ジャズ好きパイロットの相棒、異世界にて歌う   作:月光舞詐称者姫

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大変遅くなりました。レポートやらテストやらが忙しいシーズンでして……
鳴潮のサイパンコラボとかも走っちゃってて小説書く時間がありませんでした……

こっちも着々と進めていきますのでよろしくお願いします。


デュランダル争奪戦

《数日前》

 

「まったく、旧陸軍由来の特務機関とはいえ、大臣との約束を電話一本で保護にするとは……」

 

 メガネの秘書官が不満そうにそういう。隣にいる日本の防衛大臣、広木はそれに対してはっはっはとにこやかに笑い

 

「それでも、彼らは特異災害に対抗できる唯一の機関だ。私の役目は、連中の勝手気ままを、出来るだけ通してやることさ。」

 

 そう言って手元のアタッシュケースをなぜる。そこに入っているのは、二課に渡しに行く予定だった秘密資料だ。

 だが二課からの急な受け渡し場所変更を依頼され,そこに急ぎ向かっているという形になる

 

「……突起物とは、よく言ったものですね。」

「こらこら、我々防衛省にも、家族をノイズで失ってる者も多いんだ。

 彼らはそうした者たちを減らすために尽力して……」

 

 特異災害対策機動二課。略して突起物。最初に呼び始めたのは誰だったのか。大事な機関であるが故に罷り通る特別扱いの割を食うのは、彼らとは関係のない場所なのである。

 故に疎ましく思う物も少なくない。そんな部下を宥めながら進みゆく車の前に、曲がり角から突如として現れたトラックが前を塞ぎ、ブレーキの間に合わなかった車が盛大にクラッシュする。

 

「何事だ!?」

 

 困惑する間も無く、サブマシンガンで武装した兵士たちがトラックの荷台から現れる。車に同乗していたSPが拳銃を片手に車を盾に応戦しようとするが、銃の破壊力が違いすぎた。

 次々と撃たれたSP達は倒れていく。大臣の秘書も,車のガラスを貫いた凶弾に撃たれ事切れた。

 せめてケースの中の資料の処分だけでもとケースに手を伸ばす広木大臣の手も、まだ熱の残る銃口によって叩き落とされてしまう。

 

You must be defense minister Mr.Hiroki?(広木防衛大臣に間違いないな?)

「貴様らっ!」

 

 話される英語に相手の正体を悟り声を上げる彼だったが,そのまま彼らの凶弾によって倒れ伏すことになる。

 

「おーおー、こりゃまた血まみれにしちまって、」

 

 そんな惨状に、遅れて入ってきたのは伸ばした黒い後ろ髪をポニーテールで纏めた女だ。サングラスで隠れた右目には、大きな縦の傷が入っている。

 武装した彼らと違い、スーツ姿の彼女は、呆れたように言いながら血を血の滴るアタッシュケースを回収し、取り出した布で拭き取る。

 

「お前ら、この後これクライアントに渡すんだぞ?少しは考えろよ。」

「テロリストの仕業に見せかけるんだ。このくらいは必要だろう。」

「やれやれ、制圧してケース奪ってからやればいいものを、自分の手際の悪さをどうしてそう言い訳できるのかねぇ。」

 

 肩をすくめてケタケタと笑う女に、部隊の指揮官である男は眉を顰める。

 

「口を慎めアッカネン。お前の代わりはいくらでもいるんだぞ。」

「はいはい、心得てますよ少佐殿。せいぜい可愛く尻尾をふるさ。」

「では、少しはそれらしくしたらどうだ。」

「おいおい、勘弁してくれよ。」

 

 アッカネンと呼ばれた女は、くつくつと笑いながら肩をすくめてそう言う

 

「それが俺たちレセプターチルドレンの仕事だ。そうだろ?」

 

 なぁ、フィーネ?と、その場に現れた女、フィーネこと、彼らの協力者、櫻井了子にアタッシュケースを渡すのであった。

 

《そして、現在》

 広木防衛大臣暗殺により敷かれた検問を利用して、二課から輸送先である日本政府の特別電算室"記憶の遺跡"まで民間の車の存在しない空白地帯を作り、

 デュランダル移送の車両団がそこを一気に駆け抜ける。了子提案の『天下の往来独り占め作戦』が始まろうとしていた。

 

「道中、デュランダルを狙った襲撃が予想される!十分に警戒しろ!」

 

 張り詰めた空気感の中、リリーは護送者の一台に、響はデュランダルを積んだ了子の車に乗り込む。

 

「作戦開始!」

 

 その言葉と共に、車両団はアクセルを踏み込み発信した..

 

 

「対象が移動を開始したみたいね。」

『ポイントまではどれくはいだ?』

「この時間なら、あと十五分くらいじゃない?」

『わかった.近づいて来たらまた連絡をくれ。』

「えぇ、任せて頂戴。」

 

 こちらの狙撃を避ける為であろう街中を縫うようなニ課考案の進行ルート情報は、すでに手に入れている。

 

「それじゃあ、行くわよ.」

 

 深く息を吸い、吐く。顔見知りが敵にいる。そんな懐かしさすら覚える状況が、今更になって重い。それでも

 

Van dear freischuts en zizzl(弾とした血肉を現在に捧ぐ)

 

 自分の歩む道は、とっくに決めている。

 

「狙撃を始めるわ」

『おう、ならこっちもボチボチ行くぜ』

 

 通信機から聞こえてくるクリスの声に笑みを浮かべ、彼女は狙撃態勢に移行する。

 

 

『アウフバッヘン波形を検知!』

『お出ましか!』

 

 通信機からそんな声が聞こえてくる。

 

『狙撃がくるぞ!全体警戒しろ!』

 

 直後、マンホールの上を通った護送車が盛大に吹き飛んだ。

 

『何っ!?』

「真下から!?」

「なんでぇ!?」

 

 さらにその隙をついて、今度は護送車の一台が、上空からドローンに反射された弾丸に穿たれて大破する。

 

『下水道だ!下水道からノイズの反応がある!奴らは下水道を通して攻撃を仕掛けてくるつもりだ!』

「そうみたいね……でもちょっとマズくない、弦十郎君。」

 

 近くには薬品工場がある。爆発でも起きればデュランダルは木っ端微塵だ。

 

『わかっている!護送車を狙い撃ちするのは、デュランダルを傷つけない為にノイズが制御されているからだと予想できる!』

 

 そこで弦十郎が下した指令は驚くべきものだった。

 

『だからあえて、薬品工場に逃げ込め!そこならば相手も迂闊には暴れられん!』

「賞賛はあるの?」

『思い付きを……』

 

 その言葉に対し、弦十郎は大真面目な顔で言う

 

『数字で語れるものかよ!』

 

 そうね、とそれに苦笑した了子は、そのまま車を薬品工場へと走らせた。

 

『リリー君はスナイパーの対処を頼む、場所はここから北東、距離十二キロだ!』

「了解!」

 

Glaizen roya sequence tron(死線を越えろ、遍く生を掴む為)

 

 護送車一台のドアを破り、中からセクエンスを纏ったリリーが飛び出す。

 

「来たわね。」

 

 ザミエルのギアを纏ったアリシアは、スコープを覗き込み、こちらに向かって走るリリーを見据える。

 浮遊するビットをアーマーに結合さは、飛翔するがその動きはぎこちない。

 

「そうよね、動きの担当はイオだったものね。」

 

 2人が夢に見る並行世界。そこでリリーはイオと、もう1人とトリオを組んで一体のメカを動かしていた.メカ本体の操作をイオに任せていたリリーにとって、訓練で起動することの出来ない空中起動フォームは付け焼き刃以外の何者でもない。

 

「まっすぐ飛ぶだけでも苦労するでしょ。」

 

 自分の元まで近づくなら飛ぶのが1番近いと思ったのだろう.だが遮蔽物もなく、軌道がおぼつかない彼女はただの的だ。

 確実に仕留められる。

 

「悪いけど,落ちててもらうわよ!」

 

 しかし、そんな彼女の思惑と共に放たれた弾丸は、斜め方向へのバレルロールで回避される。

 

「なっ!?」

 

 レバーを引き、弾丸を装填。再び放たれる弾丸が迫るが,同様に回避される。

 

「修行の期間、遊んでた訳じゃない……!」

 

 そう、セクエンスのギアは死戦、命の危機のある場所でなければ真価を発揮せず、修行を積めない。だが、狙撃への対策は、緒川から徹底的に叩き込まれたのだ.

 

『とはいえ、相手の狙撃型ギアの対策というのは、かなり難しいんです。』

 

 自宅の和室で、緒川は困ったというように頭をかいていた。

 

『相手はまず間違いなく狙撃ポイントで待ち構えています。

 相手が仕掛けてくるタイミングがわからない上にわ事前の情報から弾丸の軌道を曲げられること、現代の技術を超えた超長距離からの狙撃が確認されています。』

 

 スナイパーとの戦いとは、基本的に『かくれんぼ』なのだ。相手を先に見つけて先手を打った方が勝つのがセオリーだが、隠れて狙ってくるスナイパーの方が格段に有利だ。

 加えて相手はシンフォギア、現代科学や人間の技術だけでは想像もつかないような無茶をかましてくること間違いなしだ.

 

『ですから、リリーさんに伸ばしてもらうのは"ここ"です。』

 

 緒川はそう言って頭をトントンと叩いてみせた。

 

『こ……ここ?』

『はい、頭脳、戦闘センス、あるいは反射神経とでも言うべきでしょうか。』

『……もしかして、狙撃を見てから対処できるようになりなさい……ってコト?』

『いやぁ、流石にそこまでは厳しいでしょう。拳銃の弾丸ですら、見切れるようになるまで相当の修行を積まなければなりません。』

 

 それだけ現代兵器というのは脅威なのです。そう言ってから緒川は、修行法を開示した。

 

『ですから、リリーさんに見切ってもらうのは銃弾ではなく、狙撃手になります.』

 

 そう、発射された狙撃を見てから回避するなど、よほどの超人でなければまず不可能だ.だから人を見切る。

 そうして連れてこられた屋敷の地下。複数の遮蔽物が用意された広い空間で、リリーはぴっちりとしたボディスーツのような衣装を纏うことになった.

 

『えっと……これは?』

『私たち、飛弾忍軍の子供が、模擬戦の時に使ったりするセンサー内蔵スーツとレーザーガンです。』

 

 緒川が手に持つのは、一見実銃と変わらないが、引き金を引くと、そこから弾丸は飛ばず,赤いレーザーが伸びるのだった.

 

『これがスーツに当たると……』

 

 ビーッ!という甲高い音が鳴る。

 

『えっと……それで……』

『敵の狙撃の癖は。以前の戦闘データで着弾から次弾までのタイミングなどが取れてるので、出来る限り真似てみます。

 リリーさん、貴方には……』

 

 その射撃のタイミング、そこを見切る術と、瞬間的な回避の技術を学んでもらいます。

 あっ、これ地獄になる奴だ。緒川の宣告に、今までの『体づくり』と称した拷問じみた量のトレーニングメニューを思い出して遠い目をしていた。だが今は、結果としてそのハードな訓練に感謝する他ない。

 

「(思った以上に予測ができてる……)」

「(こっちの動きが高精度で読まれてる?リリー、あんた……)」

 

 戦えている。その事実は一方には自身に、もう一方にはプレッシャーになる。それは、薬品工場でぶつかり合う2人も同じだった。

 

「はああぁぁぁぁっ!」

「このっ!調子に乗るなっ!」

 

 リリーが緒川の元で修行をつけたように、響もまた、シンフォギアを纏った翼や自分よりも強いと言う強靭な戦闘力を持つ二課最後の砦、弦十郎に修行をつけてもらっていたのだ。

 中国拳法に近いパワフルな動きでノイズを殲滅し、そのままネフシュタンの少女、クリスとの戦いに発展する。迫る鞭を避け、時に掴んで引き寄せる。しかしそこに負けじとクラスがカウンターで蹴りを入れる。こちらは一進一退の攻防。しかし、まだアームドギアと呼ばれる武器を展開できていない響ではやや劣勢

 

「(アリシアの援護があればこんな奴……!)」

「(まだアームドギアを使いこなせてない、どうすれば翼さん達みたいに……!)」

 

 4人の思惑が交差しながら、戦いが進むに連れ、フォニックゲインが高まっていく。それに当てられて

 

「これは……」

「起動したのか?デュランダルが!」

 

 厳重な封印であったはずのケースを突き破り、黄金に輝く剣が宙に浮かび上がる。

 

「アリシア!作戦変更だ!デュランダルが目覚めた、援護を!」

「仕方がないわねッ!」

 

 一旦、近づいてくるリリーを無視。スコープを覗き込み、デュランダルに飛び掛かる響に一発。

 それが籠手にぶつかり、大きく耐性を崩す響

 

「もらったぁ!」

 

 その隙をついて、クリスが伸ばした手は

 

「させるかああぁぁぁぁぁ!」

 

 薬品工場のタンクを足場に、再び跳躍した響の渾身のタックルによって阻まれる。そのまま、負けじとデュランダルに向けて2人の手が伸びる。

 

「しつこいわよ!きゃっ!?」

「もうこれ以上好きにはさせないわよ、スナイパー!」

「きゃっ!?もう近づいて来たのね……やるじゃない,リリー。」

 

 当然、それを阻もうとアリシアが狙いを定めるが、その狙撃銃をリリーのソードビットが叩き落とす。結果、成長したじゃないと苦笑するアリシアと、リリーの目があった。

 

「えっ……アリ、シア……?」

「久しぶりねリリー、ちゃんとご飯食べれてる?」

 

 まるで街角であったときのように、気さくに話すアリシアとは対照的に、パクパクと口を開くことしか出来ないリリー。その背後で、爆発が巻き起こった。

 

「!?響!響!?何があったの!?」

「クリス、作戦は?失敗……そう。ごめんなさい、私が最後に援護できてればね。」

 

 アリシアの通信からは息の荒いクリスの声がする一方で、響の通信機からは反応がない。

 先程の爆発は、デュランダル争奪戦を制した響が、そのまま破壊衝動のようなものに呑まれ、衝動のままに放った一撃が薬品工場を吹き飛ばしたことで起こったもの。

 そんなことも、そのままアリシアが気絶してしまったことも、リリーからは分からない。

 

「さて、任務失敗だし、このまま帰らせてもらうわよ.」

「ま、待ってよアリシア!なんで……なんでこんなテロリストみたいな真似……!」

 

 その言葉に、去ろうとしていたアリシアの足が止まり、振り向く。そひて口を開いた

 

「"タイタンズ"」

「ッ!?」

()()()()()()()()()()()()?そういうことよ。私は今の仲間を大切にしてる。アンタもまずは、今の仲間の心配をしてやりなさい。」

「そうだ、響……!」

 

 背後の煙を見て、もう一度だけ、アリシアに向き直る。手を固く握り、ぎゅっと奥歯を噛み締めて、彼女は薬品工場の方へと向かっていった。

 

「そう、それでいいのよ。」

 

 振り返らずにそう言うアリシアを、そこに残して。

あとがきにクロス元(機動戦士ガンダムサンダーボルト)の原作用語、設定解説なんかは……

  • いる、あとがきに書く形でいいと思う。
  • いらない
  • 番外編でまとめを作ってたほうがいいかも
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