魔法科高校の退学希望者   作:無淵玄白

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マラカナンの悲劇、ミネイロンの惨劇をもう一度!!

……無理かな。けどなぁ大物食いこそサッカーの妙味だ。

勝ってほしい。


第十九話「マギア・スクールパニック1」

 

「結局「ヒニング」は使わなかったワ。ワタシを大事にしてくれるアキラの心に応えたかったから」

「それでも一緒のベッドで寝るとか……リーナはちょっと慎ましくなるべきだと思いますよ」

 

しかし、一方で(アキラ)の方に最後までいかないとか「ヘタレ」か?。などと口汚く思うこともあるのだが深雪の言葉にアンジェリーナは。

 

「そうして、スタートダッシュで出遅れるのが恋の失策(スリップ)だと思うワ」

「まぁそれは分かりますけど…」

「シブヤのハチ公前広場でオンナのコたちがアキラを深く知っていたから……焦ったのヨ」

「リーナ、分かる!分かるよその気持ち!!」

 

光井ほのかが、アンジェリーナに次いで恋に恋する乙女だからか、グループの中で一人だけ同意する。

 

そんな様子は遠巻きにA組男子の耳と心をざわつかせて、中でも一人の男子の心をズタズタに切り裂いていた。

 

心配になった自称Aクラスの男子リーダー(笑)たる森崎駿は、声をかける。

 

「い、五十嵐、大丈夫か?」

「なんだいモーリー、俺はいつも通りだぜ」

「うん、そんな愛称で呼び合うほど僕達、仲良しじゃないだろ」

 

同級生はかなり混乱しているようだ。当然か、A組になって以来、アプローチしてきた女子にフラレた形だ。とはいえ、五十嵐とシールズは、そもそもファーストコンタクトからしてワーストコンタクトにも思えた。

 

(だが、それにしたってあんなチャラ男みたいなヤツが、いいのかよ?)

 

魔法師としての能力と男としての魅力はイコールではないとはいえ、どうしても前歴が前歴だけに、そう見てしまう。

 

自分たち魔法の家の子供たちが、魔法の訓練を必死にやりながら、魔法に直結するとまでは言わずとも格闘技的なスキルも磨いてきたのに……。

 

それこそ他の同級生が野球やサッカー、はたまたバスケなどの地元の少年クラブに在籍している以上に頑張ってきたはずだ。

 

それよりも、あんな素人がいいのか?魔法に達者な人間こそが、魔法師の男女における付き合いの判断材料なのではないか?

 

魔法使いの男子として納得出来ないものが森崎にもあったのだ。

 

そうしていると……。

 

「た、大変だ!! みんな!!ウィー……二科生のクラスの実習授業で、またとんでもないことが起こった!!」

 

言葉の途中で言い淀んだのは、A組にはそのウィード連中と親しいのがクラス上位にいるからだ。特に司波深雪とアンジェリーナの評価を下げることもあるまい。

 

そんな飛び込むように入ってきたクラスメイトの言葉を受けて、件の2人が飛び出るようになった。向かう先は知れている。それに続くように光井、北山が続き、野次馬根性な連中も行こうとしているのだが。

 

「どうする……?」

 

一高の未来を担っていくだろう最優秀生の自覚を持つ森崎は五十嵐に節度を保つように言葉を重ねる。

 

「ーーーもう休み時間も終わりつつある。行きたいやつだけ行けば」

 

などと説得しようとした矢先。

 

「十文字君!どうやらこっちの演習室みたいよ!!」

「二科に講師がいないことは分かっていたが、まさか授業計画ーーースケジュールすら把握していなかったのは予想外だぞ」

「お座なりなお役所仕事ということなのね」

「ああ、去年、一昨年、更にその前のを使いまわしていただけなんだな。どうにもこういうのは……」

 

教室の前から後ろに当たる廊下を渡って三巨頭のうちの2人が数名を引き連れて恐らく演習室に向かっていく様子が教室からも見れた。

 

教室のドアを開け放っていた(フリーオープン)ことが幸いしたわけだが……。

 

続く言葉は、もはや森崎から出てこなかった。

 

「ーーー行くぞ」

 

それしか言えなかった。本当ならばあのイカサマ野郎が!などと悪罵を加えたかったが、公衆で負けてしまった自分にはそれ以上は言えなかった。

 

そうして多くの面々に遅れて赴いた演習室では……。

 

「つまり「ぼますか」な司波達也くんの要請に応じたわけなんだけど」

「ナンデそれでミヅキと抱き合っている(HOOK UP)のヨ!!」

「魔法が上手く使えるようにしてくれた人に喜びのあまり抱きつくぐらい許されてもいいと思いますけど!」

 

なんか……中央の方で2人の美少女を侍らす男子の姿ーーー石田アキラの様子に……。

 

「「「「「このハーレム野郎があああ!!!」」」」」

 

1−A男子たちの怒りの絶叫が演習室に響き渡るのだった。

 

時間を遡ること一時間ほど前……ことの発端はそこからであった。

 

 

やってきた講師もいない演習室。あいも変わらぬそこに辿り着くまでに考えたことは、この世界の逸脱具合だ。

 

(E組の面子に吉田幹比古はいないな)

 

もしかしたらば1科にいるかもしれないが、それを調べることは出来ない。

 

結果として自分の腕に巻き付く「おっぱいお化け」の引き取り手がいないということだ。

 

「しかし、こうして考えると公立塾よりも待遇が悪くなっているというのも、アレだよなー」

「そうなのか?」

「そうだよ。まぁ公立塾では、ここまで大規模な筐体とか扱っていないからそういう意味では良くなっているのかもしれないけど」

 

西城の言葉に返すと、そんな風に加えてくる千葉。

 

目まぐるしい日々で合格してしまった魔法科高校であるゆえに、こういう大規模筐体があることも知らなかった。

 

色んな意味で、シロウトなのがアキラである。

 

……などと考えていたのだが。

 

「そんなわけで、俺としてはそこまで率先してやりたいわけではないのだが、出来ることならば、アキラの超絶なマジックスキルを覚えてレベルアップしたいーーーというのがE,Fの面子の考えだ」

 

「先生が見えない授業だし、別にそれでもいいと思うけど俺に理屈的なものは分からないぞ?」

 

司波達也の言葉に返しながら、自分でも良く分かっていない魔法実技の達者さを教えろと言われてもどうしようもないと言うが……。

 

「とりあえずやってみてくれ。2クラス合同でも出席番号1番の石田アキラ君」

 

おどけるようなセリフと声で言ってくるタツヤデモートに苦笑しながら、美月から離れて今日の課題はなんぞやと思いながら筐体CADを動かす位置に陣取る。

 

今日の授業内容はコンパイル時間の短縮練習。

 

制限時間1秒以内に魔法を発動完了させる。

 

魔法自体は「照明」とでもいうべき指定座標を輝かせることだが……。

 

筐体型はいわゆる現在主流のCADにあるような発動高速化などは組み込まれていないので、割とキツイが。

 

(そもそも起動式を読み込んだ時点でストップウォッチがスタートするならば、1秒なんて無理じゃね?)

 

原作や漫画版、アニメの描写を見る限り、筐体を読み込んだ時点で制限時間的にアウトだと思うのだが……簡易な魔法だから、それで十分なのかもしれないが……。

 

(まぁやったことないし、やっつけでやってみますか)

 

筐体のCADは確かにすごく「雑」な作りだ。このぐらいの感覚は分かり、起動式から魔法式が構築されてーーーそこに■■が入り込み、魔法発動。

 

指定された座標で複雑な魔法陣が輝いた。

 

「300msーーー」

 

誰かのつぶやきの後に『クリアーです』という機械音声で合格したことが分かる。

 

ただ、それだけでは本当の意味での合格ではないようだ。よく見ると……。

 

「ああ、これペアじゃなきゃダメか。じゃあ俺とペアはーーー」

「はい! 私がいきます!!」

 

当然のごとく、唖然、呆然としている集団の中から美月が勢いよく挙手をして自分のペアに立候補したが。

 

「その前にちょっと待て! アキラ、お前……確かに試験は合格しているがーーー」

「何かダメな部分あったか?」

 

割り込むように司波達也が物申してくる。

 

「いや、申し分ない時間短縮だ。見事な魔法発動だよーーーそれは、ここにいる全員が理解している。そして何かダメな部分があれば当然のごとくエラーで引っ掛かる」

 

「じゃあなんだい?」

 

「だが……何というか……分からん。どうして、そうなるのかがな……」

 

理屈詰めで理論派なタツヤデモートが、腕を組んで頭を沈ませながら心底頭を悩ませている様子に、痛快な気分になるかといえば少々心苦しい。

 

何より……

 

ーーー想像力を解き放てーーー

 

などと勝手に言い残しながら未だに姿を見せないでいるウルトラマンアース(笑)を呼び寄せるためにも少々、利用させてもらうことにした。

 

「魔法式を構築していく演算領域が他人より優れているーーーなんて話じゃないな」

「違うのか? アキラはそういう人種なんだと思っているが」

「おいおい、知っているでしょ?俺は別に数字持ちの家でもないし、第一世代としては本当に何か貴いお家柄、神道、仏教関係者が先祖にあるわけでもないんだ」

 

アイネブリーゼで自分の出自を語った時のことを思い出させる。もっともそれだけが、そいつの能力値を決めるとも限らないが、この世界ではそれが「普通」なのだ。

 

「まぁそうだな……考えるに天然自然ということか」

 

その道理を叩き込まれてきた魔法師らしい魔法師である司波達也がうなるように同意する。

 

「『ぼますか』な司波くんとしては納得いかない?」

「そうだけーーー待て、『ぼますか』ってなんだ?」

 

やはり耳に残る単語だったようで、聞き返される。

 

「前にアイネブリーゼで言っていたじゃん。「僕は魔法に好かれていない」ってすごい昔のライトノベルみたいな独白を。アンジェリーナとのデート中にそんな風な話が出て、じゃあ略して「ぼますか」だな。みたいなことを言った」

 

「陰口叩かれているとも言い切れんが女とのデートで話題に出すなよ。そして俺の一人称は「俺」だ。ゆえに略するならば「俺まほ」ーーーは、やめておこう。俺という一人称の略語ラノベは多いからな」

 

なんだか中の人(俺妹)関連で痛い所を突かれたらしきタツヤデモートが苦い顔をしながら眼を瞑っていたので。

 

「じゃあ「ぼますか」でファイナルアンサー」

 

うるせ。と返されてからようやく説明に入る。別にこんなの神妙になって聞き入るものではない。

 

と思いながらも、みんなが魔法を達者に扱いたいと思うのならば、まぁその手助けをするのが人情というものかと納得して魔法のシロウトは口を開く。

 

「俺がやっていることはーーーーーーー」

 

そうして……魔法科高校の退学希望者によるちょっとした変革であり、多くの人の耳目を集めることが披露された。

 

 

「で、アキラ君は見ての通りのハーレム状態だから、邪魔するのも悪いので説明を達也君に求めていいのかしら?」

「先鞭をつけたのはアキラです。俺もそれを享受した側ですが……」

 

これは達也では明確に理解出来るものではない。ただ、アキラの言いたいこととやっていることは分かった。今までの自分をひっくり返された思いもある。

 

だが、達也も483msという記録を叩き出してしまったので、説明責任(?)は発生しているか。

 

「はっきり言ってしまえば魔法式の再構築。要するに自分たちに合った「構成」にするべく直してから発動させているんです」

 

「ーーー起動式で取りこんだ魔法式を再構築とか無駄ごとではないか?」

 

「ええ、ですがこれが一番肌に合ってしまっている。アキラ曰く起動式から読み取った「とっ散らかっている魔法式を自分流に組み直している」とのことです」

 

「ーーーーーーけどE,Fの一年生たちは、それが分かったのね?」

 

にわかには信じがたいが、結果は出ているわけで。

 

「すまないが、一年諸君、俺たち無知蒙昧な一科生の先達に、キミたちの魔法を見せてくれないか?」

 

十文字としては後輩たちを疑うことを申し訳なく思いながらも、それでも確認は必要なわけで……。

 

 

結果としてーーー。

 

「……石田、お前はクラピカか?」

「きっと俺、水見式やっても具現化系(几帳面)じゃないと思いますよ」

 

そんな言葉を半眼の十文字に返すアキラの姿を見ながらも、他の連中はまだ収まらないだろうな。と達也は直感しつつーーーほのかと深雪が自分の両腕に巻き付いている状態が、アキラに代わって顰蹙を買ってしまうのであった。

 

 

 




まほきら、ぼまきらなど「きらわれている」という単語でもよかったのですが、なんとなく「ぼますか」という単語が気に入ったのでそうしました。
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