蒼穹の艦隊   作:サツキタロオ

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「改装早くね?」
「気にするな!」


PHASE-3:改二改装

「……」

風雲は日差しを浴びて目を覚ます。

「…朝か…」

風雲は太陽を見て静かに呟く。

そのまま布団から起き、辺りを見回す。

既に榛名や木曾は部屋には居なかった。

「…とりあえず、提督の所に行ってみるか。」

風雲は立ち上がり、パジャマを脱いで支給された服に着替える。

「…これが…夕雲型に支給された服……であってるんだよな?」

 

思ったよりも可愛い服で風雲は体を回転しながら服を見つめる。

 

「…思ったより可愛いかも…」

風雲はちょっと女の子っぽいポーズをしてみる。

彼女は女性だが、何故か恥ずかしそうにポーズしていた。

「……そろそろ行こう。」

風雲はそのまま部屋を出て執務室に歩いて行った。

 

「失礼します……?」

風雲が執務室に入ると、前に二人の艦娘が提督と話しているのが見えた。

 

「……というわけで、今日から第一部隊に移動します。」

少女は敬礼して提督と話し合う。

「分かった。ありがとう衣笠。負傷した愛宕の代わりに第七部隊の旗艦をしてくれて。」

「気にしないでください。僕はやるべき事をやっただけですから!」

「…そういえば、昨日から第一部隊に新しい艦娘が来たんだ。実質君の後輩だね。」

すると衣笠は驚きつつも嬉しそうな顔をしていた。

 

「しかも木曾が言うには、期待の新人らしいよ?」

「会ってみたいですね!」

「なら後ろにいますよ。」

「!?!!?!!?」

風雲は後ろから話しかけ、二人はビビり散らかした。

そしてすぐにハッとなって安心する。

「なんだ…人か…良かった。」

「あ、あの…提督。この人は?」

「…ああ、衣笠だよ。重巡洋艦の衣笠。第一部隊所属の艦娘だよ。」

「でも、第七部隊の愛宕が負傷したから暫くの間、第七部隊の旗艦を任せてたんだ。」

「なるほど…」

「よろしくね!…えっと…」

「風雲です。よろしくお願いします。」

「あーなるほど!よろしくね!別に敬語使わなくていいよ。」

「…!分かった。」

 

………………

 

二人はそのまま通路に出て話し合う。

「折角だから、鎮守府を案内するよ!」

「ありがとう…それにしても、衣笠も元々男だったの?」

「ん?」

「榛名や木曾…それから俺も元々男だったかもしれないって言うし、衣笠もそうなのかなって。」

「あー、僕は100%女の子だよ。多分、君は聞いたのは利根の事じゃない?」

「利根?」

風雲は聞き馴染みの無い名前に困惑。

衣笠は色々説明してくれた。

「利根はね、僕と一緒に着任した同期なんだ。射撃は酷いけど、近接戦ではかなり強くてね。」

「それで機動力を生かした格闘戦をする事から『青い虎』って異名もあるんだよ。」

「へー…凄いね。そう言う衣笠は何か異名あるの?」

「普通は無いよ。本当に滅多に強くないと無いんだ。利根の異名だって、交流がある鎮守府ぐらいにしか広まってないしね。」

衣笠は笑って言った。

風雲は、利根と衣笠の関係は割とフランクなのかもしれないと思った。

 

そうして二人で食堂に来ると、艦娘達は風雲達に注目した。

「あ、例の子っぽい!」

「本当だ。見に行ってみよう。」

すると、二人の艦娘が風雲の前に近づく。

「白露型駆逐艦の夕立っぽい!よろしくっぽい!」

「同じく白露型駆逐艦の時雨…君が噂の艦娘?」

「う、噂?」

「いきなり姫クラスの相手を大破させて撤退させたってみんなの間で噂だよ。」

「いつの間に…」

風雲は苦笑した。

そして、衣笠が肩を叩く。

「有名人だね!」「嬉しくない?」

と言いつつ、風雲は少頬を赤らめていた。

 

「とりあえず、施設の紹介をするよ。ここは食堂。みんながご飯を食べる場所だね。」

「食券で好きな食べ物選んで、間宮さん達に渡して作ってもらう。簡単でしょ?」

「確かに。」

「ちなみに金曜日はカレーが多いからおすすめだよ。理由は軍人さんが曜日感覚を忘れない為だって。」

「良い事ですね。」

そのまま二人は食堂を出て、工廠にやってきた。

 

「ここは工廠。武器の開発や艤装の開発…それから出撃する格納庫に繋がる場所でもある。」

「艤装?」

「説明してなかったね。艤装は僕たち艦娘が使う装備みたいな物だよ。」

衣笠は近くのホワイトボードを持ってきて、写真を貼る。

「今から1997年ぐらいに艤装がバッテリー式になって、重油や油を使った艤装は殆ど消えたんだ。」

「何か理由が?」

「1980年ごろにフォトンを見つけたからね。フォトンの説明は必要?」

「大気中に存在するエネルギーだよね。」

「そ!、その頃にフォトンを見つけて、色々運用方法を考えた結果…17年で新型艤装が開発されたって訳。」

 

「フォトンライフルもその間に作られた武器だ。でもバッテリーを使うんだ。」

「バッテリーって?」

「艤装に搭載されてるフォトン・ドライブの電力の事だよ。」

衣笠は艤装のレプリカを持ってくる。そのままレプリカの位置をずらして断面図のように見せた。

「昔の艤装は、こんな風に燃料を入れて動かしてたんだけど…色々な理由があっていずれは廃止予定だったんだ。でもこのフォトン・ドライブのバッテリー機構だと、電力供給だけで動けるようになるし、エコなんだよね。」

「ついでに僕ら艦娘が着てる服…これにはフェイズシフト装甲ってやつが搭載されてる服で、バッテリーからエネルギーを送って敵の実弾を軽減できるんだ。」

「バッテリーはビーム兵器を使い過ぎたりするとすぐに切れちゃうから、切り札であると同時に自分の身を危険に晒しかけない装備だ。」

「なるほど…じゃあ相手もビームを使ってくるの?」

「ううん。今は見たこと無いな。いずれは向こうがこっちの技術を盗んで使ってくるかもしれないけどね。」

 

「……さて、艤装はこんな風にコンテナ内に入ってる。敵に侵入された時に盗まれないようにパスワードも必要だし、コンテナもバカ硬いよ!」

「武器って色々あるの?」

「僕は槍を使うよ。刀身を赤熱化して切れ味を上げるんだ。榛名は、大剣を使う。彼女ぐらいだよ大剣を多用する艦娘は。」

「……お、ちょうど、榛名の新しい武器の開発してるみたいだね。」

 

「ふっふっふっ…どうよ!この俺の凄まじいパワーを!」

「わー凄いですね!」

夕張が静かに拍手する。

 

「榛名、どんな武装なの?」

「お!衣笠か!木曾から聞いた今日戻ってくるって話はマジだったのか!」

「木曾は連絡じゃ嘘つかないよ。で?どんな武装?」

すると、艤装を見せてきた。

「見ろ!腕になってるだろカッケー。」

「…艤装にアーム…?」

榛名の艤装の先端のシールドがアームに改造されており、

「これで敵を掴んで!大剣で!バッサバッサと!敵を!砕いてやるぜぇ!」

榛名は悪い顔をしてガハハと笑った。美人な姿が台無しだった。

「魅力的な顔してるのに…」

「あれじゃあモテないね…」

風雲と衣笠は小声で笑った。

 

「ところで、二人は何してんだよ?」

「衣笠に施設の案内をしてもらってたんだ。」

「へー…まあ色々あるけどよ。覚えるのめんどくせぇよな…今だに覚えられてねぇよ。」

「一週間でしょ。」

榛名達が話していると、提督の声が聞こえてきた。

「元気だねみんな。」

「提督!」

「風雲、君に改二改装を命じる。」

「改二改装?」

「よーするに!バーってなって、ガーってなって、ブーン!…って事。」

榛名の言うことはみんなスルーした。「スルーすんなよ!」と文句を言っていた。

 

「風雲、君には、これから実装予定の新武装のテストパイロットもお願いしたい。」

「テストパイロットですか?」

「…"一人で戦場を左右する事を可能にする"をコンセプトにした"ディータ計画"のテストパイロットだよ。任せても良いかな?」

「…はい!やってみます!」

「いいねぇ。ルーキーが面白いことするじゃん!」

榛名が面白そうに微笑む。

「早速準備に取り掛かってくれ!」

「はい!」

そのまま風雲達は工廠の奥に入って行った。

 

……………………

 

「おせーな。」

「うん。」

「改二改装って、十分練度を積んで無いとできないんじゃ…」

木曾が言うと榛名は鼻で笑う。

「気にしたら負けだ!俺の艤装だってそうだろ?」

「あーそう…」

榛名が自分の艤装を見せて、木曾は呆れ気味に言った。

 

すると、奥から足音がした。

「来たか?」

全員がその方を見ると、風雲が歩いてきた。

以前の服と違い、かなりかっこよくなっていた。

 

「お、いいね!」

「それが"改二"か。」

「かっこいいじゃん!」

三人それぞれ風雲の服装を褒め、風雲は照れていた。

「風雲改二改…といった所かな?」

提督が帽子を被り直して言う。

「従来の夕雲型改二と違って、ほとんど別装備だから、初めての君でも十分使えると思うよ。」

「とりあえず、風雲は任務に出撃するのと同時に改二改のデータもたくさん採ってきてほしい。」

風雲はグッドサインをして了承した。

 

「提督。横須賀鎮守府の方から連絡が来てます。」

「横須賀から?」

そんな中、大淀が提督を呼びに来た。

「どうやら通信があるようです。」

「分かった。すぐ行くよ。」

「じゃあみんな、特に風雲はゆっくりしてね。」

そうして提督はそのまま走って執務室に戻っていった。

 

 

「じゃあドッグ行こうか!」

衣笠が元気に話す。

「いわゆる風呂だ。」

「温泉だぞ。」

榛名が自信げに言うと、木曾がすぐ訂正する。

 

 

……………………

 

「もしもし?」

提督が電話で話を聞いてみると、横須賀鎮守府の提督"南武"から連絡が来た。

 

『佐世保の方、近日大きな合同任務があるらしい。』

「…?合同任務?」

『大本営からはそれしか聞かされてねぇよ。』

『とにかく、俺んとこと演習だ。来週ぐらいには…』

『司令!今日は出掛けるんでしょ!早く行きましょ!』

『ちょ、陽炎!今連絡ちゅ…』

 

ブツッ……

 

「……………」

連絡は切れた。

提督は溜息を吐いて電話を置いた。

「…演習か…確かに第一部隊にはいいかもな。」

提督はそう考えながら、窓を眺めていた。

 




【次回予告】
遠征から帰還した最後の仲間。
 遂に揃った第一部隊。
  そしてサイレンが鳴り響く!

次回、蒼穹の艦隊 PHASE-4『青い虎』。

青き閃光を見逃すな!
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