魔法科高校の退学希望者   作:無淵玄白

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なぜ連載枠にしない。

まぁ舞台はフォーセリアじゃないんだろうけど、もろディードみたいなエルフをイメージで出しているのに。

誓約も続巻出ないし…

などと言いながら新話お送りします


第十五話「ビフォア・デート」

 

 

かなりキツイことを言ったが、存外受け入れていた辺り、疑問符はあったのだろう。

 

自宅にて夕食を適当に食いながらアキラは考える。

 

先のことを知っている自分としては、タツヤデモートのために作られたとしか思えぬ魔法工学科、通称 魔工科なるものが一高に新設されるのだから、そういった己の適性や伸ばしたい分野のための授業はあってもいいと思えた。

 

更に言えば、現在のカリキュラムで果たして本当に、そんな国際基準で高いランクの魔法師が作られるのか、疑問であった。

 

何せ俺が倒してしまった森崎氏の能力値……特に事象干渉力とでも言うべきものが学年が上がっても高まったようには思えなかったのだ。

 

実際、その辺りの魔法師としてのMUSCLE(膂力)に欠けているとは、後に入学する後輩一同も口を揃えていうほどだ。

 

ぶっちゃけ描写だけならば、九校戦で一条の魔法を発動前で無効化、放ったのがディスペルマジックであるという理屈を抜きにしても、タツヤデモートの方が干渉力というMUSCLEに優れていると感じないのだろうか?とも考える。

 

その森崎ディスりな後輩一同の術を吹っ飛ばしたのも彼なのだ。

 

もちろん森崎が特殊で、描写されてないだけでほかの1科生たちは、干渉力やキャパシティを高めているのかもしれないが……。

 

それでも自称・二科である司波達也の方が傍目には優っているという事実。

 

(まぁその辺りは創造主たる人間の匙加減ということだ)

 

皮肉げな結論。そして、そこまで創造主(さくしゃ)は考えていないよ的なことを申せば……2科の創設理由をもっと邪推出来たりもする。

 

❋外国に伍していく為には魔法師の数を増やさなければならない。

 

❋新年度から増員するところを、年度途中から追加募集を掛けた。

 

❋当時の日本政府は焦っていた。

 

❋しかし教師数を突然増やすことはできない。当時の魔法教育者の人材不足は、今以上に深刻。

 

❋苦肉の策として考え出されたのが、途中編入の一年生は進級まで集中的に理論を教えて、実技は二年になってから、という二科生制度。

 

今日、会長が言ったことを頭の中で箇条書きにしておく。

 

この事を考えるに……下劣な結論が出てしまった。

 

「生け簀、か」

 

こうして、実際に我が身として立つと分かるその裏側の事情に吐き気を覚えた。

 

いや、事実かどうかはまだ分からない。ただアンジェリーナが本来の流れでやってきた際に見せた一科の実習授業、単一系基礎課程における押し合いなどを考えるに、結局の所……作中における魔法力とはある種の地頭の良さであり、それは衰えることはあれど、延びること、伸ばすことは不可能な分野なのではないかと思う。

 

でなければ、アンジェリーナの大伯父が、改造手術を受けていないわけがない。

 

(教育機関としては、破綻しているよな)

 

それを当たり前と思える感性がアキラにはない。

 

人間、集団が出来れば、確かに物覚えが悪いやつはどこにでもいたし、なかなか人並みに上手くやれないやつはいる。

 

けれどそこで出来ないことを当たり前として習熟することを諦めれば、そいつは出来ないままだ。

 

それを何とかするのが教育であり、かつ国際基準での優れた魔法師を欲しがるならば、下の方の底上げが必要だ。

 

けど、その下の面倒を、教育を放棄しているのが、魔法科高校、魔法大学付属というわけだ。

 

(これだったらば、どっかの超高校級の才能ばかりを集めた私立の方がマシか)

 

ふとーーーとことんシニカルな思考を破棄する。

 

そうだ。忘れていた。 

 

俺は魔法科高校を退学したいのだ。

 

深入りすることはない。考えなくていい。

 

そうだ。俺は魔法科高校の退学希望者(自称)なのだ。

 

などと考えていた時に。

 

キャビネットに

 

ーー想像力を解き放て!ーー りとぅんbyウルトラマンアース

 

パクりくさい名前の自称ウルトラマンなるモノの言葉が表示された。

 

ちなみにウルトラマンアースの記名の後に見覚えありすぎる幼女を模したらしきデフォルメイラストがあったりして、誰の仕業であるかが分かった。

 

本格的に高山竜司な立場になってないか?という気持ちを抱きながらも、この世界の外側に行ける、行きたい気持ちなどはないアキラは、考えるのを放棄してメシのあとにはそのまま就寝するのであった。

 

翌日の土曜授業、妙なことにアンジェリーナに付き纏われずに、されど美月には構われていた奇妙な一日だったが……。

 

 

帰宅して届いたメールに驚愕する。

 

 

『明日は待ちに待ったデートよ♪ 一日ワタシに会えなくてヤキモキしていたでしょうが、それをカイショウしてあげるワ シブヤ ハチ公前広場に9時に集合ヨ! ワタシを待たせないでネ(NO WAIT)♡』

 

焦らし作戦をやってましたと白状されるも、特に焦らされていない(作戦失敗)アキラは、そのメールを再度見る。

 

ご丁寧にもメールの最後の方には、自分を模したらしきデフォルメキャラに投げキッスまでさせる徹底ぶりに、本当にこの子が原作ではポンコツ扱いされて、司波兄妹にペット(読者評)にされていたのと同一人物なのかちょっと疑わしくなりつつも……。

 

「まぁデバイスは買うようか……」

 

何気なく言いながらもデートプランを頭の中で組み立ててーーー。

 

「最後はカラオケだな」

 

原作でも歌うたいで、ひよっちボイスなソングを今だけは独り占め出来る幸を噛みしめるのだった。

 

 

「おや?早いですねリーナ」

「おはようございますシルヴィ。大使館の職務はお休みなんですよね?」

「ええ、今日は一日オフです。とはいえなにかしら……ーーーーリーナ、随分とめかしこんでますね?」

 

同居人、魔法の師匠であるマイスター・ケンこと九島健に託された孫娘。昔から知っている子なだけに、この頃の彼女が生き生きとしていたことに嬉しく思っていたのだが……。

 

メイクをしてまで、何を目的にするかと言えば……

 

「えへへ、実は一高で知り合った男子とデートなんですよ」

 

こんな風に照れるような笑顔で言われては、今日の自分との外出はキャンセルするようだ。その上で、一応年上としてデートのアドバイスをすることに。

 

「まずはーーー服装に関しては良しですね。うん、人によってはまぁ気合い入れすぎと思われるかもしれませんが十分合格点です」

「そうなんですね」

 

少しだけホッとした様子な辺り、自分でも自信が無かったのかとリーナの態度にシルヴィアは考えてからネクストアドバイスをする。

 

「メイクは落第点です。私が手伝います」

「エエッ!そ、そうなんですか!?」

「鏡を見なさい。今のリーナは、スーサイド・スクワッド版のハーレイ・クインじみたメイクですよ」

「マーゴット!?」

 

オーマイゴッドとでも言おうとしたのか、なぜかそれで女優名を叫んでから再度、鏡を見るとパフを付けすぎ、グロスも際立たせすぎたと思うものだったと彼女も認識したようだ。

 

「リーナは素材はいいんですから、基本的にメイクは薄めで、リップも赤ではなくナチュラルに艶を出すものにしておきましょう」

「ハイ、オマカセします……」

 

少し落ち込んだ様子のリーナに苦笑しながら化粧台で頑張った彼女の肩を包んで労っておく。

 

「今後の精進(ステップアップ)次第ですから、がんばってください」

 

そうして一度化粧を落としてから頑張ってセットした髪型に合わせてシルヴィアは、メイクを施す。

 

「OH……オミソレシました」

「いえいえ、ツタナイお手前ですので」

 

妙なニホンゴ会話をするアメリカ人2人。

 

とはいえ、メイクされたリーナも鏡に映る自分を見て、どうやら「コレだ!」と思えたようだ。

 

そうしてからシルヴィアは、リーナの母親、自分にとっては姉弟子に当たる人物から「この時のために!」と渡されていたものを出すことにした。

 

「そして最後にーーーこれは必須です。コミューターやドローンに買ったものは乗せて送れるでしょうから荷物にはならないはず、ですからこれはちゃんと身につけていてくださいね」

 

なんだろうとシルヴィアが手渡してきたものをアンジェリーナは、よく見るーーーまでもなく、流石にあまりキャピキャピした中学生活ではなかったとはいえ、これは流石に知っていた。

 

「シ、シルヴィア!!さ、流石にこれはーーー」

「万が一のためです。こういうのは本当は男の方でちゃんと準備しておくべきものですが、それでも備えておくべきです」

「アワワワ……ケ、ケドそうなんですよネ……」

 

今さらながらその可能性を考えて、怯えるも、最後には想像して紅潮してしまう。

 

「ボーイイズウルフ、ビーケアフルとニホンの有名なアイドルユニットも歌っているほどです。ゆえになった(・・・)としても、責任を発生させないための予防策ですよ」

「ハ、ハイ! がんばります!!」

「いや、頑張ってもいいですが、頑張りすぎないためですからね。アクトユアエイジですからね!?」

 

やれやれと思いながらも、本当に大丈夫かなーと心配になる。

 

シルヴィアが渡したものは「ナノスキンスプレーシールド」あるいは「ナノスキンフィルム」と呼ばれる身体の一部に掛けると薄膜のようなものが形成されて「排せつ物」を膜の中に吸着するものであった。

 

量次第では膨らむことがあるのは、まぁ従来の品物通り。ただし破けることは殆どない。寧ろ変化する大きさや量に応じて膨張率を変化させるものだ。

 

つまり、俗な言葉で言えば、避妊具ーーーコンドームであったのだ。

 

そんな擬似姉妹とでも言うべき2人の会話を経て……デートは始まろうとしていた。

 

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