「ようやく帰ってきたな…」
一人の艦娘が佐世保鎮守府を見てそう呟く。
「風の噂じゃ新人が加入したって聞いたっけな…」
「気になるし、さっさと帰りますか!」
そして艦娘はそのまま佐世保鎮守府に戻って行った。
~~~~~~
「そういえばもうすぐ帰ってくるね。」
「誰が?」
俺が衣笠にそう聞くと、衣笠は話し始めた。
「利根だよ利根。遠征行ってるって言ったでしょ?」
「ああ、そうだっけ。どんな人なんだろう…?」
俺がそんな事を思っていると、ドアが勢いよく開かれた。
「な、何!?」
「たっだいまー!」
女性の甲高い声と共に一人の女性が入ってきた。
「…だ、誰!?」
「利根!」
榛名達が一斉に彼女の名前を呼ぶ。衣笠の言う利根が来たらしい。
「ん?お前…」
利根が俺に気付いて近付いてくる。
「お前か!例の期待のルーキーって奴は!」
「あ、ああ…」
「俺は利根。よろしくな!」
「ああ、よろしく…!」
俺達は握手を交わした。
「これで、ようやく五人揃ったな。」
榛名が全員を指差して言う。
これで第一部隊には、五人の艦娘が揃って本格的な部隊になった。
『第一部隊。すぐに執務室に集合してくれ。』
すると、スピーカーから第一部隊を呼ぶ声が聞こえた。
「よっしゃ、みんな行くぞ!」
そうして俺達はすぐに執務室に向かう。近いのですぐ着いた。やっぱり便利。
「集まってくれてありがとう。」
「提督、呼び出しって事は遂に来たんだな?」
木曾が言うと、提督は微笑んで言う。
「そう、遂に第一部隊の初任務だ!」
「初任務かぁ…僕らは違うけどね。」
衣笠がそう言うと利根も頷く。
「で?そんな初任務ってなんなんだよ。」
「それは…周囲の海域の調査かな。最近になって深海棲艦が集まってきてるらしいんだ。」
「へー。それで俺らにミッションって訳か。」
榛名が言うと提督は頷く。
「というわけで、作戦開始は午後から!それまで準備しといてよ。」
「了解!」
全員で提督に敬礼して俺たちはそのまま部屋から出た。
「作戦かぁ…緊張してきたぜ…」
榛名はそう言って武者震い。
木曾はメモ帳を読んで胸を張っていた。
「お前ら、初任務だと思うけど、頑張ってこうぜ。」
利根が言うと榛名は自信げに言った。
「当然だろ!俺最強だから。」
「調子乗るな!」
そうして軽口を叩きながら格納庫に走っていった。
〜〜〜〜〜
そうして格納庫に辿り着いた風雲達はそのまま艤装を装着し、そのままハッチに乗って海中へ。
出撃ゲートが開門されると同時に風雲たちの周囲に泡が発生し、そのまま推進して地上に飛んで行った。
「いやっほぅ!!」
利根はそのまま飛び出して綺麗に着地してそのまま水上を滑っていった。
風雲達も続いてそのまま着地して水上を滑る。
「今回の任務は海域の敵の討伐だったよな?」
「ばーか、調査だよ。」
榛名が言ったことにすぐ訂正する木曾。
そのまま海域を進んで近くの岩場に隠れる一同。
「見ろ。」
「お、居るいる…こりゃやばそうだな。」
榛名が苦笑いして双眼鏡で見つめる。
そこには駆逐ラ級1体、重巡ネ級2体、戦艦タ級1体、軽母ヌ級2体の編成だった。
「…よし、このデータをすぐ送って撤退するぞ。」
「わかっ…あ、やべっ…」
榛名は顔を顰めてそのままとても大きいくしゃみをしてしまい、深海棲艦達が一斉にこっちを向いた。
「お前ぇぇぇぇぇぇ!」
木曾が涙目で榛名を殴る。
「ご、ごめん…」
榛名も流石に素直に謝るも、敵の砲撃ですぐにそのまま散開して攻撃を回避する。
「どうする?敵さんもう航空部隊飛ばしてるよ?」
「仕方ない…迎撃する!」
衣笠が落ち着いたように木曾に促してみると、木曾はしばらく髪を掻きむしった後に武器を構えてそのまま攻撃に備える。
「"あら…多分素人集団ね…まあいいわ。もしかしたら、強くなるかもしれないしね!"」
ラ級は周りに指示を出してそのまま攻撃を始めた。
「撃ってきた!」
「あのラ級から先に倒す!指揮系統を潰せばなぁ!」
榛名が艤装に装備されたブレードを展開し、そのまま飛んで切り掛かっていく。
しかし、ブレードはそのままラ級に当たらず、逆に攻撃を食らってしまう。
「なっ!ならもう一度!」
榛名はもう一度近づこうとするがラ級の蹴りで岩場に突き飛ばされた。
「射撃しろ!」
木曾は榛名の腕を掴んで追撃を回避した。
「…くっ…やっぱり戦艦が居るから攻撃がキツい…!」
風雲がそう言うと、明石から通信が入ってきた。
『風雲ちゃん?今から新装備をそっちに投入するわ!』
「え!?今からですか!?」
『ようやくテストも終わって、今日が初陣よ!さ!受け取って!』
すると、空を飛ぶ推進ジェット機とそれに運ばれるバックパックが風雲たちの周りを飛んでいた。
「"新型?撃ち落とせ!"」
ラ級はそう言って新装備に攻撃しようとするが、利根が一瞬でヌ級の一体に拳をねじ込んで粉砕した。
「"!?"」
驚く暇も無く、続けてもう一体のヌ級も撃墜された。
「へへっ、攻撃はさせねぇぜ。」
「"そうか…噂の"青い虎"か…!"」
「深海棲艦に二つ名を覚えてもらえるとは…光栄だ!」
利根はラ級に蹴りを入れると、ラ級は受け止めて殴りかかる。
しかし、それを読んで回避した利根がそのままラ級の服を掴んでそのまま投げ飛ばした。
「今だ!」
「分かった!」
風雲は飛び上がり、バックパックの後ろに向かう。
レーザーポインターが風雲のバックパックと位置を合わせ、すぐに連結した。
同時に風雲の服の色が、緑と黒を基調とした色に変化する。
「これが新型改二艤装の新しい力…!」
風雲はそのまま着地して、ホバー移動しながら敵の攻撃を確かめる。
ネ級からの砲撃が飛んでくるも、ミサイルを発射して難を逃れた。
「砲撃戦仕様か…!なら!」
肩部に搭載されたレールガンを発射してネ級を怯ませる風雲。
「アシスト助かるぜ!」
榛名が風雲の肩を借り、そのままジャンプしてブレードを展開しながら両断した。
「まだまだ!」
風雲は二門のビーム砲「ケルベロス」を展開し、そのままタ級に向ける。
「くそっ、照準を合わせるのに時間が…援護してくれ!」
「りょーかい!」「分かった!」
風雲は仲間達にそう言うと、衣笠がスタングレネードのピンを抜き、そのまま投擲した。
タ級は砲塔を向けるも、スタングレネードで目を眩まされてしまう。木曾がその隙をついて、ライフルでタ級の真下に発射する。その隙を逃さなかった風雲は照準を合わせてケルベロスのビームを照射した。
タ級は回避する間もなく、ビームによって蒸発してしまった。
「"くっ…ここは不利だと判断する!"」
最後に残ったラ級はギリギリ大破で済んでいたヌ級一体を連れてその海域から撤退していった。
「撤退していく…」
「じゃあ俺らの勝ちなのか!?」
榛名がそれを感じて喜んだ。
「お、おい。…まあ…勝ちは勝ちだもんな…!やったぞぉぉぉ!」
木曾もそのまま釣られてはしゃいでいた。
「ふう…」
「よくやったな新入り。」
「お手柄だよー。」
利根と衣笠は風雲の肩をポンっと叩いて褒め称えていた。
そうして5人は初任務を無事に成功させ、水平線の向こうにある夕日を静かに眺めていた……
…………
「はあ!?開発予算が無くなったぁ!?」
「あははー…実は艤装作ってたらお金なくなっちゃって…」
その頃、提督は工廠にて仰天していた。
そこに居た明石と夕張が少し申し訳なさそうに苦笑いしていた。
「おいおい…数億はあったでしょ?それ全部使い切っちゃったの?」
珍しく気さくなノリでは無い提督。
「風雲ちゃんの新艤装と他の艦娘の艤装改修に殆ど使っちゃって…」
「じゃ…じゃあまた俺頑張んないといけない感じ〜?」
「ご、ごめんね提督…」
夕張は申し訳なさそうに謝った。
(明日から節約出撃かな…)
提督はそんな事を思いながら深く溜息を吐いたのだった…
遅れてごめんなさい…