ハスターなオリ主とドラゴンボール   作:ラムセス_

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悟空の宇宙大冒険(裏番組)

 

 一週間と言わず一晩で結論を出した俺である。

 元いた世界ならば時間圧縮が使えてもっと時間を稼げたんだが、まあ言っても仕方のないことか。

 

 その間、ブルマちゃんの家に滞在していたトランクス君である。

 単純に一番家が広いし、金がなくてホテルも取れないから仕方なくの側面もある。

 

 一夜明けて様子を見るために部屋を訪ねると、トランクス君の顔色はやはりあまり良くは無かった。

 未来に残してきた人のことを思っているのだろう。

 

 悟空君はベジータ君と手合わせ中らしく、汗を流してさっぱりしたところで廊下でばったりあった。

 俺の姿を見てパッと顔を明るくして右手を上げた。

 

「おっ、どうだ黄衣さん!なんか良い方法見つかったんか?」

「一応ね。残してきた人のことを考えると、一週間は危険かなと思って急いだよ」

 

 まだ人造人間の脅威が残っているのだ。

 トランクス君はやや焦った様子を見せて、バタバタとポケットの中から小さな瓶を取り出して悟空君を見た。

 

「あの……孫悟空さん。あなたに渡したいものがあるんです」

「オラにか?黄衣さんじゃなくてか?」

 

 遠目にベジータ君が様子をチラリと確認している。

 馴れ合いはしないが気にはなる、ということなのだろう。

 

「これはあなたが亡くなった原因の、ウイルス性の心臓病の薬です」

「俺も見ても良い?」

「はい、どうぞ。ひと瓶ありますから解析していただいて構いません」

 

 魔術で確認すると、それは非常に複雑で、かつ画期的な薬剤だった。

 心筋炎を瞬く間に治す夢の治療薬。

 この世界にはないが、ノーベル医学賞ものの大発明だ。

 

 悟空君の体をよくよく見ると、原因となるウィルスも発見できた。

 

 潜伏期日間が長く、恐らくは子供の頃の咬傷か何かによって感染したのだろう。

 感染力は低いが致命的。

 発症すればあっという間に病状が進行するから、ECMOに突っ込んでも助からない公算の方が高い。

 

 俺は顎をさすり、ふむと考え込んだ。

 

「ふむ。これ、もしかして発症後でないと使えないか?」

「ええ。症状が出たら飲んでいただければと思います」

「初撃で意識不明からの死亡まで行きそうだなぁ」

 

 劇症型心筋炎で、運が悪ければ飲む間も無く昇天してしまいそうだ。

 俺は瓶にひょいと権能を付与して悟空君に手渡した。

 

「はい、悟空君これ今飲んで。一錠でいいよ」

「え!?ですからこれは発症後に飲んでもらうモノで」

「大丈夫。俺が手を加えたから今飲んでも効くよ」

 

 悟空君が困惑しながら一粒口に放り込んだ。

 

 有効成分一つ一つに俺の権能を纏わせたからな。

 ウイルスへの効果成分はすぐに潜伏中のそれに届くようにしてある。

 かつ他の成分は俺の権能に守られて長く滞在し、万が一の時に効果を発揮する。

 

 悟空君が訝しげ「効いたんかこれ?」と首を傾げた。

 

「オーケーだよ。原因ウィルスは除去確認。これでひとまず大丈夫だね、ありがとうトランクス君」

「いえ、俺なんかが役に立てたなら何よりで……!?!?」

 

 トランクス君が目を見張って俺の隣を凝視した。

 そこでは悟空君が激しく点滅しながら瞬間移動を繰り返していた。

 

「お、お、おおお!?!?」

「孫さん!?!?!?」

「あれま。俺の権能がわけわからんことになっとる」

 

 体内に取り込んだ権能群の制御ができなくて、瞬間移動しまくっているのだ。

 悟空君が「ふんぬ!!!ぐぎぎぎぎ!」と気合を入れて、なんとかその場に留まろうとしている。

 

 権能をすぐに回収した方がいいんだが、万が一のためにしばらくは成分を滞在させておきたい気持ちもある。

 

「ぐぐぐ、気が、強制的に動く……!」

「うーん、やっぱり一旦権能を解除しよう。よいしょ」

「!!!お、楽になっ」

 

 シュンッ、という静かなエフェクトとともに、次の瞬間悟空君は消え失せた。

 権能を取り去った反動で、遥か宇宙の彼方にすっ飛んでいってしまったのだ。

 

「悟空君ッッッッッ!?!?!?」

「うわーーー!!!!」

 

 2人して絶叫を上げる。

 ちょうどそのあたりで一泊して商談を詰めてたフリーザ社長が、優雅な朝食を終えてここを通りかかった。

 

「どうしましたか黄衣さん」

「いいところに来た!事故って悟空君が宇宙の彼方に瞬間移動したんだけど、これがどんなとこなのか教えて欲しい!」

 

 社長は背後に宇宙を背負った。

 

 フリーザ軍の基本フォーマットに合わせて星図を展開する。

 星図を覗き込み、社長は困惑しながら情報を教えてくれた。

 

「これはなかなかの辺境に出ましたね。何もない星ですが、一応野生動物ぐらいはいるのではないでしょうか」

「生命が生きていける星でよかった。悟空君が意味不明な死因を迎えるところだった…!」

 

 ちなみに、この世界の星は大気がある限り皆地球と互換性がある組成の星である。

 便利だね。道理で似たような羽虫が多いと思ったよ。

 

 俺がどっどっと緊張に心臓をバクバクさせていると、悟空君から念話が届いた。

 俺のを真似て、いつのまにか気で念話を再現したようだ。

 相変わらず器用な子だ。

 

『おっす!黄衣さん、くぎぎ、よ、よっと、……オラしばらくここにいる!』

「いやなんでだよ!?」

『この辺で気が安定してるし、下手に動くと、また、どこへ飛ぶのか分かんねぇしな!この感覚を習得したら、いい具合の技になりそうだ!』

「おう、無理すんなよ。俺からチチちゃんに説明すればいい?」

「悪い、頼んだ!」

 

 トランクス君とほっと一安心して肩を撫で下ろす。

 もうびっくりしたわ。俺が100%悪いんだけどさ。

 

 ともかく今の所安心だ。

 まあ、一週間経ったら強制的に一度連れ帰ろう。

 悟空君集中すると一年とか平気で失踪するし、まだ小さい子供を置いてそれは流石に酷なんだわ。

 

 フリーザ社長が「では私は午前の商談がありますのでこれで」と再びにこやかに去っていく。

 ベジータ君の舌打ち聞こえてるだろうし、余計にそれが上機嫌にさせるんだろう。

 輝いてるな、フリーザ社長。

 

 ごほんと咳払いして、俺はトランクス君に向き直った。

 

「それと、未来については一応結論が出たよ」

「本当ですか!?」

「二つ選択肢がある。一つは人造人間襲来までここで滞在すること。二つ目はこの世界と未来世界を俺の権能で結合して、特殊なパイプラインを通じて未来に戻るか」

 

 トランクス君は人造人間襲来の時にもう一度ここに来るつもりだと聞いている。

 するとまた宇宙がそこを起点に増殖することになる。

 それは避けたい。

 

 とすると、大人しくここに滞在してもらうのが一番簡単な解決方法だ。

 だが、同じタイムラインの別世界たる未来世界も同じだけの時が経過する。

 三年もの間、彼が大切な人を放っておくことができるとは思えない。

 

 そこで次善の策として提案するのが二番目の選択肢である。

 

 この世界と未来世界を権能で結合し、同一の世界と誤認させるのだ。

 渡り廊下を設置するようなもので、これならば時空移動の影響を極めて軽微にすることが可能だ。

 

 俺の問いかけにトランクス君は静かに俯いた。

 

「………母さんを1人にしておくわけには行きませんから。世界を結合することに、何かデメリットはありますか?」

「一蓮托生になるから、未来世界が宇宙ごと消されたらこっちも消える。いや、そんなのよっぽどのことがない限りありえないけどさ」

 

 アザトースみたいなのに目をつけられない限り、その心配はしなくていいだろう。

 時間移動の件で目をつけられるのならこっちの世界だって同じことだし。

 

 少し考えて、トランクス君は「わかりました」と目を伏せて俯いた。

 悲痛な決意を胸に、しっかりと彼が前を向く。

 

「俺はかならずドクター・ゲロの悪の人造人間の弱点を見つけて、俺のいた世界を救います」

「人造人間かぁ、ドクターゲロ……ドクターゲロ?」

 

 ん?

 それって俺を培養してミニイカを作ってる変な研究者のことだよね?

 





・ミニイカ五体
邪悪なスプラトゥーンみたいなやつ。
魔人ブウぐらいの強さはある。
悪い人間ゲロに懐いていたが、ゲロが人造人間になってから元気がない。
老ネコチャンが生きたまま剥製になっちゃった…(涙)

・ドクターゲロ
従順で可愛いイカ達を可愛がっている。
人造人間と違って従順なのがいい。
腰痛がひどいゲロを労ってくれたし、擦り寄ってくるし、可愛いし、研究も手伝うし。
最近イカに元気がなくて心配。

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