ハスターなオリ主とドラゴンボール   作:ラムセス_

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イカ攫い

 

 ドクター・ゲロとは。

 虫型の小さな機械を使って、俺や他の戦士達の血を採取していたマッドサイエンティストだ。

 

 そうして生まれたのは、俺の細胞を元にして作られたミニイカ君達だ。

 あと人造人間とバイオロイド。なんというか、幅広い分野に精通した多才なお方である。

 

 元々レッドリボン軍に資金提供してもらっていたようで、悟空君に資金を絶たれたことを恨みに思っているらしい。

 戦士達の細胞を使うなどして人造人間を作って、復讐を誓っているとのこと。

 

 その技術力ならパトロンなんて引く手数多だろうに、面倒臭がりなのだろうか。

 

 現在は16号が完成していて、17号と18号については捕らえた人間を素体に改造して現在作成難航中とのこと。

 機械タイプの19号に命じて自分を改造して20号にもしている。

 現在は各機体を調整・研究中。

 人間を改造するなんて可哀想なことをするものだ。

 自身をもそうやって改造しているから、ひどいこととは思っていないかもしれないけれど。

 

 また、人工生命体にも着手している。

 これは二種類、戦士達の細胞を合わせたものと、俺単独のものがいる。

 

 俺の細胞は混ぜるとみんな俺になってしまうからな。

 非効率として分けたらしい。

 現在ミニイカ君は五体、ドクター・ゲロの研究室でお世話になっている。

 

 スクスク育っているから、あれを取り込めば俺の傷も随分良くなるだろう。

 

「ってわけで、大事になる前に俺の細胞を取りに行くつもりなんだけど、ドクター・ゲロについてブルマちゃんは何か知ってる?」

「軽率に増える黄衣さんには突っ込んでおきたいところだけど。正直聞いたことないわね」

 

 うーん、と考えるブルマちゃんにも心当たりはないらしい。

 ブリーフ博士も「ワシも知らないのぉ」と首を捻った。

 

 学会で有名な人というわけではないようだ。

 まあ、人造人間による兵器だなんてまともな学会でできる内容ではないから仕方ないけれど。

 あの技術力ならチラッと端っこを有用そうな顔をして公開するだけで名誉も金も得放題な気がする。

 

 やっぱ面倒臭がりか、それか余程世渡り下手に違いない。

 

 俺は博士達の判断を仰ぐべく、懐から書類を一式取り出した。

 分厚い紙束が紐で綴じられているものだ。

 

「これが16号の設計図だ。俺の培養細胞にデータを送信させたんだけど、何かわかりそう?」

「……うわ、なによこれ。ちょっと読み解くのに時間かかりそう」

「どれ。……エネルギー炉がこれだと事実上無限に稼働するのじゃが、そんなことあり得るのか?」

「!!本当じゃない!ならこっちの回路って」

 

 にわかに激論を交わし出した研究者達に、やはりすごい技術者なのだと想いを新たにする。

 イカ君達も懐いてたしな。

 

 議論の間、俺はミニイカ君達に念話を繋いだ。

 

「聞いたミニイカ君達。君らの生みの親は凄いって」

『みっ!』『みーみー!』『ニュニュッ!』

 

 なんとも誇らしげな反応が返ってきた。

 ちゃんとご飯ももらえてるようだし、なんか割と馴染んでるんだよな。

 でも危険人物なのは違いない。

 未来を破壊し、トランクス君の世界に絶望をもたらした元凶だ。

 俺という戦力を渡しておくわけにはいかないだろう。

 

「というわけで大人しく俺のとこに帰ってきてね。ゲロは悪い人っぽいなら倒さなきゃなりません」

『み゛』『む゛う゛』『ぶぶぶ』『ビッ』

「ブーイングしない。中指立てない」

 

 すごく非難轟々だが、多くの人に危険が及ぶのはミニイカ君達も望むところではないだろう。

 イカ君達は周りの私物をまとめて、素早く家出の準備に取り掛かった。

 お気に入りのナットとか、転がったケーブルの余りとかを風呂敷に包んで背負っている。

 

 ゴミ持って帰ってくるのやめてね。

 

『むーむー』

「え、一匹培養中?そんな感じしないけど」

『むみみみ。むむむ』

「なるほど、俺の細胞のみ休眠させてるのか。凄い技術力だな」

 

 どうも、戦士体の細胞を混ぜた人工生命体のコアに俺の細胞が一部埋め込まれているようだ。

 侵食を防ぐためにほんの少し、眠らせる形で植えられている。

 そこまでして俺を組み込む意味が分からんが、まあ強そうだし勿体無い精神が働いたのかもしれない。

 

 ブルマちゃんが虚空を見る俺に声をかけた。

 

「どうしたの黄衣さん?」

「ああ。ゲロに培養された細胞達と交信してた。家出しろって命令してな」

「ほんっと意味わかんないわよね黄衣さんの生態って。まだピッコロの方がわかるわよ」

「魔族と比べるのやめて」

 

 いや、俺と比べるのは魔族に失礼という説も無いでは無い。

 

「まあいいわ。この資料少し借りていいかしら。調べたいことがあるから」

「オーケー。俺もちょっと培養細胞を迎えに行ってくる」

 

 そのように分かれて、てくてくと歩き出す。

 

 北の都の近くにある洞窟の隠し研究所が目的地だ。

 空間転移でひとっ飛びすれば、到着はすぐである。

 出入り口では、イカ君達が風呂敷を抱えて俺のことを待っていた。

 

 すっごく不機嫌そうで、皆ブーブーと変な声で鳴いて不満を表明している。

 まだドクターゲロのところに居たかったらしい。

 こらっ、頭突きはやめなさい!

 

 俺に持ってきた大事なものを渡して、ニュルニュルと体に戻っていく。

 同時に傷が癒える感覚に、俺はほうと息をついた。

 結構量あるな。

 たくさん培養してくれたようで嬉しい限りだ。

 

 すると、慌てて研究所から出てきた老人が、俺を見て目を見開いた。

 

「こらっどこに行くお前達!!!……何っ!?!?」

 

 俺の姿に見覚えがあるようだ。

 そりゃそうか。虫型スパイカメラで飽きるほど見てきただろうし。

 俺は丁寧に一礼した。

 

「どうも、ドクター・ゲロ。俺の細胞を増やしてくれてありがとう。お陰でだいぶ傷が癒えたよ」

「奴らをどこへやった」

「吸収した。元々俺の体だしな。俺の元に帰っただけだ。でも培養技術が見事だったからか、結構体が軽いよ。流石だな」

「き、貴様……!よくも人造イカ1号から5号を!」

 

 なんか凄い悪者みたいな扱いで叫ばれてしまった。

 イカ攫いみたいな様子である。

 つか人造イカって、名前それでよかったの?

 

 俺はにっこり労るように右手を差し出した。

 

「俺の体を癒した礼に、奥にあるバイオロイドには手を出さないことにするよ。俺の細胞を使ってるんだろ?」

「!!!」

「くれぐれも地球環境を破壊したりしないようにな。大人しくしてれば大目に見るから」

「……元はと言えば、貴様の息子である孫悟空がレッドリボン軍を壊滅したためにこのようなことになったのだ!」

「おいおい、悪の組織が前触れもなく潰れるのは世の常だろう。他の資金源を獲得してないあんたが悪い」

 

 俺は肩をすくめてクスクス笑った。

 だが、それでも挑発に乗って人造人間をけしかけることはなかった。

 19号はここにはいないようだが、16号は完成しているはずだ。

 一体どういう心境か。

 いくら失敗作とは言え、戦闘に支障はないとミニイカ君達から聞いている。

 戦わせるのに何か躊躇いでもあるのだろうか。

 

 例えば肉親の情とか。

 それか、バイオロイドを通じて俺の力の差を理解しているということか。

 

「じゃあ、俺の細胞は回収させてしまったし、そろそろ帰るよ」

「…なぜ貴様のような怪物が、この星を消し飛ばさず人間ごっこなどに興じておる。我々を嘲笑うためか」

「『ごっこ』と来たか」

 

 なるほど、そう言いたくなるのも分からないではない。

 俺が化け物なのは本当のことだし、わざと力を制限して非効率的な人のふりをしているし。

 研究を通して俺の力を知る人間からすれば、まさに人に擬態して楽しむ醜悪な化け物だろう。

 

 俺はぞろりと縦に裂けた口を体に開き、せせら笑った。

 

【口が過ぎるぞ、矮小なるもの。ただ仰ぎ見ることしかできぬ身で、俺に意見するか】

「!!!」

 

 これぞ「言い返せなくて顔真っ赤─Ver.旧支配者」である。

 うるせーバーカバーカを無駄に荘厳にしただけ。

 ぐすん。今日はこの辺にしといてやるよ!

 

 イカ君達が俺の中でみーみー文句を言っているが、それは黙殺。

 

 俺はそのまま研究室を後にしたのだった。

 





・セル
核に休眠させたハスター細胞が使われている。
原作より遥かに強い。
ただ、ハスター細胞の休眠が解けた段階でセルはキモい形のハスターになる。
我が父ィィよ……。

・トランクス
一旦帰宅。
食糧難の未来世界のため、イカの権能で無限に食糧が出る壺をもらった。
ほくほく。
見た目完璧なネコチャンだしブルマの子なのでハスターの対応は至極甘い。
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