この素晴らしい世界に祝福を!オールマイティ! 作:円卓騎士夫婦別姓
魔王討伐後カズマさんが勘違いされて、強すぎる奴らといざこざするお話です。
オリキャラが魔王討伐後のカズマパにジョインします(カズマがラスト転生者設定、承知ですが、再構成ではありません。触れます。転生者のオリキャラ君は2026日本から来ますが、このすば世界を既にメタ認知している存在ではありません)。
そこから運命の歯車が狂い始めて……と言った具合です。
魔王に変わるヴィランも出てきます。
基本カズマさん視点ですが、オリキャラくん視点もそこそこ入るかもしれません。
序盤は(本当に最初の何話か)みんなの悪癖が酷くなっているせいで、かなりドライですが、原作っぽさのある会話テンポは、8,9話目付近でちゃんと戻ってきますので、ご安心を。
新人くんのビジュイメージリンク(当初は雰囲気含めてカズマさんの視覚情報の独白で説明しきる予定でしたが(そのせいで加入編はテンポがノロ目)、まあ載せられるなら載せた方が良いだろうという事で、Geminiに作ってもらったもので一番近いものを。顔以外はまんまこれです。顔に関してはもうちょいヒ〇メルみたいな可愛いイメージですが)になります、是非。
(https://i.ibb.co/cKBw1SYN/IMG-2004.jpg)
初めての二次創作になります。
書籍版このすばの完結後です。
この英雄パーティに新たなる風を!
――アクセルの冒険者ギルド、魔王討伐から一か月。――
「……厳しい……」
ギルド内は未だに祝祭ムード一色だった。
壁という壁に「魔王討伐記念」の垂れ幕が掛けられ、冒険者たちは昼間から酒を飲み交わしている。
世界を救った英雄を称える声が、そこかしこから聞こえてくる。
……だが。
英雄たちは、ギルドの隅の薄暗いテーブルで、どんよりとした負のオーラを撒き散らしていた。
俺は顔を両手で覆い、これでもかとテーブルに突っ伏した。
この、一か月。
魔王を破って、俺もこいつらも吹っ切れ始めた一か月。
魔王をぶっ倒してからと言うものの、うちの三馬鹿たちはそのアホっぷりポンコツっぷりを、あろうことか更に加速させて行っていた。
加えてココ最近は、周辺国との外交の事で、一応の勇者枠(魔王を倒した者であるからどうので)である俺は、平日の殆どを王都で軟禁される日々になっている。
レイン曰く、象徴的な平和の代弁者が必要なんだそうだ。
……それ、私に務まりますかね。
確かに魔王はぶちのめした。
でもね……?
俺の性根は結局んとこ、ただの怠惰体質ヒキニートでしかないわけなんですわ。
そんで今の俺にはもう、目標という目標も無い。
いやまあ、目標というか課題というか。
エルロードとのそれだけでも圧倒的に仕事が渋滞しているというのに、それに加えて、ブライドルだのリドルだのという、よく分からんモブ系周辺国との外交が始まっている感じの雰囲気な訳なのだが……。
……正直なところ、めっちゃ抜け出したいし、投げ出したい。
貴族さんだけで済ましちゃってくださいよ、そういうの。
平民には務まりませんがな。
……………………疲れた。
なんだか最近、今までのエロッティなパッションやらなにやらが脳のハードディスクから削られて行っているのが分かる。
数少ない俺のアイデンティティだ。
精神医か何かを新しくパーティに入れて、俺のチキンハートを診断してもらった方がいいのかもしれない、そういうレベル。
そこに付きまとう三馬鹿たちの尻拭いもあり、今の俺はさながら象の糞玉に立ち向かうフンコロガシ同然。
そう、三馬鹿たちの尻拭いなのだ。
アクアは一度、王都の魔王討伐の祝賀会で高級酒を呷ったついでに「じゃ、ここのお酒全部貰っちゃおうかしら!」とかほざき上げて、本当に王都の酒全てを決済しようとしやがった。
……まあ当然、すんでのところで俺がドタキャンを入れ込んだため、俺達の金自体は消えなかった、のだが。
突然王都中の酒が消えるという、身も蓋もない市場予想、それに惑わされた資産家たちは、何人かあらぬ没落をさせられたようだった。
すいません。
うちのアホ女神がすいません。
……そんでめぐみんは、「もっと己の爆裂道を磨きます」とか言って、とんでもなく爆裂を切り詰めていっていた。
それ自体はまあ、ストイックな女ってことで良いんじゃないかなとか適当に思ってたが、日々の爆裂の威力の上がり方は半端じゃなかったようで。
俺が屋敷を空けている間、一日一発のログボ爆裂にはダクネスが付き合ってくれてたようだが……。
聞くところによるとこの爆裂娘、とんでもなく成長しているそうな。
気が遠くなるような遠い所に爆裂をぶっ放しては、返ってきた衝撃波でアクセルの城壁を欠けさせるみたいな、そういう段階まで来てるとの事。
それ程までの成長。
魔王討伐のレベル上昇もあるのだろうか。
カエル一匹に爆裂してローションまみれリアクション芸人みたいになってたアホ娘とは思えない、ホントの人類最大の攻撃魔法使いに成り上がっている様子だ。
……いやさ、凄いよ。
凄いんだけどね。
お金取られるんですよ、弁償金、考えてください。
……で、ダクネス。
コイツも実はダスティネスの家督の仕事で、屋敷を空ける機会が多くなっていたのだが、その中でもなんとか時間の合間を縫って、めぐみんの爆裂に付き合ってやっていたらしい。
……しかしだ、急に、イグニスのおやっさんが「私も動かねばならない」とか言って公務に戻っちゃったお陰で、再びダクネスの時間は持て余されることになったのだ。
いやまあ、最近の王都さんは色々ごちゃごちゃしてらっしゃるから仕方がないかもしれんが……。
まあしかしながら、俺が屋敷を空けまくっているおかげか、あのエロティネスのララティーナお嬢さんといえども、なかなか満足には夜這いをかけられていないご様子だ。
お陰で俺はこの一か月、ただの過労保護者で、一つもオイシイ思いをできていない。
あと、時間が余りまくったせいか最近は筋トレにとんでもなく力を入れ始めているようで、クエスト中に盗み見ても、今までの蓄積もあってかインナーの下にちょっとした盛り上がりが見える。
あの筋肉絶許の自称乙女の端くれが一体、どうしたものか。
……とまあ、これが特筆したここ一か月の変化。
と、もう一つ。
というか、関連して。
圧倒的な変化があった。
何故だか理由は一切わからないのだが、こいつらの目を見張るような欠点の数々が、最近、異様なまでの自己伸長を見せているのだ。
アクアはもう、さっき言った通りの大アホだし、めぐみんの中二病指数は日に日にうなぎ登りで上がっていくし、ダクネスに至っては、会話内容の殆ど全てがマゾ妄想に変換されていく。
日を追うごとに話が通じない。
理性のレベルで削り取られてるんじゃないかと思ってもしまうこの頃。
俺は流石に、こう考えた。
……これは、明らかにおかしい。
単純に、燃え尽きの反動で三人がこうなってるかもしれないことへの不服もあるが、それ以上に何か、何かしらの形でこいつらの精神自体に手が加えられているのでは、という疑念が晴れない。
こういう感じの変化は、街を歩いていても、ギルドで飲んでいても、クエストを消化していても感じてしまうのだ。
なんなら他の冒険者の言動にも、そいつの性格的な欠点が伸長してるみたいな、そういう節が見える。
ガヤみたいのが会話に入って来たりすることも減ってきて、ちょっと殺伐してるまである。
おかげで最近の俺は本格的に精神に疲弊を感じている。
なんかもう、会話自体がキツいというか、言葉が口に出ずらくなった気がする。
それくらいの混沌がこの一か月で「いつも通り」へと昇華していっていたのだ。
……やはり、なにかしらの手心が加えられているのだろうか。
もしそうだとしたならば、誰の手によって、なんのために。
というか、そうじゃなくて普通に燃え尽きの吹っ切れで皆こうなってるなんてのは、俺は信じたくない。
どちらであっても欲しくない。
……本当に面倒だ。
魔王を倒そうが倒さなかろうが、俺には悠々自適のニート生活など一生許されないらしい。
――そして。
今、現在。
俺、
手元には、英雄の報酬で溢れているはずの財布――正確には、アクアの大決済の件がアイリス様、というか主にクレアにバレて、遂には資産を管理されてしまった(一括で俺の口座に振り込まれる直前だったため、全員が被害を受けた)小遣い財布――をも脅かす「高級酒と修繕費の請求書」の山がパっサパっサと積み上がっている。
小遣いと言っても相当あった。
相当あった、はずなのに……
魔王を倒したというのに、この有様。
世界は救われたが、俺の財布は救われなかったらしい。
「……はぁ」
深い、深いため息。
キツいよ。
金があるのに使えない、生殺し。
このペースで資産管理もされてくんであれば、俺の抱えさせられている負債は雪だるま式に勢力を拡大していく一方だ。
山ほど金があるのに、俺には出力機能だけが欠落していた。
俺のため息を聞いて、隣に座るめぐみんが小さく肩をすくめた。
「そんなに落ち込まなくても……」
「……落ち込むだろ。魔王倒したのに借金だぞ、借金。なんだよ、返せるのに返せない借金って……」
――そんな時だった。
ギルドの入り口から、一人の青年が入ってきた。
……見慣れない顔だ。
新人冒険者か、なんなのか。
黒髪で、少し落ち着いた雰囲気をしている。
服装はと言えば、この世界にしては単調な色感というか、他の冒険者のコーデのそれと違って、現代的。
髪型も、あっちの世界懐かしい、韓流のキノコっぽい頭だ。
周りと違ってバカ騒いでいる感じでもなく、そういう佇まいからしてもおそらく、俺たちの成し遂げた魔王討伐という偉業……何より、その
その、瞬間。
俺の脳みそに、ビビビっと電流が走っていった。
これは良いぞ。
獲物を見つけた獣のような目つき……いや、爬虫類のような目つきで、俺は青年をじっと観察する。
あの落ち着いた感じを纏える雰囲気、冷静な歩き方、加えてよく分からないが、なんかしら考えてそうな仕草。
間違いない、金回りが良い。
緑っぽいファサファサした長い羽織の下に、黒いなんかを着てる。
なんだろう……スーツだろうか、あれは。
いやもう尚更金じゃないすか。
この佇まいなら、この三人のそれよか絶対にマシ。
……まぁそれと、多少脚長なことはこの際一発殴ってノーカンにしてやりましょう。
……………………そう。
……もし、だ
もし、このポンコツパーティに、新しい
駄女神の酒代を、肩代わりさせられる。
体躯がデカい分、爆裂娘の介護員にもなる。
しまいにゃ、あの無駄に落ち着いてる雰囲気に漬け込んで、変態騎士のエクスタシーの詳細の聞き役にも早変わり。
俺の専属セラピストもやってもらおうかな。
今の俺は、サキュバスお姉さんのお店のそれみたいなキョーレツご褒美よりも、三年間副担だった先生と世間話みたいな、そういうささやかな場所が欲しいのだ。
落ち着ける、実りのある場所。
魔王倒して世界救って、好き放題放蕩してて良いはずの俺が、これ以上精神をゴリゴリされるのは明らかにおかしい。
ハーレム崩壊?
三人の同意?
そんな陳腐で浅はかな心配は、今の俺の脳内コンピュータからは一切検出されない筈だろう。
机を見れば分かる。
大富豪の筈の俺の今は、自転車操業なんてもんじゃないんだ。
英雄としての緩やかなエピローグに入れていて良い筈の俺の精神は、虫が食っているなんてもんじゃないんだ。
で、あるからして……コイツは。
完璧。
最高。
オアシス。
「…………なあ……」
小さく呟き、俺は立ち上がった。