力だ。何ともしれん力とは異なる」

「うーむ、そりゃそうか」

 

 しかし困ったものだ。

 禁止されたからって気軽に止められるようなら、人は死者蘇生を求めたりしない。

 

「俺も認定してもらえたりはしないかなぁ」

「ないな。お主の力は世界を穢すものだ。排除しこそすれ、認めることはないだろう」

 

 穢す、というワードはこれまで幾度か出てきているが。

 俺も具体的なことがわかっていないんだよな。

 俺の方も使うのに術を改善したらなんとかならないだろうか。

 

 もう最期かもしれないし、このタイミングで聞いておくべきだろう。

 

 人差し指に権能の力と、それと全く同じ効果をもたらす魔術を灯す。

 そうして緑の神格に問いかけてみた。

 

「どっちが穢れてるように見える?」

「右だな。右は夢の如き恐ろしい気配がする」

「ふぅむ。じゃあこれは?」

「右。何か向こう側から見ているような感覚がある」

 

 幾度か繰り返せば、サンプルは少ないがおおまかな理屈はわかってきた。

 

 アザトースとの交渉量が多いほど「穢れている」と強く感じるようだ。

 魔術自体の消費MPに比例しているから、ひとまずは分かりやすいだろう。

 予想外なことに、魔術による事象変更規模とは比例しない。

 加えて権能は一番穢れが少ない。というか、ほぼ穢れを感じないらしい。

 

 困ったな、俺は権能の方はサボっていていてあまり使わないのに。

 魔術に慣れてしまえば、そちらの方が上位互換だからな。

 

 だが権能を鍛えるいい機会ではあるだろう。

 

 

 

 などと話している間に、局面はラストバトルを迎えたようだ。

 天津飯君を人質に取られ、悟空君の足が止まる。

 大魔王は高笑いをした。

 

 あまりに卑怯なり。プチッとやってやるぞ。

 俺が憤っていると、そのまま石とか飛ばして悟空君をボロボロにした。

 地面に悟空君が力なく倒れ伏す。

 

 は???許されないんだが。

 ぶっころ。

 

 ピシャリと緑の神格の喝が飛ぶ。

 

「神が怒りで動くでない。それは神の理に反するぞ」

「……これを怒らないでいられるか?俺の育てた子が不当に傷つけられているのに」

「それでは誰も神なしに立って歩けんようになる。信じて、見守るのもまた愛だろう」

「………」

 

 不服ながら、俺はいつでも動けるように構えながら見守った。

 

 今まさにトドメを刺されんとするその時。

 不意をついて体を跳ね上げた悟空君が、ロケットのように大魔王へと飛び込んでいく。

 そしてついに最後の拳を叩きつけんとする。

 

 防御体勢に入った大魔王を、それでも限界を超えて振り絞った力で、見事に撃ち抜いた。

 

 その拳は敵の体を貫き、「勝った…!」と悟空君が苦悶の声を上げて落下していく。

 下にいた仲間がギリギリ受け止めてくれたようで、怪我もない。

 

 俺は驚愕に目を見開いて、それでも変わらぬ光景に動揺した。

 

 もうダメだと思った。俺が出るべきだと思ったのに。

 俺が助けるしかないと思ったのに。

 こんな状態から、1人でなんとかできるなんて。

 

 大魔王は最期の力を振り絞って、己の化身を生み出したらしい。

 卵が遠いどこかに飛んでいく。

 

 苦しげな息をして、緑の神格がそれでも穏やかに笑った。

 

「言っただろう。人間はわたし達が思っても見ないような進化を遂げる。我々がその限界を定めてはならぬのだ」

「………完敗。確かにそうかも」

 

 俺は淡く微笑んで頷いて見せた。

 

 美しい光を見せてもらった。

 所詮俺の故郷たる地球とは違う羽虫だらけのばっちい星で、ちょっとだけ嫌になっていたけれど。

 

 でも、綺麗でかっこいいところもある。

 人間以外だって輝くところはあると、思い直せた気がする。

 

「それはそうと瀕死の悟空君心配すぎる今からかっ飛んでいくけどもう良いよね!?!?」

「人の話を聞かんかたわけもの!」

 

 ゴンって木の杖でぶっ叩かれ、俺は泣き言を漏らした

 

 グズッ、旧支配者をぶった!

 父上にもぶたれたことないのに!!!

 





・神様
このヤバい邪神イカに神のなんたるかを僅かでも教えておかねば!!と使命に燃えてる。
こんな危険神物を放流したら、最悪自分の死後地球が消滅する!

・父ヨグ=ソトースにぶたれたことないハスター
宇宙ヤンキー。
ニャルラトホテプの親友(悪口)。
神様の意図に気付かず「良い神様なんだなぁ(みつを)」とかやってる。
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