魔法科高校の退学希望者   作:無淵玄白

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続きは書いているのですが、少し重くなりそうなので分割しました。

近日中には更新出来るかと


第十三話「CHASE」

追うものと追われるもの。

 

その関係性は様々あるが、とりあえず現在のところ自分がやっているのは、色恋な「ワタシを捕まえてごらんなさい〜♪」なものではない。

 

某借金黒魔術士が、天魔の魔女とか呼ばれた姉を探して追ってシリーズが始まったのとはまた違う。

 

つまり何が言いたいかというとだ。

 

「ソコのジャージウーマン2人! ボードの走行をストップして我が校の生徒をハナシナサーイ!!」

 

リリース(解放)を要求するためにボードと並走する形になったところでアンジェリーナは、どっから取り出したのかメガホンで犯人に投降を呼びかけた。

 

ちなみに言えば、姫抱きは続行したままである。

 

「どええー!!アンタらアタシらに徒歩(あるき)で追いついているのかー!?」

 

「随分と有望な新入生ねーーー後ろの摩利はボードを使っているというのに」

 

こちらのとんでもを講評する先輩2人……多分だが、OGかと思いつつもアキラも投降の言葉を放つ。

 

「こっちのアメリカンポリスは、その気になればあんたらに攻撃魔法を放つことも容赦しないどころか、夢でも思いつけないような悲惨な目に遭わせるぞ!」

「ブラフにしても、ヒドくない!? け、けどアキラが望むならばポリスの制服着ちゃうワ!」

「アンジェリーナのミニスカポリス姿とかプレイの匂いしかしない!!」

「オフコース!!」

 

そんなやり取りは……。

 

「「「「「私達をダシにしてイチャつくんじゃねー!!!」」」」」

 

それぞれ声の調子や最後の語尾は違えど、そんな抗議を犯人、人質そして仲間のはずの後ろの風紀委員長含めて言われてしまった。

 

しかし言われたほう、特にアメリカ人であるアンジェリーナはとある単語に疑問を覚えたようだ。

 

「ダシ?」

「西洋料理で言う所のフォンと同じく日本料理にも出し汁というものがあるんだ」

「コンブとかカツオブシの」

「そう。転じて自分の都合や利益のために他の人や状況を手段・口実として利用することをそういうのさ。利用された側は旨味を吸いつくされて「出し殻」にされるからな。比喩表現ってものだ」

「ニホンゴって深いワネ〜」

 

感嘆するアンジェリーナだが、状況は刻一刻と変化しておりーーー。

 

「彼女さんとオアツイところ悪いけど、ちょっと冷ましてアゲルわよ♪」

 

OGの一人、片方のマニッシュとは対象的にフェミニンな印象を持たせるのが、先ほど風紀委員長を襲ったものと同じく竜巻を用いた術が放たれる。

 

ただし、今度は横殴りのそれが真正面からこちらに向かって吹き付けてくる。

 

そしてーーーアンジェリーナが、同じくそれを散らそうとした瞬間。

 

「しっかり捕まってろよ」

「ウ、ウン!!!」

 

思わず応じてしまったアンジェリーナ。だが分かる。

 

これはーーー。

 

竜巻の中に道が出来ている。そこを進むということをーーー。

 

そんな無茶をやってしまうことにドキドキしてしまう。

 

「ーーー!!??」

「スズカ!」

 

自分の制御した魔法にとんでもない「異物」が入り込んだ感覚。それに怖気を覚えて青ざめる。

 

それ以上にーーー。

 

(私の魔法を「鳥」の飛行の要領で利用しようというの!?)

 

理解してしまった事実に寒気を覚える。

 

人間は鳥ではない。鳥の持つ飛行機能のためのか弱い骨格などをホモ・サピエンスは持つことが出来ない。仮に持てたとしてもそんな存在は地に立つことも出来ずに、死んでしまう運命だ。

 

確かに創作の世界では絞りに絞った「細い」身体をダイナマイトの爆破を利用して飛翔する存在もいたが……。

 

しかし、鳥の空気を裂いて飛ぶ機構。前進することで上下に気圧差を生んで揚力を発生させる構造。鳥が飛ぶメカニズムには風が前から吹く前提がある。

 

それを一高卒業生にして風使いの異名を持つ風のエレメンツ 風祭涼歌の術を利用してやろうというのか。

 

失敗するのが当然のそれがーーー通る事実。

 

殆ど飛翔するようにして走り幅跳びのような感じで抜けた男と女。やったのは男の方だが、女にとっては未体験ゾーンだったらしく…。

 

「キャー♪♪ベリークール!!」

 

などとジェットコースターよろしく喜びの声をあげていき、2人を引き離す形で自分たちの(フロント)を取ったのだ。

 

「前門の虎、後門の狼だな!!ろくでなし先輩ツインズ!!」

 

忌々しいことに摩利の言葉で気づき、それでもボードを動かして逃げよう試みる。2人がこちらに向き直る。

 

「あとは頼む……!」

 

流石に疲れたのか、声に覇気がないラブラブカップルの片方…男の方に対して。

 

「コノポジションはキープよ!!」

 

ラブラブカップルの女が、姫抱きのままに前方に対物障壁を展開する。

 

それはスゴく巨大なものであり、腰から上の高さ程度に展開するならばもんどり打って背中から落ちたかもしれないが。

 

「くぎゅっ!!!」

「あびすぱっ!!!」

 

アキラからすればなんとも愉快な叫び声と思いながらも、原作における美少女魔法戦士プラズマリーナに扮する時とは違い、相手の状況をちゃんと把握した術の使い方に驚く。

 

ぶつかった2人のOG。投げ出される寸前だった北山と光井は、目を回して魔力を充足していなかったことが功を奏したのか、渡辺風紀委員長によって保護された。

 

どうやらある種の移動系魔法で慣性制御なものを使ったらしい。

 

ふわふわと浮くようなそれを見てから、再度OGを受け止めたアンジェリーナの対物障壁を見る。

 

「へぇ。対物障壁ってそういうのもあるんだな」

「ソウヨ、といっても……ワタシの障壁はストッピングさせる相手の安全を重視したモノだからスペシャルなのヨ」

 

成程、地面から形成された半球形のドームにも似た障壁。何気なく触ると、確かにエアバッグ的な感覚を覚える。

 

空気でも満たしてそうしているのか、障壁をどういうものかと両手で揉んでみたのだが、その時に……。

 

「ちなみに、そのドームクッションの柔らかさとハリのサンプルはワタシのおっぱいナノ♪」

 

アンジェリーナが両手を頬に当てて恥ずかしそうにしながら言ったその言葉に思わず吹き出しそうになる。

 

だが他の連中(女子)は、アキラが驚いている間の行動を見た。

 

(無意識なのか分からないが、5回は揉んだぞコイツ!!!)

 

エロ学派という古式ゆかしい単語が出てきそうになった。

 

そうこうしている内に騒ぎを聞きつけた近くのSSボード・バイアスロン部の人間たちがやって来た。

 

どうやら自分たちの出番は無さそうだ。それを察したのか、それとも何かの連絡を受けたのかアンジェリーナが、アキラの顔を自分に向けさせてから口を開いた。

 

「アキラ、行きましょ?」

「あ、ああ。委員長。ここはお任せしてもよろしい?」

 

萬谷と風祭というやはり一高のOGだった女性の意気消沈した様子に少し気がかりを覚えながらも、責任者に問う。

 

「ああ、風紀委員でもないのに捕り物の手伝いさせて悪かったな」

「「お構いなく(おかまいナク)〜」」

「あと、今回は見逃すが、今度からお姫様抱っこで校内を散策するなよ。風紀違反でお前らもしょっ引くぞ」

 

その警告を受けてなのか、腕を取ってよりかかる恋人歩きをやるアンジェリーナ。先程のことを考えるに、それぐらいはいいかという気持ちで受け入れるのだった。

 

 

「全く……反省したか?」

「先輩に対する言葉遣いじゃないぞ摩利」

「先輩扱いされたければ、もう少し落ち着きを持ってくださいよ。20歳超えてみっともない」

 

萬谷颯季の不満げな言葉にそう返しておき、ボード部の部長。摩利にとっては同級生である五十嵐亜実にペナルティでも与えるかと思っていたのだが……。

 

「あの男子、名前何ていうのかしら?」

「あれは一年生の石田アキラ君、少し前からこの一高を騒がしている「でんぢゃらすぼーい」と言える男子ですよ。風祭先輩」

 

なんか呆けるようにしている風祭涼歌に対して、後輩としての責務なのか返した五十嵐亜実。

 

そしてーーー。

 

「石田、アキラくん……」

 

胸を抑えてアンジェリーナと連れ立って歩いていくのを呆けるように見送る風祭の紅潮した顔と様子に……。

 

(((こ、恋する乙女が出来ているーーー!!!!)))

(((どんだけ〜〜〜)))

 

女子一同、すごく困惑してしまうのであった。当然、今までパートナーとして公私をともにしてきた萬谷颯季の困惑は周囲以上だが、それはまた別の話であった。

 

 

 

 

 

 

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