ハスターなオリ主とドラゴンボール   作:ラムセス_

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イカ、キレた──!

 

 俺が悟空君達を迎えに行くと、悟飯君はまだ通信教育の途中だった。

 チチちゃんは俺の来訪にニコニコと迎え入れてくれた。

 

「どうも、今日のキャンプでは悟飯君を預からせてもらいます。どう、悟飯君の調子は?」

「勉強も順調だべよ。悟飯ちゃん用に貰ったあの踊る植物、悟飯ちゃんの勉強のいいお供になってるべ」

 

 前に渡したお土産で、植えると半日で喋るパックンフラワーみたいに育つのだ。

 あっという間に言語を覚えて、一緒に勉強してくれるとのこと。

 隣に置いて問題を出し合ったり、励ましあったり、息抜きしたり、サボり過ぎると苦言を呈したりする。

 

 一年ほどで枯れるが種子は残すし、勉学の友ができるのはいいことだろう。

 

 奥の部屋から準備の終わった悟空君が、ニカッと笑って大きな荷物を持ってきた。

 

「なあ黄衣さん、クリリン達は?」

「もうすぐ着くって」

「オッケー。あ、黄衣さんは新しい道具ポンポン出すの無しな!キャンプは持ってきたもんでやりくりするのがいいんだ」

「はーい……」

 

 悟空君に再三注意され、俺はしおっとして縮れイカになった。

 

 どうしても困ってるの見ると助けてあげたくなるんだよな。

 それで前回、あらゆるものを出しすぎた俺は名誉職「座ってる係」になった。

 

 そうこうしているうちにクリリン君とウーロン君も到着したようだ。

 今日はヤムチャ君は欠席らしい。

 ウーロン君はハイヤードラゴンの背に乗り、ヨシヨシして可愛がっている。

 

 ハイヤードラゴンとはいつのまにか悟飯君に懐いていた野生のドラゴンだ。

 近場で山林火災が起きた時に懐かれたらしい。

 運送業で地球を離れていた時のことなので、詳しくは俺もよく知らない。

 

 野生のドラゴンって冷静に考えたらSAN値チェックものの存在な気がするが、皆気にした様子はない。

 恐竜もいるし三つ目は一般的な人間だし、意味不明な環境なのは今に始まった事ではないか。

 

 さて、皆で舞空術を使って出発だ。

 大荷物でも皆膂力があるから、車を使わないでもへっちゃらだ。

 

 俺だけ権能で飛んでるが、1人だけ違うのは寂しいのでエフェクトだけ似たようなのを出すなどする。

 ギュインギュイン!といい具合の音と光を出せば、あっという間に仲間入りだ。

 

 クリリン君がちょっとだけ引き気味の顔をして俺を見た。

 

「その見た目で気を一ミリも感じないのは逆に不気味ですね…」

「いやでもさぁ、気を出したら逆に邪悪判定で迷惑になるじゃん?」

「それはそうですけど。どうしてそんなに気が穢れてるんですか?ベジータでももうちょっとクリーンですよ」

 

 容赦のないその言葉に俺はポン!と物理的に膨れイカになって不服を表明した。

 言い返せないので無言である。

 風船みたいなイカが黙って空を飛び、クリリン君は「悟空、黄衣さんなんとかしてくれよ」と困った様子を見せた。

 

 さて、到着したのは鬱蒼と生い茂る平原の、川のほとりである。

 今回のメインディッシュは魚を予定しているから、魚の取りやすい場所に拠点を設ける形だ。

 

 クリリン君はテント設置、ウーロン君は料理準備。

 悟飯君は薪集めで、悟空君は食糧調達だ。

 

 俺はと言えば「誰かが怪我したら治療する係」である。

 前の座ってる係から若干進歩した気がする。

 でも道具は触らせてもらえない。そんな悲しみ。

 

 俺はしょんぼりして2メートルほどのイカ姿でそばの川を流れるなどした。

 膨れイカの川流れ。

 それでも毎回誘ってくれる悟空君達のなんと優しいことか。

 

 ふと、俺の携帯端末がなっていることに気づいて電話を取る。

 防水対応だから水の中でも全然平気だ。

 

【はーい。黄衣です】

『フリーザです。少々厄介なことになりました。急ぎの要件で、今お時間よろしいですか?』

【問題ありませんよ。厄介、と言いますと?】

 

 緊張をはらんだフリーザ社長の様子に、俺は思わず体を硬くした。

 社長が厄介と言うのだから、かなり厄介な事案であると言えよう。

 フリーザ社長がわずかに逡巡してから口を開いた。

 

『単刀直入に言えば、我が兄クウラが地球のサイヤ人を狙っています』

【サイヤ人を?あー、弟の仇討ちとか?】

 

 フリーザ社長はこの世全ての苦悶を煮詰めたような呻き声を漏らした。

 違ったらしい。

 そしてプライドにかけてそんなことはあってはならぬらしい。

 ご、ごめんなさい…失言でした。

 

『ほ、ほっほっほ。まさか。我が兄クウラは凶暴でプライドが高く、父も手を焼いておりました。サイヤ人を狙うのも、自らの脅威になる可能性を少しでも排除しようとしているにすぎませんよ』

【なるほど。つまり悟空君達が危ないと】

『はい。いつも飛び回っているので私も兄の動向把握が遅れてしまい……すでにそちらに到着しているやもしれません』

 

 それはたしかに面倒だ。

 俺は少し迷って、うねうねと川から上がって体を乾かした。

 

【ならお兄さんを傷つけず送り返したほうがいいですかね?】

『いえ、目障りな奴にはここらで死んでもら……ごほん。兄の凶行にはこちらも困っていたので、よろしければ教育してくださればと思いまして』

 

 社長、邪悪が漏れてて笑うなり。

 まあ社長のことだから返礼は欠かしていないだろうし、社長の家族と合意をとった上での結論だと思われる。

 

 流石に殺すと角が立つから、適当に撃退してやるとしよう。

 とすると手加減の問題の問題が出てくる。

 悟空君にやってもらうのが一番いいか。

 

 ひとまず全員に注意喚起しようと、他の戦士達を含めて念話を繋いだ。

 

『緊急のお知らせです。地球に敵襲の可能性あり。詳細説明しま……』

 

 言葉の途中で気弾による攻撃が俺に向かって炸裂。

 それは俺のイカ肌を伝い河岸の地面を爆破した。

 砂けむりがあたりを舞う。

 

 調理道具確認中だったウーロン君は素早くハイヤードラゴンの後ろに隠れたようだ。

 うむ。危機管理能力に優れる。

 

 だが悟飯君は無事ではなかった。

 別の肌色の変な大男に気絶させられ、頭を鷲掴みにされている。

 目の前で無造作に投げ捨てられ、地面に転がった。

 クリリン君もわざとらしく足元に転がされ、踏みつけられた。

 

「へへっ、たわいもねぇ奴だぜ。こんな奴にクウラ様もどうして興味なんぞ…」

【いきなり酷いじゃないか。土煙で調理道具が汚れる】

「!?!?」

 

 俺に気弾を打ったのは、カエルに似た形をした羽虫である。

 

 ああ、これは羽虫でいい。

 他弱そうなのが2人いるが、いきなり俺に攻撃を仕掛けてくるなんて何を考えてるんだか。

 

【うーん、ひとまず何者か聞いていい?】

「我ら!」

「クウラ機甲戦隊!!」

「ハーッ!!!!!」

 

 カッコよくないポーズと共に決め台詞が放たれ、俺はちょっとだけ慄いた。

 ギニュー特戦隊もそうだけど、このポーズ宇宙の伝統だったりするのだろうか。

 

 だがフリーザ社長の兄であるクウラという人物の部下であることは確定だろう。

 

 あまり殺すのはまずい、と理性は考えている。

 でも。

 楽しい時間を邪魔されて。

 

 善良な仲間達を傷つけられて、侮辱されて、無礼を働かれて。

 

 

【─────不愉快だな。少しばかり撫でてやろうか】

 

 

 感触と触手を蠢かせ、俺は気を解放した。

 





・イカ
羽虫まみれの生活のストレスで遂にキレた。邪神。短気。
ゴキと蜘蛛と蚊にまみれた田舎のプレハブ小屋生活の気持ち。
もう有害でキモいのは全部羽虫でいいかなと思い直したようだ。
そろそろ本気で帰ったほうがいい。
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