ハスターなオリ主とドラゴンボール   作:ラムセス_

43 / 52
空白期間②
セルゲーム事後処理


 

 セルは今後、天界付きボディーガードとなる予定だ。

 

 何かとハチャメチャが押し寄せてくるこの世界の地球にあって、ドラゴンボールは生命線だ。

 前々から守護者が必要だろうとは言われていたのだがな。

 

 とはいえ、天界は交通の便が非常に悪い。

 それを24時間警護となると収入はゼロ。

 世捨て人になる覚悟をしなくてはならない。

 

 そうするとどうしてもそう軽々にはやるとは言えない実情が、これまで天界を無防備にしていた。

 

 基本生活費のいらないピッコロ君が一番適任なのだが、ピッコロ君こそ死んだら連座制で緑の神格も死ぬので本末転倒なんだよな。

 そこで、セルの存在は願ってもない新たな力となってくれたのだ。

 

 完全体セルを前に嫌そうな顔をする18号は、渋々口を開いた。

 

「じゃあ何か?私らは無意味に喰われて余興に使われたって?」

「無意味ではない。我が父は大層お喜びになられた。それに、お前達の肉体も戻り、記憶も復活した。私も完全体となったまま。何か問題があるか」

「あるに決まってんだろ!親とも極度に仲悪いし別に親族はどうでもいいけど、私にもラピスにも仕事と生活はあったんだよ!アパートの契約どうなってるか分かったもんじゃないし!」

 

 ラピス、とは人造人間17号のことだ。

 双子の姉弟で、18号の本名はラズリというらしい。

 俺が肉体を戻したことで記憶のロックが解除されて、己の全てを思い出したのだ。

 そして思い出さなくてもいい法律上の諸問題まで思い出して、苦悩している現在である。

 

 ああ、滞納した税金、きっと解約されて中身を処分されたアパート、無断欠勤解雇、失踪に心配してる友人達。

 ラズリこと18号は怒り心頭だった。

 

 なお、17号ことラピスは諸々の状態を調べに役所に行っていて今日はいないようだ。

 まだ失踪からそこまで年数が経っていないから死亡認定まではされてないが、それだけではどうしようもない現実がある。

 一応攫われていてどうにもならなかった期間などは刑事事件被害者として猶予されるかもしれない。

 が、そうすると被疑者死亡のドクターゲロ事件を掘り起こすことになり。

 さらに面倒極まりない事態と化す。

 

 俺は見過ごしてしまった責任を重く受け取り、スススとラズリちゃんに頭を下げた。

 

「ここで、俺がちちんぷいぷいとして全て解決するという手があります」

「黄衣さんは座っといたほうがいいと思う」

「何故」

 

 全ての信頼を失ってしまった俺は、悲しげな顔のクリリン君にそう断言されて萎れイカになった。

 

 そもそもゲロと仲良くしてた段階で相当非難轟々だったんだよな。

 

 トランクス君にも「なんで言ってくださらなかったんですか!」とマジ叱りを受けたし。

 17号18号を誤解とうっかりのせいで放置していたことも顰蹙を買ったし。

 悟空君とセルを殺し合わせようとしたこともブーイングの嵐だった。

 

 ブルマちゃんに「無いわ。ベジータだってもう少し気が利くわよ」とピシャリと言われ。

 武天老師様には「お主のうっかりはどうしようもないし、価値観が人間と違うのもどうしようもない。諦めるしかないの」と匙を投げられた。

 

 総攻撃で完全にイカの干物と化している俺である。

 

 なお、謝罪にちゃんと一人一人戦士達の願いは叶えて回った。

 生活資金を要求されることもあれば、物理法則を超越した修行道具を求められたり。

 その辺、戦士達って感じで皆実にストイックで控え目だった。

 

 天津飯君が個人用重力部屋を所望したら、ヤムチャ君もクリリン君もそれに倣ったんだよな。

 どうも重力修行は評判らしい。

 3人とも警備員などで生計を立ててるし、クリリン君は警察に就職するため修行に並行して試験勉強を頑張ってる。

 短時間で体を鍛えるのにはもってこいなのだろう。

 

 俺は縮れ触手をクルクルと巻いて深々と謝罪の意を見せた。

 

「うん、なんか力になれることがあったら言って。ラピス君もラズリちゃんも、出来る限り俺が力になるから」

「別に体を戻してくれたことには感謝してるよ。あのまま空虚に生きるはずだった全てを取り戻させてくれた。それ以上をアンタに求めたりはしないよ」

 

 さっぱりと言い切って、ラズリちゃんが柔らかくクリリン君を見た。

 ぽ、と隣で頬を赤らめるクリリン君が印象深い。

 なんか両思いっぽくて非常に良いね。

 

 堂々とちょっとエッチなビデオを後ろで見ていたはずの武天老師様が、こっちにスタスタとやってくる。

 どうやらひと段落ついたらしい。

 AVのひと段落ってなんだ……?

 

「そう言えば、ミスターサタンとやらはどうしたんじゃ?」

「一応明日アポ取ってるから、その時会う予定。彼TV出演で忙しいからさ。ちゃんと予定擦り合わせといたほうがいいと思ってな」

「なるほどのぉ、確かに最近テレビでよく顔を見るわい。それにしてはその、天下一武道会優勝とは思えん気じゃが」

 

 彼は一応かつて悟空君も出場した天下一武道会で優勝経験もあるらしい。

 まあ、俺も三年ごとに欠かさず見に行っているからよく知っているが。

 

 最近はあまりびっくり超人大会じゃなくなって来ているんだよな。

 普通の人間の格闘技大会と言うか。

 それはそれで楽しいんから別にいいんだけど。

 

 楽しみだな、ミスターサタンと会うの。

 謝罪がてら願いを叶えるためだが、果たしてどんな人柄だろうか。

 

 セルが頷いて立ち上がった。

 

「我が父よ、ではそろそろ天界へ向かうとしよう」

「そうだな。今日のうちに神様達にセルの紹介を済ませておくとしようか。そういや、あんまり美味しいものないけど大丈夫そう?」

「私はナメック星人の細胞があるため、水だけで生きられる。もちろん、食べることも可能だが」

「そうじゃなくて、嗜好を満たせるかって話だよ。辛そうなら俺が定期的に料理持ってくよ?一応神様も用意できるけど、そんな負担任せられないし」

「心遣い感謝する。だが、私は強くなれさえすれば特にその辺りの興味はないのでな」

 

 実に淡白な反応だ。

 だが、少しだけ薄く笑ったところを見るに、俺の気遣いは無駄ではなかったらしい。

 

 ラズリちゃんが「セルって案外素直なんだね。私らの前では悪ぶってただけ?」と微妙な顔をした。

 

「敵対者は悪きものでなければ拳に力は入るまい。意図的であったことは否定せんぞ」

「そうかい。はぁ、この振り上げた拳の下ろし所が分からない。クリリン、ちょっと外に行くよ。手合わせに付き合いな」

「俺ぇ!?!?でももうラズリさん戦えない、で、待った待った待った!!」

 

 クリリン君が引き摺られていくその少し視界の先で。

 この世界での修行で強くなったトランクス君が、未来世界にて人造人間をあっけなく滅ぼしていた。

 因果なものだ。

 ボタンをひとつ掛け違えただけで、ここまで景色が違って見えるなんて。

 

 悟空君も仕事の合間に定期的に天界でセルと修行予定だ。

 ベジータ君も乱入するつもりらしい。

 

 世は全てこともなし。

 そのように、俺はニコニコしたのだった。

 

 でもこれに懲りたので勝手なことせず次は逐次悟空君の意見を伺おう。そうしよう。

 





・人造人間17号、18号
なんとか人間としての身分が復活。
職は失ったが記憶も戻ったため、再就職活動を始めるようだ。
再会を喜ぶ友人もいる。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。