ハスターなオリ主とドラゴンボール   作:ラムセス_

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各々の修行

 

 善は急げである。

 

 ひとまずチチちゃんを宥めた後は、ラディッツ君を洗礼がてら俺の神域に放り込んでおいた。

 

 使うのは俺の落とし子だ。

 

 「ハスターの落とし子」。

 これは自然と抜け落ちた俺の抜け毛で、どうしても気付いたらできているものだ。

 街に出たら大騒ぎになってしまうので、回収には気を遣っていたのだが。

 

 ただ、猫から隠れ潜むストレスで抜け毛が酷かったからどうもたくさん生まれがちになっていて困っていた。

 暇を持て余してみいみい俺の神域で鳴くし、再吸収してもまた生まれるし。

 まあ、ストレス源には事欠かなかったからなぁ。

 羽虫型に生まれて可哀想な子らを助けられないストレスとか、職場で生じる小さなトラブルとか。

 そうすると神域内で落とし子もイライラして自分の触手を齧ったりしてしまっていたのだ。

 

 その群れの中に、ラディッツ君を放り込んでおいたわけだ。

 

 所詮抜け毛だが、一匹一匹がベジータ君程度などよりも強いからな。

 良い具合に鍛えられるし、久しぶりの人間との触れ合いに落とし子のストレスも発散される。

 

 ちなみに、他のクリリン君やヤムチャ君などにも修行について相談を受けている。

 最近伸び悩んでいて、サイヤ人の戦いについていけるか不安だとか、そういう話だ。

 

 俺もそれについてはちょっと困った。

 俺ではあまりにも力量差があって手加減が難しいし、サイヤ人相手ならともかく、人間相手に半殺し回復は非効率的だ。

 

「というわけで、キミたちにはスパーリング相手として落とし子を一匹ずつ無料配布します。俺の子供…ってか抜け毛?みたいなやつ」

【みゅみゅみゅ】【キュムギュム…】【み?】

 

 タコみたいな丸っこいフォルムのゆるキャラを一匹ずつ手渡していくと、クリリン君達はかなり戸惑ったようだ。

 落とし子は狭苦しい神域から出て人間と触れ合うことができて嬉しそうだ。

 ムキュムキュ鳴いて体を揺らしている。

 

 クリリン君がそーっと落とし子を覗き込んで困った顔をした。

 

「え、こいつと戦うんですか!?なんというか、強そうには見えないっていうか」

【むきーーー!!!】

「!?!?!?」

 

 聞き捨てならない侮辱を受けた落とし子が、一匹にゅっっっ!と一軒家ほどのサイズに膨れ上がった。

 触手を振り下ろすと、地震の如きズドンという大きな揺れと、クレーターにも似た跡が出現する。

 強いぞ!かっこいいぞ!と落とし子は胸を張ったようだ。

 

 俺は頷いて巨大化した落とし子の触手をヨシヨシした。

 

「大きめの落とし子だから強いよ。今度来るサイヤ人より強い。胸を借りるつもりで戦いましょう」

「これ、俺死ぬんじゃないか…?」

 

 ヤムチャ君が冷静にコメントを残している。

 確かに直撃したら死ぬが、落とし子は人間相手にそんな酷いことはしないから大丈夫。

 

 力も俺に比べて非常に弱いし、うまく半殺しで勘弁してくれるだろう。

 「病院の近くで鍛錬するといいよ」とアドバイスすると、天津飯君が「道理で、孫はあなたに教えをあまり請わないと思いました」と頷いた。

 なんでや。優しいやろ俺は。

 

 まあでも、こういうのは戦う相手がいてこそ強くなれるものだ。

 落とし子を背負って落とし子スクワットを何セットかして、その後落とし子の怒涛の攻撃を避けるフリースタイル訓練をして。

 落とし子の触手を持って引き摺る下半身訓練とかもいいかもしれない。

 

 まさに万能。

 俺はうんうんと頷いて落とし子をペチペチしてやった。

 

「人間の美味しいご飯を振る舞うと喜ぶから、できれば一週間に一回はやってくれ」

「こんなにでかい奴養ってあげられませんよ!」

「人間の一食分でいいよ。俺に似て、ご飯がないとだんだん拗ねてくるんだ」

【もっきゅ】

 

 にゅにゅにゅ、と小さくなった落とし子はクリリン君の頭に張り付いてゆらゆら揺れた。

 人間好きだからふれあいの時間が取れて落とし子も嬉しそうだ。

 ヤムチャ君にやった個体も頬ずりしてポッと顔を赤らめる。

 お前メスか。いや落とし子に性別なんてないはずだが。

 

 心を鬼にして鍛えるように言ってあるから、落とし子も手加減はしないだろう。

 厳しい訓練でボロボロになった相方の姿に泣いちゃうかもしれんが、そこはまぁ適宜フォローしてくれ。

 

「じゃ、みんな頑張れ。敵は強いぞ。うまく落とし子を使ってくれ」

「ありがとうございます悟空のお兄さん!」

「やっぱ黄衣さん、絶対おかしいんだよな。宇宙生物とかかもな」

「うむ。俺には計り知れん存在であることは確かだ」

 

 ヤムチャ君と天津飯君が雑談しているのをちょっとばかり聴きながら、カメハウスを後にしたのだった。

 無害で一般的な宇宙ダイオウイカでーす。

 

 

 

 

 

 さて、あとは悟飯君の様子を見にいかなければなるまい。

 

 荒涼とした砂漠の真ん中にある小さな森で、悟飯君は頑張ってサバイバルに勤しんでいるようだった。

 気候どうなってんだよここ。

 

 影からゴソゴソ覗くと、どうも食べられるものを探しているらしい。

 平和に育ってきた悟飯君には大層辛いらしく、めっちゃ泣いてて超かわいそうであった。

 

 ああ、泣かないで悟飯君!

 今おいちゃんが美味しいもの……じゃ、だめなのは分かってるけど、分かってるけど!!!

 

 ピッコロ君はというと、切り立った崖の上で瞑想しながら悟飯君の様子を見ているようだ。

 にゅるりと瞬間移動して声をかける。

 

「どうよ、悟飯君の調子は」

「!!貴様は黄衣!……孫悟空の復讐にでも来たか」

「いや共闘した仲だろ君。そりゃ君の一撃で結果的に命を失ったとはいえ、悟空君の要望だしな」

 

 俺が肩をすくめると、ピッコロ君は少しだけ警戒を解いたようだった。

 

 どうもピッコロはズタボロで、あちこち傷だらけだった。

 服を直してないのかと思ったがどうも違いそうだ。

 

 俺の視線に気づいたピッコロ君は「サイヤ人とやらは変身もするんだな」と吐き捨てた。

 そういえば昨晩は満月だったか。

 

「なるほど、悟飯君が変身したのか。うん。あれがサイヤ人が子供を1人で特定の星に飛ばし子にする理由みたいだな」

「条件がそろえばあの姿になって暴れさせるだけでいいからか」

「そそ。生態的に制御困難。気は増えるけど戦闘技巧が死ぬから、まあ基本はデメリットにしかならないかな」

 

 もし悟空君が生物として極限まで鍛え上げられたなら、そうだな。

 話は違ってくるだろう。

 その身が神格にまで届きうるまでになれば、極まった己の気でもって本能を制御して新たな力を得ることができるやもしれない。

 ま、今はまだ遠い話だ。

 

「ついでなんだけど、君は修行する?」

「もちろんだ。戻ってきた奴にまた負けるつもりはない」

「なら俺の権能制御について講座をうけてみたりしない?」

「………なに?」

 

 訝しげに眉間に皺を寄せるピッコロ君に、にこっと笑いかける。

 

「俺と一番方向性が似てるのは君だからな。神様と違って戦闘に偏っているみたいだけど、権能で戦闘することも可能なスペックを持ってる」

「どういう意味だ。権能とは何だ?」

「神が当たり前に持つ力。己のルール。あるいは世界を作る力と言ってもいいかな」

 

 悟飯君の服を修復した痕跡が見えるし、その手の権能はきっちり備えているのだろう。

 神の力と聞いて嫌そうに顔を歪めたピッコロ君

だが、己の可能性と聞いては黙っていられなかったらしい。

 「詳しく聞かせろ」と言って興味のありそうな様子を見せた。

 

「ま、伸び悩んだ時のサブウェポンぐらいに考えればいい。あらゆることを試すうち、自分に適した道が見つかるかもしれないし」

「……だがいいのか。俺はピッコロ大魔王だ。サイヤ人どもを始末したら、今度は俺が天下に立つのだぞ」

「権能の修行1年程度で俺に並び立てたらニャルもびっくりだよ」

 

 ニタリと笑って、同時に茶目っ気をもって権能をただ威圧目的で解放する。

 濃密な剥き出しのエネルギーに、ピッコロ君が戦いて身体を固める。

 

「ま、俺も権能は苦手な方だから、俺の練習相手になってほしいという打算も兼ねてる。どうだ、悪い話じゃないだろ?」

「……よかろう。後悔するなよ」

 

 握手は交わさない、契約だけの関係だ。

 

 おっとと、そんな話をしているうちに内部でラディッツ君が圧死しかけてるようだ。

 おーい落とし子君達どいてやって。

 ベロベロ舐めない。水かけるんだよ水。そう。

 

 そのように来たる1年後を各々が修行にふけるのであった。

 





・ハスターの落とし子(大きめ)
タコピーみたいなもの。
タコピー姿は人間ウケを良くするために各々が化けてるだけで、デザインに結構個体差がある。
みんな人間大好き。

・大き過ぎた落とし子
ストレスでごそって抜けた抜け毛。
セルぐらいの強さ。
円形脱毛症。可哀想な形になっちゃった猫ちゃんばっかでストレスやばい。
ハスターは市販の毛生え薬のコーナーを若干見た。
ニャルは夫の哀れな姿にさめざめと泣いた。
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