蒼穹の艦隊   作:サツキタロオ

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遂に物語のスタート…


PHASE-2:その名は風雲

「や、やった……!」

 

俺は素直に喜んだ。

そして、ハッとなり、もぎ取った目をそのまま海に放り投げた。

 

そのまま脱力して座り込んでしまった。

「…はあ…はあ…」

「おい新入り(ルーキー)!」

後ろから榛名から声をかけられて振り向いた。

「は、榛名…!」

「やるな。いきなり駆逐ハ級の目を抉るなんてよ!」

「い、勢いだよ勢い…」

俺は思わず苦笑いした。

「それより、新入り!初出撃だぞ!」

「しゅ…出撃…!?」

 

 

……………………

 

俺は榛名に連れられるままに、格納庫にやってきた。

「…一体何するんだよ…!」

「いいか、こっからはガチだ。演習なんかと比べもんになんねぇ程緊張するぜ。」

榛名の顔がいつもより真剣な顔になっていた。

「風雲。危険だと思ったらすぐに俺らに頼れ、いいな?」

「あ、ああ!」

木曾は俺の返事を聞いて微笑み、近くに居たピンク髪の人に目配せした。

「明石さん!例の艤装用意してくれ!」

「はいはーい!すぐに!」

そして近くのコンテナ群の一つの前に立ち、パスコードを入力する。

コンテナが音を立てて開き、そこには大きなアーマーのようなものが置いてあった。

「…これを…付けるんですか?」

「今日は付けるの手伝ってやる!」

榛名と木曾が俺の身体の隅々にそのアーマーを装備していった。

「…あの…これでいいんですか?」

明石さんに聞いてみると、グッドサインした。

どうやらOKらしい。

 

「…そのまま歩いて、そのハッチの上に乗って。」

「は、はい!」

俺は言われるがまま、ハッチの上に乗る。ハッチが少し下がり、そのまま下に下がっていった。

「な、なんだ?」

 

『やあ風雲。聞こえるかい?』

「提督?何処から…?」

風雲は耳元に触って通信機があるのを確認する。

『君の初陣だ。緊張せずに行こう。』

「はい…それに…さっき風雲って…」

俺が彼の言うその名前をの詳細を聞く。

『それが君の名前だ。不満かい?』

それを聞いて少し考える。

俺は首を横に振った。

「いい名前だと思います。これが…俺の名前なんですね?」

「風雲…か…」

俺はその名前を呟く。

 

…素直にいい名前だと思った。

そして胸に触れたまま、前を向いた。

『第3ナイトヘーレを開門させる。そこから出撃してくれ!』

「は、はい!」

 

ナイトヘーレ?出撃する場所にそんな名前を付けるなんて…これを作った人は随分と几帳面なのかな…

俺がそんな事を思っていると、下に水の気配を感じて下を向く。

しかも、それが徐々に顔にまで迫っていた。

「う、うわぁ!」

俺は息を止めて目を閉じる。

 

…………?

「…息ができる…」

周りを見ると、俺の周りに泡が形成されていた。

『そのままにしておいてね。』

明石さんの声がし、後ろが光ると同時に俺の体は押し出されていった。

「くっ…!」

俺はそのまま水上の上に飛び出した。

泡が割れ、そのまま俺は高い場所から海を眺めていた。

「…うわっ!落ちる!」

俺はそのまま落下して地面に大きな水飛沫を上げて着地した。

「…びっくりした…」

 

俺は水を払って周囲を確認する。

榛名達が見当たらない…

 

すると、後ろから飛び出す音とと共に榛名と木曾も水上に着地してきた。

「…二人とも!」

「初ナイトヘーレでの出撃ご苦労さん!」

「割とビビるよな。でも、慣れたら楽しいぞ。」

木曾も榛名も表情から「慣れろ!」と言っている様子だった。

まあ仕方ない…こういうのは慣れると自然と感じなくなるというし…。

 

「ッ!おっと、敵さんを出迎えてやろうぜ!」

榛名は背部のアーマーに格納していた大剣を振り、そのまま肩に乗せて水上をスケートのように滑って行った。

「いいか?海を動く時、なるべくバランス感覚を大事にしろ。戦場では転ぶ事だって命の危機なんだ。バランスを忘れんなよ。」

「わ、分かった!」

「お前の武器…そうだな。一応簡単に説明しておく。」

「右手に持ってるのは機動防盾。いわゆるシールドだ。伸縮機能がある便利なシールドだ。」

「そして、左手に持ってるのはフォトンライフル。威力は高いが、バッテリーには気をつけろよ。」木曾も同じライフルを見せた。

木曾は簡単かつ丁寧に武器の説明をしてくれた。

 

「とにかく、艤装のバッテリーが切れたら武器が使えないぞ。それにも注意を配れ。」

そうして木曾も榛名の後を追って行った。

「…バ、バッテリー!?これバッテリー式なの!?」

俺の背中に背負ったアーマーを見て呟く。

すると、前から砲撃が飛んできて、俺はシールドでガードをした。

「…て、敵は待ってくれないよな…よし!」

俺も木曾の言ったようにバランス感覚を保つようにそのまま水上を滑って行った。

 

~~~~~~

 

そうして戦場に出た三人。

木曾は風雲の方を見て静かに考える。

(始めてにしては上手いな…適応力があるのか…?)

木曾がそんな事を考えていると、前から砲撃が飛んできて、すぐに警戒態勢になる。

「気をつけろよ!敵が来た!」

 

敵艦隊は駆逐ハ級 2隻、重巡リ級 1隻、砲台小鬼 4体だった。

 

「どうするよ旗艦殿?」

榛名が木曾を見て呟く。

木曾はしばらく考えた後、ライフルを構える。

「各個撃破する!総員撃ち方…」

「よーい!」

木曾が号令を言う前に、榛名は大剣を構えて突撃して行った。

「………」

木曾は呆れた顔をして顔に手を置いた。その後、暫く黙った後、風雲を見て言う。

「…とにかく数を減らすぞ。」

「あ、うん…」

木曾の呆れた顔に何かを察する風雲。

とにかく、片っ端の敵から倒す事にした。

「風雲、ライフルはエネルギーをかなり使う。一撃で当てろよ!」

「お、応!」

風雲はライフルを構え、フォアグリップを握ってしっかりと狙いを定める。

 

「……」

風雲はしっかりと狙いを定めて小鬼に射撃した。

ビームの軌道はそのまま小鬼に命中して爆発した。

「やった!」

「気を抜くな!」

風雲はそのままライフルでしっかり狙いを定めて小鬼をそのまま狙い撃ちする。

 

「…すげーなアイツ。小鬼全部倒しちまったぜ。」

榛名は風雲の方を見ながらそう木曾に問いかける。

「…………」

木曾は戦闘中ながらも少し考え事をしていた。

「…どうした?」

「いや、妙だなって。」

「何が?」

「奇襲にしては、敵があんまり強く無いって話だよ。」

「…まあ…そうだな。」

榛名が頷くと、レーダーに反応があった。

「…?……向こうから高エネルギー反応だ!」

「…やっぱりこの部隊は前座だったか!」

木曾は迫ってきたリ級を蹴り上げ、そのまま頭上に居るリ級をノールックで撃ち抜いてそのまま風雲の元に向かう。

 

「…風雲!」

「…?」

「強いエネルギー反応だ。お前ひとまず撤退…」

言いかけた瞬間、横から砲撃によって木曾は吹き飛ばされた。

 

「ぐわあっ!?」

「木曾!?」

「居たぞ!戦艦クラス…戦艦棲姫だ!」

榛名が視線を合わせた先には、巨大な怪物を使役する女性が居た。

 

「マジか。いきなりあんなのが相手なんて…」

「くっ…ダメージがヤバいな…」

木曾はボロボロになりながらもなんとか立ち上がる。

破損したアーマーを一部パージしてなんとか身軽になる。

「不味いな。流石にキツいぜ。」

「木曾、大丈夫なの?」

風雲が心配そうに近づく。

「フェイズシフト装甲じゃなかったら大破してたかもな。」

 

「くそっ、おい木曾お前下がってろ!」

榛名は大剣を構えてそのまま戦艦棲姫に走り出す。

 

「オラッ!」

榛名は戦艦棲姫に大剣を振り下ろして攻撃を仕掛けるが、後ろの移動砲台に大剣を掴まれる、

「やっべ…」

榛名はサマーソルトで本体を攻撃して戦艦棲姫と殴り合いを繰り広げる。

そのまま顔面を殴り、剣を取り戻してバックして行った。

「くっ…」

榛名が顰めっ面をすると、大剣にヒビが入った。

「くそー!これじゃあ勝てねぇよ!」

『仕方ない。ここはレールガンを使ってくれ!』

「レールガン?」

『新開発の武器だよ。それでなんとかできる筈だ!』

提督からの通信を切って、何処からレールガンが来るか周りを見つめる。

「だそうだ…」

「ちょっ、明石さん!どっから来んの!?」

榛名が通信で明石に聞くと後ろから謎の杭型コンテナが射出された。

そのまま、戦艦棲姫の砲台の口に突き刺さる。

コンテナが展開してレールガンが射出された。

「風雲、俺達は動けない。お前が使え!」

「分かった!」

風雲は飛び上がってレールガンを掴む。

そのまま、接近して戦艦棲姫の腹に突き刺すようにぶつける。

「くらえッ!」

トリガーを引いて戦艦棲姫に攻撃した。

攻撃は命中し、そのまま爆発と共に風雲達は吹き飛ばされて水上を転がった。

 

「……」

爆風が晴れると、大破した戦艦棲姫がいた。

向こうはそのまま反転し、向こうに去って行った。

「…撤退したのか?」

「なら…勝ったってことか!?」

榛名と木曾が見合い、榛名ははしゃいでいた。

木曾は落ち着いた様子で風雲に近づく。

「大丈夫か?」

手を差し伸べられ、風雲は素直に掴んで立ち上がる。

「…初めてにしてはやるな。期待の新人って奴だな!」

「ほ、ほんとに?」

「ほんとほんと!」

榛名が風雲の頭をグリグリする。

「いたたたた!やめてって!」

 

 

……………………

 

その後、三人はメディカルルームで休んでいた。

「…戦いが終わったら、いつもここに?」

「そうだ。なんでも、艦娘のメンタルケアとかケガの様子とか色々調べるらしいぜ。」

榛名が慣れたように話す。

「榛名って、俺より先輩なのにあの大きな敵と戦ったこと無かったの?」

「…あー…ハハハハハ…俺…まだこの鎮守府に来て…まだ一週間…」

風雲は思わず飲んでいた牛乳を吹き出してしまった。

「い、一週間!?一週間であんな先輩面してたの!?」

「う、うっせぇなぁ!先輩だろうが!」

「……そうなの木曾?」

「……ちょっと遅れた同期だろ。だったら、俺も先輩って事になるぞ?」

「ふーん…」

 

その頃、別室では明石と提督がパソコンを弄りながら話していた。

「…凄いですね…初戦闘にしてはバイタルが安定してます。」

「そうなの?」

明石が驚いたのを見て提督が明石の見ているモニターを見てみる。

 

確かに、以前に着任した艦娘と風雲の初戦闘後のバイタルはかなり違っていた。

「基本、艦娘の初出撃の時のバイタルは7割は低い値になるんです。恐怖とか緊張とかで……だから、基本安定するのは珍しいんです。」

明石はそう言ってデータをコピーする。

それを別の机に置き、再びパソコンと睨めっこ。

 

「…なんででしょう…」

「記憶喪失だから、家族と別れてしまうとか…友達に会えなくなるかもと思う気持ちが無いからかな…?」

提督がそう考察すると、明石は首を横に振る。

「それも理由にはあると思いますけど…他にも理由があると私は思うんですよねぇ…」

「………?」

「最初から戦う素質があるみたいな…」

「この日本じゃそういう人は珍しくないよ。榛名や木曾だって初戦闘では大活躍だったんだしね」

「…でも、一応毎度彼女のデータは取ってもらえる?」

「はい。」

提督はそのまま執務室に戻る。

 

太陽が照らす中、提督は窓を眺めて呟いた。

「…もしかしたら、彼女が…この戦いの行方を左右するかもしれない…」




【次回予告】
注目の風雲。
 別機動隊から帰投したもう一人の仲間。
  そして風雲、初めての改装へ。

次回、蒼穹の艦隊 PHASE-3『改二改装』。

鎮守府の朝は早い!
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