ハスターなオリ主とドラゴンボール   作:ラムセス_

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スラッグ省略と神の密約

 

 前略ならぬ全略。

 大宇宙の帝王スラッグとやらの乗っていた船は爆破四散し、奴もまた名も知れぬ星に堕ちた。

 

 俺が優しくペンってやった成果だ。

 中から宇宙服姿のやつがいくらか出てきたが、みんなてんで弱っちかったからな。

 どれがスラッグ本人なのかもよくわからなかった。

 

 どうも惑星を改造して乗り物に変えるほどの科学力があるらしい。

 地球もそうやってクルーザーに変えるつもりらしく、なんだか色々喚いていた。

 地球クルーザーとかふてぇ野郎だ。

 

 「スラッグ様に刃向かうなど」とか「宇宙の帝王であらせられる」とか、ちょっと立派なクワガタ程度で何を抜かしてるんだか。

 猫にも勝てない帝王とは笑わせてくれる。

 

 覚えたての気を使って手加減の練習がてら、弱めに威嚇してからペンってやれば、皆大人しく近場の星に落下して行った。

 宇宙船は破壊したから、あとは勝手にしてなんとかするだろう。

 

 まあ、恒星の光の激しい高温地帯だから昇天する気はするが。

 頑張れば宇宙船も再建できるかもしれない。

 とはいえ俺のペンっは呪詛付きだから二度と悪いことはできないとは思うが。

 

 気弾で巨大な宇宙船を粉々にしたから、宇宙もデブリで少しだけ環境が悪い。

 おれがぼんやりとイカ姿で宇宙を漂っていると、界王様から声がかかった。

 

『お主、派手に暴れとりゃせんか。とんでもなく邪悪かつ強大な気で全身がビリビリしたわい。まるでありし日の魔人ブウのようじゃったと、界王神様が焦っておられたぞ』

「ん?創造神系の上位神か。まいったな、そこまで迷惑かけちゃったか」

 

 俺も神格の世を乱すつもりはなかったのだが。

 しかし気の邪悪さと善良さってどうやって見分けるんだ?

 気の形は存在規模と精神に直結しているから直感的にわかるのは理解できるが、俺にはまだうまく捉えきれていないんだよな。

 

 ふうむ、と俺は触手をモニョモニョしながら蠢いた。

 

「謝りたいんだが、界王神様とやらと会話を繋げられるか?」

『良いぞ。………ふむ。なんと、界王神様は直接話されたいそうじゃ。今そちらに向かわれる』

 

 なんと、なかなか高位の神格が直接俺と話すらしい。

 イカ姿と人間姿のどちらで会おうか少しだけ悩んだ。

 偉い神様みたいだし、変に繕っても警戒されるだけか。

 俺も神の姿たる100メートル超のイカの形で待ち構える。

 

 数瞬ののち、空間転移で現れたのは人型で不健康そうな肌色をした、白髪の青年であった。

 

 恐らく権能による移動だろう。

 創造主特権として、自由にあらゆる場所への出現が許されているのだと思われる。

 

 権能としては広く浅く、だがしかし膨大だ。

 やはり戦闘という意味では非常に弱く、ハムスターぐらいの存在である。

 それでも、宇宙の維持運営が可能なだけの存在規模は凄まじいものと言えた。

 存在規模の影であるはずの気がその規模に反して不自然に弱いのは、権能が外付けである影響か。

 

 界王神様はすごく硬い顔をして俺と相対した。

 全身が強張っているというか、緊張にあちこちに身体が固まってしまっている。

 邪悪で評判の気は出力停止しているのだが、何故なのか。

 

「初めまして。私が界王神です。貴方が先ほどの邪悪な気の持ち主で、地球を守っていたと言う黄衣さんですね」

【そうだね。へぇ、猫……破壊神と一対の神なのか。これは少し想定外だな】

 

 俺は界王神様の姿を見て、やや驚きに目を見張った。

 

 猫とこの神は繋がっている。

 この神が死ねば猫も死ぬ、という強固なルールだ。

 

 ある意味、破壊神は界王神を守るために誂えられた一対のシステムなのだろう。

 界王神が世界の維持・運営を担って。

 その中で生み出されたエラーを破壊神が取り除き、界王神を守る。

 

 とするなら、片方だけ封印したのは綻びになるか。

 

「ッまさか破壊神ビルス様をご存知なのですか!?」

【おや。片割れなのに知らないのか。調べればすぐわかることだから言うけど、あの猫は俺が封印したよ】

「ッッ!?!?」

 

 驚愕に目を見開く界王神に、俺はクツクツと忍び笑いをした。

 

【でも、君が自由でいられると面倒だな。封印したいけど、君の業務が滞るのはこの宇宙にとっても負担が大きいか】

「………何が目的ですか」

【俺はただ帰りたいだけさ。あの猫の仕業で手傷を負って、帰宅に時間がかかっている。迷惑な話だよ】

 

 ぬるりと触手を蠢かせると、界王神様はぴくりと怯えた様子を見せた。

 それでも引く気配はない。

 

 結構な胆力だ。

 こんなに怯えているのに真っ直ぐに俺に相対して、真っ直ぐに立とうとする。

 

「ビルス様を解放してください。あの方には宇宙を正す大事な役割があります」

【断る。だが、俺が帰れば自然と封印は解ける。もう数十年後のことだ。それじゃダメか?】

「…………」

 

 戸惑いに界王神様の瞳が揺れた。

 不安、ということは身を守る系列の話だろうか。

 たしかにこの界王神様、とんでもなくか弱いしな。

 存在規模に反して戦う術も生命力も無さすぎる。

 

 まあ、つながる巨大権能システムがすごいだけで、管理者たる彼はハムスターの域を出ない。

 

 俺は息をついて提案した。

 

【じゃあ、破壊神の役割のいくつかは俺が負担しよう。魔術を使わず、俺は俺自身の権能と気を用いて指示された業務をこなす。どうだ?】

「こちらの指示を聞いてくださると?」

【ああ。あくまで俺は来訪者で、帰りたいだけだ。この宇宙に悪影響を与えるのは本意ではない】

 

 協力するのもやぶさかではないということだ。

 そのように言うと、界王神様は何かと交信するそぶりを見せてから「少しお待ちください」と言ってかき消えた。

 

 一旦この場を離れてからもう一度現れた時、隣にあの天使の男性が立っていた。

 青ざめた肌を持つ、猫のお付きの天使だ。

 

「話は聞かせていただきました。こちらとしては構いません。もっとも、ビルス様はいつも寝ていらしたので不在でも大した違いはありませんが、申し出は有難いので」

【仕事しないで寝てたんだ……本当に猫じゃん】

 

 俺の侮辱に特に何も反応しないあたり、マジに寝てたらしい。

 良いのか破壊神。

 寝てる間におっ死ぬ可能性も否定できないんだが。

 

【じゃあ連絡はこの術式を通してってことで。ほい】

「おや、器用ですね。承りました。貴方は破壊神ではありませんが、その行動に一定程度の義務と権限を与えます。外部委託、という形ですね」

【了解。でもあんまり酷いことはさせないでくれよ。悟空君達に非難されたくない】

「時に神は非情なものですから。そこは保証致しかねます」

 

 そのように密約を交わして、スラッグの船の残骸のみを残してその場は解散となるのであった。

 

 

 

 家に帰るついでに悟空君の家にお土産を渡しに行く。

 近場の文明圏に面白い勉強道具があったから、悟飯君にどうかなと思って買ってきたのだ。

 

 悟空君はちょうどせせこら畑を耕しているようで忙しそうだった。

 ついに嫁さんに叱られて仕事を始めたのだろう。

 広大な畑を気弾の操縦でぐんぐん耕していく。

 

「器用だね悟空君。畑仕事と修行の同時進行?」

「お、黄衣さん!クリリンに教わったんだ。四つの気弾で別々の畑を耕すの、結構きちぃんだ!」

「いいじゃん。ならついでに気を使った念力を教えようか。これ使って畑の世話すると気の精密操作を練習できるぞ」

「!!!サンキュー黄衣さん!そうだ、一緒に修行すっから悟飯にも教えてやってくれ!」

 

 悟飯君は通信教育で忙しい気がするのだが、まあいいか。

 危険がいっぱいなこの宇宙で、修行はいくらしても損はないからな。

 

 俺は揉み手で悟空君に擦り寄った。

 

「ところで悟空君、このあと俺の修行に」

「オラ畑耕さねぇとチチに怒られっから!またな!」

「…………」

 

 食い気味に断られてしまった。

 

 もう五度は悟空君をあの世に送りかけている前科があるからだろう。

 悟空君もサイヤ人の性質で生死の境を彷徨うことでだいぶ強くなったのだが。

 それでもなお誤差と言わんばかりにゴミの如くボロ雑巾にしてしまい、すっかり信用を失ってしまったようだ。

 

 全面的に俺が悪いので泣くしかない。

 次はベジータ君に付き合ってもらおうかなと思う俺なのである。

 





・フリーザ
今のところ週末二時間ジム行くぐらいの修行頻度。
そんな泥だらけで必死になるなんてみっともない…帝王に相応しくない…。

・ウイス様
このかた、ビルス様より働き者ですね!
バイト代が欲しいって言うからビルス様お気に入りのフルーツを出したら「まっず」みたいな顔された。
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