ハスターなオリ主とドラゴンボール   作:ラムセス_

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天下一武道会の暗雲

 

 天下一武道会の開催日がやってきた。

 

 悟天君とトランクス君は子供の部、戦士たちは大人の部に出場予定。

 二回ほど前から子供の部が新設されて、世界各地から将来有望な子たちが集まってきているんだよな。

 天下一武道会は、この世界における武道で最も権威ある大会だ。

 優勝すればこれ以上ない箔となる。

 

 クリリン君は試験勉強の合間を縫って出場したようで、暗記カードがポッケの中に詰め込まれて膨らんでいる。

 俺は先をいくクリリン君に話しかけた。

 

「どう、受かりそう?」

「いつまでもバイトでマーロンを養えないからな。ラズリさんと共働きでなんとかなってるけど、蓄えは少ないし」

 

 今は警備のバイトをしたりして生計を立てているようだ。

 ラズリちゃんは人間として鍛え直したようで、以前のようにとはいかずとも今はヤムチャ君と同程度には動けるようだ。

 まあもうヤムチャも四〇代。

 武道家としては体にガタが来てもおかしくはない。

 

 ラズリちゃんも妊娠出産期もあって、よくぞここまで戦えるものだ。

 

 クリリン君は難しい顔をして、できれば賞金が欲しいけど勝てる見込みがない…と思い悩んでいるようだ。

 悟空君の家もエンゲル係数のせいで家計は常にとんでもないから、賞金を取り合うのは難しそうだ。

 

 俺はクリリン君に笑いかけた。

 

「クリリン君ならきっと受かるよ。それに、落ちたらフリーザ社長に繋ぐから安心してくれ」

「え、地上げ屋って噂の?」

「今は北の銀河全体で流通を取り仕切る大会社だよ。特に軍備が強いから、治安の悪い危険地域への安全な商品流通に貢献してるって聞いてるよ」

 

 これに伴い、社名を「フリーザ・エクスプレス・ホールディングス」に正式命名。

 

 兄であるクウラの支配域を子会社とし、今は各星へのコンビニ的小売業を展開している。

 ゆくゆくは宇宙のインフラの一つになるのを目指しているらしい。

 

 曰く「私を破壊すればこの銀河全体に危機が及ぶ。そう言う権力は武力以外でも作れると言うことです」だそうだ。

 すごい高笑いしてたから、生き生きしてたのは間違いない。

 

 クリリン君は「ふぅん、そんな大会社に俺なんかが就職できるのか?」と訝しげな様子を見せた。

 俺は太鼓判を押してクリリン君を元気付ける。

 

「いや、宇宙全体で見たらマジフリーザ社長の側近級の武力だからな?あのサイヤ人たちがバグってるだけで」

「そうかなぁ。でもラズリさんもあっという間に強くなったし」

「それはドクターゲロがバグってたのと本人の努力が凄すぎるだけだよ」

「バグ多くないか?」

 

 まあ、地球にバグが多いのは間違いない。

 上澄中の上澄みというか。

 

 こんなハムスター級戦力のポコポコいる星なかなかないと思うんだがなぁ。

 普通微生物なんだぞ人間なんて。

 

 トコトコっとやってきた悟空君が首を傾げて俺を見た。

 

「黄衣さんは出場しねぇのか?」

「そりゃ俺は武道家じゃないからな。手加減もできないし」

「ううん、でもオラいい感じの新技できるようになったんだけどなぁ。ほら、あの髪が赤くなるやつ」

「ああ、あの神格化。え、俺と勝負したい?なら大会後にちょっとやるか!」

「おう!これでようやく黄衣さんと戦える!」

 

 俺はちょっと心が躍った。

 ついに悟空君は旧支配者レベルの戦いに足を踏み出したのだ。

 ここからが遠いのだが、それはそれ。

 ただの一生物が、俺と試合が成立する存在規模になったと言うこと自体が天地驚愕に値する。

 

 そんなの俺が知ってる限りシュド=メルくらいか?

 シュド=メルもクトーニアンという単なる地底生物から旧支配者に至った傑物だが。

 

 クリリン君が慄きながらパチクリと瞬いて悟空君に話しかけた。

 

「悟空、お前今仕事してるんだろ、よくそんな修行時間取れたな」

「アレは単なる修行ってより精神統一の方が比重が大きいしな。それに教えるってのもいいもんだな、教えてるつもりが教えられてるってことも結構あるし」

「なるほど、悟空、お前武天老師様みたいなこと言うようになったじゃないか!」

 

 笑い合う二人は本当に気心知れた仲間のように見えた。

 それは間違いなく、彼らが唯一無二の親友であることを示している。

 

 ああ、ニャルに会いたい。

 

 

 さて。

 彼らと別れたら、最初は予選だ。

 今回は予選での戦いは行わずにパンチングマシンで上位十五名を選出する仕組みらしい。

 せっかくなら日程を二日に分けて、予選も行えばいいのに。

 

 だがパンチングマシンはパンチングマシンで……ちょっと気になる気がする。

 

 具体的にはどんな頑張りでパンチングマシンを壊さないように戦士たちが手加減するかが気になるわけで。

 こんなの、彼らにとっては箸使って針に糸通すようなもんだろう。

 

 俺は出歯亀用の権能を起動し、屋台のフロートをジュコジュコ飲みながら予選の様子を覗き見た。

 

 場を盛り上げるのはミスターサタンだ。

 相変わらずマイクパフォーマンスが上手い。

 パンチングマシンで出した点数も、人間と考えたら流石の数値だ。

 137点。世界的格闘家というに相応しい数値だろう。

 

 なお、そのすぐ後に油断したラズリちゃんか500点代を叩き出してクリリン君に苦言を呈されていた。

 それはジャングル降りたての新鮮なゴリラなんよ。

 

 その後ゴリラは続出。

 頑張って手加減したはずのピッコロ君は400点でビリビリとパンチングマシンを震えさせ。

 悟飯君もチョンってやって300点代だった。

 まとめてジャングルへ帰った方がいい。

 

 ちなみに、悟空君は唯一全力のパンチの構えで134を出した。

 凄まじい力のコントロールだ。

 たぶん職場で手加減の腕を磨いたのだとと思われるが、流石の一言である。

 まあ、国軍兵士に教えるのにゴリラでは困るから身につけざるを得なかったのか。

 

 番外はベジータくん。そも手加減する気がなかったように見えた。

 高そうなパンチングマシンはお釈迦になり、おお、あとでカプセルコーポレーションに費用請求が行くんかなと俺は震えた。

 

 予選を終えた悟飯君が、短髪の女の子と連れ立って歩いてくる。

 悟飯君がこちらにきて手を振った。

 

「黄衣さん!予選突破しましたよ!」

「お疲れ悟飯君。見てたよ、脆そうなパンチングマシンでよく頑張った!」

「あはは。父さんみたいに上手くはやれなかったんですけどね」

 

 隣の女の子が非常に訝しげな顔をして俺を見たので、俺はあわててぺこりと会釈した。

 

「初めまして、俺は黄衣ハスタだ。悟飯君の祖父にあたる」

「………じ、冗談ですよね…?」

「黄衣さんは長生きなんだ。そうですよね?」

 

 悟飯君の朗らかな声に、俺はうむうむと頷いて胸を張った。

 明らかに悟飯君の彼女は狼狽えていたが、これから家族になるかも知れない人に嘘をつくのも気が引けるしな。

 長生きのイカです。どうぞよろしく。

 

「千年も万年も生きます。お名前を伺っても?」

「っ、ビーデルと言います。黄衣さんは、その、悟飯君たちの力は知っているんですか?」

「気の話かな?知ってるよ。俺はあんまり上手く使えないけどね」

 

 ビーデルちゃんは「そうなんだ……」とちょっとホッとしたような顔をした。

 ようやく普通の人が現れたと思ったのかも知れない。

 普通のイカですまんね。

 

 大人の部は午後2時ごろからの開催予定だ。

 子供の部に向けて保護者たちが見守りに席についている。

 

 その中に、見知った姿が見えた。

 

 界王神様とそのお付きさんだ。

 しかも二人とも表情が明らかに固い。

 チラリと俺を見て、二人は姿を消した。

 ついてこい、という意味だろう。

 

 何か波乱の予感がして、俺は身を震わせたのだった。

 





・フリーザ・エクスプレス・ホールディングス
流通大手。北の銀河を主とする。
数年で大企業に成長した卓越した経営手腕に注目が集まっている。
地上げ屋の評判が少し足を引っ張っている。

・猫
引き継ぎも終わったし疲れたから寝るか!!!
すやぁ。
ぶすっと顔のウイスさん。
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