魔法科高校の退学希望者   作:無淵玄白

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本当、訓練された感想欄だわ。

近藤さんに関することがほとんど(爆)





第十六話「デート・ア・タイム」

 

春の心地よい暖かさの中、ハチ公前広場に辿り着いていたアキラは、やはり東京の待ち合わせの定番である。

 

少し前までは、知り合いに構われていたーーー主にサッカーの後輩連中だったが、ともあれ試合に間に合うためには短い会話になり、まぁ……魔法大学付属に進学したことは残念だとは言われてしまったが。

 

ともあれ時間になったわけだが……。

 

「だーれだ?」

 

いきなり目を塞がれてしまう。同時に背中に感じる膨らみの柔らかさ。

 

背丈に差があるとはいえ、ベンチに座っていればこうなってしまうか。

 

故に。

 

「だれだろうねー」

「コラー、ちゃんと言いなさいヨー」

「高校で出来た友人アンジェリーナ・クドウ・シールズちゃんかな?」

 

その言葉を受けて目隠しをしていた柔らかな手は解かれて振り向くと。

 

「ワタシのこの姿を見てフレンドのままでいられるカシラー?」

 

そこには天使がいた。少しだけ挑発的な笑みを浮かべる少女はやはりかわいさが極まっている。

 

ポンコツ、ドジっ子、芸人(中の人)だのと言われるがアンジェリーナのルックスは極まっており、こうして私服姿を見ると目を奪われるのは仕方ない。

 

ブラック&ピンクのキュートなファッション。自分の生きていた時代ならば俗に地雷系と呼ばれるようなのに身を包んで、髪も普段とは違い、かなりキメてきたようだ。

 

ナチュラルメイクも決まっており……。

 

「ドウ似合ってる?」

 

わざわざポーズまで決めて見せつけるような仕草に……。

 

「本当、似合いすぎて罪作りな天使だよキミは。可愛いよアンジェリーナ」

「ーーーー!!!」

 

キザったらしいセリフだが、それでも良かったらしく顔を紅くして抱きついてくる始末。

 

「化粧崩れるぞ」

 

アキラの服に顔を埋めてくるアンジェリーナ。言っておいてなんだが現代の化粧(メイク)は技術進歩ゆえか、そんな接触程度では崩れない。

 

けれど崩れたとしても魅力は損なわれないだろうと思いながらも、アンジェリーナの努力が消えるのはちょっと忍びないなと思っておく。

 

「ダ、ダッテェ……そんなセリフ、オトコノコから言われたのハジメテだもの……」

 

恥ずかしくてそれを隠すためだったようだ。

というか、小・中学校の頃に、如何に魔法師を遠巻きにするとはいえ、この子にアプローチしようと思った男子はいないのかとつくづく思う。

 

だが実際、本来の彼女ならばUSNAの軍に入り、スターズという最精鋭の魔法師部隊の訓練生になって恐ろしい評価をされていたのを思い出す。

 

他を凌駕する魔法力で戦闘魔法などに習熟していき、個人の力で一度に数百、数千の人命を奪い、戦車を退け戦闘機を墜とす……などと評価されて軍からも「怪物」(モンスター)扱いされていた。

 

同時に一般人及び普通のミドルスクールでも自分は『怪物』(モンスター)であると、自らの異常生を悟ってショックを受けることも懸念して、軍は彼女を訓練生時代から軍の訓練を受けさせつつ、市井の学校に入れるという「人道的措置」をしなかったほどだ。

 

それを思惑はどうあれ『人情』『温情』と取るかは人次第だろうが、軍人であっても豊かな人間性を育むためには、違う場所にいて他の人間と交流することも必要だろう。

 

思い出した時に、もしかしたら……そういうことがあったのかもしれないと邪推してしまう。

 

ダイアナ・プリンス(ワンダーウーマン)シャーロット・ヴァンダース(仮面アメリカ)が存在を許されるのは、フィクションの中だけってことか)

 

悲しい結論を心中で出してからアンジェリーナの体を包みつつ頭を撫でてあげることにした。

 

魔法師などというクラーク・ケントを人工的に作り出しておきながらそれを恐れる心に理解をしながらも、それでもここにいるのは兵士ではなくて、普通の日常を愉しむただの女の子である。

 

電撃大王にかつて連載されていた名作 銃を持たされた義体少女(ガンスリンガー・ガール)のラスト付近を思い出すのだった。

 

「こうしているダケでもなんかベリーハッピー……」

 

呆けるような、蕩けるような…はいいすぎかもしれないが、それでもそんな声をアキラの胸の中で出すアンジェリーナ。

 

「そうは言うけどね」

 

周りからの囃し立ての声がすごくなってきた。

 

アキラくんのカノジョかーー!!

ウソー!! ジュニアユースの頃からアタシ、狙ってたのに!!

アタシなんて小学校のFCコマサントス時代からよ!!

 

「well……」

「行くか?」

「YES!」

 

戸惑ったアンジェリーナを連れて向かう。やはりというかなんというか……学校でのポジションと同じく、アキラの腕を取って歩く様子だ。

 

ヒューヒュー!!などとうるさい連中だが。

 

「俺のこと構っているより、今日の試合のバスがそろそろ来るぜ。準備しときな」

 

その言葉を受けてなのか、本当にタイミング良く遠征用のバスが到着してJクラブの応援の為のサポーター達が乗り込むようだ。

 

高校生ならばそろそろ部活なりクラブユースの方でやっている頃だ。そういう連中もいるだろうと思いながらも、恥ずかしがりの魔女子さんを助ける眼鏡ボーイの気分になるのだった。

 

「なんだか念願の海の見える都会(シティー)に来て戸惑っている見習い魔女の気分ネ」

「別に俺は人力飛行クラブとかに所属していないけどね」

 

鳥人間コンテストは毎年見ているものだが、ともあれ。

 

「このポジションは、継続なのか?」

 

ある意味、学校という閉鎖環境であればまだ耐えられたが、こうも衆目多すぎる大都会の往来でこれはちょっとと思うのだが……

 

「ママが教えてくれたのヨ。自分の大事なモノには常に自分の印や匂いを付けておく(ラブマーキング)ようにッテ」

 

それで落とされたのがアンジェリーナの父親であるならば、すごーく気が合いそうな気がするのはアキラの感想なだけではないはずと、その見上げてくる魅惑の笑顔と胸の感触に思っておくのだった。

 

そうして街を散策しながらアンジェリーナが色んな人から聞いたというダイアゴン横丁のギャリック・オリバンダーの店を目指していくのだった。

 

(というか魔法師のデバイスショップの主な所は渋谷にあるのかよ)

 

道玄坂を超えた先か?などと思いながらも地雷系もといキュートファニーのアンジェリーナと共にデートを愉しむのだった。

 

★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

ーーー昼飯前にデバイスショップに着いたわけだが、ここが都内では一番のデバイスアシスタンツを取り扱っている店らしい。

 

今となっては古式ゆかしい各携帯キャリア会社が構えていた店のような様相。

 

そして……。

 

「高い……」

 

展示されているサンプル品の全てに表示されている値段がアレである。流石に春先の補助金申請をした上で余裕を持ってここにやって来たわけだが、やはり元々が一般人であり、転生する前も、あまり最新機器というものを好まなかったアキラの庶民感覚がそう訴えた。

 

「買えるの?」

「大丈夫。ちゃんとマネーに余裕はある」

 

とりあえず現金(電子マネー)に余裕は持たせてあるのだが、値段は置いておくとするが、それにしても……。

 

「色々ありすぎて分からん……」

 

原作を読んでいた時にはCADの有効性とか差異に関してはかなり流し読みであった。何というかその辺は複雑すぎてちんぷんかんぷんであった。

 

精々、特化型に関しては模している器物の関係で装填できるストレージなるカードだかドライバみたいなので登録できる術式は限られており、扱いと使用のタイミングは限定されている。

 

対する汎用型はものによるが、多くの術を登録できて、予め設定したボタンを打鍵することで起動式の信号を発したり、表面を指ですべらせることで信号を発することが出来るらしいが。

 

そんなアキラの戸惑った様子は流石にアンジェリーナの目を惹いたようだ。

 

「アキラにはメニー色々とシブヤの街をガイドしてくれたコトだし、デバイスに関してはワタシが説明してあげるワヨ♪アンジェリーナ先生のはちみつ授業スタート!」

 

「よろしくお願いします先生。現在の最優先事項なので」

 

流石に騒ぎ過ぎかと思うも、店員さんは驚くべきことにおらず、一応ホームヘルパー型のアンドロイドが数体存在していた。

 

一応、他にも客はいたがあまりこちらに関心を示していない。

 

「ワタシもニホンのマナーの細かな所は知らないけど、他人の魔法を探るべからずというのがあるそうヨ」

 

前にミユキに少しだけ怒られちゃった、などとちょっと苦笑するアンジェリーナ。

 

様子と彼女の性格からするに激烈に怒られたというよりも軽く窘められたという程度で済んでいるだろう。

 

ともあれ魔法師の世界とは「よそはよそ、うちはうち」というのが節操と分別ある態度ということのようだ。

 

「それでは説明するワーーーー」

 

少し前に食べたマロンクレープの香りがする少女に近づかれながらの解説が始まる。

 

基本的な所は確かに自分の知識通りであった。

 

問題はーーー。

 

「司波くんが言っていたが、二つのCADを同時に使うと、やっぱり魔法が発動しないのか?」

「フフッ、やっぱりアキラもニホンジンね。二刀流(ニトウリュウ)に興味あるノ?」

「いや、確かに道具は二つあっても体は1つだからな。その際の混線みたいなのは分かるんだが……まぁ時間差で使えればいいんじゃないかなとか考える」

「シチュエーション次第というトコロかしら」

 

アンジェリーナ曰く、感応石の混線はやはりあるらしい。当たり前の話ではある。

 

汎用型(フォーマル)を使いつつ、特化型(スペシャル)を使う。または特化型2つを使うなんてのも出来るわ。ただし『同時発動』(ダブルバースト)はムリよ」

 

言葉と同時にヒトに向けてはいないが両手を指鉄砲にして同時打ちするような仕草を取ったあとに人差し指を交差して「ペケ」をしてくるアンジェリーナ。

 

その際にウインクまで加えてくる様子。一つ一つの仕草が、何か可愛いが、ともあれ……。

 

「そういうことならば汎用と特化2つ買っておけばいいか」

 

恥ずかしさを誤魔化すようにそんなことを言って話を進める。

 

「フォーマルデバイスはフィンガースライド型の方がいいワ。ハットリ副会長の使っていたような打鍵型(プレスタイプ)は、慣れるまで時間がかかるモノ」

「なら、なんであのヒトはアレなんだ?」

「実戦的に慣れれば、アッチの方がいいのよ。ミユキやワタシが使っているモノは、ある程度の思念操作で使う魔法を選択した状態で決定させるからネ、コッチのほうが選択(チョイス)はシンプルよ」

 

じゃあ余計に俺みたいな初心者は服部ダリル副会長の使っている方を選んだほうがいいと思うのだが、アンジェリーナは譲らずあのスマホ端末のような板っきれを買えと言うのだった。

 

(まぁいいや)

 

シロートであるのだから経験者のアドバイスを素直に聞いておくのだった。

 

お値段はかなりのものだった。この後に店に備え付けてある端末ないし、一高より支給された端末で、魔法式をインストールするわけだが……。

 

特化型も一応……何故かアンジェリーナとオソロのモノを購入してしまったりする。ストレージはとりあえず四枚ほどで済ましておいたが……。

 

(タツヤデモートの持つようなシルバー・ホーンなんてのはないよな)

 

ヤツの持つCADこそ闇の帝王の持つ恐るべきイチイの木と不死鳥の尾羽根を芯に作られたものである。(比喩表現)

 

別に対立したり、ケンカする必要も無いのだが、なんとなく……そんなことを考えた時に、目に入ってきたのは奇異なデバイスであった。

 

展示品の中では異彩を放つとしか言えないが、どうやら他の人達はあまり興味がないようで、それに注目していなかった。

 

サンプル品を手に取る。

 

普通の銃型……重さは無い。というか感応石を装着していないで、ストレージ分を装填していないとはいえ、これは手にしっくり来る。

 

照準補正装置は当たり前のごとくあり、普通の銃射撃のようなウィーバースタンスを取る必要も無さそうだ。

 

何よりカラーリングが気に入った。この世界のカラー(色調)は、全体的に明るい色というか、寒色系を嫌う方向がある。

 

タツヤデモートのヴェノムじみた強化スーツですら、銀色の目元などがある。

 

アンジェリーナの本来の未来でのシリウスなど、あんな真っ赤な髪をするなど、変装の意味をなくす。いや、変装してはいるのだろうけど……。

 

だが、黒という寒色に対して本当に映える色とはーーー金色(こんじき)

 

漆器などに描かれる蒔絵などに美を感じるアキラは、黒金のカラーリングを描かれたそれを直感的に気に入った。

 

「アキラ、ソレも買うの?」

「ああ、機能としてはまぁ……他の特化型と変わらないのかもしれないが、デザインと持った際の手触りが気に入った。機能性を重視するならば余分だろうけどね」

「ーーーワタシもこれ買うワ。前にグランパに見せてもらったウルシの器の美しさを感じるモノ」

 

訂正、どうやらその美を感じ取れるものはいたようだ。

 

「このメーカーって有名なのかな?」

 

ヘルパーロボに会計と送り先を記入しながらアンジェリーナに聞いておく。

 

「あまり聞かないワ。ベンチャー、スタートアップ……ソウイウのじゃないかしら?って……アキラ、インストールしなくていいの?」

「今日は、アンジェリーナとのデートだろ。ならば、今を楽しんでおく。そういうのは後でいいかと思って」

 

そもそもアンジェリーナと違ってアキラに達者に使える魔法は限られている。

 

いざとなれば、ポケベルデバイスをケーブルなどで繋いで転送してしまってもいいだろう。

 

当然、微調整は必要だろうが……。などと考えた瞬間、背中に再びの感触を覚えた。

 

「背中におぶさるなよ」

「そういう気遣いがスゴく女の子のハートにきちゃうって理解している(Understand)?」

 

端末を使っていたアキラの背中に乗るアンジェリーナの呆けるような言葉が耳をくすぐる。

 

それに喜ぶも、アキラは本来の彼女(原作シリウス)を知っているからこそ、こういうことが出来ているわけであって……。

 

(女の子への口説き方としてはフェアじゃないよな……)

 

そんな申し訳なさとも虚しさとも言えるものが胸の中に入るのは仕方なかった……。

 

 

 

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