ハスターなオリ主とドラゴンボール   作:ラムセス_

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幕間の独居老人

 

 あれから3年後の5月、決着の日まで各々修行する戦士達の傍、俺はバイトに精を出している。

 

 本当は運送業を立ち上げるつもりだったんだがな。

 破壊神の業務があるから暇がなくなってしまった。

 

 破壊自体業務が膨大だし、資料作成や破壊の可否の調査を含めたらとても時間なんてとれやしない。

 なんか破壊対象が多過ぎるのは気になるところだが、もしかして猫さんすごくサボってた?という気がしないでもない。

 まあ、ニャルと一緒で猫の如きものが労働なんてするはずないから仕方ないか。

 

 色々便宜を図ってくれたフリーザ社長に申し訳無くて、ペコペコ謝罪することにはなった。

 

 「破壊する時は優先的に知らせるから」と謝り倒すと「いえいえそんな、構いませんよ黄衣さん!」と鷹揚な返事が返ってきた。

 優しい社長だ。

 

「私の軍の出身者が神の代理とは、出世頭というものですよ!破壊物の情報提供も大変ありがたい!こういうのは商売に直接影響しますからね!」

「すみません社長。ここだけの話、社長も破壊対象だったのですが俺の一存で後に回させていただきました。お世話になってますし、今後の事業も方針転換中ですしね」

「!?!?!?!?……ほーっほっほっほ!!」

 

 と、そんな感じでフリーザ社長は俺の不手際を許してくれた。

 

 なんかヤケクソ笑いだった気がしないでも無い。

 こんだけ宇宙で好き勝手しといて、この世界の善良な神の目に留まらないわけもないし。

 わかった上の悪事だろうから気のせいだろう。

 

 さて。

 今日もバイト終わりにイカ姿で地球に帰ってきてから、ミニイカ君達の要望に従いドクター・ゲロの研究施設へと向かっている。

 

 今の施設は山間にある断崖絶壁の洞窟にある。

 滝を潜ってトコトコ入り口へ向かう。

 ロックされた門をノックすると、取り付けられたカメラがぐいんと俺の方を見た。

 

「お邪魔しまーす。黄衣でーす」

『また貴様か!!これで何度アジトを変えたと思っておる!』

「まあまあ。ミニイカ君がお土産持ってきましたよ。博士の好きなメーカーの菓子を覚えてて、自分でバイトして買ってきたんです」

『…………良かろう。今回だけだ』

 

 そう言ってドアのロックを解除、俺を通してくれる。

 毎回このノリで色々言いつつも通してくれるんだよな。

 ツンデレ老人感ある。

 

 最初はすごく恨まれてて碌に話も聞いてもらえなかったが。

 今では慣れたものだ。

 

 イカ君達も、今では俺からよくポコポコ分離しては街で働いている。

 デリバリーサービスのバイトとかもしているようだ、

 みんなおおらかでイカがピザ運んできたぐらいでは何も言わないらしい。

 絶対変だと思うんだが、まあ皆が気にしないならいいのだろう。

 

 俺からポコポコっとイカ君達が分離して、みいみい言いながらワラワラとドクター・ゲロに群がった。

 

 ドクター・ゲロは「ふん。創造物如きがわしに気軽に触れるな」と言いながら煎餅を分けてやっている。

 噛めば噛むほど味が出る人なんだよなぁ。

 まず間違いなく悪人なんだが、身内には優しいタイプなのだと思われる。

 

 苦虫を噛み潰したような顔で俺を見た後、ドクターゲロは渋々口を開いた。

 

「研究は順調だ。我が最高傑作セルは必ずや孫悟空を殺すだろう」

「権能問題は解決したのか?」

「ナメック星人の細胞をベースにすることで可能な限り手綱を握れるようにした」

「へぇ、考えたな」

 

 俺の称賛に、ドクター・ゲロはジロリと眉間に皺を寄せて睨みつけた。

 不満があるらしい。

 

「わしは貴様の息子を殺すと言っておるのだぞ。なぜ協力するような真似をする」

「親として、子には成長してほしいだろう?適度な苦難はあって然るべきだ」

「わしの研究成果が息子を殺してもか?」

 

 俺はきょとんとして首を傾げた。

 この世界は人はいつだって生き返ることができる。

 魂が不滅ということは、実質的に死なないと言ってもいい。

 つまり俺たちと在り方は近く、すなわち死とは日の暮れるが如きもの。

 

 嬉しいことだ。

 俺に似た息子とは、愛おしさが増すというもの。

 

「生き返らせればいいだけだしな。ドラゴンボールの強化もできてるし、何回か死んで生き返った方が戦闘もすぐ覚えるもんだ。俺もそうやって覚えた」

「…………」

 

 数え切れぬほど死んで死んで死んで死んで、そうして権能を用いた全力戦闘のセオリーを学んだ。

 仮初の死は瞬きに目が覚めるから、大して怖いものでもない。

 

 でも肉体が損壊して苦しむ見た目は…やっぱり少し可哀想だ。

 なんだかんだ言って実際目にすれば怒れてしまうこともあるだろう。

 ままならないものだ。

 

 ドクターゲロは軽蔑の視線で吐き捨てた。

 

「貴様には家族への情すらないのか」

「えっっ俺の話聞いてた???悟空君の超えるべき相手を用意しようかなって話だよ!?」

「貴様のようなものから善良な人造イカ達が生まれるとは信じ難い。……おい人造イカ3号、机に上がる時は踏み台を使うのだぞ!」

 

 ドクター・ゲロが研究室の端っこに寄せてあった専用の踏み台を机に寄せると、イカは「みー!」と鳴いて嬉しそうにした。

 というか3号なんか君。俺見分けついてないのに。

 

「お前達は力に反して非常にとろくさい!横着をするな!踏み台の場所がわからなかったらワシに言え、いいな!」

【みい!みい!】

【むきゅー。むにゅにゅ】

「ん?5号はどうした。また1人で茶を入れてるのか。2号、手伝ってやれ」

【みっ!!】

 

 うーん。やはり思った以上に馴染んでいらっしゃるようだ。

 傷を癒すためだからミニイカ君達を取り込んだが、独居老人の話し相手を奪うのは割と非道だったかもしれん。

 

 俺の視線に、ドクター・ゲロは咳払いした。

 

「何を勘違いしている。ワシは貴様の軟弱な細胞から作り出した人造イカを教育しているに過ぎん。こんなのほほんとした連中、なんの役にも立ちもせん」

【ぬんっ!みーみー!】

「頭を擦り付けるでないわ!ええい、煎餅のおかわりならあの引き出しにある!一匹3枚までだぞ!」

【きゅうん!みみみっっっ!】

 

 イカ達が引き出しに殺到して煎餅を分け合った。

 ゲロは「フンッ」と腕を組みながらそっぽを向いている。

 

 ちなみに俺は知っているのだが、部屋の入り口の段ボールには煎餅がまとめ買いしてあった。

 孫かな………?

 俺はニコニコと頷いた。

 

 ミニイカ君からのリークによると、16号とは彼の死亡した長男をモチーフにしているらしい。

 絶縁した弟夫婦にも遺産を残しているようだし、現在北の都に住んでいることを確認している。

 

 トランクス君の時代において彼が研究所から遠い南の都を襲撃したのは。

 もしかしたら、次男夫婦を巻き込まないためだったのかもしれない。

 

 つまりすごく身内贔屓する人ということだ。

 

 街を破壊しようとしたら、俺としては処すしかない。

 攫われて人造人間にされた人に反逆にあっても放っておく。

 

 しかし、まあ、それまでの間は大目に見ることとしよう。

 





・ドクターゲロ
典型的な身内に甘い悪党。
ミニイカのことを孫のように可愛がっているため、渋々ハスターのことを招き入れている。
虎視眈々とミニイカ達を取り返す方法を模索してる。

・フリーザ
天使連れて業務中のハスターを見て肝を冷やしつつ、この強固な協力体制を築いた己を自画自賛している。
私が!私こそが武力知力双方で宇宙の帝王に相応しい!
なお前に引き渡された目障りな兄貴は足蹴にしてから始末した。
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