ハスターなオリ主とドラゴンボール   作:ラムセス_

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人造人間・セル編
トランクス来たる


 

 目の前にいるトランクスという名の青年は、わけがわからないという顔で居心地悪そうに肩を寄せている。

 

「まったく!急に人を襲うとはどういう了見ですか!猿はこれだから野蛮で困る!パパ、怪我はないかい?」

「勿論だともフリーザ。下等生物に傷付けられるような柔ではないからな」

 

 朗らかに会話するフリーザ親子は平常運転。

 俺とブルマさんで紅茶と茶菓子を配ると、もの珍しそうにそれを観察した。

 

 フリーザ社長はいつもの第一形態だ。

 健康のため週末の運動を一年続けたら、変身しても手加減をミスすることが減ったとのこと。

 「たまには汗を流すのもいいですね!」とにこやかに言っていたのを思い出す。

 

 父君はコルド大王と言って、かなり大柄の宇宙人だ。

 どうやら長命な種族らしく、あの危険な猫についてもよく知っているとのこと。

 

 テラスに集まっているのは当時の関係者だ。

 俺、クリリン君、悟飯君、悟空君、ブルマちゃん、それにベジータ君だ。

 ベジータ君は実に興味のなさそうな様子で後方から腕を組んで様子を見ている。

 

 出された一口食べて、はっとフリーザ社長の父君が目を見開いた。

 

「これは美味い!茶も香り高く、カルメッケ星の最高級品が霞んで見えるほどだ!」

「この菓子はどういうものなんです?包装紙からして大衆用にみえますが」

「近くのデパートで買ったのよ。値は張るけど、庶民でも背伸びすれば普通に買えるくらいよ」

「ふむ……その程度のコストでここまでの味を出すとは。パパ、どう思う?」

 

 コルド大王はじつに真面目な顔で頷いて包装紙を確認した。

 

「富裕層に売り込めば業界を席巻できるだろう。流通は宇宙を征く我ら一族の得意範疇。……どうですかな、今代の破壊神殿」

「いや、俺はバイトで…しかもこの星を根城にしてるけど、人の営みにまでは口を出してないからな。そこんところどんな感じ、ブルマちゃん」

 

 ブルマちゃんに話を振ると、大企業社長令嬢として慣れた口調で少し考える仕草を見せた。

 

「んー、カプセルコーポレーションは食品には手を出してないのよね。でも冷蔵庫は作ってるから、一応知り合いの伝手はあるわよ。声かけてみる?」

「お願いしよう。我がコルド一門は誠実な取引を約束する」

 

 商談がまとまったようだ。

 ブルマちゃんに似た、困り切った雰囲気の青髪の青年が視線を彷徨わせている。

 

「あの……その………」

「で、結局なんなのよ彼。孫君知り合い?」

「いんや。でもすげぇ気だった。強ぇ奴だと思う」

 

 悟空君の言葉通り、青年の強さは相当なものだった。

 ハムスターぐらいには強いだろう。

 社長ならばすぐにでも倒せるはずだ。

 

 彼は現れるや否やフリーザ社長に切り掛かった。

 だが、俺と一緒に社長の到着を待っていた悟空君に割って入られ、そのままひどく困惑して剣を収めることになった。

 双方怪我がなくてよかったが、そこには明らかに何か誤解があったことは確かだ。

 

 青年は何やらもごついて「俺は、その、トランクスと言います」と小声で言った。

 俺は深く頷いた。

 

「いや絶対ブルマちゃんの血縁じゃん。親戚?」

「居ないわよそんなやつ!というか私の血縁ってなんでよ?」

「………名前がね」

 

 他意はないんだけど、こう、圧倒的血縁感がある気がしてね。

 

 言いづらくて視線を逸らし、なんとなくトランクス君を観察する。

 

 それで、彼の体が纏う時間が大きく揺らいでいることに、俺はようやく気づくことができた。

 パチクリと瞬いて凝視する。

 

「なるほど。タイムトラベルしてたから話しづらかったのか」

「!?!?な、何故それを!?」

 

 青年はガタっと立ち上がって驚きに目を見張った。

 フリーザ社長が値踏みするように横目で見ながら口を開く。

 

「タイムトラベル?その青年が時間を超えたとでも言うんですか?」

「科学技術か権能か知らないけど、面白い力だ。どこか別のタイムラインから来たせいで、体の時間に乱れが見える」

 

 この世界において、時間とはライン工場のように例えることができる。

 絶え間なく世界は時の流れに従って、無数に一定の方向に流れているのだ。

 だからこの青年は時間旅行をしていると言うより、異世界トリップした雰囲気が近いだろう。

 

 この世界と青年がいた時間に、直接のつながりはない。

 青年がいくらこの世界で動いたところで、元いた世界にはかけらの影響も与えない。

 

 コルド大王が興味がありそうな顔をしている。

 俺はうーむと悩んでから補足説明した。

 

「でもこれ、割と自殺行為なんだよな。君、もう二度とやらないようにね」

「ッ、な、何故ですか?」

「これすると過去に戻るたび世界の流れ自体が増殖するんだ。すごい負荷がかかって、宇宙構造自体がそのうち破裂する。つまり、宇宙の崩落だ」

 

 そうでなくとも大罪なので、一発で破壊神の破壊対象なんだけどな。

 そう言うと、コルド大王がサッと「採算なし」として興味を失ったようだ。

 うむ、諦めたまえよ。

 

 青年が愕然とした顔で、縋るように俺を見つめた。

 

「そんなことまで知っているなんて、あなたは何者なんですか?」

「俺は外来神格だよ。このタイムラインのこの世界にしかいないから、君とは会ったことがないだろうね。君の歴史との変更点は把握してる?」

「いえ…俺も何が何だか」

「失礼して。ふうむ。違いで大きくは俺がいること、フリーザ社長と敵対していないことが挙げられるかな」

 

 フリーザ社長が「本来黄衣さんのご子息と私は敵対していたと言うことですか」と苦い顔をした。

 

 俺がいるせいで、本来この世界も色々分岐してるはずなんだよな。

 けど世界が増えないように、かつあのアザトースみたいなのに見つからないように、俺が無理やり世界を偽装して既存タイムラインに流しているのだ。

 

 そこに運悪く着陸したのがトランクス君というわけで。

 なんとなく可哀想な気もしないでもない。

 

 少しの憂いを帯びた顔でトランクス君は俯いた。

 

「では、俺の望みは叶わないんでしょうか?」

「望みというと?」

「未来において、地球は人造人間にめちゃくちゃに破壊されます。サイボーグ、といいますか。ともかく怪物の如く恐ろしい奴らでした」

「オメェが言うってことは相当に強ぇんだろ。そっちのオラは負けたんか?」

「………いえ。あなたは心臓病で、戦うことなく」

 

 目を伏せて、トランクス君は悼むように沈黙した。

 そして「未来を救うため、あなたの戦いから糸口を見つけたかった。そしてできれば万全のあなたに、未来を救ってもらいたかったんです」と囁きの如き声を漏らす。

 

 俺も、その願いは痛いほどよくわかる。

 崩れ落ちる街にゴミのように潰される人々、こだまする悲鳴に家族を失った嘆きの声。

 今もなお俺の心を蝕む過去。

 

 だがタイムラインを無理に変更すれば、それはこの世界にとって致命的なダメージになる。

 俺がウイスさんに頼まれれば、破壊せざるを得ないくらいには重罪で、甘美な毒だ。

 

 俺はうーんうーんと唸って、ぺこっと頭を下げたのだった。

 

「い、一週間ぐらい待ってくれない?なんか良い方法ないか調査する……」

 





・トランクス
落ち込み気味。
ここまでの苦闘が、苦難が、世界にとって害でしかなかったなんて。
銘菓の産地を守るためにZ戦士入りするフリーザに後日宇宙猫になる予定の人。

・悟空
あの金色になる奴コントロールできるんか!
トランクスに興味津々。
まだ超サイヤ人は全然使えない。
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