ハーレムラブコメ系ゲームに転生したけど、BADENDだらけでクリアできる気がしねぇ!? 作:チョコーン
基本アップデートはしないスタンスだったが、一度だけ大きなアップデートをした。
3日目。このゲームの鬼門とも言える、先輩・後輩キャラとの交流は実質今日からスタートという事になる。本来は時間を掛けて少しずつ交流する筈だが、何をトチ狂ったのか、俺は今日、残りのヒロイン全員と出会う気でいるのだ。
まぁそこまでみんな気難しい子達じゃないし、俺も一人を除いて何回かは出会いイベントをこなしているからサクサク進むだろう。
と言う事で登校したらまずは一年の二人の元へ向かうとしよう。なぁに、あの二人と会うのは簡単だ。だって……。
「うわー! 見事に穴に落ちましたね! やっぱりここには落とし穴が掘ってあったみたいですね! 気付かせてくれて感謝です!」
「感謝してる場合ですか! 早く助け出しますよ!」
……校庭でこのイベントが強制発生するから(運悪いと死ぬ可能性もある)。
「あーそうですね。このまま放置してたら野垂れ死んでしまいますからね、この手掴めますかー?」
彼女の名は『
「よいっ……しょっと! いやー大変でしたね、落ち所が悪ければ死んでたかもしれませんね!」
「笑いながら言う事じゃありません! 我が学校で殺人なんて起こったらお祖父様が困ります!」
もう一人は『
「にしても、誰が仕掛けたのですか……こんな目立たない場所に落とし穴を作るなんて、暇何でしょうか?」
「謎ですね~学校中を駆け回って聞いてみます?」
「そんな手間の掛かる事しなくて良いです!」
二人は定期的に一緒にいる、なので二人のイベントは基本セットになる回数が多い。
「ありがとな二人共……いや、もしかしてだが、俺が落とし穴に落ちるまで黙ってたんじゃ……」
「あー! あー! 聞こえませーん!」
「聞かれた事にはキチンと答えなさい! 実際黙ってたでしょう!!」
「そうですか? ならはい! 私黙ってました!」
……敬語系ヒロインとは言うが、この掴みにくい性格には未だに慣れない。彼女の攻略は他と比べ意外と高難易度だったりする。
「まったくもう……怪我はありませんか? あの穴結構深く掘ってありましたし……」
「大丈夫だ、ありがとな心配してくれて」
「! ……べっ別に、貴方に外傷があればこの学校に泥を塗る事になるかも知れないって思っただけです!」
逆に麗華は意外とチョロいのだ。
「そういえば、お名前を名乗ってませんでしたね、私は『
「わたくしは……『
先に二人に名乗られた為、俺も自分の名を名乗った。
「天馬さんですね、入学してすぐ出会うなんて、運命だったりするんじゃないですかね?」
「運命なんてそう安々と言うものじゃないです! ……まぁ、これから先、貴方を先輩として頼るかもしれないですね」
「そうですね、じゃあ天馬先輩! また会いましょうね!」
と、柚葉は急いで走り出して去って行った。
「ちょっと! 待ってください!」
続いて麗華も柚葉を追って走って行った。
「……あと6人」
次は校舎の三階へ向かって俺は駆け出した。
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「そこの2年生君、ちょっと付き合ってくれない?」
ただならぬ雰囲気を醸し出す、三年の制服を着ている少女が、手で招き俺を呼ぶ。
彼女の名は『
「なんですか?」
「なぁに、簡単なゲームよ♡ 適当で良いから、1~10の数字を言って欲しいの」
久遠澪のイベントはこの様に彼女のゲームに付き合わされる事が多い。今回は数字によって反応が変わるイベントだ。だが、俺は当時彼女が一番良い反応を示す答えを出すことができた。
「え~と……8ですかね?」
「……ふふふ♡ そう、8ね。面白い答えだわ」
俺の答えを聞いて、澪は妖しく微笑む。そして、ある本を取り出した。
「そんな貴方にこの文学小説♡ もし読んだら感想を聞かせてね♡」
……あ、後この人はこんなミステリアスな雰囲気を出してるけど、図書委員だ。図書委員で写真部、この見た目でそんな事あるんだとなる設定だ。
今の質問も数字を出して、気に入った答えを出した子に本を貸し出すという色々どうなんだそれみたいな事をしているのだ。
まぁ勿論許される訳も無く。
「こら! またキミか澪君!」
「……あーらら、もう来たの」
「まったく毎度毎度勝手に他者に貸し出しを強制して……そういうのは図書室で、きちんとした形で貸し出す物だよ!」
彼女は『
「仕方ないじゃない、今日は図書室閉まってるのよ。それに面白い答えを出してくれた子が来てくれたんだから」
「またあの数字で本を貸し出すヤツか……って、キミが気に入る答え?」
「ええ♡ 8、私にとって特別な数字♡ 永遠に回り続ける神秘的な数字♡ 私この子の事気にいちゃった♡♡」
妖しく笑みを魅せる澪に玲央は絶句していた。
「……驚いたな、彼女の気に入る答えを出せる子がいるだなんて」
「アナタは元気に1って言ったわよね。かなり微妙だったわ」
「微妙!?」
澪の数字に対する拘りは良く分からない。8の何が良いのだろうか、公式の発表順でも8番目だったりするし、俺が正式に出会ったのも8番目だ。
何かしら8に関係するものが彼女の好感に繋がる。今の所それ位しか分かってはいない。まぁあまり考えすぎるのも良くないし、記憶の片隅にでも置いておくか。
「まったく……キミは、二年生だね? 何かようかい?」
「あっいえ……少し通りかかったら呼び止められただけで……」
「……? まぁいいや、私は『皇 玲央』。名前だけなら聞いたことあるだろう?」
彼女はこの学校に在学するなら、名を知らない者はいないとまで言われている超人気者だ。この手のギャルゲーなら良くある感じの設定だろう。 学園の人気者二人、その二人から好意を向けられている。良くある展開だ。
まぁこの二人も殺しに来るんですけどね。
「あら、先に名乗るなんてズルいわ。私は『久遠 澪』、何かあったら図書室か写真部の部室にまで来てね♡」
よし、これで四人目だ。この調子で次の二人行くぞ!
俺は二人に挨拶しその場を去った。
「面白い子だったわね、あの子」
「やれやれ……また同じ事はしないでくれたまえよ?」
「さぁ? どうかしらね♡」
「まったくもう……まぁ、確かに少し私も興味を持ったな……」
「また会えたら、少し話がしたいな」
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「ふへぇ~……つ、疲れた……」
「大丈夫、天馬……? 朝かずっと駆け回ってたけど」
「あぁ……少し用事があってな、色んな所行き来して、ようやく落ち着いた所だ」
「……ふーん」
透羽は少し怪訝な目で俺を見る。そんな透羽を横目に、同じクラスの二人の少女を見渡した。
「でさ~昨日の配信でね、また登録者増えた訳、これもしかしたらウチ、直ぐに登録者100万届くって! そしたらウチもう超人気配信者じゃん!」
教室で楽しく友達と雑談しているのが、昨日も説明した彩芽ミコ。動画配信者で今をときめくインフルエンサーだ。
「うぅ……今日の体育、誰も怪我しなきゃ良いのですが……」
涙目でビクビクと怯えているのが、『
クラスの保健委員で、いつも誰かが怪我する度に泣き出す、色々と気難しい子だ。
「天馬、さっきからじろじろと何見てるの?」
「え? あーちょっとあの二人が気になってな」
「気になる……? それって」
あ、やっべ地雷踏みかけてるかもしれん。このままじゃ嫉妬心で殺害ENDになってしまう。
[後で話しかけてみようかな]
[クラスの中でも目立つ存在だなって]
あまりにも見え見えのハズレ選択肢が出てきやがった。上を選んだら透羽の情緒が崩壊する事位は知ってんだよ。
「クラスの中でも目立つ方だよなー……って、一人は人気配信者だし、もう一人は……確か、聖女? だとか比喩されてなかった?」
「あぁえっと……確かに彩芽さんは自分から名乗り出る程、自分の人気に自信があるからね、心ちゃんは……まぁ怪我したら泣きながら治療してくれるから、自分の事をそんな風に気にかけてくれてるんだって思う子達がいっぱいいるからじゃない? 多分、だから聖女って呼ばれてるんじゃないかな」
透羽からの疑念を打ち消し、何とか二人についての情報を少し確保する。
すると、心が席を経ち、どこかへ行こうとする。
「やっぱり、今のうちに消毒液でも用意しといた方が……」
と、その時、心の左足をつるりと滑らせた。
「きゃっ!?」
心はバランスを崩しよろけている。このままでは頭を打ってしまうかもしれない。
「心ちゃん!?」
「まじか!?」
始めてみるイベント(今回は初めてだらけだなぁ)だったので途端に身体が動いた。後ろへ倒れ込みそうになった心の背後へ回ったのだ。
まぁ俺だけならいつもの初対面イベントかなと思っていたが、俺が背後に回った時、透羽も心を支える為に後ろに回り込み、それどころか俺の前へ出た。
結果的に、心は倒れはしたが、俺と透羽が下になった事で怪我をせずにすんだ(俺は二人分の体重に押しつぶされてる)。
「うぅ……はっ!? だっ大丈夫ですか!? お二人共怪我は無いでしょうか……!?」
「大丈夫だよ……寧ろ心ちゃんに怪我が無くて良かった……ね、天馬……あ」
「俺は二人分の体重に押し潰されたんですが」
「ご、ごめん……」
透羽は苦笑いで謝罪をした。教室内で起きたのもあってか、クラス内の人物達が全員こちらを見ていた。
――――その中には、彩芽ミコもいる。
「うっわマジぃ? ここちゃん教室の中で転びそうになったの?」
そして、彼女はこちらに近づいてきた。
「その様です……うぅ、普段は転ばない様に気を付けていますのに……」
「ふーん……お? なんかここテカってね? もしかしたらワックス塗ってそれで滑りやすくなってたんでしょ」
「ワックス……? そういえば、進学前に校舎の清掃をするって先生が言ってましたね……」
「それがまだ残ってたんしょ、いやーホント運悪いね、ここちゃんは」
「良く言われます……」
彼女なりに心配しているのだろうか、ミコは心が転んだ原因を探り出した。
「でも良かったじゃん、優秀なボディーガードが守ってくれたんだし」
「ボディーガード……? それって僕達の事?」
「えーだってそうじゃん、転びそうになった時、颯爽と駆け付けたじゃん。ボディーガードでしか無いって!」
ミコはそう俺達を比喩し笑い出す。少しだけ透羽の顔が膨れていた。
「まぁ今後は気を付けなよーまだワックス残ってんのかも知れないし」
と、ミコは足元をみながら自分の席に戻る。ワックスがあると分かったからか、自分も滑るのが少し怖いのだろう。
「彩芽さんって話し掛けた事無かったけど、あんな感じなんだ……」
「あれでも彼女なりにフォローを入れてるつもりなんです。多めに見てあげてください……」
「そうなんだ……でも、心ちゃんが無事で良かったよ!」
「お二人には感謝しています……もし、怪我したらいつでも私を頼ってくださいね」
心はお辞儀をし、消毒液を取りに行かなければという事を思い出し、ゆっくりと消毒液を取りに保健室へと向かった。
「心ちゃん、また転ばなきゃ良いけど……」
「まぁアイツもそこまでドジじゃないだろうし……」
さて、これで恐らく6人も出会う事が出来た。後は結城依と
まぁもう依は諦めよう。あの子引きこもりだから特殊イベント起きないと遭遇できないし。
問題は氷室凪だ。彼女は恐ろしい事にこのゲームでも屈指の攻略難度を誇る存在。
クールな見た目ときっぱりとした口調。現実にいたらファンはいそうだけどそこまで自分は関わりたくない相手だ。
彼女と出会えるかどうか、それは今後に掛かってるだろう。
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そんなこんなで放課後、荷物を取り帰宅の準備をする。
透羽はとっくに準備が出来ており、俺と共に帰るのを待っていた。
「天馬、今日は疲れたでしょ? 少し家に寄ってかない?」
透羽に家に来ないかと誘われながら階段を降りる。……ふむ、結局氷室凪は何処にもいなかった。
そう会うのは難しくない筈なんだけどなぁ……ゲームだとふらっと歩いてただけで出会えた筈なんだが……。
「目標達成失敗かぁ……まぁまだ期間はあるし、そうだな、久々に寄らせてもらうぜ」
「うん! じゃあ荷物置いたらすぐ来てね!」
……え? 殺されないか心配だって? あー大丈夫大丈夫。少なくとも今の透羽は俺を殺したりする状態にはなってないから。もし病み度が3になってたら話は変わってたけど、今はそれに満たしてないから死なんよ。
まぁ監禁される可能性はありますけどね!? ここからも戦いじゃゴラァ!!
(えへへ~やっぱり天馬と帰るの楽しいなぁ~)
(……そう言えば今日、真白ちゃん見なかったなぁ)
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「……」
ふと、校舎の窓から見知った人物が並んで歩いている姿が目に映った。
天馬透と朝比奈透羽。
大方、透羽が天馬透を家にでも誘ったのだろう。透羽が上機嫌なのがこの距離からでも分かる。
「……ぐ」
何だろうか、この胸のモヤつきは。嫉妬している? 私が?
……確かに二人は仲が良い。自分から突き放した私とは違って、天馬透は透羽に積極的に接している。
少なくともあの頃と違って透羽は明るくなった。
時々暗くなる事はあるが、それでも天馬の前だけは普通を装ってる。
「透羽が天馬の事が好きなのは知っている……だが」
私だって……私だって。
「先にデートしたのは私だ……。それなのに」
昨日も彼女は私達二人の輪に入ってきた。
彼女の天馬透に対する行動は異常になってきている。きっと、外を出歩く天馬透を見つけて追いかけてきたのだろう。
わざわざ何時間も掛けて付きまとうだなんて……どこまで天馬透に執着しているのだ。
「このままでは……天馬透の身に危険が迫ってもおかしくない」
私なら守る事ができる。透羽が中学で起こした事件を二度も繰り返させない。
……それに、これは透羽を守る為でもあるのだから。
「だがどうすれば……」
「こんな所で立ち尽くして、どうしたの? 天道真白」
「……! 氷室凪」
突然、同じクラスの氷室凪が話しかけてきた。普段から冷たく、行動が掴めない。話し掛けられる事もないので、私は少し驚いてしまった。
「……いや、何でもない。少し外を眺めたい気分になっただけだ」
「……ひょっとして、天馬透の事見てたの?」
「!?」
な、なぜ彼女が天馬透の名を……? 天馬は彼女と会った事がない筈……。
「……どうしてそう思った?」
「貴女の事だから、きっと朝比奈透羽か天馬透の事で悩んでるんじゃないかって思ったの。ほら、新学期早々ケンカしてたじゃない」
見られてたのか……まぁ、私でもあの日は騒ぎ過ぎたと思っていたしな……。
「アイツなら今日、学年問わず女生徒に話し掛けられていたわ。一年の理事長の孫娘に……三年の人気者の二人。他にもいたんじゃないかしら?」
……!? そんな事をしていたのか……通りで中々見掛けないと思った。
「私も少し用が会って話そうとしたけど……結局会えなかったわ。貴女も?」
「……聞くが、何を話すつもりだったんだ?」
「貴女に話す理由は無いと思うけど……ちょっと個人的な話よ」
「『探偵』としての話をね」
キャラ紹介その4
星乃詩音(ほしのしおん)
少し不思議な女の子。
マイペースで独特な感性を持っており、話してみると訳の分からない事ばかり言う。
芸術的な事が好きで、彼女の世界を写した音楽やアートは度々話題なる。
ただ重度の飽き性で、時々空気を読まない発言をする事がある。
好きな言葉は『私が月なら貴方は太陽』