魔法科高校の退学希望者   作:無淵玄白

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遊戯王OCG勢に教わったこと多し。

まぁそんなわけで新話どうぞ


第十二話「かわりゆくもの」

 

「俺が付いていく意味があるんですかね?」

「まぁ、そこは日本語の微妙なニュアンスに心配なシールズさんのフォローとしてお願いしますよ……それと会長曰く、石田君は色々な魔法師を見て勉強するようにとのことです」

 

その為に勧誘期間……様々な魔法師が魔法を使うのを見て色々と知るようにということのようだ。

 

「シールズさんに帯同させるのは、無理な勧誘をシャットアウトするのと同時に、そういう魔法を使った部活での使用を見るためもあるんですよ」

「つまり1科生がいないとそういう部活は魔法を2科生に見せることもないということですね?」

「そ、そういうことになります……」

 

まぁ特にそこまで言うべきことではない。

 

「石田君は部活に入ろうとは思わないのですか?」

「サッカー部無いじゃないですか、一高(ここ)

 

市原の質問に対して嘆息気味に答えつつ、どうにもこういう所は馴染まないものだ。

 

「レッグボールという競技もありますが?」

「あれってウィッフルボールと硬式野球ぐらい違いすぎて話になりません」

 

ヘディングを禁止にするとか、ふざけてんのかと思う。ゴール前での競り合いにてコーナーからセンタリングで上がったボールをどうやってゴールに押し込むかという時に、例としてオーバヘッドやバイシクルだのをやって入れろなんてアホかと言いたくもなる。

 

フットサル形式だからという言い分もわからんではないが。

 

どんだけゴラッソなシュートをしろというのだという気分にもなる。

 

とはいえ……ウィッフルボールを知らぬ市原と中条は「?」な顔をしているが、特に言わずにーーー。

 

「それじゃ行きましょ♪ハリーハリー♪」

 

満面の笑みを浮かべるアメリカンに付いていくことにするのだった。

 

 

「コウイウ風景(ビュー)って万国共通(ユニバーサル)なのネ」

「場合によっては体育館での部活紹介からスタートなんてのも、あるけどな」

 

ここまで積極的な勧誘をしなくても来るやつは来ると思うのだが、まぁ分からない話だ。ただ人間合理的なところだけで済ませるわけではないのだから、そういうこともあるのだろう。

 

「アアは言っていたけど、アキラはクラブ活動には参加しないの?」

「ーーーないな。うん、それだけはないかな」

 

そもそも俺はいつ退学になるか分からぬ男だ。現在の力の根源すらよく分かっていない。十中八九、転生神アースちゃんの仕業だと分かっているが、それは唐突に失われるものかもしれない不安定な力だ。

 

だから……あまり深入りはしないでおく。そうなった場合、あとが辛すぎるから。

 

「アンジェリーナこそ生徒会一本か?」

「ウン、結構ビジーだからワタシのキャパじゃチョット…」

 

照れくさいのか頬を掻きながらはにかむような仕草を取るアンジェリーナ。ふと彼女がミドルスクールでやりたかったことを聞くことにする。

 

「ここでならば、あっちでなれなかったチアリーダーにもなれたのに」

「ソレは少し考えたけど……ミタイ?」

 

上目遣いでこちらを伺うように聞いてくるアンジェリーナ。何を?と聞くのは野暮というもので、チア服およびチアダンスだと理解しておく。

 

「全校男子生徒の殆どはね」

「アキラは?」

「個別の事案に関してはコメントを控えさせていただきます」 

「ミタイと言いなさい!!」 

 

アキラの官僚型答弁に対してとんでもない強硬策を取るアメリカ人に対して頭を痛める。

 

巡回をしつつ、何か問題が起こるわけでもなく、アンジェリーナを勧誘したいらしき所をそれとなくシャットアウトする。

 

アキラは風紀委員ではないのだが、森崎との決闘私闘を見ていた連中は、強引な手は出さなかった。

 

ボディガードとしての役目を果たしつつ会話はしておく。

 

「ワタシのクドウが、そんな大きな家のクドウだったナンテ、ダレも言ってくれなかったのはヒドイと思わない?」

「そうかな?むしろアンジェリーナの為を思っていたのかもよ」

 

考えるにこの世界のクドウ・シールズ家が、アンジェリーナの教育に熱心だったのだと思われる。

 

「ドウイウこと?」

「仮にもしも、キミの祖父がこの国の魔法の名家の出身であると知って、自分もそうだと知れば、キミはその「実体」のない「看板」をぶら下げた存在に成り下がると思ったのかもしれない」

 

少しだけ思い当たる所があるのか、気付いたような顔をする。

 

「キミが偉ぶるとは俺には思えない。けれど、どこかで「それ」(日本の名家)を立脚点にして、実体のない功名に飛びつく可能性だってあるかもしれない……それを危惧していたんじゃないかな?」

 

原作での彼女は、軍隊の最精鋭であるということから色々な『経験』をしていたが、それが当人にとって良きことではないように思えた。

 

例え大統領のティーパーティーにお呼ばれしたとしても、他を圧倒するほどの戦闘力を得たとしても、それがホントウの意味で彼女の価値に繋がるとは思えない。

 

そんな家族から離れた「自分」(アンジー・シリウス)だけを誇るのは、自ずと悲しい結果だけをもたらす。

 

その言葉に気付かされたかのように沈黙してから、口を開く。

 

「実を言うと……もしかしたら、そうなっていたかもしれないワ。ワタシは、昔……USNAの軍隊からスカウトが来たのヨ」

「ーーーアンジェリーナは本当に15歳?」

「疑うな!! けどワカルわよ。早すぎるワよね……だってワタシにそれが来たのはティーンエイジになる前の9か10歳の頃だモノ」

 

怒ってから、不安を覚えたのかアキラに寄り掛かるアンジェリーナ。少々、喋りすぎたなと思いながらも、アンジェリーナの独白は続く。

 

「昔はワタシとママとパパの関係は良いモノとは言えなかったわ。幼児の頃はソウでもなかったのだけど、小学生頃から……少しヘダタリを覚えたノ」

 

当人はそれを両親から受け継いだとは思えぬ魔法力と『ジョンベネ』みたいな将来を予期させる美貌からだと言うが……。

 

「ケレド、ワタシは二人のチャイルドだって思っていたモノ……あのままだったらば、ワタシは軍隊に行って2人から離れることを親孝行(フィリアル)だと思っていたカモ」

「けど違うんだね?」

「ウン、そういう話が来たことを知ったグランパが……ママとパパに」

 

『ちゃんと見るんだ。もう一度──、そうやっていつも目を逸らしてるから、見なくてはいけないものを見ていないんだ』

『見たいように見るんじゃなくて、しっかり見ないと。大人ってそういうことだーーーアンジェリーナの顔は……キミたちにそっくりだよ』

 

その時、気付かされたかのようにアンジェリーナ(MyDaughter)の顔を見た両親は泣きながら、彼女(アンジェリーナ)を抱きしめそれを受けたアンジェリーナ()もまた泣いたとのことだ。

 

「色々あってソレ(軍隊入り)はお流れになったワ。グランパには軍隊時代に知り合った「知人」がいっぱいいたらしくて、働きかけてくれたらしいから……本当、いいオムコさんを貰ってひ孫を早く見せなくちゃならないワヨ」

 

「成程、いい家族じゃないか……」

 

原作との違いがようやく分かった。とどのつまり……原作にはまずあり得ない『家族愛』が、一人の少女の手を血塗れにさせずにすんだということだ。

アンジェリーナの独白をリアルな映画のように感じ取ったアキラは、そう感想を述べた。

 

最後の言は……。

 

「まさかその相手に俺とか言わないよね?」

「ダメなの?」

 

思い出したのか涙を拭うアンジェリーナに、苦笑しながら答える。

 

「確かにキミがそういう教育の元、今まで歩んで養われてきた人間性は尊重されるべきことだよ。けど、もう知っただろう? キミはこの日本の魔法の世界ではディズニープリンセスならぬ、メイジプリンセスだってことがね……」

 

その言葉に少しだけ不満そうな顔をするアンジェリーナ。なんとなくこの後のアキラの言を予想しているのかもしれない。

 

「俺なんて氏も素性もまっさらな一般人だ。今となっては、どこかで知らぬ間に3つの願いを叶える魔人が封印された黄金のランプでも擦って、この魔法能力を貰ったんじゃないかと思ったりもする」

 

……魔人ジーニーでも、アラジンを王子のままには出来なかったんだから、この力が失われる可能性はあるだろう。よって転生神アースちゃんが施しただろう改造も失われる可能性大だ。

 

そもそもアキラの能力値を評するために喩えた司波達也(闇の帝王)が言ったような三幻神が手札にあったとしても、それを召喚する素地ーーー即ち☆付きのモンスター3体を「生け贄」にするなどアドバンス召喚するだけでもアホほど労力がかかる。

 

何が言いたいかと言うと……俺の能力を発揮するには手札事故が起こりすぎて、どんなドローをしても三幻神を場に揃えられなさそうなのだ。

 

つまり圧倒的に経験値という生け贄モンスターが無いのである。

 

しかし……。

 

「ワタシは魔法能力の高低(HiGH&LOW)で、オトコを選ばないワ、タダ……アナタのことがスキになっちゃったノ。単純だと思う?」

「もっとイイ男がキミの前に現れることを願うだけかな」

「ナックルボールなNTR願望とかアキラってばインモラル。絶対ナイから♪」

 

どうしようもないこととは、こういうのを言うのだろうか。

 

ちなみに言えば周囲の人間はそんな様子に。

 

ーーーバカップルーーー

 

…としか思えず色々と妙な気分になるのだった。

 

そんな中、少し歩いた所に様々な部の混成した集団が出来上がっており、どうやら誰かを取り合いしているようだ。

 

誰かなど新入生なのは当然で。

 

取り合いになる新入生となると限られるわけで。

 

「光井さんと北山さんがいるな。色んな部に腕を取られているぞ」

 

タッパの関係で見えたのは僥倖だったわけで。

 

「ムムッ! 生徒会役員です!!グループを解散して適切なスカウトを!!」

 

それを受けてホイッスルを鳴らしながらイエローカードよろしくアンジェリーナが警告を発したのだが……。

 

その集団に後ろから割り込むようにボードに乗った2人の女子ーーー3年生にしても少し年を重ねているようなのが、光井と北山を脇に抱えて走り去っていった。

 

どう考えても普通のスケートボードないしキックボードの速度ではないので魔法を使っていると判断。

 

「コラー!!! ガールをアブダクションするんジャナーイ!!」

「悪いがこの成績優秀者2人はもらっていく!!」

「SSボード・バイアスロン部の栄光のためにね!」

 

アンジェリーナの抗議などなんのそので去っていく2人。

 

折り悪くも、風紀委員の姿は見えない。どうやら自分たちの管轄になりそうだ。

 

「アキラ!奥歯の加速装置を!!」

「俺は島村ジョー(009)じゃない!!」

 

要は自己加速・自己移動魔法を使って追うぞということか。

 

アンジェリーナの言わんとするところを理解して骨董品(タツヤデモート曰く)のデバイスから術式を選択してーーー。

 

Ready(いざ)!!!!」

「ーーーーーーいや、待て。なんでそうなる?」

 

自分も自然と対応してしまったが両手が彼女の足と背中を支えて持ち上げる態勢。いわゆるお姫様抱っこをアンジェリーナにしてしまっていたのだ。

 

更に言えば、彼女は自分の腕をアキラの首に回している本格的なものだ。

 

「アキラの魔法経験値(マジックエクスペリエンス)を高めるためにもワタシが至近距離でレクチャーしてあげるワ!!」

「これをする意味があるのか!?」

 

笑顔でティーチングしてやるというアンジェリーナに抗議する。

 

むしろ並走して何かを教えてくれた方がいいと思うのだが、打鍵して待機状態にあった術式は、魔法式へと代わり、もはや発動を待ってくれずーーー。

 

「ーーー制御を間違えて落としても知らないぞ!!!!」

「キズモノになったら責任取ってもらうダケよ!」

 

少女とは言え人間一人分の重さを持ちながらの魔法訓練が、CHASEと共に始まるのだった。

 

そして発動した速度は見送る方にとってはかなりのものとしか見えず……。

 

「彼は本当に2科生なのか……?」

 

誰かが発したその疑問の呟きに答えられるものなどいなかった……。

 

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