ハスターなオリ主とドラゴンボール   作:ラムセス_

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平和な日常

 

 俺の家、つまりは孫悟飯さんの家から500kmほど離れた辺鄙な田舎の地。

 

 そこに新しい悟空君&チチちゃんの家がある。

 俺の家とは東京大阪間ほど離れているが、俺は移動の権能があるからひとっ飛びだ。

 

 ビューンと空飛ぶイカ姿で宙を泳いで到着。

 川のほとりにある丸っこい家のチャイムを押すと、チチちゃんが姿を現した。

 

「黄衣さでねぇか!よく来てくれただ!ほら、入った入った!」

「あはは、いいよいいよ。忙しいざかりだろう?俺は仕送り渡しに来ただけだから。ほら、紙おむつとおしり拭き。ここだと買いに行くのも手間だろう?いつものとメーカーも合わせといたよ」

「本当いつも助かるべよ……悟空さは食料の調達と薪集めに行ってるべ」

「お、ならその間に小型水力発電機の調子見とくな。急に止まると困るし、もう使い始めて1年も経つからな」

 

 俺が創造した僻地用の発電機で、デザインにはブルマちゃんも関わっているものだ。

 いくら田舎とはいえ、電気がないと不便だからと2人共同で贈らせてもらった。

 

 除塵システムはついているが、時々詰まったりすると大変なことになる。

 その点検と、各部位のメンテナンスをやっているというわけだ。

 

 チチちゃんは割と筋力も落ちて痩せたようで、やはり疲れが見受けられる。

 体調もまだ戻りきってはいないだろうに、それでも元気に振る舞えるのは武道家としての体力ゆえか。

 

 俺は眉を下げてチチちゃんに声をかけた。

 

「大丈夫かいチチちゃん。一時牛魔王さんのところに帰省してたって言ってたけど、寝られてる?」

「大丈夫だべさ。悟空さが凄く力になってくれてるでよ、交代で悟飯ちゃんの面倒を見ることができて。こっちがびっくりするぐらい手際が良かったべ」

 

 チチちゃんが複雑そうな顔で息をついたので、俺はから笑いするしかなかった。

 

 まあ、妊娠がわかった時点で時の止まった俺の神域使って育児は叩き込んだからな。

 早回しで成長する赤ん坊の幻影を相手に、つきっきりで世話するという速習方法。

 

 幻影は昼夜問わず容赦なく泣き叫び、その間にも腹は減り、ゴミは溜まり。

 とんでもない量のミルクを所望し。

 作ってる間に空腹に耐えかねて変なものを食い。

 ハイハイするようになると勝手に舞空術を使い墜落死未遂となる。

 

 育児練習結果、悟空君は寝ている間も24時間、乳幼児レベルのごく僅かな気の場所をリアルタイムで把握できるまでに至った。

 

 本人曰く、下手な修行より厳しかったとのこと。

 まあ、求められる作業の方向性が違うからな。

 だが悟空君の体力ならば一般人よりずっと慣れるのも早い。

 加えてサイヤ人ハーフは頑丈だ。

 きっと本番の子育てもうまく行くことだろう。

 

 と、そのあたりで赤ん坊のわあわあという凄い鳴き声が聞こえてきた。

 

 とんでもない声量だ。

 流石、生まれてしばらくしたサイヤ人の赤ん坊鳴き声は元気だ。

 慌ててチチちゃんが振り返る。

 

「悟飯ちゃんが呼んでるで、何かあったらまた声かけてけれ」

「おーけー。発電機の整備が終わったら呼ぶよ」

 

 

 チチちゃんと別れて、とことこと川岸に沿って進む。

 良い天気だ。

 清流のせせらぎは耳に心地よく、小鳥たちも歌っている。

 あと圧倒的虫の羽音。顔の周り飛ばないで。

 

 先ほど、玄関入り口からちらっと結婚式の悟空君たちの写真が見えた。

 

 嬉しそうなチチちゃんと慌てふためく悟空君の2人の写真だ。

 あんな小さかった悟空君が立派になって、なんとも嬉しいやら時の流れを感じるやら。

 

 もうここに迷い込んで10年以上の月日が経つ。

 

 ああ、帰りたい。

 だが同時に、ここでの生活も名残惜しいし愛おしい。

 化身を残しておいたとして、夢の外では同期は叶うまい。

 それでは化身を残す意味がない。

 

 まだ俺の肉は破壊の権能に膿んでいるが、それでもだいぶ良くなってきた。

 名残惜しくて元の場所に帰るのが遅くなる前に、早く帰ってしまわないと。

 

 覗き込んだ小型発電機は、汚れも少なく比較的綺麗だった。

 清流なこともあるし、こまめに悟空君が掃除してくれているからでもあるだろう。

 良い子だ、本当に。

 

 舞空術で飛んできたらしい悟空君が、家の裏手からこちらにやってきた。

 何も持っていないと言うことは、もう荷物は置いてきたのだろう。

 

「おーっす、黄衣さん!来てたんか!」

「発電機の定期点検にね。で、悟空君の獲れ高はいかほどで?」

「でっけぇ猪とれたぞ!今晩は丸焼きにすっかな!」

 

 どれどれ…うわでっか。あれか。

 家ぐらいあるやんけ。どんな危険地帯に住んどるんだ君らは。

 

「黄衣さんは最近何してんだ?」

「バイトの傍ら研究してる。個人研究」

「ひゃあ、むつかしそーだな!そういうのブルマが得意って感じだけんどよ」

「魂の研究だから彼女とはジャンル違いかなぁ。猪と川魚ぐらい違う」

「そりゃ違ぇな。楽しいんか?」

「楽しいよ。コツコツ修行する感じ。辛いけど、だんだん積み重なる実感がある」

 

 悟空君は「たしかに強ぇ奴との戦いを思って修行すんのは楽しいもんな!」と納得した様子を見せた。

 強ぇ有識者に「素人質問恐縮ですが」って言われたら「す、すげぇ気だ!体中に震えが来やがる!」ってなるから多分似たようなものだろう。

 

 ちなみに、具体的にはこの世界の人間の魂を研究中だ。

 

 驚いたことに、この世界の羽虫と人間とでは魂にほとんど差がないようなのだ。

 全ての魂はあの世と呼ばれる特殊な神域に格納され、そこで転生を果たす。

 一部罪深い魂は地獄に落とされるようだが、まあ濾過装置の役割も兼ねているのだろう。

 

 だから、見た目の形質以外はほとんど全ての魂に有意な差は存在しないことになる。

 人外とは間違って変な形に生まれてしまっただけの人間である、とも言えるだろう。

 

 道理で性格がみんな人間っぽいと思ったよ。

 おおよしよし、そんなふうに変な形に生まれちゃって可哀想に。

 ごめんね辛く当たって。反省しました。

 

 などとこの間緑の神格に頭を下げたら、さらにゴツンって杖で叩かれた。

 なんでや。反省が足りんかったのかな。

 俺旧支配者ハスター、反省しております。ふかぶか。

 

 

 チチちゃんは赤ん坊を抱き抱えたまま玄関先で悟空君と話している。

 2人の幸せそうな様子は、俺としても嬉しい限りだ。

 

 早く大きくなれ、悟飯君。

 きっと皆がそれを望んで、温かな愛が君を祝福するだろう。

 

 俺は赤ん坊を僅かに撫でて、気持ちだけの祝福をしてやった。

 健やかになるように。

 己の望み通り生きられるように。

 





・閻魔大王
なんか魂に「エイジ763の4032の緑の877惑星 翼竜」みたいに彫られた輪っかがついたままあの世にくることが増えたので迷惑してる。
鳥類標識じゃないんだから止めろし。

・ニャルラトホテプ
隙あらば渡ってこようとして、よく隙間に頭から落っこちてもがいてる。
じたばた。

次からはサイヤ人編かな。
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