TS転生外宇宙系魔法少女ダークネス・ルーシィ   作:イア! イア!!

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とんがった物で刺せ

 学校を襲った、血の匂いのする巨大な半透明な何か。

 

 広い敷地を、ドーム状に包み込んでいるそれが、何かしらの方法で中にとらえた人間から血を奪っているようだ。このままではみんなの命が危ない。

 

 大きなクラゲのようにも見えるそれから学校の皆を助けるべく私はさっそく行動を起こす。

 

「てやややー」

 

 手にはロッカーから取り出してきた巨大な透明の三角定規。アクリル板だけど長年小学生の蛮用に耐えてきたこれなら、たぶん刺さったら痛いはず。

 

 本当はデカい包丁とか欲しかったんだけど、さすがに調理室まで走っていって探してくる余裕はなかった。

 

 なあに、こういうのは切れ味よりサイズが大事!

 

 切れ味鋭いデザインナイフでも顕微鏡で見るような検体相手には鋭さが足りない! だがこの逆もしかり!

 

 みてろよ、この三角形がわらび餅みてーな半透明の体を引き裂いてくれるわ!

 

「くらえっ!!」

 

 突撃の勢いのままに半透明の膜に三角定規をぶっさす。うぉおおこのまま切り裂いていくぞぉ……って、あ、あれ。これは……。

 

 ぶよよん。

 

「うわあん」

 

 半透明の膜の弾力に押し返される小学生ぼでー。

 

 ひ、非力。圧倒的非力!!

 

 というか見た目以上に分厚いぞこれ。今の感じだと厚さ50cmぐらいないか。学校にある刃物じゃ刃渡りが足りない。

 

 ど、どうしよう。

 

 このままだと皆が干物にされてしまう!

 

「く、くそぅ……あれ?」

 

 困惑しつつも情報を求めて周囲を見渡すと、ふと半透明な膜の向こうに見覚えのあるピンクがうごめいているような気がした。

 

 いや、気のせいじゃない。

 

 あのちょっと赤みがかりつつもショッキングな色合いの桃色は……。

 

「ルーシィ!?」

 

『! ミミミ!』

 

「助けに来てくれたのか!?」

 

 それは間違いなく、私の愛しい友達だった。家で留守番させていたはずだが……どうやら、学校の異常を察して助けに来てくれたらしい。

 

 こっちが気が付いた事を理解したのか、膜の向こうでうぞうぞ蠢いている。

 

 その形状がしゃきーん、と尖がった形状に変形したのを見て取って、私も慌てて後ろに下がる。

 

「よぉし、ルーシィ、やっちゃえ!」

 

『ムルミミミィ!』

 

 べこん、と半透明の膜が勢いよくこちらに向かって凹む。引き延ばされたビニールみたいになっている膜の向こうで、ドリルっぽい形に変形したルーシィがぎゅるぎゅる回転しながら突貫しているのが見えた。無数の触手を螺旋状に束ねて回転させるピンクの体が、どんどん半透明の膜を引き延ばす。

 

「よぉし、あと少しだ、ルーシィ!」

 

『ミミミィ!』

 

「がんばれがんばれ、ルーシィ!」

 

『ミミミィ!!!』

 

 私の声援を受けて、その回転が勢いを増す。その鋭い切っ先がどんどん膜にめりこんでいく。

 

 めりこんで……。

 

 めりこ……。

 

 ぐぐ、と進行が止まった瞬間、勢いよく元に戻る復元力。

 

『ミミミミミィーーーー!?』

 

「ルーシィーーーーー!?」

 

 悲鳴を上げて、ルーシィはパチンコの玉みたいにどっかにふっとばされていった。

 

 キラーン、と光を残して、お空の星になる彼。赤く染まった彼に、笑顔のルーシィの幻が見えるようだった。

 

 ルーシィ……無茶しやがって……。

 

「そして僕も星になりそうだよ……」

 

 さすがにこれだけの大騒ぎをすればあっちも気が付くか。

 

 空を覆う半透明のドーム、その中央からにょろにょろと白い触手みたいなのが伸びてくる。まだ血を吸ってない透明なそれは、新鮮な血を求めて私のほうに向けてうねうねしてくる。

 

 逃げようにもこの透明な膜で覆われた中に逃げ場なんてない。そもそも伸びる速度が小学生の走る速度より断然早い。

 

 これは。

 

 万事休すか……っ。

 

「く、くそっ、来るなら来い! この三角定規でやっつけてやる!」

 

 ダメ元で抵抗するべく、手にした大きな三角定規を盾のように構える。

 

 うぉおお、やれるだけやってやるぅ!!

 

 

 

 

 

「セイクリッド……ザンスラッシャー!!」

 

 

 

 

 

 突如として響くのは、凛とした少女の凄烈な声。

 

 同時に、半透明の膜を青く輝く光が断ち切った。それはドームに大きく亀裂を入れると同時に、伸びていた触手をもまとめて両断する。

 

 ボテボテ、とグランドに落ちる触手の切っ先。

 

 へっぴり越しでそれを見送った私は、きょとんとして声をの聞こえてきた方に目を向けた。

 

「……ほえ?」

 

 学校を覆っていた半透明な膜。その一部が切り裂かれて、外が見えるようになっている。

 

 うっすらと赤く染まっている世界が置き換えられたように、そこだけ青い空が広がってるような錯覚を覚える。そしてその青空を背景に、半透明の膜の残骸を踏みつけにして、一人の魔法少女が佇んでいた。

 

 白いドレスに、銀色の鎧。金色の髪をなびかせ、手にはギラリと輝く大きな刃物。

 

 彼女の名は……。

 

「チーム・ナイトが一人! ソード・アリス、邪悪を絶つべくここに推参!」

 

「お、おお……」

 

 これは……知らない魔法少女のご登場だ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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