第23回天下一武道会の日がやってきた!
この時を待っていた!
21回のときの帽子も持参したし、22回の店売りうちわも持ってきている!
今日は生憎の天気だが、恐らくはもうすぐ小ぶりになることだろう。
武道会は予定通り開催されるはずだ。
まあ、濡れたリングなどを掃除するスタッフさんは大変だろうが。
俺は悟空君を伴ってみんなと合流地点に向かえば、皆もうすでにお揃いの様子だった。
悟空くんが傘を畳みながらニコニコと口を開いた。
「オッスみんな!クリリンも天津飯も、みんな強くなってんな!」
「え、悟空なのか…めちゃくちゃ背のびてるじゃないか!俺も背伸びだと思ったのに!」
「クリリン君も背伸びたよ!10cmくらいかな、強さもすごく強くなってる!」
「黄衣さん……そうですよね!俺強くなりましたよね!」
ちょっと自信を失いかけたクリリン君を勇気づけつつ、すっかり俺と同じほどの身長になった悟空君を見る。
いつのまにか大きくなったものだ。
DNAを精査した俺からすれば、この急激な成長はサイヤ人特有のものだとはわかっている。
だからやはりあの小さかった悟空君の成長は感慨深い。
天津飯君が「相手にとって不足なし、というわけか」と気を引き締め直したらしい。
皆悟空君の成長に驚いているようで、俺も鼻高々である。
ブルマちゃんが若干の怒り気味でため息をついた。
「でもヤムチャは私を置いてちっとも帰ってこないし。こんな残酷な遠距離恋愛あるのかしら」
「僕も置いてかれましたよ!ヤムチャさま、僕までおいていくんです!」
「おお、みんな置いていかれ組かぁ。寂しいよなほんと」
俺もうんうんと頷いた。
武道家ってみんなそう。みんなおいて修行の旅に出てちっとも帰らないの。
そうして俺もニャルを置いて武者修行に出てニャルに癇癪起こされて消し飛ばされたりした。
わかる。
「黄衣さんはどうされてたんですか?」とランチさんに聞かれたので、あくまで待つ側として答えてみせる。
「俺は修行に無理やり押しかけてたよ。位置は俺の魔術でわかるから、天界にお邪魔したり、跳躍して修行の先々でばったりとか」
「なるほど。私もヤムチャにGPS仕込んどけば良かったかしら。辺鄙なところでも飛行機なら一っ飛びだし」
「新しい形の通い妻じゃん。金持ちにしか許されない形式」
「やだ、通い妻なんて!」
ブルマちゃんが満更でもなさそうな顔をした。
札束で殴る通い妻、割といいと思います。
ちなみに、悟空君は修行前半は緑の神格のところで重点基礎修行。
後半は緑の神格からの課題で世界を旅して色々な経験を積んでいた。
人間的成長も武道家の鍛錬のうち、ってやつだろう。
実は緑の神格、悟空君を後釜に据えたいなぁとうっすら思ってる感じあるんだよな。
見る目あるじゃん。
そのあたりで武道会スタッフにより登録締切間近のアナウンスがかったようだ。
選手一同は慌てて登録へと走っていった。
間も無く、天下一武道会が始まる。
直前に悟空君には体のサイズにあった亀胴着を作ってあげている。
ついでに更衣室で着替えてくるだろう。
破れても無限に修復して、大事なところが見えない特別製だ。
もちろんルールに反するだろう防御性はつけていない。
防御性なしで重さのある肌触りのいい特性重りも搭載してあるから、修行にもなる
例年通り、予選は俺たちは見ることができない。
本戦開始まで、俺たちはしばらく周辺を彷徨いて観光することにした。
「ずいぶん発展したのね、このあたり。やっぱり天下一武道会の評判のおかげかしら」
「前々大会からどんどんレベル跳ね上がってるらしいしな。5年から3年にスパンも短縮したんだろ?」
「そうね。参加者増加もあるし、客足の増加で3年前よりこの辺り一帯の開発が進んでるみたい」
街は舗装され、特徴的な中華風建物のほかに近代的な街並みも増えた。
活気のある街並みは観光客向けの飲み屋もあり、お土産屋も賑わっている。
しばしみんなで堪能したあと───看板前でみんなで記念写真も撮った───本戦の対戦表の発表があった。
張り出された対戦表を見に行くと、相変わらずすごい人だかりであった。
プーアル君がふわりと人波を越えて看板を見に行ってくれる。
第一試合は因縁の対決らしい。
天津飯君と桃白白とかいうサイボーグ。
サイボーグって俺苦手なんだよな。
可哀想っていうか、生きたまま半分剥製になった猫ってすごく見てて辛くないか?
おーよしよし痛いねぇおいちゃんが治してあげようねぇ、という気持ちになるんだよな。
俺の細胞を採取したドクター・ゲロも最終的に人造人間になることを目指して研究を続けているっぽいが。
なんともまぁ、理解できないことである。
今は採取した俺の細胞が老いも衰えもしないことを躍起になって研究しているようだ。
どんな細胞の一片からも復元し、動き出す。
破壊されたDNAを自ら修復し、元あった形に戻ろうとする知性体。
悟空君達の細胞は別途研究して人造人間作りを進めるとして。
俺の細胞は俺の細胞で必死に研究を続けているらしい。
良い良い。思う存分調べなさい。
人間の学びになるならこれ以上嬉しいことはないからね。
でも俺の根本が夢である以上、原理的に再現はできないから入れ込みすぎないようにね。
ちなみに、試合結果は天津飯君が順当に勝利を飾った。
そりゃそうだ。
機械化したって元の技量がついてこなけりゃ意味ないしな。
第二試合に関しては、悟空くんが結婚した。
まさかの電撃結婚である。
俺氏驚愕である。
お相手は可愛い娘さんで、「また会った時お互い強くなってたら結婚する」と約束していたらしい。
約束はかなり昔、ドラゴンボール集めに旅していた頃のようだ。
きちんと俺と悟飯さんで、夫婦や家族については悟空くんに教えておいたからな。
「こういうのは軽々に決めるものではない」と俺が注意したのを覚えていたようだ。
チチちゃんはそれでも諦めなかった。
悟空くんを探し、この天下一武道会で強くなった姿を見せようと直接乗り込んできたのだ。
悟空くんはちょっと困った様子を見せた。
が、確かにお互い強くなっていたから最終的には結婚を受け入れたようだ。
あまり女性を困らせることをしてほしくはないんだが、悟空くんの淡白さを思えば一生独身でも不自然ではない。
その点、このぐらい押しの強い子がいてくれれば安心である。
おお、悟空くんも大きくなって。
俺結婚式には出るから、挨拶文考えとくね…。
ほろり。
あと家事と子育ては俺がみっちり仕込んでおくから心配めされるな。
第三試合はクリリン君と、マジュニアとかいう大魔王の化身の対戦だったが、クリリン君は敗北。
第四試合はヤムチャ君と緑の神格だ。
緑の神格はどうやら男性の体を借りているようで、見知らぬ男性に乗り移っていた。
キモ。寄生虫かよ。なんで人間の体を操っとんのじゃ。いてこますぞワレ。
ちょっと憤りつつ、直接現れるわけにはいかない緑の神格の事情も理解している。
後で俺も何もわからない状態で放り出される男性のフォローをしておこうと思ったのであった。
プンスカしつつも、順当に悟空君と天津飯君の準決勝に移る。
2人のそれは実にすごい試合だった。
甲虫王者ムシキングって感じで、手に汗握る戦いだ。
俺もつい下品にヤジを飛ばしたくなってしまう。
天津飯君もなんか四つに増えるし、悟空君は重りを外して全力全開だし。
天津飯君のそれは気を核に半独立した化身作成、操作するという仕組みらしい。
戦闘中に増えるというのは非常に面白い試みだ。
じっと見て、見よう見まねでウニョンと増えてみる。
難しいなこれ。気の代わりに魔力を用いたけど、どうも安定しない。
隣のブルマちゃんと武天老師様にギョッとされる
「貴方も同じことができるの!?」
「いや、俺のは形を真似ただけ。単に増えても高度な連携がなぁ。戦闘に耐えうる四身連携は生半でない鍛錬が必要だったろうに。凄いなぁ」
「なるほど、ただ増えただけじゃないってわけね…!」
決着はあっさり気味だったが、まさに大激戦。
これほど弱い生き物が技巧を凝らして戦っていて、本当にハイレベルな技量の鎬の削りあいだった。
血がたぎってしまうことだ。
俺も戦いは嫌いじゃないし。
「なんじゃ、お主も参加しとうなったか?」
「ははは。そうだな。格上に戦いを挑んでこれを打倒する。俺より強い奴に会いに行く。そういうのって胸が躍るのはわかる」
「うむ。それぞ武道家というものじゃ」
格上の神格に戦いを挑んで、無限に再生しながらこれ打倒するのは史上の喜びだ。
「俺も昔は格上の神に戦いを挑んで、1000年ぐらいかけて殴り合ったんだよなぁ。術理と権能のぶつかり合い。消し飛んで消し飛んで黒焦げにされて、再生しながらガチバトル。ああ、懐かしいなぁ」
「そういう規模の話はしとらんのじゃが」
昔、炎の神クトゥグアさんに戦いを挑んだ時もそんな感じだった。
かの神は規模的に格上だから、俺もその時は長めに4000年ぐらいかけて殴り合ったものだ。
途中で嫌になったクトゥグアさんが逃げ出そうとしたりもしたが、きっちり最後は安定して俺の勝利を重ねることができた。
もっとも、そのあとは宇宙が再誕するまでクトゥグァさんには居留守使われたけど。
いい試合だったじゃん。けっ。
さて。次はマジュニアと緑の神格の対戦だ。
・ドクターゲロ
ハスター細胞を頑張って研究中。
根本的にこの宇宙とは原理が異なるかもしれないと頭を悩ませている。
悍ましい。何かがこちら身を見ている気がする。廃棄すべきか。
だがあまりに惜しい。ワシの頭脳ならば究明も夢ではないかもしれぬのに!
・居留守クトゥグア
おかけになった番号は現在使われておりません。
マジありえんほど迷惑だった。
しかも途中でニャルが野次馬に来て迷惑さ十倍。
二度と来んなカス(正直な感想)