あたらしい垢も作れないですし。
まぁ、いいや精神で、投稿です。
プロローグ
突然だが、僕は、どんな人間だろう。
厨二病臭いだろうか。それとも、馬鹿だろうか。
まぁ、僕のことを知らない人もいるだろうし、簡単に僕のことを説明するならば―――
ただの一般人だ。
そう、どこにでもいる、変哲もない、中2の女子生徒である。
あ、厨二と中2をかけているわけじゃないからな。
一つ、普通じゃない、異常という点は…
妄想癖がすごいことである。
第一話 高橋と佐藤
大勢の生徒、いや、部活に入っていない帰宅部どもが昇降口に群れる下校時間。
チャイムと同時に教室を飛び出し、さっさと遊びや宿題を片付けようと帰路につく奴らを尻目に、俺は廊下に突っ立っていた。
いや、何か用事があるわけじゃない。
ただ、廊下の真ん中で突っ立っていただけだ。
なぜ、俺がそんなところにいるのか。
これはもう、直感のたぐいだ。
ここで何か面白いことが起きる、と予感していた。
確信があるわけじゃない。ただ、そう思っただけ。
しかしその直感は、運がいいのか悪いのか、的中する方向へと進んでいった。
「あばばばばっっばばばっばあっっばばっばば!」
下校時間が過ぎ、人がほとんどいなくなった昇降口。そこには、謎の奇声を上げて発狂している女子生徒がいた。
本当に面白そうなことが起きてしまった。
いや、面倒くさい事態の間違いかもしれないが。
俺は遠巻きにその様子を観察したあと、意を決して声をかけた。
「あばばばっばば!」
「そこの腐女子。なにやってんだ?」
すると、その女子生徒はガバッと俺の方を振り向いた。その大きな目で俺を凝視し、パチパチと二回瞬きをしてから、ピタリと動きを止める。
――沈黙。
もしかして、本気でヤバい奴だったか?
俺が頭の片隅で後悔し始めた、その時だ。女子生徒は不意に人差し指を突き出し、俺の目ん玉に指を近づけて―――
「――ッ!?」
とっさの判断だった。
辛うじて避けたものの、その勢いのまま俺は床に尻餅をつく。
慌てて女子生徒の方を見上げると、彼女は呆然とした顔で立ち尽くしていた。
「ぁ……ぁ……え……?」
本当に関わってはいけない人間だった。
「あ、アッ……ご、ごめんなさい! 私ちょっと、うっかりして……!」
女子生徒は顔を真っ青にして、激しく取り乱しながら謝ってきた。
どこがうっかりだ。ヤバすぎるだろ、そのうっかりは。
どういう思考回路をしていれば、初対面の相手の眼球に指を突き出そうと思うんだ。
「あ、……お前、2年3組の……」
「え、あ、はい! 2年3組14番の佐藤陽葵です!」
直立不動で名乗る彼女を見て、そういえば隣のクラスにこんなやつがいたな、と俺はうっすら思い出した。
「えっと……あの、あなたは……?」
「俺?」
俺は少し考えてから、彼女を見つめ返した。
「俺は高橋湊。2年2組のね」
「あぁ……高橋さんでしたか。先ほどは本当に失礼しました! ちょっと私、急いでいるので、お先に失礼しますね!」
ぺこりと頭を下げ、足早に昇降口から出ようとする彼女の腕を、俺はガシッと掴んだ。
自分勝手で、他人に興味もないこの俺が、彼女の自己紹介を文句も言わずに聞いたのはなぜか。もちろん、一番肝心な「あれ」を聞き出すためだ。
「お前、さっき発狂してただろ。一体どうしたんだ?」
どんな面白い答えが返ってくるのか。少しばかり期待を込めて、俺の口元は自然とニヤリと歪んでいた。
「え、あ、…」
一体どんな返答が返ってくるのか。推しが尊すぎて限界を迎えたのか? それとも、ただ日常的に発狂しているリアル腐女子なのか?(ちなみに、さっき『腐女子』と呼んだのは俺の完全な偏見と直感だ)
まあ、理由なんて何でもいい。とにかく気になって仕方がない……!
「え……」
促す俺の前で、彼女の表情からみるみる焦りが消え、すん、と完全な真顔に戻っていく。
――そして。
「腐女子じゃないですが? 勝手に人のこと腐女子呼ばわりするの、やめてもらえます?」
――急に、めちゃくちゃ早口になった。
「そもそも、初対面?全然話したこともないくせに、タメ口なんてどうかしてますね。僕が忙しいと言っているのに、引き止めたり、個人の趣味で人の予定を狂わせないでくれませんか?それに、僕は君にそこまで教える義理もないですし、さっさと去ってください。不快です。先生呼びましょうか?それともPTA?教育委員会?僕はいつでも「女性」という特権で君をいつでも突き出せるんですよ?たとえ君がしてなくてもね」
さっきの彼女からの切り替わりに圧倒され、頭がすこし混乱する。
本当に、とんでもないやつだった。
言葉に詰まる。
「そもそも、初対面でまともに話したこともないくせに、タメ口なんてどうかしてますね。人が忙しいと言っているのに強引に引き止めたり、個人の身勝手な好奇心で他人の予定を狂わせないでくれませんか? それに、僕には君にそこまで教える義理もありません。さっさとそこを退いてください。不快です。――先生を呼びましょうか? それともPTA? 教育委員会? 僕は『女性』という特権を使って、いつでも君を社会的に突き落とせるんですよ。たとえ、君が本当に何もしていなかったとしてもね」
彼女のあまりの豹変ぶりに圧倒され、俺の頭は完全にフリーズする。
俺は本当にやばいやつに出会ってしまった。
完全に言葉に詰まり、何も言い返せなくなる。
だが…
「…なにか言えます?言えないなら帰りますね。それでは―――」
さらに興味深い…!
俺は帰ろうとする彼女の腕をさらに強く握った。
「…本当に馬鹿ですか?君みたいな脳筋が僕に勝てるとでも?」
「それでも、別に俺は良い。さらに好奇心が深まるだけだ。」
彼女はものすごく嫌な顔をした。
「はぁ…面倒くさい人に出会っちゃったなぁ…」